全国の原子力発電所の毎月の排熱量について

○職 業   :自営業

○年 齢   :66歳〜70歳

○性 別   :男性

○御質問の内容:

全国の原子力発電所の排熱量は毎月何Calでしょうか?
これは、地球の環境を破壊していないか、如何考えますか?


○回 答: 

(1)原子力発電所でタービンを回した蒸気は復水器に送られ、海水により冷却され水に戻り、再び原子炉に送られます。この復水器で使われる冷却用の海水は、海へ放出される時に取水した時の水温に比べ何度かの温度上昇がありますので、一般に温排水と呼ばれています。この温排水は、海面から比較的浅い地域に拡がって行きます。

(2)世界全体の運転中の原子力発電所の排熱量を1時間あたり約6.0×10の14乗カロリーとして、日本国内の原子力発電所(53基、4712.2万kW)に換算すると1ヶ月あたり約6.0×10の15乗カロリーになります。また、太陽からの放射入熱は1ヶ月あたり約8.0×10の22乗カロリーになります。

世界全体の原子力発電所の排熱量および太陽からの放射入熱は以下の値を用いています。
原子力情報なび:http://www.atomnavi.jp/uketsuke/qa03_28_020356.html

(3)温排水の放流によって、海水の温度や流れが変化し海の生物や漁業に影響があるのではないかと言われていますが、温排水は海の表層を拡がり、放水口から少し離れれば周辺の海水と混合したりして、温度差は急激に小さくなり、流れの速度も低下するため、影響の範囲は放水口近くに限られます。
発電所設置時の温排水対策としては、計画予定地点周辺の環境を調査し、必要に応じて放水口の位置を漁場などから離れたところに設ける、取水口は温排水が再循環しないような位置に設ける、深層取水設備を施すなどの基本的な対策が立てられています。そして海の調査結果、温排水拡散予測結果等を総合的に検討して最も適切な取水方法、放水方法が採用されます。

(4)温排水の排熱が二酸化炭素を発生し地球温暖化に影響するという指摘がありますが、学会等で議論が進む中でもそれらは問題視されていない状況にあります。また、温排水が直接的に地球を温暖化するという指摘については、原子力発電などによる人為的に発生させる熱量は太陽からの熱量に比べ無視できるほど小さく、地球温暖化は、太陽からの入熱量と大気圏外への放散熱量のバランスを崩す、二酸化炭素などの温室効果ガスの大気中への過剰蓄積の問題と理解されています。

(5)なお、火力発電所でも、原子力発電所と同様に温排水は発生します。