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第309号 原子力委員会メールマガジン


    @mieru(あっとみえる) 原子力委員会メールマガジン
             2021年2月19日号
   ☆★☆ めざせ! 信頼のプロフェッショナル!! ☆★☆

┏ 目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┣ 委員からひとこと
┣ 会議情報
┃  (2月2日) 
┃  ・令和2年度版原子力白書の特集に係るヒアリング(環境省)
┃  (2月9日) 
┃  ・国立研究開発法人日本原子力研究開発機構が達成すべき業務運営に関する目標
┃   (中長期目標)の変更について(諮問)(文部科学省)
┃  (2月16日) 
┃  ・国立研究開発法人日本原子力研究開発機構が達成すべき業務運営に関する目標
┃   (中長期目標)の変更について(答申)
┃  ・令和2年度版原子力白書の特集に係るヒアリング(立命館大学 開沼氏)
┣ 原子力関係行政情報
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━・・・━━ 委員からひとこと ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━・
東京電力福島第一原発事故の放射能汚染について(その6)
                                  中西 友子

福島第一原発事故により放射性物質がフォールアウトとして飛散した。そして9年以上経
過した現在、飛散した放射性核種の中では、半減期が長いことからセシウム-137が今でも
測定され、追跡されている。そして、その核種の環境中での動きが最も注目されることの
一つは、降雨や河川の水の動きとともに放射性セシウムがどう動くかどうかということで
ある。東大農学部では、農業工学や水文学を専門とする研究者が中心となり、それを追跡
しているので少し紹介したい(*1)。
通常は河川を流れる水の放射性セシウム濃度は検出できない場合も多々あるが、検出され
ても1 Bq/Lより上回ることはまずない。この値は、日本の飲料水中の放射性セシウム濃度
基準値10 Bq/kg(*2)よりはるかに低い値であり、しかも付け加えると、米国の飲料水
規制値は1200 Bq/kgである。しかし、大雨が降った際に森林から流れ出てくる河川の水を
調べると、放射性セシウム濃度が2 Bq/L近くに上昇することがある。これは、雨量が多く
なり始めた最初の数時間のことであり、すぐに1 Bq/Lより下の数値となる。その理由は、
雨が降りだした当初は雨水がすぐに河川に行き流れるものの、次第に森林がすでに土壌中
に貯水していた水が上から降ってくる雨水によって押し出されて河川へと流れ、川の水を
薄めるので放射性セシウム濃度が低くなると考えられる。

このごく少量の放射性セシウムがどこからどのように流出するかについて詳しい調査が
行われた。まず、川底の土壌に含まれる放射性セシウムであるが、まず、事故当初に
フォールアウトとして河川の表面に降ってきて沈んだものがあり、もし川底にそれ以上
上流から放射性セシウムが流れてこない場合にはこの値が最大値となるはずである。
しかし、調べてみると川底の放射性セシウム濃度はそれよりもずっと低い値であった。
川底の土壌表面は川の水の流れによっていつも流れていたのである。そして川岸も含めて
調べていくと、川の流れが速いところでは川底の土壌はより削られて放射性セシウム濃度
が低くなり、川が蛇行したところでは流れが遅くなった側の川岸の放射性セシウム濃度が
高くなった。また、急な川が緩やかになったとき、例えば河口付近では川岸に多数の土砂
が運ばれることもあり、放射性セシウム濃度は高くなった。

そして、川の水についても調べられたが、川の水に溶けている(溶存態)セシウムは
ほとんど検出されなかった。放射性セシウムは、水には溶けずに土壌の細かい粒子に
くっついて(懸濁態)その粒子と一緒に動いていたことが分かった。川の水は雨が降り
出した時には土壌を巻き上げ濁ってくるものの、次第に透明になっていくことからも、
どのように放射性セシウムが土壌と一緒に巻き上げられ動いているのかが想像できる
だろう。このように土壌粒子に放射性セシウムがくっついているということは、水をろ過
すれば放射性セシウムを除去できることを意味する。もみ殻を用意して川の水を通すと
放射性セシウムを除去できることを実証した人もいた。

福島県の河川を調べた結果では、流れる水に含まれる放射性セシウムのほとんどが懸濁態
であることが分かった。もしも溶存態、つまりイオンとして放射性セシウムが川の水に
溶解していたら、それを吸収する藻やプランクトン、さらにそれを食する魚、魚を食する
鳥や動物などが蓄積する放射性セシウム量は、実際のフォールアウトによる蓄積量よりも
さらに多くなっただろう。

調べてみると、これらの生物にもごく微量の放射性セシウムは蓄積されている。そこで、
次の問題は、特定の生物に放射性セシウムが濃縮されるかどうかである。環境中の生き物
を測定すれば放射性セシウムは検出される。ただ、単に検出されることが問題ではなく、
食物連鎖を考えた際、ある特定の生物に放射性セシウムが多くなるかどうかが生物影響を
調べる際に大切なことになる。
食物連鎖を考える際、天然の窒素の同位体比の測定値が役に立つ。N-15とN-14 の比が
1/1000 オーダーであるが、食物連鎖の階段を一つ上がるにつれて一定値ずつ増加する
のである。これはメルマガの178号で紹介したことを参考にしてほしい。そのため、まず、
窒素同位体を測定して食物連鎖を確かめて、各食物連鎖段階の生物中の放射性セシウム
濃度を測定する。そして、その濃度が同じ食物連鎖段階にある他の生物と比べて高い場合
には、その生物が特に放射性セシウムを蓄積するという性質を持つと考えられるのである。
これらの測定結果から、ばらつきがかなりあるものの、特定の生物が放射性セシウムを
蓄積していることは無いと判断された。

次はため池に流れ込む放射性セシウムについての調査結果を紹介したい。

*1 「放射能の農畜水産物等への影響についての研究報告会(第1回~第15回)」
東京大学大学院農学生命科学研究科・農学部, ”復興支援プロジェクト”
HP(https://www.a.u-tokyo.ac.jp/rpjt/)参照

*2 基準値と規制値はBq/kgであるが、測定値はBq/LであったのでkgがLにほぼ近い
として記述した。

・━━ 会議情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━・

●原子力委員会の会議を傍聴にいらっしゃいませんか。会議は霞ヶ関周辺で開催して
おり、どなたでも傍聴できます。開催案内や配布資料は、
すべて原子力委員会ウェブサイト(以下URL)で御覧いただけます。
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/index.htm

●2月2日(火)の会議の議題は以下の通りです。

【議題1】令和2年度版原子力白書の特集に係るヒアリング(環境省)

<主なやりとり等>
令和2年度版原子力白書の特集に係るヒアリングについて、環境省よりご説明をいただき、
その後、委員との間で質疑を行った。

●2月9日(火)の会議の議題は以下の通りです。

【議題1】国立研究開発法人日本原子力研究開発機構が達成すべき業務運営に関する
目標(中長期目標)の変更について(諮問)(文部科学省)

<主なやりとり等>
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構が達成すべき業務運営に関する目標
(中長期目標)の変更について、文部科学省より説明を行い、その後、委員との間で
質疑を行った。

●2月16日(火)の会議の議題は以下の通りです。

【議題1】国立研究開発法人日本原子力研究開発機構が達成すべき業務運営に関する
目標(中長期目標)の変更について(答申)

<主なやりとり等>
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構が達成すべき業務運営に関する目標
(中長期目標)の変更の答申案について、事務局より説明を行った。
その後、委員との間で質疑を行い、案の通り答申することとなった。

【議題2】令和2年度版原子力白書の特集に係るヒアリング(立命館大学 開沼氏)

<主なやりとり等>
令和2年度版原子力白書の特集に係るヒアリングについて、立命館大学開沼氏より
ご説明をいただき、その後、委員との間で質疑を行った。


●次回の委員会開催については、以下の開催案内から御確認ください。
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/topic/kaisai.htm

━・・・━━ 原子力関係行政情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━・

原子力関係の他の行政における委員会等のリンク情報は以下のとおりです。

※URLが改行されてリンクが認識されない場合
URLはクリックせず、文字列全体をURL欄に Copy & Paste してください。

■首相官邸
┗原子力防災会議
(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/genshiryoku_bousai/)
┗原子力災害対策本部会議
(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/genshiryoku/)
┗原子力立地会議
(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/index/gensiryoku/)

■内閣官房
┗原子力関係閣僚会議
(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/genshiryoku_kakuryo_kaigi/)
┗最終処分関係閣僚会議
(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/saisyu_syobun_kaigi/)
┗原子力損害賠償制度の見直しに関する副大臣等会議
(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/genshiryoku_songaibaisho/index.html)
┗「もんじゅ」廃止措置推進チーム
(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/monju/index.html)


■経済産業省
┣高速炉開発会議
(http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/energy_environment.html)
┣エネルギー情勢懇談会
┣高速炉開発会議戦略ワーキンググループ
(http://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/kosokuro_kaihatsu/kosokuro_kaihatsu_wg/index.html)

■資源エネルギー庁
┣総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会
(http://www.meti.go.jp/committee/gizi_8/21.html)
┗原子力小委員会
(http://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/genshiryoku/index.html)
┣自主的安全性向上・技術・人材WG
┣放射性廃棄物WG
┣地層処分技術WG
┗原子力事業環境整備検討専門WG
┗電力基本政策小委員会
┣総合資源エネルギー調査会基本政策分科会
(http://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/)
┣長期エネルギー需給見通し小委員会
┣発電コスト検証WG
┗電力需給検証小委員会
(http://www.meti.go.jp/committee/gizi_8/18.html#denryoku_jukyu)
┗電力システム改革貫徹のための政策小委員会
(http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/kihonseisaku/denryoku_system_kaikaku/001_haifu.html)
┗エネルギー情勢懇談会
(http://www.enecho.meti.go.jp/committee/studygroup/#ene_situation)
┗使用済燃料対策推進会議
(http://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/shiyozumi_nenryo/index.html)

■原子力規制委員会
(https://www.nsr.go.jp/)
┗原子力規制委員会
(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/kisei/index.html)
┣原子炉安全専門審査会・核燃料安全専門審査会
(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/roanshin_kakunen/index.html)
┣放射線審議会
(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/houshasen/index.html)
┣国立研究開発法人審議会
(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/nrda/nrda/index.html)
┣量子科学技術研究開発機構部会
(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/nrda/nirs/index.html)
┣日本原子力研究開発機構部会
(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/nrda/jaea/index.html)
┣原子力規制委員会政策評価懇談会
(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/yuushikisya/seihyou_kondan/index.html)
┗原子力規制委員会行政事業レビューに係る外部有識者会合・公開プロセス
(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/yuushikisya/gyousei_gaibu/index.html)
┗原子炉安全専門審査会 原子炉火山部会
(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/roanshin_kazan/00000002.html)

■文部科学省
┗原子力科学技術委員会
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/055/index.htm)
┣原子力人材育成作業部会
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/079/index.htm)
┣原子力研究開発・基盤・人材作業部会
(https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/099/index.htm)
┣核融合研究作業部会
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/056/index.htm)
┣核不拡散・核セキュリティ作業部会
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/076/index.htm)
┣原子力バックエンド作業部会
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/099/index.htm)
┗核融合科学技術委員会
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/074/index.htm)
┗原型炉開発総合戦略タスクフォース
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/078/index.htm)
┗調査研究協力者会議等(研究開発)
┗「もんじゅ」廃止措置評価専門家会合
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/kaihatu/022/index.htm)

■復興庁
┣福島12市町村の将来像に関する有識者検討会
(http://www.reconstruction.go.jp/topics/main-cat1/sub-cat1-4/20141226184251.html)
┗原子力災害からの福島復興再生協議会
(http://www.reconstruction.go.jp/topics/000818.html)

■環境省
┗東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関す る専門家会議
(https://www.env.go.jp/chemi/rhm/conf/conf01.html)

■厚生労働省
┗薬事・食品衛生審議会(食品衛生分科会放射性物質対策部会)
(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-yakuji.html?tid=127896)


●次号配信は、2021年3月12日(金)午後の予定です。
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発行者:内閣府原子力政策担当室(原子力委員会事務局)
原子力委員会:上坂 充委員長、佐野 利男委員、中西 友子委員
○メルマガへの御意見・御感想はこちらへ(お寄せいただいた御意見に対しては、
原則として回答致しませんが、今後の原子力委員会の業務の参考とさせていただきます。)
https://form.cao.go.jp/aec/opinion-0017.html
○配信希望、アドレス変更、配信停止などはこちらへ
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/melmaga/index.htm
○原子力委員会ホームページ  http://www.aec.go.jp/
○このメールアドレスは発信専用のため、御返信いただけません。
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