「ウラン残土」に関する質疑についての再質問(2006.11.20受付)
鳥取県方面地区に管理される「ウラン残土」は、原子炉等規制法の対象施設から発生しないため「ウラン廃棄物」の対象外となる、について。

○職 業   :無職

○年 齢   :80代

○性 別   :男性

○御質問の内容:

【問一】
現原子力機構の人形峠環境技術センターは、原子炉等規制法第二章第三条の規定により経済産業大臣の製錬事業の指定を受けた施設と認識するのは間違いでしょうか。

【問二】
人形峠環境技術センターは、ウラン鉱から、製錬、転換、濃縮、再転換、成型加工などの工程を経て製造され、これら施設の運転、解体に伴い発生する放射性廃棄物を「ウラン廃棄物」というが人形峠環境技術センターはウラン鉱の採鉱、採掘も工程内のことであり、採掘された鉱石で「使用目的」より品位の低いものは、堆積場に鉱山保安法上捨石として管理されてきた。しかし、この捨石なるものは、経済産業大臣の放射線障害の防止のため「区域・放射性物質の濃度規制」を受け永年管理を行っている。この捨石ともウラン残土ともいう核物質の放射線量は、管理目標年間1mSvにもかかわらず、地表で0.3μSv/hと公表されているが年間にすると2.62mSvと管理目標をはるかに超えている。これでどうしてウラン残土が放射性廃棄物にならないは理解困難です。


○回 答: 

(問一に対して)
独立行政法人日本原子力研究開発機構(以下「JAEA」という。)人形峠環境技術センターの旧製錬施設は、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和32年6月10日法律第166号、以下「原子炉等規制法」という。)第3条第1項の経済産業大臣の指定を受けた施設ではありません。
同センター設置時の事業主体であった動力炉・核燃料開発事業団(当時)は、法令上、当該指定は不要とされていました。現在、当該製錬施設は、解体された状態なので、原子炉等規制法により核燃料物質の使用に関する規制を受けています。

(問二に対して)
平成18年9月28日に原子力委員会に寄せられた質問「「ウラン残土」に関する質疑についての照会」への回答の中でお答えしたように、ウラン鉱石の採掘に伴って発生する捨石は、原子炉等規制法の対象施設から発生したものではないため、ウラン廃棄物には該当しません。一方、鉱山保安法(昭和24年5月16日法律第24号)に基づいて安全確保が行われます。したがって、鳥取県方面地区のウラン残土を方面堆積場に堆積し、管理する場合については、鉱山保安法により必要な措置が義務付けられています。
また、方面捨石堆積場では、その場所における外部放射線に係る線量及び空気中の放射性物質の濃度が、鉱山保安法施行規則第1条第2項第36号に規定する経済産業大臣が定める値に該当しないため、方面捨石堆積場に管理区域は存在しません。そのため、周辺監視区域を設定する必要はなく、年実効線量限度である1mSvの規制も適用されません。
なお、事業者としては、周辺監視区域に準じて区域を設定し、敷地境界の外側における一般公衆の年実効線量を出来るだけ小さくするように敷地境界に柵囲を設けて、立入を禁止するなど、自主的な努力をしています。