長計への提言

○職 業   :無職

○年 齢   :71歳〜75歳

○性 別   :男性

○御意見の内容:

世界を救う長計で国民の信頼も取り戻す

使用済み核燃料処理問題を、既定路線通りに収められたのは、ひとまず当面の大混乱を避けるためには止むを得なかったのかと理解致します。
全量再処理と埋設処分のコスト比較論争が、各々大きな仮定を設け数値化した上で結論付けられた事は、問題の難しさと重大さを喚起した点では大きな効果があったと言えましょう。

しかしながら「核燃料サイクル」の達成は人類存続の必要条件であり、単に60年間のコスト試算でその道を決めるような軽い問題ではありません。
新聞報道(日経)によれば、当面の決定に基づく余剰使用済み核燃料の処理は見通せず、2010年以降に議論すると無責任に先送りされております。これでは現原発の安全性・永続性を疑い、蓄積されるプルトニウムの禍を恐れる一般国民に安心を与え原発政策を支持してもらうことにはならず、原発従事者の士気を高めることも出来ません。

原子力専門家でなくても "「原発」革命(文春新書187)" および "溶融塩の応用-エネルギー・環境技術への展開-(アイピーシー)" を読めば、確たる原理的根拠を持ち、概念設計に基づく基本的検討も終わっている「トリウム熔融塩核エネルギー協働システム」に大きな期待を抱きます。2010年までには此の新システムの開発を完成させ、蓄積されるプルトニウムを有効に消滅させながら逐次現在の軽水炉を代替えし、60年後以降の巨大な出費と大事故、核テロの恐怖を除く事が可能でありましょう。

原発先進国の米・仏は次世代原発として軽水炉改良型を選び、新興中国は現形式の高速増殖炉を計画中と報じられました。世界の原発は、テロ攻撃・偶発戦争による核爆発の惨禍、技術力の限界を超える事故発生の危険と非経済性を抱えたまゝ盲進しております。この時期にこそ日本は原爆の犠牲を踏み台に、世界の平和共栄を願い「国際協調の下、地球環境を保持し、トリウムによる核燃料サイクルで世界のエネルギー供給を支える」新計画を発表し、世界を救う意気込みを示すべきであります。

現軽水炉路線が重大な困難に直面した今、その円滑な収拾を計りつゝ新らたな方向から「核燃料サイクル」の達成に向かう「トリウム熔融塩核エネルギー協働システム」の本格的開発に踏み切る事は、世界の原発をも主導すべき日本原子力委員会の責務であります。原子力長期計画は現メンバーの多数決で決めるべきものではありません。科学技術的見地からのあるべき姿を堂々と描かれんことを期待致します。