原子力発電のしくみ

○職 業   :会社員

○年 齢   :36歳〜40歳

○性 別   :男性

○御質問の内容:

 原子力発電のしくみ、立地の特徴、長所、短所、現在話題になっていることを教えて下さい。


○回答:
  1. 原子力発電の仕組みについては、核燃料を原子炉の中で「燃やし」発生する熱エネルギーによって、蒸気を発生させて、タービンに供給、発電機を回し電気を発生させるもので、火力発電の燃料を燃やしボイラーで蒸気を発生させるところを、原子炉に置き換えたものと考えると分かりやすいと思います。
      核燃料を「燃やす」というのは、核分裂性物質(ウラン235やプルトニウム239など)が熱中性子を吸収し核分裂を起こし、その際、中性子を発生するという反応過程を、制御しながら続けさせることを指しています。

  2. 立地の特徴については、原子力発電所では、周辺住民からの離隔等が求められることから広い用地が、また、出力が大きいことから大量の冷却水が必要となります。さらに、原子力施設の建設地点には、地震による揺れを低減させるため強固な地盤が必要となりますので、立地場所としては、これらを兼ね備えた地点が求められます。

  3. 原子力発電の長所については、燃料であるウランが石油資源などに比べ、政情の安定している国から輸入していること、資源備蓄効果を有していることなどから供給安定性に優れていること。さらには、核燃料サイクルの確立により、資源の一層の有効利用を図ることが可能なこと、また、発電時において二酸化炭素を排出せず、環境適合性に優れていることなどです。
      このため、我が国では、原子力発電を基幹電源として位置付けており、現在、発電量の約1/3を供給していますが、今後ともその開発、導入の一層の促進を図っていくこととしています。

  4. 原子力発電の短所については、アンケート調査などによりますと、必要性は多くの方が認めるものの、やはりその安全性に対する不安感を拭えないところにあるのではないかと思います。原子力安全に対する信頼を得るためには、国、事業者においては説明責任を果たすとともに、情報公開を進め、活動の透明性を高め、国民の理解を得るよう努めていくことが必要であると思います。安全等何か具体的な点に関する御質問がおありでしょうか。

  5. 現在の原子力発電を巡る話題については、本年3月に政府が取りまとめた地球温暖化対策推進大綱において、原子力発電は、地球温暖化対策の観点からも重要な電源と位置づけられたことが挙げられます。同大綱では、2000年度に比して2010年度までに、発電量で約3割の増加を必要としています、政府ではこれらの計画の下、京都議定書(温暖化効果ガスの排出量を、我が国においては、2008年から2012年の平均で1990年に比して、6%削減。)の批准を本年6月に行っています。
      原子力委員会では、大規模な原子力発電立地がなされている福島県の知事から、核燃料サイクル等の原子力政策について、様々な疑問が提起されたことを受けて、知事の意見を伺うとともに、原子力委員会からも説明の機会を持つことが重要として、本年8月意見交換を行っています。

  6. 最後に、御質問につきましては、既に関係行政庁や事業者において提供されるウエッブサイトのホームページにて、関連するQAが用意されていますので、こちらの方も御参照下さい。
    http://www.atom.meti.go.jp/

    http://www.fepc-atomic.jp/