余剰プルトニウム処分に関する日ロ協力について

○職 業   :団体職員

○年 齢   :51歳〜55歳

○性 別   :男性

○御質問の内容:

 1月11日に小泉首相はロシアのクルチャトフ研究所にて講演を行い、日露両国のこれまでの協力によって、兵器級プルトニウム約20kgの処分に成功した旨発言されています。余剰プルトニウム処分には関心がありますので、さらに詳しく教えていただきたいと思います。

 1)どこの研究機関がどこで処分を行ったのか 2)いつ処分が行われたのか 3)どのような方法で処分を行ったのか 4)処分の形態はどのようなものか(たとえば、MOX燃料か、ガラス固化か、あるいはまったく異なったものか)5)これに関する費用はどれだけか、以上の5点が質問です。よろしくご回答ください。


○回 答:

1)どこの研究機関がどこで処分をおこなったのか
 本件は日本の核燃料サイクル開発機構と、ロシアの原子炉科学研究所(RIAR)の両研究機関の共同研究として実施されました。本研究では、RIARの施設で3体の燃料を製造した後、ロシアの高速炉BN-600(電気出力:60万kW)で燃焼しました。今後は、RIARにて、燃焼後の燃料の健全性や組成などを調べる試験(照射後試験)を実施する予定です。

2)いつ処分が行われたのか
 兵器級プルトニウムを使用した燃料製造は、ロシアの原子炉科学研究所(RIAR)にて、1999年5月から開始されました。高速炉(BN-600)での照射試験は、2000年5月から2002年3月にかけて実施され、約20kgの兵器級プルトニウムが燃焼されました。

3)どのような方法で処分を行ったのか
 核弾頭から解体された金属プルトニウムを乾式法によりウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)顆粒に転換(注1)した後、振動充填法(注2)により、MOX燃料として高速炉(BN-600)で燃焼しました。

4)処分の形態はどのようなものか(たとえば、MOX燃料か、ガラス固化か、あるいはまったく異なったものか)
 振動充填法で製造した、高速炉(BN-600)用のウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料です。

5)これに関する費用はどれだけか
 ロシアとの本共同研究に関する費用は、140万ドルです。この金額には燃料製造、燃料の照射(燃焼処分)、照射後試験等の費用も含まれています。

(注1)乾式転換法(RIARで開発された乾式転換法)
高温でプルトニウムとウランを塩化物として溶融し、酸化物にした後、電気分解にて析出し、MOX顆粒に転換する方法です。

(注2)振動充填法(バイパック法)
 原子炉の燃料として、一般的に円柱状のペレット燃料が使われていますが、本共同研究では、ウラン・プルトニウム混合酸化物を砕いて顆粒状にしたものを直接被覆管に充填するという方法で燃料を製造しています。被覆管を振動させることにより、より均一に、より密に燃料を充填することが可能になります。

 なお本回答については、文部科学省の協力を得て作成いたしております。

以上