原子力委員会第1回放射線専門部会議事概要

1.日 時 平成13年9月26日(水) 10:00〜12:30

2.場 所 中央合同庁舎第4号館2階 共用220 会議室

3.出席者

専門部会委員:
 竹内原子力委員(部会長)、藤家原子力委員長、久保寺参与、朝長参与、青木委員、
 碧海委員、阿部委員、岡田委員、小川委員、加藤委員、小佐古委員、佐々木委員、
 高田委員、土井委員、土肥委員、西尾委員、丹羽委員、藤原委員、山口委員、
 渡邉委員
原子力委員会:
 遠藤委員長代理、町参与
事務局:
 (内閣府)青山参事官、嶋野企画官、(文部科学省)竹内企画官、奥野課長補佐、
 (厚生労働省)磯貝課長補佐、(農林水産省)波川課長補佐、
 (経済産業省)鈴木産業技術調査官、(国土交通省)西、(環境省)久保

4.議 題
(1)新たな原子力委員会の体制及び放射線専門部会の設置について
(2)我が国における放射線利用の現状について(経済規模〜日米比較の観点から〜)
(3)国における放射線関係研究開発体制について
(4)放射線関係分野の現状と課題について
(5)その他

5.配布資料
資料放第1−1号 21世紀の原子力委員会の発足に当たって
資料放第1−2−1号 今後の検討体制のあり方
資料放第1−2−2号 原子力委員会部会及び懇談会の構成員
資料放第1−2−3号 放射線利用の拡がり(長計第5分科会資料より)
資料放第1−3号 1.我が国における放射線利用の経済規模
 2.放射線利用の経済規模−日米比較−
資料放第1−4号 国における放射線関係研究開発体制について
資料放第1−5−1号 放射線利用研究に関する放射線医学総合研究所の取り組みについて
資料放第1−5−2号 重粒子線によるがん治療研究の現状について
資料放第1−6号 低線量放射線の生体影響
資料放第1−7号 放射線利用におけるアジア協力の現状と今後の課題について(案)
参考資料第1号 21世原子力委員会専門部会等運営規程

6.議事概要
 (1)開会にあたり、冒頭、藤家委員長より挨拶がなされた後、事務局より配付資料の確認が行われた。

 (2)事務局より、資料放第1−2−2号に基づき放射線専門部会に参加する専門委員が紹介された。

 (3)放射線専門部会の部会長として、竹内原子力委員が選任された。

 (4)部会長より、資料放第1−1号に基づき新たな原子力委員会の体制について、また、資料放第1−2号に基づき今後の検討体制のあり方について、概ね以下の通りの説明がなされた。

 (5)我が国における放射線利用の現状について、文部科学省研究振興局量子放射線研究課:奥野課長補佐より、資料放第1−3号に基づき説明があり、概ね以下の通りの質疑応答がなされた。

(久保寺参与)表中の表示の仕方で1か所だけ、19ページに黄色で塗ってある左上が米国であるのに対し、右下では北米になっているが、これは何か意味があるのか。
(奥野補佐)北米と書いた場合にはカナダを含んでいる。
(竹内部会長)放射線の経済規模は、米国人と日本人の人口比率と、概ね比例しているようだが、食品照射に関しては桁が違うという感じである。
(佐々木委員)食品照射の問題も(原子力長期計画策定時の)第5分科会で議論の大きな対象であり、放射線の利用というのは、先程部会長もご指摘のように、非常に広範囲にわたっている。従って、担当する省庁あるいは規制する省庁も複数にわたっている。その間の連携プレーは非常に重要である。その連携がうまくいかないために、放射線利用の推進が阻害されている面があるのではないか。特に食品照射についてはそういう面が強いのでないか。分科会報告書の中で、関係省庁が横の連携を強めて放射線利用を推進していただきたい、内閣府に移られた原子力委員会の指導的な役割を大いに期待したいということを記載している。
(西尾委員)今の食品照射の件、私どももジャガイモの発芽抑制のための照射施設を持っているが、実はこの活動は出荷量で見るとゆっくりであるが下がってきている。食品照射の最もベースにあるのは、PAというか、一定の国民感情というものに根があると考えられる。このような専門部会の中から、安全性についての発信をしていくというか、そういったことが非常に大きく影響するのではないか。
(久保寺参与)西尾委員の発言に全く同感である。サイレント・マジョリティという言葉がよく言われているが、良いと思っている方からは声を発していただけない。反対というイデオロギーをお持ちの方たちの言葉だけが、大きく耳に聞こえてくるというのが現状だと思う。例えば、ハワイのスーパーマーケットでパパイヤを買って帰ろうとしたところ、成田で、ハワイから出るパパイヤは全部放射線照射をされているため、日本ではまだ照射が許可されていないということを理由に持ち込みが拒否されたということを聞いた。食品安全というものを考えて、欧米諸国できちんと安全が確立されているものをなぜ日本は受け入れないのかという声も、多くはないが時々は聞こえてくるという事例である。
厚生労働省がご担当かと思うが、非常に幅広い仕事の中で放射線に絡む仕事というのは、比率で言えば小さいのかもしれないが、とても大切なことであり、食品照射や医療の最適化、放射線を使った医療の多重規制等について、今具体的にどのようなものに取り組まれているか、お話いただける範囲で構わないのでお願いしたい。
(磯貝補佐)実際の食品については食品保健部であり、縦割りで大変申し訳ないが、規制当局とは一歩離れた立場で発言させていただきたい。食品照射については、安全性の面の他に、消費者の声を聞いて、対応していくしかないと聞いている。食品照射に関しては消費者の方から不安だとの声もあり、安全性に関する不安を取り払うようなPA活動については、こういった場で積極的に行っていく必要があるのではないかと考える。
医療関係については、別の機会に担当の者からご説明させていただきたい。
(阿部委員)食品照射と並んで、非常に米国と異なるのは、がんの放射線治療の割合である。米国では、がんの患者の50%に放射線治療が利用されているのに対し、日本では15%である。これも食品やあるいは人体に放射線を使うということに対する日本の、アレルギーといったようなことがかなり影響しているのだろう。日本では実体としては原子力に依存しているわけだが、食品や人体ということになると極端に悪くなる。それは日本では理性で議論するというよりは、情緒で議論するというところに欧米と相違があるためではないかと感じている。
一番基本的なことは放射線に対する教育ではないかと思う。日本が本当に原子力政策を進めていくのであれば、国民がみんな放射線あるいは原子力というものを正しく理解できるよう教科書に取り上げて教育することが大事である。
(町参与)今の調査報告は大変良くできていると思うが、経済的に直接計算するのは難しい放射線利用の利点もある。例えば放射線利用によって実は間接的に環境に非常にやさしい技術を提供していることを指摘したい。例えば、沖縄のウリミバエの撲滅なども従来は殺虫剤を使用していたが、放射線不妊化技術によって殺虫剤の使用が大幅に減っている。殺虫剤は目的とした虫を殺すだけでなく、天敵のような虫まで殺してしまう。それから、もちろん人間に対する影響もあろうから、殺虫剤を減らし、放射線不妊化を普及させていくということは極めて環境にやさしい技術である。
また最近、品種改良でも、やはり耐環境性、つまり環境に強い品種をつくること、例えば病気に強いとか、あるいは今まで農薬を使って防いでいた病気について農薬を使わなくても良い品種を作出することが活用されている、例えば20世紀梨は、黒斑病という病気に対し、非常に弱く、これを防止するために今まで年に十何回も農薬を散布していたのが、放射線を利用して開発した新しい品種だと3回とか4回で済み、大幅に農薬の散布が減って環境の汚染が少なくなっているというようなこともある。
食品照射にしても、日本はまだ普及は余りしていないが、米国あたりだと、グレープフルーツなどを、従来の化学薬剤の薫蒸というメチルブロマイドを使ったやり方をやめ、放射線にしていこうという動きが明白である。これはオゾン層の破壊の原因となるメチルブロマイドガスの使用をやめて放射線に切り替えていくことでオゾン層の破壊防止に貢献するというもの。これらは一例であるが、他にもたくさんある。
食品照射についてさらに一言申し上げると、実は私のいた国際原子力機関(IAEA)でも非常に力を入れてこの食品照射のプログラムをすすめている。しかし、五、六年前までは反対が多くて、世界保健機関(WHO)とか国際食料農業機関(FAO)、IAEAが協力して、照射食品は安全だという正式なレポートを出して理解を深めようとしたのだが、なかなかうまくいかなかった。ところが六、七年前に米国の新聞が、米国の食中毒、特にサルモネラとか、あるいはリステリアに起因する食中毒が非常に多いと報じた。最初の統計では1万という人々が米国で食中毒が原因で死んでいると米国のマスコミが取り上げ、効果的にこれを防ぐには放射線しかない、ということをマスコミ側から言い出した。それによって放射線による食品の安全化ということに注目が集まり、今や米国では、特に肉の殺菌に放射線を利用することに一般の理解が得られている。現在でも米国では大体5,000 人が食中毒で亡くなっているわけであり、そういう意味で日本と少しニーズが違うという気はしているが、日本の場合も、少なくともスパイスは、ぜひ早く認可をしていただく必要があるのではないかと考える。
(碧海委員)今回の資料を拝見して改めて感じることがある。農業利用のところで突然変異育種の973 億円、この経済規模というのは相当なものだろうと思うのだが、食品照射も含め、一般の人に余りにもそういうことが知られていない、理解されていないということである。例えば食品の遺伝子組換えについては、もう一般国民は反対するのが当たり前のような風潮があり、食品会社もすべて遺伝子組換えに絡んだ原料は使わないという方向で日本の場合は動いている。しかし一方で、例えば稲とか梨とか大豆その他の果実に、突然変異の育種ということが放射線を利用して行われているということをそういう人たちは一体何と考えているのか。もちろん遺伝子組換えと放射線による育種というのは、これはそのまま重なるということではないと考えるが、同じような土俵で議論できる問題として、一般国民は考えるべきと思う。そういう意味で、最終的には教育の問題ということになるという思いである。
例えば、今年はNHKが「ちゅらさん」という沖縄を舞台とした番組を放送しており、その影響ではないと思うが、例えばゴーヤ、ニガウリがものすごくはやった。この沖縄のゴーヤというのが、やはり今や自由に手に入るという状態も、放射線の利用による成果だが、なぜなのかということは知られないままに使われているということもあると思い、繰り返しになるが発言させていただいた。
(山口委員)今、碧海委員がお話になったことについて、私が突然変異育種をやっている時にも同じ問題があった。週刊誌の記者が来て、放射線を稲の種に当てると毒物が出るはずだ、そういうものを国民に食わせていいのかということで週刊誌に取り上げるということで、私は1時間かけて説得したことがある。そしてその後記者から、取り上げるかどうか社内で検討した結果没になりましたという電話が来た。こういう問題は、誰がどの段階で説得するかということが非常に大切だ。
それから、今日話を伺ったが、私の感じでは、当たっているかどうかわからないが、日本は半導体がトップで、米国では突然変異育種で災害、害虫に強いものが取り上げられているということは、まさにこれは、米国が農業国であり、環境ストレス耐性の品種ができたために、小麦、米が輸出できるということで国益に寄与していることの現れではないか。放射線利用は、それぞれの国の国益を優先し取り上げ、進めて欲しい。
(竹内部会長)大変多くの委員の方々から、ご発言をいただき感謝している。いずれにせよ、最後は教育の問題まで行くと考えるが、国民に向けての発信というものが非常に大事だと感じている。特に食品照射に係わる放射線利用について非常に日本は遅れているという認識で、皆様のご理解は一致していると思うので、この専門部会としても、今後フォローアップしていきたい。

 (6)国における放射線関係の研究開発体制については、資料の配付のみ。

 (7)佐々木委員より、資料放第1−5−1号及び1−5−2号に基づき、放射線利用研究に関する放射線医学総合研究所(放医研)の取り組みについて説明があった。

 引き続き、朝長参与より、資料放第1−6号に基づき、低線量の放射線の生体影響について説明があった後、概ね以下の通り質疑応答がなされた。
(朝長参与)佐々木先生にお伺いしたい。重粒子線の普及というか、10万人のがん患者さんを救えるかもしれないといった場合に、全国的に普及させる問題が生じると思われる。これについてはどのような展望を持っていたらよろしいのか。
(佐々木委員)私どもが日本で幾つ施設があったら良いかということを考えるのは非常に難しい問題かと思われる。しかし、先程の参考資料の7ページにあるが、重粒子線も含め、建設中も含めて現在6か所ぐらいある。その中で粒子線治療ができるところは、私どもと阿部委員のところだけである。そういうところで人材が必要になってくると、その人材の教育訓練、あるいは立ち上げに当たって私どもの経験をできるだけ活用していただくための助言、支援が私ども放医研の役割であると理解している。施設は、個人的には、もう少しあっていいのではないかと考える。それが10か所が良いのか、20か所が良いのかという判断はなかなか難しいとは思うが。
(朝長参与)長崎でも千葉の放医研に行きたいといったご相談に見える方がいる。こういう時に九州に1つあるとまだ大分違うのではないかなと感じている。日本で幾つぐらいあれば良いかという問題も含めて、ぜひご検討いただければと思う。
(佐々木委員)日本は小さい国ではあるものの、遠くに患者が行くというのは家族の問題なども含めて難しい問題があり、それぞれの地域にセンターがあるといったことが大事ではないかと考える。
(奥野補佐)今の質問に関して、若干文部科学省の立場からフォローさせていただきたい。
まず重粒子線治療についてであるが、放医研で現在行っているのは臨床に関する技術の確立であり、それをさらに医療技術として確立すること、また、放医研において高度先進医療を行うためのしかるべき体制を厚生労働省の認可を受けることも含め、整備していくことがまず主要な目標である。
一方、施設整備については、重粒子線の医療としての臨床の技術というのが確立してきたら、それに応じて必要な体制等が、例えば都道府県等を主体として取り組みが行われるべきものと考える。文部科学省においても、都道府県等における取り組みに関しては、現在兵庫県であるとか、静岡県等について、必要な助成等の措置を講じてきたところである。
(磯貝補佐)佐々木委員が紹介されたように国内の6か所この様な施設がある。なお、その中の厚生労働省の国立がんセンター東病院、これは千葉県の柏市にあるが、そこでの治療についても、今年の7月1日から国立がんセンター東病院の悪性腫瘍に対する粒子線治療、これが高度先進医療の指定を受けた。
(阿部委員)今、日本に粒子線治療のセンターがどのくらいあったら良いかということであるが、以前、厚生省で、北海道、東北、関東、近畿、四国、九州といったように国を8つの医療圏に分けていたように記憶している。今までの放射線治療は、国のコントロールがなくて、非常にたくさんの台数が日本にできた。しかし、それに伴う人が育っていないということが大変問題であった。粒子線治療については、医療圏ごとに当面は一施設国の方で指定し、推進していくことが非常に大事ではないかと思う。また粒子線治療を行うには、その専門家を育てることも合わせて重要である。
人材育成の点では、放医研が非常に教育にコントリビュートしていることは確かであり、そういう人材を見ながら、施設を医療圏ごとに一つづつつくっていくという国の指導が必要であると考える。また、装置を普及させるという意味では、非常に高額な装置であるので、現在放医研で、より安い粒子線治療装置を開発するプロジェクトを開始している。それができれば普及も容易になるのではないか。それにしても、どこでも手を挙げれば許可するのではなく、やはり地域性とか粒子線治療を行える放射線治療医の数などを考えてやる必要がある。
厚生労働省に対してお願いがある。医学利用については、日本で新しい技術開発がだんだんやれなくなってきており、特に放射線医療技術は、外国からの輸入に頼らならければならないようになりつつある。このことは、臨床トライアルが非常に長く時間がかかる、あるいは規制が厳しいということも一つの原因ではないか。非常に良い技術については、なるべく早い期間に効果を検討・評価するということを考えていただきたい。それから、医師の国家試験の試験委員に放射線治療を専門にする放射線科の人がいないのではないかと案じている。間違いであればご指摘いただきたいが、例えばあるがんの治療の設問に対する答えの選択肢に放射線治療が極めて良い適用になるにもかかわらず放射線治療が入っていないという重大な問題をみることがある。がん治療の問題作成に放射線治療の専門家が出題に関わるということは大変大事である。これはがん治療に放射線が有効であることを一般の医師に広く理解させるという意味でも大変大事であることを申し上げたい。
(磯貝補佐)国家試験のメンバーについては申し上げることはできないが、いわゆる医薬品の臨床研究とか、臨床研究の仕組みが変わり、日本での治験の数が低迷しているとの指摘はある。放射線以外でもそういう声は聞いており、これについても国内でもう少し活性化できないかといった方策について、今後勉強していきたい。それから、医師の国家試験については、また改めて解説させていただきたい。
(小佐古委員)3つ程話をさせていただきたい。
まず1番目であるが、この種の議論をさせていただくと、常に原子力放射線の利用に伴うメリットというの話と、その利用に伴う安全の話というのが対になって出てきており、今までの経験から、安全側の議論というのが先行し過ぎているというところがあるようである。メリットがあるからいろんなことをやるわけで、安全の考え方は、それに付随するもの、そこのところをはっきりさせていただきたいというのが1番目の話である。この点について、原子力委員会と原子力安全委員会の役割分担も踏まえつつご検討いただきたい。
2番目の点であるが、組織間調整ということをぜひやっていただきたい。せっかく安全委員会とか原子力委員会が存在し、組織間調整をやっているはずなのに、例えば放医研では旧科学技術庁(STA)、理研も旧STA、大学で広島や長崎にあっても、それは旧文部省、放射線影響研究所(RERF)は厚生労働省、環境研とか、がんセンターというと県というような問題がある。既に大事な情報が存在しながら、ほとんど情報の行き来がないというのが現状。ぜひ原子力委員会が役割を担い組織間調整、組織にまたがるところをやっていただきたい。
3番目は、ここで既にお話をいただいているが、国際的な視野でやっていただきたいということである。日本がアジアにおいて、あるいは国際間で大臣級の人があらわれるような、レギュラーな会合を日本が主催し、持っているというのは、確か原子力に関するアジア協力(FNCA)というのが唯一だったと認識しており、ぜひそこでもいろんなことが進んでいくようやっていただきたい。その際組織間をまたがる話について、ぜひ強力に進めていただきたい。
原子力長期計画において、いろんなものをまとめていただいている。長い時間をかけて、専門家が立派な報告書をつくられているわけであり、今後は、アクションプランをきちんと設けて、いついつまでに何をやる、何がどこまでできたか、星取表をきっちりつくっていただき、成果がアクションプランに沿って人々の目の前にあらわれるような形にぜひしていただきたいというのがお願いである。
(竹内部会長)アクションプラン的な活動もこれからも加味していきたいと思う。それからもう一つは、原子力委員会と原子力安全委員会、こういう棲み分け等について、コミュニケーションを密にして明確にしていきたいと考えている。

 (8)事務局より資料の1−7号に基づき「放射線利用におけるアジア協力の現状と今後の課題について(案)」について説明があり、町参与から次の補足説明があった。その後、概ね以下の通り、質疑応答がなされた。
(町参与)途上国協力の経験から申し上げると、これからの課題としては、今ご説明のあった人材育成、あるいはそれを踏まえた研究基盤の強化ということが非常に大切だと痛感している。
いかにして人材を育成して技術移転するかというところが、協力活動を実のあるものにしていく基本だと感じている。FNCAに関しては、日本政府が主体になって11年前から始めてきたわけであり、確かに大臣あるいは大臣級の方々が年に一回集まり意見交換するという場は他にはなく、この非常に貴重な枠組みをいかに実際のプロジェクトにつなげていくかが重要と考える。それを目に見える成果にいかにして結びつけていくかということや、省庁間の壁を取り払い、日本として、いかに効果的な途上国協力を進めていくかということが大きな課題だと認識している。
このFNCAに関わるようになってちょうど1年になるが、先回の大臣会合の時に、今までどちらかというと、日本のリーダーシップが非常に強くて、ほかの国は若干受け身的な形があったように感じられた。しかし前回の大臣会合の時に、各国がパートナーシップを強化し、それぞれの国が平等な立場でこの計画に参画していくのだということの重要性が強調された。その結果、今年3月の各国コーディネーターの会合の時に、各国から具体的なプロジェクトが提案された。各国がかなりやる気になっている。一緒に協力していこうという意気込みが見え始めているという点が、私としては今後期待される一つの徴候ではないかと感じている。それを日本が真剣に受け止め一緒に発展させていくことが大事であると思う。
FNCAの参加9か国の中で原子力発電をやっている国は日本と韓国と中国しかない。あとの6か国というのはまだ原子力発電まで手が届いていないので、協力の中身はほとんど放射線の利用に限られている。そのような意味で放射線利用の技術は途上国協力において非常に重要な役割を果たしている。放医研を中心に、FNCAでがん治療のプロジェクトをやっており、非常に良い成果が上がっている。FNCAは、具体的な成果も出てきており、先程申し上げたように、これからさらに目に見えるように成果を出していくようにすべきと思っている。
(遠藤委員長代理)若干逆説的な表現になるかと思うが、長く自問自答をしていることを申し上げ、ぜひ今後ご意見を承りたい。
なぜマルチラテラル、あるいはバイラテラルの関係において原子力協力、ここのコンテクストで言えば、なぜ放射線という分野をシングルアウトして協力するのか、こういう疑問を前から抱いている。東南アジアの場合、原子力利用では放射線が一番大きな分野であって、それ以外の分野というのは当分の間、考えられないと思うが、放射線分野の協力といっても、対東南アジアの場合、あるいはアジアの場合、例外はあるものの、ほとんどが広い意味でのODAタイプと考えられる。我々の関係するのは、いわゆるODAタイプの援助、協力であるとすれば、一体なぜ放射線利用だけをつかまえてきているのか。むしろ、その国の大きな国家発展計画といったものの中で放射線が大事であると位置付けられ、したがって、協力を進めるべきだということになれば良いのではないかという気がする。しかし、残念ながら、各国とも私の知る限りでは、放射線分野はその国の国家経済計画の中での優先順位が上がってこない。日本の経済協力あるいは技術協力というのは、要請ベースでやっているので、要請ベースとして上がってこないという非常に大きな問題がある。
もう一つは、放射線利用の場合、放射線というのは、ある意味では手段であって、利用するところというのは農業であり、工業であり、あるいは医学であり、そういうところだと思う。その放射線のエンドユーザーズとの関係が一体どうなっているのかといったことが問題である。
(山口委員)FNCAは、アジアだけでまとまっていれば良いということでなく活動していくべきではないか。例えばアラブの国でも突然変異育種が盛んになってきており、4年に一回シンポジウムをやっている。IAEAの人たちは、ほとんど出席はしないが、そこに中国の研究者が参加して盛んに資金援助というか、協力体制をつくっているといったこともある。
(青木委員)本日の部会では、どういう成果をどのようにに出していくのかということについて議論がなかった。やはり専門部会として、各論ではなく、まず何を目的にするかを次回の部会でやってもらいたい。また、この席に安全委員も1人ないし2人くらい来てもらい議論に参画してもらうということも必要ではないか。
(竹内部会長)いずれにしろ、単なる年に1回ぐらい集まり情報交換会をやっても仕方がないと考えている。
(青木委員)食品照射の話の時にもあったが、放射線の利用の場合、最終的後ろにあるのは国民の理解だと思う。理解をするためにはどうするかというのは、議論しなければならないと思う。また、関係する専門部会で方向性を合わせた報告をしていくが必要。
(藤家委員長)専門部会の検討の際、話の最後を、PAだとか教育に落とし込んでしまったら、これはいつまで経っても解決しないといっていると大差ないのではないか。教育もPAも何十年もやってきている。そこで、今、何か具体的にこうということがあれば、むしろ、こういう場で言っていただきたい。専門部会は報告などの場ではなく、私はこうしたい、私はこうするといったアイディアが出てきて初めてこの場が活気を持つ。その辺のことをぜひ次回から具体的な話に入れ込んでいただきたい。この場はここにお集まりの方々が何をやろうとされるのか、何をやりたいと思っておられるのかを中心に議論させていただき、あとは先程座長が言いましたように、そのあたりの整理は少し我々の方でも考えたいと思う。
(久保寺参与)今後の部会では、できればテーマを絞ってやっていっていただきたい。例えば食品照射なら食品照射をメインテーマにし、付随するものもほかに取り上げてよいと思うが、そのようなやり方、あるいは低線量なら低線量という具合にやっていく方が実りが多いのではないか。
もう一つ、利用があるから規制がある。ということは、利用の面から、これだけ安全が確保されているにもかかわらず、規制上こういう不都合がある、あるいは、こういう経済的なデメリットがある、そのような事柄についても、今の安全規制というものを、利用の方からも安全確保しつつ、問題点というのをディスカッションしていく場もあって良いのではないかと思っている。
(竹内部会長)色々サジェスチョンなり、御意見なりいただいたが、こういうことを加味し、次回開催以降、テーマ解決型の部会を進めるべきだと思っている。
今日いろんな面でご発言いただいた方々と、少し問題を整理して、またご相談させていただき、次のテーマは少し絞り込んだ格好でやる方向に持っていきたい。
(碧海委員)事務局へのお願いであるが、資料の中でアルファベットの省略語を使う場合には、最初のところに、できれば省略語のもとになっている言葉を併記していただきたい。日本語の方はもちろん書いてあるのだが、アルファベットそのものが頭に入らないので、できれば、最初のところだけで構わないので入れていただきたい。

 (9)最後に、事務局より、以下の説明があった。
(青山参事官)この部会については、議事は公開されており、議事録についても、概要版を事務局で作成し委員の方々にご確認をいただき、それを次回の部会において配付したいと考えている。なお、次回の開催については、部会長とご相談の上、別途ご連絡をさせていただきたい。

以上