原子力について

○職 業   :学生

○年 齢   :20歳以下

○性 別   :女性

○御質問の内容:

 もし、日本で原子力発電所がなくなったら、どうなるのですか。


○回答:
  1. 現在、我が国では、1次エネルギーの80%(原子力を除くと、その95%)を、海外からの輸入資源に頼るという不安定なエネルギー供給構造となっています。原子力発電は、国際的な政治、経済情勢により需要と供給に影響を受け、価格が変動しやすい石油資源に比べ、その燃料は安定的に供給されており、また、一定量のエネルギー供給を担っていることから、国民社会、その経済活動の安定に寄与しています。

  2. 原子力発電は、電力の35%を供給しており、原子力発電に代替する電源を、現実的に選択するとすれば、現在のところ、天然ガス、石油、石炭のいずれも化石エネルギー資源による発電方式に依らざるを得ませんが、京都議定書(本年6月批准)を遵守するためには、これらの火力発電により排出される二酸化炭素などの温室効果ガス排出量を、2008年から2012年の平均で1990年の排出量から、6%削減することが必要です。

  3. 本年4月に改定された政府の石油代替エネルギー供給目標においては、その達成に、2010年までに新規の原子力発電所10〜13基の増設が必要とされています。二酸化炭素の排出低減目標の達成のためには、二酸化炭素を排出しない原子力発電の着実な推進を図るとともに、一層の省エネルギー、新エネルギー(もちろん太陽光発電や風力発電も含まれます。)の導入、火力発電の燃料転換対策等が必要とされています。

  4. 既に、排出目標を約10%超過(2000年時点、エネルギー起源の二酸化炭素ベース)している現在、その遵守のためには、相当の努力が必要となっています。供給目標において、2010年で電力供給の42%を期待されている原子力発電は、我が国の経済活動を維持しつつ、その発展を支える上で、いかに重要な電源であるか、また、国際社会の中で地球温暖化対策に対する責務を全うするためには不可欠なものであるか、ということがお分かり頂けたと思います。

  5. より定量的にその影響を分析した結果が、こちらの経済産業省のホームページに載っておりますので、併せて御参照下さい。

    http://www.atom.meti.go.jp/siraberu/qa/00/hituyo/07-002.html