プルトニウムが検出されたことについて

○年齢    :41歳〜45歳

○性別    :女性

○職業    :その他の業種

○都道府県名 :富山県


○御質問の内容:

1:報道の説明では、原発周辺の土壌には「通常」のレベルとか。「通常レベル」であるなら、今まで原発周辺でのモニタリングで公開されてないのはなぜでしょうか?

2:「核実験の頃の...」という核種としては(例えば石川県では)ストロンチウムやセシウムの情報を公開していました。なのになぜ、プルトニウムについては公開されなかったのでしょうか?

3:福島の土壌から検出されたプルトニウム粒子は「重いものだから、遠くに飛散する事は無い。」...という説明がありましたが、そうであるなら「核実験のときのプルトニウム」が日本の土壌から検出されるのはなぜですか?

4:現在公開されている以上の核種が、通常の環境モニタリングでも検出されてるのではありませんか?

5:プルトニウムの238、239,240...が検出された様ですが、それぞれの量によって、福島原発からのものである確率にも言及されてます。どう言うことなのか、具体的に(子どもにも分かる様に)説明して下さい。

○回 答:

1.
 土壌を含む東京電力(株)福島第一原子力発電所周辺のモニタリングは、文部科学省により実施されており、現在は以下の原子力規制委員会のウェブサイトを通じて確認することができます。
http://www.nsr.go.jp/activity/monitoring/monitoring1.html

2.
 文部科学省は、環境放射能水準調査の中で、核爆発実験等に起因する放射性降下物(フォールアウト)に伴う土壌中プルトニウムの放射能濃度を把握することを目的とし、47都道府県における土壌試料のプルトニウム濃度を調査し、公表しています。詳細は以下のウェブサイトで確認することができます。
http://www.kankyo-hoshano.go.jp/08/08_0.html

3.
 地表あるいは空中で実施された核実験では、核爆発によって生じた火球は数千メートル上空までおよび、一部は成層圏にも達していたと考えられています。その際に環境中に放出された大量のプルトニウム等の物質は、ジェット気流などの気象的影響を受けながら次第に降下し、全世界に沈着したと考えられています。

 一方、東京電力(株)福島第一原子力発電所の事故では水素爆発が起きたと考えられていますが、これは放射性物質が成層圏まで吹き上げられるような大規模な爆発ではありません。そのため、プルトニウムが拡散する範囲は、核実験と比較すれば非常に狭い範囲にとどまっていると考えられます。

[参考]
プルトニウムの飛来範囲について(日本保健物理学会)
http://radi-info.com/q-220/

4.
 東京電力(株)福島第一原子力発電所事故により環境中に放出された放射性物質は、現在公開されているものだけではない可能性は考えられます。
 しかし、独立行政法人放射線医学総合研究所の「放射線の基礎知識」にあるとおり、「健康や環境影響上主に問題となるものは、ヨウ素131、セシウム134、セシウム137、ストロンチウム90の4種類です。その他にもさまざまな物質が放出されましたが、いずれもこの4種類に比べると半減期が短いか、放射能量が少ないことが分かっています。」ということから、これらの核種のモニタリングを続けています。

5.
 プルトニウムの核種分析の結果については、以下の「文部科学省による、プルトニウム238、239+240、241の核種分析の結果(第2次調査)について」を参照して下さい。
http://radioactivity.mext.go.jp/ja/contents/7000/6030/24/5600_0821.pdf