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第284号 原子力委員会メールマガジン

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ No.284 ━━━━━
    @mieru(あっとみえる) 原子力委員会メールマガジン
             2020年1月10日号
   ☆★☆ めざせ! 信頼のプロフェッショナル!! ☆★☆

┏ 目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┣委員からひとこと
┣ 会議情報
┃  (12月24日) 
┃  ・関西電力株式会社高浜発電所1号炉、2号炉、3号炉及び4号炉、美
┃   浜発電所3号炉、大飯発電所3号炉及び4号炉、四国電力株式会社伊
┃   方発電所3号炉、九州電力株式会社川内原子力発電所1号炉及び2号
┃   炉並びに玄海原子力発電所3号炉及び4号炉の発電用原子炉設置変更
┃   許可(発電用原子炉施設の変更)について(諮問)(原子力規制庁)
┃  ・原子力分野の大学教育についてB(北海道大学 小崎氏、九州大学 出
┃   光氏、東京大学 笠原氏)
┃  ・第20回原子力協力フォーラム(FNCA)大臣級会合の結果概要に
┃   ついて
┃  ・中西原子力委員会委員の海外出張報告
┣ 原子力関係行政情報
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━・・・━━ 委員からひとこと ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━・
日仏セミナー「事故後の汚染された土壌と地域の回復」について
                                                    中西 友子

2019年12月16日・17日、「デメテール(Demeterres)プロジェクト*」の報告会として、
「事故後の汚染された土壌と地域の回復」についての日仏セミナーがフランスで行われ
た。このセミナーの内容について述べてみたい。

フランスの原子力・代替エネルギー庁(CEA)では、福島第一原子力発電所事故後、土
壌回復や排水処理が困難なことが判ってきたことから、農業回復や産業発展のために、
専門家を集め技術開発を行うことを目的とし、政策に携わる人たちも含めた、「デメテ
ールプロジェクト」を2013年に立ち上げた。このプロジェクトは、現在CEAで行われて
いる4つの主要プロジェクトの一つであり、CEA内の研究所では、植物の基礎・応用を
行っているところやタンパク質金属相互作用を行っている3か所が関係している。
2013年から当初は5年計画で、1,900万ユーロのプロジェクトとして始まり、現在は2期目
に入り、2024年まで継続される。このプロジェクトは、「未来への投資」として2010年
から開始されているフランスの国家投資プロジェクトの下、原子力と放射線防護におけ
る研究という枠組みの中で政府からの支援を受けているものでもある。

初日は、CEA副長官、日仏の両大使の挨拶で始まり、日本側からは、政策面や現状も含め
て、福島県や飯舘村菅野典雄村長や富岡町宮本皓一町長、田中俊一前原子力規制委員会
委員長、農水省、日本原子力研究開発機構などからの発表に続き、フランスの原子力安
全規制当局、放射線防護・原子力安全研究所、廃棄物処理に携わる会社のメンバーなど
が講演を行った。

2日目のターゲットは、汚染土壌と汚染水についての除染、汚染動態のモデル化、土壌回
復技術についてであった。日本側の最初の講演は、東京大学の二瓶直登准教授であり、
福島県農林水産物の現状について、ならびにイネと比較して放射性セシウム濃度が高い
ダイズについて講演した。

また、セミナーに出席された二瓶博士から伺った、他の農業に関連した主な講演内容は
以下のようになる。 
・リステル・ラトリユ、ジルヴァン・フォール(CEA原子力開発局)は、放射性セシウム
が吸着している主な土壌中の粘土粒子を泡を用いて処理することにより、放射性セシウム
が分離され、土壌中の放射性セシウム濃度が低下する技術(フローテーション)について
述べた。この手法は2017年に大熊町で実証したところ、汚染土壌の量を減容化することが
できた。そしてその放射性セシウム濃度が低下した土壌について、農作物を栽培できない
かを検討中とのことである。
・ナタリ・プラ=レオナール(CEA基礎研究局)とアンヌ=アリエノール・ヴェリ(国立農
業研究所)は、ファイトレメディエーションを目的とし、セシウムを蓄積する植物を開発
している。また一方で、セシウムを吸収しないイネの開発にも取り組んでおり、福島県の
土壌(飯舘村や伊達市)を用いて実証実験も実施している。現在は、放射性セシウムが土
壌表層に蓄積していることから、根系(表層に根を張るタイプ)に着目した研究も展開し
ている。
・オリヴィエ・スユチィ(POLYBIOM)は、ミスカンサス(ススキ)を材料としてプラス
ティックを生産するベンチャー企業を2017年に設立した。現在250haの畑で生産しているが、
徐々に生産面積を拡大中である(2020年度は300t生産目標)。デメテールプロジェクトと
しては、2020年度以降に福島県でススキの実証試験を行いたい意向である。 
・信濃卓郎教授(北大)は、玄米の放射能を予測するためには、土壌の交換性カリウムの
レベルを一定濃度以上に維持することが重要であること、そのために稲わらを土壌に還元
することは考えられるものの、日本では果樹園の敷き藁に使われるため、全ての圃場で還
元はできない。また、イネに比べてダイズ、ソバの移行係数は高いので、今後も注意が必
要との発表があった。 
・ピエール・シャグバルディエフ(CEAデメテールプロジェクトマネージャー)は、デメ
テールプロジェクトは2020?2024年までの間に、第一期(2014-2019)で開発した技術につ
いて技術実証を中心に継続していきたいと述べた。

本プロジェクトでは対象核種はSr-90(ストロンチウム−90)およびCs-137(セシウム-137)
としている。そして研究開発目的は、物理化学的技術と生物学的な技術開発に絞り、かつ
基礎研究から応用研究へと繋がるよう、研究所が行っている研究成果について、現場と
中央省庁の人達が集まって、どのような施策が有効かを検討している。それも2013年から
始まり2024年までという長期に渡るプロジェクトを作り上げて行っている。このような縦
・横に繋がる将来を見据えたプロジェクトが行われていることにフランスの意気込みを感
じる。

*Demeterres projectの説明: aims to develop in France a group of innovative  
 technologies for the remediation of soil and contaminated effluents.

━・・・━━ 会議情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━・

●原子力委員会の会議を傍聴にいらっしゃいませんか。会議は霞ヶ関周辺で開催しており、
どなたでも傍聴できます。開催案内や配布資料は、すべて原子力委員会ウェブサイト(以
下URL)で御覧いただけます。
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/index.htm

●12月24日(火)の会議の概要は以下のとおりです。詳しくはウェブサイトに掲載される
議事録を御覧ください。

【議題1】関西電力株式会社高浜発電所1号炉、2号炉、3号炉及び4号炉、美浜発電所
3号炉、大飯発電所3号炉及び4号炉、四国電力株式会社伊方発電所3号炉、九州電力株
式会社川内原子力発電所1号炉及び2号炉並びに玄海原子力発電所3号炉及び4号炉の発
電用原子炉設置変更許可(発電用原子炉施設の変更)について(諮問)(原子力規制庁)

<主なやりとり等>
関西電力株式会社高浜発電所の発電用原子炉の設置変更許可など、6件の諮問について、
原子力規制庁よりご説明いただき、その後、委員との間で質疑を行った。

【議題2】原子力分野の大学教育についてB(北海道大学 小崎氏、九州大学 出光氏、東京
大学 笠原氏)

<主なやりとり等>
 原子力分野の大学教育の現状や課題について北海道大、九州大学、東京大学から御説明
いただき、その後、委員との間で質疑を行った。

【議題3】第20回原子力協力フォーラム(FNCA)大臣級会合の結果概要について

<主なやりとり等>
 12月5日に開催された第20回原子力協力フォーラム(FNCA)大臣級会合の結果
概要について、事務局から説明を行い、その後、委員との間で質疑を行いました。

【議題4】中西原子力委員会委員の海外出張報告

<主なやりとり等>
 12月8日(日)〜12月12日(木)にかけて、フランスに出張し、パリで開催され
たジェンダーバランス改善会議(OECD/NEA主催)に出席した旨、事務局から
説明を行った。

●次回の委員会開催については、以下の開催案内から御確認ください。
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/topic/kaisai.htm

━・・・━━ 原子力関係行政情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━・

原子力関係の他の行政における委員会等のリンク情報は以下のとおりです。直近で開催さ
れた委員会等がある場合には、【New】マークを付けております。

※URLが改行されてリンクが認識されない場合
URLはクリックせず、文字列全体をURL欄に Copy & Paste してください。

■首相官邸
┗原子力防災会議
(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/genshiryoku_bousai/)
┗原子力災害対策本部会議
(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/genshiryoku/)
┗原子力立地会議
(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/index/gensiryoku/)

■内閣官房
┗原子力関係閣僚会議
(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/genshiryoku_kakuryo_kaigi/)
┗最終処分関係閣僚会議
(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/saisyu_syobun_kaigi/)
┗原子力損害賠償制度の見直しに関する副大臣等会議
(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/genshiryoku_songaibaisho/index.html)
┗「もんじゅ」廃止措置推進チーム
(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/monju/index.html)


■経済産業省
┣高速炉開発会議
(http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/energy_environment.html)
┣エネルギー情勢懇談会
┣高速炉開発会議戦略ワーキンググループ
(http://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/kosokuro_kaihatsu/kosokuro_kaihatsu_wg/index.html)

■資源エネルギー庁
┣総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会
(http://www.meti.go.jp/committee/gizi_8/21.html)
┗原子力小委員会
(http://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/genshiryoku/index.html)
┣自主的安全性向上・技術・人材WG
┣放射性廃棄物WG
┣地層処分技術WG
┗原子力事業環境整備検討専門WG
┗電力基本政策小委員会
┣総合資源エネルギー調査会基本政策分科会
(http://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/)
┣長期エネルギー需給見通し小委員会
┣発電コスト検証WG
┗電力需給検証小委員会
(http://www.meti.go.jp/committee/gizi_8/18.html#denryoku_jukyu)
┗電力システム改革貫徹のための政策小委員会
(http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/kihonseisaku/denryoku_system_kaikaku/001_haifu.html)
┗エネルギー情勢懇談会
(http://www.enecho.meti.go.jp/committee/studygroup/#ene_situation)
┗使用済燃料対策推進会議
(http://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/shiyozumi_nenryo/index.html)

■原子力規制委員会
(https://www.nsr.go.jp/)
┗◆【New】原子力規制委員会
(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/kisei/index.html)
┣◆【New】原子炉安全専門審査会・核燃料安全専門審査会
(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/roanshin_kakunen/index.html)
┣◆【New】放射線審議会
(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/houshasen/index.html)
┣国立研究開発法人審議会
(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/nrda/nrda/index.html)
┣量子科学技術研究開発機構部会
(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/nrda/nirs/index.html)
┣日本原子力研究開発機構部会
(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/nrda/jaea/index.html)
┣原子力規制委員会政策評価懇談会
(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/yuushikisya/seihyou_kondan/index.html)
┗原子力規制委員会行政事業レビューに係る外部有識者会合
(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/yuushikisya/gyousei_gaibu/index.html)
┗原子炉安全専門審査会 原子炉火山部会
(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/roanshin_kazan/00000002.html)

■文部科学省
┗原子力科学技術委員会
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/055/index.htm)
┣原子力人材育成作業部会
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/079/index.htm)
┣原子力研究開発・基盤・人材作業部会
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/100/shiryo/1420802.htm)
┣核融合研究作業部会
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/056/index.htm)
┣核不拡散・核セキュリティ作業部会
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/076/index.htm)
┣原子力バックエンド作業部会
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/099/index.htm)
┗核融合科学技術委員会
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/074/index.htm)
┗原型炉開発総合戦略タスクフォース
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/078/index.htm)
┗調査研究協力者会議等(研究開発)
┗「もんじゅ」廃止措置評価専門家会合
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/kaihatu/022/index.htm)

■復興庁
┣福島12市町村の将来像に関する有識者検討会
(http://www.reconstruction.go.jp/topics/main-cat1/sub-cat1-4/20141226184251.html)
┗原子力災害からの福島復興再生協議会
(http://www.reconstruction.go.jp/topics/000818.html)

■環境省
┗東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議
(https://www.env.go.jp/chemi/rhm/conf/conf01.html)

■厚生労働省
┗薬事・食品衛生審議会(食品衛生分科会放射性物質対策部会)
(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-yakuji.html?tid=127896)


●次号配信は、2020年1月24日(金)午後の予定です。
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発行者:内閣府原子力政策担当室(原子力委員会事務局)
原子力委員会:岡 芳明委員長、佐野 利男委員、中西 友子委員
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 (お寄せいただいた御意見に対しては、原則として回答致しませんが、
 今後の原子力委員会の業務の参考とさせていただきます。)
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 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/melmaga/index.htm
○原子力委員会ホームページ  http://www.aec.go.jp/
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