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第303号 原子力委員会メールマガジン

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ No.303━━━━━
    @mieru(あっとみえる) 原子力委員会メールマガジン
             2020年11月6日号
   ☆★☆ めざせ! 信頼のプロフェッショナル!! ☆★☆

┏ 目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┣ 委員からひとこと
┣ 会議情報
┃  (10月27日) 
┃  ・関西電力株式会社高浜発電所1~4号炉の発電用原子炉の設置変更許可について
┃   (諮問)(原子力規制庁)
┃  (11月4日) 
┃  ・関西電力株式会社高浜発電所1~4号炉の発電用原子炉の設置変更許可について
┃   (答申)
┣ 原子力関係行政情報
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━・・・━━ 委員からひとこと ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━・
令和元年度版原子力白書
          				岡 芳明

令和元年度版原子力白書は、9月1日に閣議配布され公開された。年度版として作成して
おり、今回の白書はおおむね令和2年3月末までの情報に基づいて記述している。

白書は特集と8つの章と資料編で構成されている。1章以下は「原子力利用に関する基本的
考え方」と同じ章の構成を採用し、そのフォローアップの役割も担っている。

特集では、原子力人材育成を取り上げた。定例会で意見を伺った国内外の大学の原子力
教育の記述に加えて、米英仏中の人材育成・基盤維持強化の取組を記載している。我が国
の国立大学の原子力教育の特徴が表にまとめられている。

米国大学では教育評価の基準が、何を教えるかから、どのような人材を育てるかに、
かなり以前に変更されている。具体例として、カリフォルニア大学バークレー校原子力
工学科の、卒業生が持つべき9項目の能力と科目との対応が図で説明されている。

日本では研究炉を運転中の大学は京都大学と近畿大学だけになってしまったが、米国では
22の大学が研究炉を運転中であり、表にまとめられている。

欧州では従来から、原子力工学科としてまとまって原子力教育を行っている大学は少ない。
英国の大学に設置された原子力学コースや、フランスの原子力職業教育等の取組を紹介
している。

中国では2020年3月時点で47基の原子力発電所が運転中、12基が建設中である。その人材
育成の取組が、放射線利用、原子力発電所の運転、安全規制などの分野において説明され
ている。電力会社である中国広核電力の人材育成についても記述されている。なお、白書
には記載されていないが、中国では2000年代に原子力発電が急拡大し、それに伴って、
多くの大学に原子力関係の学科が開設されている。

まとめとして、我が国における今後の大学教育と原子力人材育成について、原子力教育の
改善に向けた取組、原子力関係の研究・教育の国際的なプレゼンスの向上、大学における
原子力教育の維持、大学外での人材育成、原子力分野の魅力の発信を述べている。

第1章は「福島の着実な復興・再生と教訓を真摯に受け止めた不断の安全性向上」について
記述している。福島復興・再生関係では、避難指示区域の変遷、年間積算線量の推移、
農林水産物の放射性セシウム検査結果、除染の進捗状況、廃棄物の管理型処分場、除染
土壌再生利用実証事業の概要、福島イノベーション・コースト構想関連プロジェクト、
復興情報ポータルサイトが図を用いて説明されている。

安全性向上関係では、コラムで、東北電力女川原子力発電所の安全性向上対策、OECD/NEA
(経済協力開発機構原子力機関)による過酷事故研究の取組、米国INPO(原子力発電運転
協会)の取組と自律的な安全確保を支える5つの考え方、米国検査制度の変遷、
バックフィット規制におけるコストベネフィットの考え方を紹介している。

日本では規制の改善だけが語られることが多いが、米国では電力会社の自律的安全性向上
活動による総発電電力量増大と事故・故障率低減が1990年頃から効果を上げており、
1995年頃から行われた規制の改善より先行している。

コストベネフィットの考え方は、原子力に限らず、米国や英国では効率的な行政の基本に
ある考え方である。日本ではコストの話が偏って語られる場合があるので、コストでは
なく“合理的“という用語の方が良いかもしれない。

米国の会計検査院(Government Accountability Office:GAO)の原子力関係の報告書を
調査していて気がついたが、GAOは戦略プランを4年ごとに公表し、自らの仕事を規定し
目標と戦略を説明している。年次のパフォーマンスとアカウンタビリティに関する報告書
も作成し、公開する。米国原子力規制委員会(NRC)も戦略プラン等を約5年毎に作成し公開
している。これらの報告書が、NRCと原子力安全に対する国民の信頼獲得に役立っている
ことは、以前に述べた。

米国では独立な行政機関に対しては、それを更に監督する独立機関を設けるのではなく、
戦略プラン等を作成させ、公開させて、その活動を国民や議会が監視する仕組みになって
いるのは興味深い。

第2章は「地球温暖化問題や国民生活・経済への影響を踏まえた原子力のエネルギー利用
の在り方」として、我が国の原子力発電の状況と国内外の原子力のエネルギー利用を取り
巻く環境変化への対応が述べられている。

コラムとして、OECD/NEAの低炭素電源としての原子力の必要性の報告書、温室効果ガス
削減に向けて、原子力発電所の雇用効果、米国における原子力発電の経済性の維持
(事業者の80年運転に向けた取組、州政府による原子力発電に対する支援策)、米国と
フランスにおける使用済燃料の貯蔵、米国の使用済燃料の乾式貯蔵が紹介されている。

原子力発電所は雇用効果のある水力発電所のようなものだと最近気がついた。水力発電所
は新規建設には巨額の投資が必要だが、一度作られると長期間にわたって安価で安定に
電力を供給する。ダム本体の維持のみならず、発電機などの保守や交換は必要である。
米国やフランスでは原子力発電所は40年、50年前につくられたものが多い。適宜、機器の
交換を行うなど、保守しつつ、使われている。発電コスト(電力生産コスト)は安価である。

新規投資のための発電コストは投資回収期間を設定しないと計算できない。新規投資の
発電コストでは、安価で安定な電力供給を長期間にわたって果たせる原子力発電や
水力発電の価値は表せない。

第3章は「国際潮流を踏まえた国内外での取組」で、国際的な原子力の利用と産業の動向
と、輸出管理や国際協力の取組が紹介されている。

コラムでは、世界原子力協会のグリーンエネルギーシステムにおける原子力の必要性を
述べた「沈黙の巨人」と題した報告書、米国における80年運転に向けた2度目の運転認可
更新、原子力発電所の新規建設における製造・建設経験の重要性、海外市場も念頭に
置いた開発と国内利用と題して、諸外国が開発した原子炉と輸出実績、国際原子力機関
総会が紹介されている。

フィンランド、米国、フランスの原子力発電所の新規建設では、新規建設が長年なく、
建設や機器製造の経験が失われていたことなどにより、建設期間が長期化し、建設費用が
大幅に上昇した。技術や経験の継承が重要であるとの教訓が紹介されている。

第4章は「平和利用と核不拡散・核セキュリティの確保」で、平和利用の担保として、
国際原子力機関による保障措置、我が国のプルトニウム利用の基本的考え方と分離
プルトニウム管理状況が、続いて、核セキュリティ、核不拡散体制の維持・強化が述べ
られている。

第5章は「原子力利用の前提となる国民からの信頼回復」で、科学的に正確な情報や
客観的な事実(根拠)に基づく情報体系の整備、コミュニケーション活動の強化、
原子力関係機関における取組、立地地域との共生について述べている。

コラムでは、英国政府による政策情報の提供、公衆対話、フランスと英国における地層
処分事業における国民への説明が紹介されている。

第6章は「廃止措置及び放射性廃棄物への対応」で、東京電力福島第一原子力発電所の
廃止措置、原子力発電所及び研究開発機関や大学における研究開発施設等の廃止措置、
放射性廃棄物処分の着実な実施について述べている。高レベル放射性廃棄物の保管量、
最終処分に向けた取組、研究開発について紹介され、科学的特性マップが示されている。

コラムでは、東電福島第一原発の多核種除去設備等処理水の取扱いに関する検討、諸外国
における原子力施設の廃止措置の基本方針、諸外国における原子力施設の廃止措置事例、
英国の地層処分場立地プロセスにおける信頼構築、フィンランドにおける放射性廃棄物
管理、諸外国における放射性廃棄物の分類と管理方法、処分方法が紹介されている。

第7章は「放射線・放射性同位元素の利用の展開」で、まず放射線利用に関する基本的
考え方と概要が述べられ、コラムで、国内における短寿命核種の製造、米国エネルギー省
の加速器開発戦略、放射線利用の経済規模、非破壊検査装置・計測装置・分析装置の利用、
小型加速器の利用、米国エネルギー省高エネルギー物理学部門における放射線利用戦略が
紹介されている。

量子ビームを利用した先端研究および先進医療では、我が国における主な量子ビーム施設
が紹介され、中性子線ビームの利用、放射光の利用について述べられている。コラムでは
日本中性子学会の取組、官民地域パートナーシップによる次世代放射光施設の推進、放射
化学、基礎的知見に基づく天然鉱物・微生物を利用した放射性核種除去法の開発が紹介
されている。さらに、放射線利用環境の整備と放射線利用分野の人材育成について述べ
られている。

第8章は「原子力利用の基盤強化」で、研究開発の方針並びに関係組織の連携や研究開発
機関の機能の変革、基礎基盤の強化とイノベーションの推進、人材の確保及び育成に
ついて述べられている。

コラムでは、米国の研究開発支援の取組、NUGENIAの研究開発テーマ、米国エネルギー省
における軽水炉持続プログラム、米国電力研究所の原子力研究領域を紹介している。

資料編では、我が国の原子力行政体制、原子力委員会、原子力委員会決定等、我が国の
原子力発電及びそれを取り巻く状況、世界の原子力の基本政策と原子力発電の状況、
放射線被ばくの早見図が紹介されている。

原子力委員会のHPには、原子力白書を、概要とともに、検索性を考慮して、本文のPDFを
章節ごとに分けて掲載している。原子力白書が活用され、原子力利用の理解に役立つこと
を期待する。

・━━ 会議情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━・

●原子力委員会の会議を傍聴にいらっしゃいませんか。会議は霞ヶ関周辺で開催しており、
どなたでも傍聴できます。開催案内や配布資料は、すべて原子力委員会ウェブサイト
(以下URL)で御覧いただけます。
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/index.htm

●10月27日(火)の会議の議題は以下の通りです。

【議題1】関西電力株式会社高浜発電所1~4号炉の発電用原子炉の設置変更許可について
(諮問)(原子力規制庁)

<主なやりとり等>
関西電力株式会社高浜発電所1~4号炉の発電用原子炉の設置変更許可について原子力
規制庁よりご説明いただき、その後、委員との間で質疑を行った。


●11月4日(水)の会議の議題は以下の通りです。

【議題1】関西電力株式会社高浜発電所1~4号炉の発電用原子炉の設置変更許可について
(答申)

<主なやりとり等>
関西電力株式会社高浜発電所1~4号炉の発電用原子炉の設置変更許可について事務局より
説明を行った。その後、委員との間で質疑を行い案の通り答申することとなった。

●次回の委員会開催については、以下の開催案内から御確認ください。
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/topic/kaisai.htm

━・・・━━ 原子力関係行政情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━・

原子力関係の他の行政における委員会等のリンク情報は以下のとおりです。

※URLが改行されてリンクが認識されない場合
URLはクリックせず、文字列全体をURL欄に Copy & Paste してください。

■首相官邸
┗原子力防災会議
(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/genshiryoku_bousai/)
┗原子力災害対策本部会議
(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/genshiryoku/)
┗原子力立地会議
(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/index/gensiryoku/)

■内閣官房
┗原子力関係閣僚会議
(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/genshiryoku_kakuryo_kaigi/)
┗最終処分関係閣僚会議
(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/saisyu_syobun_kaigi/)
┗原子力損害賠償制度の見直しに関する副大臣等会議
(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/genshiryoku_songaibaisho/index.html)
┗「もんじゅ」廃止措置推進チーム
(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/monju/index.html)


■経済産業省
┣高速炉開発会議
(http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/energy_environment.html)
┣エネルギー情勢懇談会
┣高速炉開発会議戦略ワーキンググループ
(http://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/kosokuro_kaihatsu/kosokuro_kaihatsu_wg/index.html)

■資源エネルギー庁
┣総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会
(http://www.meti.go.jp/committee/gizi_8/21.html)
┗原子力小委員会
(http://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/genshiryoku/index.html)
┣自主的安全性向上・技術・人材WG
┣放射性廃棄物WG
┣地層処分技術WG
┗原子力事業環境整備検討専門WG
┗電力基本政策小委員会
┣総合資源エネルギー調査会基本政策分科会
(http://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/)
┣長期エネルギー需給見通し小委員会
┣発電コスト検証WG
┗電力需給検証小委員会
(http://www.meti.go.jp/committee/gizi_8/18.html#denryoku_jukyu)
┗電力システム改革貫徹のための政策小委員会
(http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/kihonseisaku/denryoku_system_kaikaku/001_haifu.html)
┗エネルギー情勢懇談会
(http://www.enecho.meti.go.jp/committee/studygroup/#ene_situation)
┗使用済燃料対策推進会議
(http://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/shiyozumi_nenryo/index.html)

■原子力規制委員会
(https://www.nsr.go.jp/)
┗原子力規制委員会
(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/kisei/index.html)
┣原子炉安全専門審査会・核燃料安全専門審査会
(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/roanshin_kakunen/index.html)
┣放射線審議会
(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/houshasen/index.html)
┣国立研究開発法人審議会
(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/nrda/nrda/index.html)
┣量子科学技術研究開発機構部会
(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/nrda/nirs/index.html)
┣日本原子力研究開発機構部会
(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/nrda/jaea/index.html)
┣原子力規制委員会政策評価懇談会
(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/yuushikisya/seihyou_kondan/index.html)
┗原子力規制委員会行政事業レビューに係る外部有識者会合・公開プロセス
(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/yuushikisya/gyousei_gaibu/index.html)
┗原子炉安全専門審査会 原子炉火山部会
(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/roanshin_kazan/00000002.html)

■文部科学省
┗原子力科学技術委員会
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/055/index.htm)
┣原子力人材育成作業部会
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/079/index.htm)
┣原子力研究開発・基盤・人材作業部会
(https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/099/index.htm)
┣核融合研究作業部会
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/056/index.htm)
┣核不拡散・核セキュリティ作業部会
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/076/index.htm)
┣原子力バックエンド作業部会
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/099/index.htm)
┗核融合科学技術委員会
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/074/index.htm)
┗原型炉開発総合戦略タスクフォース
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/078/index.htm)
┗調査研究協力者会議等(研究開発)
┗「もんじゅ」廃止措置評価専門家会合
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/kaihatu/022/index.htm)

■復興庁
┣福島12市町村の将来像に関する有識者検討会
(http://www.reconstruction.go.jp/topics/main-cat1/sub-cat1-4/20141226184251.html)
┗原子力災害からの福島復興再生協議会
(http://www.reconstruction.go.jp/topics/000818.html)

■環境省
┗東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議
(https://www.env.go.jp/chemi/rhm/conf/conf01.html)

■厚生労働省
┗薬事・食品衛生審議会(食品衛生分科会放射性物質対策部会)
(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-yakuji.html?tid=127896)


●次号配信は、2020年11月20日(金)午後の予定です。
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発行者:内閣府原子力政策担当室(原子力委員会事務局)
原子力委員会:岡 芳明委員長、佐野 利男委員、中西 友子委員
○メルマガへの御意見・御感想はこちらへ(お寄せいただいた御意見に対しては、
原則として回答致しませんが、今後の原子力委員会の業務の参考とさせていただきます。)
https://form.cao.go.jp/aec/opinion-0017.html
○配信希望、アドレス変更、配信停止などはこちらへ
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/melmaga/index.htm
○原子力委員会ホームページ  http://www.aec.go.jp/
○このメールアドレスは発信専用のため、御返信いただけません。
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