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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ No.293 ━━━━━ @mieru(あっとみえる) 原子力委員会メールマガジン 2020年5月22日号 ☆★☆ めざせ! 信頼のプロフェッショナル!! ☆★☆ ┏ 目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ┣ 委員からひとこと ┣ 原子力関係行政情報 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━・・・━━ 委員からひとこと ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━・ 生きた植物の科学について 中西 友子 生物の挙動には、現代の科学では解明ができない不思議なことが多い。植物について 考えてみると、寺田寅彦は、植物の不思議さについて多くのエッセイを残しているが、 そのひとつに藤の実の話がある。藤の実がある時期に一斉にはじけて種子を飛ばす現象 があるが、そのときの初速度を計算したら、少なくとも毎秒10 m以上なければ勘定が 合わないと判り、どうして枯れかけた藤の実にそれだけの力があるのか、何故一度期に 実がはじけるのか不思議だという話である。しかし、現代ではこのような研究を行って いる研究者はほとんど見当たらない。私たちの日常生活もまた着目される研究に ついても、マクロな自然から離れてしまっている感がある。もっと私たちは生の自然の 仕組みを知ろうとする学問を発達させてもいいのではないだろうか。 今まで私は大学において水と元素を中心に放射線やラジオアイソトープ(RI)による イメージングや計測を行ってきた。そしてこれらの技術で植物個体を対象にまず、 見つめることから始めたいと思ったのである。どう考えても植物の活動はわからない ことばかりである。まず、植物はどう育っていくのかということであるが、これは 新潟大学農学部におられた故廣田秀憲先生の所で植物の生育の16oカメラ映像を見た 際の感動から始まった。何とヒヤシンスの球根から生えてくる根は、コマ落としで 見るとまるで虫が水の中を動くように、根先だけクルクル回って伸びていくのである。 後にわかったことであるが、これは、水耕液に空気を送らなければならないため、 ブレが出ずに綺麗な画像となるよう、撮影にはとても苦労されて得られた映像だった。 それだけではない。土の上に根が生える方向をわざと上にして種子を置き、近くに沢山 の穴をあけるとまるで生えてきた根の先に目があるように一番近い穴に弧を描いて 入っていく。 これらの印象的な画像に刺激を受けて根の撮影を試みたことがある。 NHK放送技術研究所で長年開発されてきた完全な暗闇でも撮影可能なHARPカメラを 借りて根の動きを撮影すると、イネの根端は50分のサイクルで伸長時にはクルクル 回っていた。根は水のある場所へも向かっていく。では根は水をどのように吸収して いるのだろうか。こんなことから、研究はO-15で標識した水を使った植物の水吸収動態 についての定量解析へと進み、何と動かない植物体内のダイナミックな水循環の計測 につながったり、RIを用いた元素の吸収動態のイメージング装置開発などへと広がって いった。特にRIのライブイメージングでは、C-14で標識した炭酸ガスは、固定される 植物組織によって光合成産物の移動経路を変化させることなど、放射線やRIの利用 ならではの、これまで知られていなかったことがわかってきた。これらの研究を通して 改めて、「生き物の学問」とは何かという問題について考えさせられた。 植物の根を例にとると、いくら同じ条件下で育成しても2度と同じ形の根は形成されない。 つまり、根の生育に関しては再現性がないのである。 科学的と言われる客観的な手法では、仮説をたて、再現性を確かめながら 化学的・物理的手法で仮説の正しさを証明する。しかしその手法は生物には簡単には 当てはめられないことが多い。あえて言うならば、自然は私たちがこれまで培ってきた 科学体系では説明が困難な法則性(?)を持っているといえるのである。 最後に寺田寅彦が語っている言葉を紹介したい。 “我々のあらゆる学問は人間にして始めて可能な貴重な特有な学問であると同時に、 また結局は人間の学問に過ぎなくて、神や天使の学問でない事を念頭に置いて かからねばならない” 寺田寅彦 ━・・・━━ 原子力関係行政情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━・ 原子力関係の他の行政における委員会等のリンク情報は以下のとおりです。 直近で開催された委員会等がある場合には、【New】マークを付けております。 ※URLが改行されてリンクが認識されない場合 URLはクリックせず、文字列全体をURL欄に Copy & Paste してください。 ■首相官邸 ┗原子力防災会議 (http://www.kantei.go.jp/jp/singi/genshiryoku_bousai/) ┗原子力災害対策本部会議 (http://www.kantei.go.jp/jp/singi/genshiryoku/) ┗原子力立地会議 (http://www.kantei.go.jp/jp/singi/index/gensiryoku/) ■内閣官房 ┗原子力関係閣僚会議 (http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/genshiryoku_kakuryo_kaigi/) ┗最終処分関係閣僚会議 (http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/saisyu_syobun_kaigi/) ┗原子力損害賠償制度の見直しに関する副大臣等会議 (http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/genshiryoku_songaibaisho/index.html) ┗「もんじゅ」廃止措置推進チーム (https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/monju/index.html) ■経済産業省 ┣高速炉開発会議 (http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/energy_environment.html) ┣エネルギー情勢懇談会 ┣高速炉開発会議戦略ワーキンググループ (http://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/kosokuro_kaihatsu/kosokuro_kaihatsu_wg/index.html) ■資源エネルギー庁 ┣総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会 (http://www.meti.go.jp/committee/gizi_8/21.html) ┗原子力小委員会 (http://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/genshiryoku/index.html) ┣自主的安全性向上・技術・人材WG ┣放射性廃棄物WG ┣地層処分技術WG ┗原子力事業環境整備検討専門WG ┗電力基本政策小委員会 ┣総合資源エネルギー調査会基本政策分科会 (http://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/) ┣長期エネルギー需給見通し小委員会 ┣発電コスト検証WG ┗電力需給検証小委員会 (http://www.meti.go.jp/committee/gizi_8/18.html#denryoku_jukyu) ┗電力システム改革貫徹のための政策小委員会 (http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/kihonseisaku/denryoku_system_kaikaku/001_haifu.html) ┗エネルギー情勢懇談会 (http://www.enecho.meti.go.jp/committee/studygroup/#ene_situation) ┗使用済燃料対策推進会議 (http://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/shiyozumi_nenryo/index.html) ■原子力規制委員会 (https://www.nsr.go.jp/) ┗◆【New】原子力規制委員会 (https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/kisei/index.html) ┣原子炉安全専門審査会・核燃料安全専門審査会 (https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/roanshin_kakunen/index.html) ┣放射線審議会 (https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/houshasen/index.html) ┣国立研究開発法人審議会 (https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/nrda/nrda/index.html) ┣量子科学技術研究開発機構部会 (https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/nrda/nirs/index.html) ┣日本原子力研究開発機構部会 (https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/nrda/jaea/index.html) ┣原子力規制委員会政策評価懇談会 (https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/yuushikisya/seihyou_kondan/index.html) ┗◆【New】原子力規制委員会行政事業レビューに係る外部有識者会合・公開プロセス (https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/yuushikisya/gyousei_gaibu/index.html) ┗原子炉安全専門審査会 原子炉火山部会 (https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/roanshin_kazan/00000002.html) ■文部科学省 ┗原子力科学技術委員会 (http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/055/index.htm) ┣原子力人材育成作業部会 (http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/079/index.htm) ┣◆【New】原子力研究開発・基盤・人材作業部会 (https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/099/index.htm) ┣核融合研究作業部会 (http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/056/index.htm) ┣核不拡散・核セキュリティ作業部会 (http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/076/index.htm) ┣原子力バックエンド作業部会 (http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/099/index.htm) ┗核融合科学技術委員会 (http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/074/index.htm) ┗原型炉開発総合戦略タスクフォース (http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/078/index.htm) ┗調査研究協力者会議等(研究開発) ┗「もんじゅ」廃止措置評価専門家会合 (http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/kaihatu/022/index.htm) ■復興庁 ┣福島12市町村の将来像に関する有識者検討会 (http://www.reconstruction.go.jp/topics/main-cat1/sub-cat1-4/20141226184251.html) ┗原子力災害からの福島復興再生協議会 (http://www.reconstruction.go.jp/topics/000818.html) ■環境省 ┗東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関す る専門家会議 (https://www.env.go.jp/chemi/rhm/conf/conf01.html) ■厚生労働省 ┗薬事・食品衛生審議会(食品衛生分科会放射性物質対策部会) (http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-yakuji.html?tid=127896) ●次号配信は、2020年6月12日(金)午後の予定です。 ====================================================================== 発行者:内閣府原子力政策担当室(原子力委員会事務局) 原子力委員会:岡 芳明委員長、佐野 利男委員、中西 友子委員 ○メルマガへの御意見・御感想はこちらへ(お寄せいただいた御意見に対しては、 原則として回答致しませんが、今後の原子力委員会の業務の参考とさせていただきます。) https://form.cao.go.jp/aec/opinion-0017.html ○配信希望、アドレス変更、配信停止などはこちらへ http://www.aec.go.jp/jicst/NC/melmaga/index.htm ○原子力委員会ホームページ http://www.aec.go.jp/ ○このメールアドレスは発信専用のため、御返信いただけません。 ======================================================================