原子力の将来性

○職 業   :学生

○年 齢   :20歳以下

○性 別   :男性

○御質問の内容:

 私は、資源の乏しい日本で将来の発電技術を担っていくのは核融合だと考えています。
 ですから、私は将来、核融合の研究をしたいのですが、まだ大学にもいっていません。
 ですが今、日本では原子力が毛嫌いされている中で、研究が続けられるのか正直、しんぱいです。
 研究が途中で終了したりすることは、あるんですか?
 あと、どうすれば日本原子力委員会に勤めることができますか?

○回 答:
 平素より原子力に関心をお持ちいただき、ありがとうございます。
 核融合は、原理的に高い安全性を有すること、地球環境問題の原因となる物質を排出しないこと、豊富なエネルギー源となり得ることなど多くの長所を有しており、これが実用化された場合、世界のエネルギー問題の解決に大きく貢献すると期待されることから、その実用化に向けて、我が国をはじめ世界各国において多くの研究開発が進められています。
 我が国における核融合の研究開発は、現在、「第三段階核融合研究開発基本計画」(平成4年6月9日原子力委員会決定)に基づいて実施されています。この基本計画は、実験炉の開発の他、各種閉じ込め方式の研究や材料開発など、原型炉を開発するために必要な研究開発を行うことを目標としており、大学、研究機関等により研究が進められているところです。なお、この基本計画における実験炉としては、日本、EU、ロシアの3極による国際共同プロジェクトである国際熱核融合実験炉(ITER)計画が進められ、すでに設計作業は終了し、実験炉建設へ向けた協議が始まっています。ITER計画では、実験炉の建設に約10年、その後の運転に約20年が予定されています。
 このITER計画に対し、今後、日本が参加、さらには誘致するかについては、現在、政府で検討中ですが、原子力委員会は、「国際熱核融合(ITER)計画の推進について」(平成13年6月5日原子力委員会決定)において、「当委員会としては、今後とも、基本計画に基づき、ITER計画に積極的に取り組みつつ、バランスのとれた総合的な核融合研究開発を推進していきます。」と記述しています。
 このように、核融合エネルギーの実現は、既に何十年もの歳月をかけて世界各国が国家的に取り組み、今後も取組みを続けようとしているものですから、その研究の意義が失われない限り、研究を途中で終了するような事態は、きわめて生じにくいと考えられます。

 最後に、原子力委員会は内閣府に設置されており、その事務局に勤務するためには、国家公務員に採用されることが必要です。ただし、内閣府にも様々な部署がありますので、必ずしも御希望どおり原子力委員会事務局に配属されるとは限りませんし、たとえ配属されたとしても、人事異動があることは御承知おき下さい。

 いずれにせよ、原子力委員会では、核融合の実現に向けて努力していきたいと考えておりますので、核融合の研究に熱意をもって取り組んでいただくことを期待しております。頑張って下さい。