原子力発電設備の定期点検について

○年 齢    :71歳〜75歳

○性 別    :男性

○職 業    :団体職員

○都道府県名 :東京都


○御意見の内容:

原発設備の利用率向上策について、貴委員会のご見解をお教えください。
1.たとえば、比較的新しく事故も起こしていない東北電力の東通原子力発電所の設備利用率は、H17初年度100%、H18年度76.7%、H19年86.5%となっています。この利用率から逆算すると、H18年度には85日(365日X23.3%)、H19年度には49日間にわたり定期点検のために休止されたこととなります。この理解でよろしいでしょうか。原子力保安院の検査と貴委員会の検査とはどう違うのでしょうか。さらに、自治体は検査にどのように関わるのでしょうか。

2.定期点検には、20日程度を要するとの記述を見ましたが、49〜85日というのは、どうしてそんなに長く掛るのでしょうか。貴委員会で設定された基準はないのでしょうか。

3. 従来は13カ月で点検していたものを、今年から24カ月に延ばされたということですが、当初13カ月とされた根拠法令、今回24ヶ月に延ばされた根拠法令をそれぞれお教えください。

4. 欧米ではこの期間が36ヵ月ということですが、本当でしょうか。わが国の基準と異なる理由をお教えください。

5. 利用率を90%に高める目標を掲げる自民党立法案を具体化するには、地震災害対策は別として、どのような施策が必要とお考えでしょうか。
原発推進派の研究者です。よろしくお願いします。  

○回 答:

1.定期検査期間につきましては、東北電力東通原子力発電所の定期検査実績につきましては、以下の東北電力のホームページに掲載されておりますので御覧ください。
○東北電力東通原子力発電所の定期検査のページ
  http://www.tohoku-epco.co.jp/electr/genshi/higashi/data/4_d.html
 定期検査における経済産業省原子力安全・保安院と原子力委員会の検査の違いについての御質問についてですが、原子力委員会は検査を行っておりません。また、自治体は経済産業省原子力安全・保安院が行う検査の枠組みには関わっておりません。

2.定期検査期間基準はございません。

3.平成21年1月の関連省令施行により、定期検査の間隔を13月以内の画一的な規定から、設備の保守管理の観点を踏まえて上限を設定する枠組みとして、従来の13月以内に加え、18月以内と24月内の3区分の分類を設けることなっております。
 本内容の根拠法令は、実用発電用原子炉については、「電気事業法施行規則」および「実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則」です。
 詳細は、平成20年第29回原子力委員会定例会における経済産業省原子力安全・保安院の説明資料を御覧ください。
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2008/siryo29/siryo29-1-2.pdf

4.米国におきまして、最大24ヶ月の実績があると認識しております。  検査制度に関する更に詳細な情報につきましては、経済産業省原子力安全・保安院原子力発電検査課にお問い合わせください。

5.原子力委員会としては、平成17年10月に策定しました「原子力政策大綱」におきまして、「我が国の原子力発電は、設備利用率や作業者の被ばく線量低減の実績において欧米の後塵を拝している。この状況に鑑み、電気事業者には、日本原子力技術協会等を通じて国内外の技術情報の共有・活用を図りつつ、経年変化の技術的評価を基に計画的に適切な保守・保全活動を行うとともに、安全確保に係る性能指標において世界最高水準を達成することを目標に掲げて保守管理技術の高度化にも取り組み、安全性と安定性に優れた原子力発電を実現していくことを期待する。さらに、出力増強、定期検査の柔軟化や長期サイクル運転による設備利用率向上といった高度利用に関しても、定期検査の柔軟化を実現できる検査技術や、安全余裕の適正化のために高度化された安全評価技術を、欧米における経験も踏まえて安全確保の観点から十分に評価・検証した上で採用することにも取り組むことを期待する。国は、こうした事業者の創意工夫に基づく取組の提案に積極的に耳を傾け、リスクを十分に抑制しつつ実現できるかどうかを厳格に評価して判断を下していくべきである。」としております。