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第265号 原子力委員会メールマガジン


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ No.265 ━━━━━
    @mieru(あっとみえる) 原子力委員会メールマガジン
             2019年3月8日号
   ☆★☆ めざせ! 信頼のプロフェッショナル!! ☆★☆

┏ 目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┣委員からひとこと
┣ 会議情報
┃  (2月26日) 
┃  ・第20回アジア原子力協力フォーラム(FNCA)コーディネーター
┃   会合、「2019スタディ・パネル」の開催について
┃  ・国立研究開発法人日本原子力研究開発機構が達成すべき業務運営に関
┃   する目標(中長期目標)の変更について(答申)
┃  (3月5日) 
┃  ・日本の中性子利用研究と施設連携(名古屋大学 鬼柳善明氏)
┣ 原子力関係行政情報
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━・・・━━ 委員からひとこと ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・
地球温暖化問題と原子力の役割
								岡 芳明

 日本では、伝聞で世論も政策案も形成されがちで、危ういところがある。
大学教員だったときに伝聞をもとに研究したことはない。もしそうしていたら
他人の後追いの研究しかできなかったであろう。原子力委員会に来てからも、
伝聞ではなく、まず、根拠を挙げてきちんと書かれたものを読んで、考える
ことにしている。

地球温暖化問題が国内外で注目を集めている。原子力利用とも関連が深い。
以前には有馬純教授の著書【参考1】で勉強し、結果を2017年5月のメルマガ
で紹介した。

 今回は、昨年12月に刊行されたキヤノングローバル戦略研究所の杉山大志氏の
「地球温暖化問題の探求―リスクを見極めイノベーションで解決する―」
【参考2】を読んだ。温暖化問題の科学的考察とイノベーションによるその
克服策が述べられており、興味深かった。その内容を紹介するとともに、
原子力発電の役割について考えた。

この本は、世間で流布している理解によらず、科学的根拠をもとに、独自の
考察と記述がなされている点で優れている。杉山氏には原子力委員会定例会議
で話を伺った【参考3】。

本の要点を次のように理解した。
・地球温暖化は危険なのか?
 現在予想されている程度の地球温暖化は、生態系にとっては異常ではない。
気候が破局的に変わる可能性は現在の科学的知見では極めて低い。

 東京は過去100年間に3度温度が上昇したが、何が困ったか?

 温暖化は数値シミュレーション結果を基に検討されているが、人間社会は
実に柔軟に気候の変化に適応してしまう。これはシミュレーションでは表現
できないので、被害予測で十分に考慮されていない。

ホッケーステック曲線(北半球の気温が過去1000年間下がり続け、近年突然
上昇したように見える図)は、現在のIPCCでは使われていない。中世に
バイキングが活躍した温暖期が存在した。

・極端な排出量削減こそ日本にとって危険―ブラック・スワン(可能性は低い
かもしれないが、重大な帰結をもたらしうる事象)―である。
日本のエネルギー価格はすでに世界的に高く、温暖化ガス削減コストも世界で
1,2を争うほど高い。一方、中国のようにコストをかけないでパリ協定の
(排出量削減)目標を達成できる国もある。
2050年に80%削減を目標にすると、工場は海外に移転し、日本は国力を失う。
貧しい国になり、福祉、医療、教育などの社会的課題を達成できなくなる。
80%削減目標は危険。地球温暖化の環境影響のリスクはそれに比べれば小さい。

・トレードオフに注意:CO2削減だけが社会の課題ではない。

・地球温暖化の悪影響はさほど心配する必要がないが、どの程度温度上昇するか
不確定があるので、(温室効果ガスの)排出は減らした方がよい。

・排出の削減はどのように進めたらよいのか?
地球温暖化問題は、「厄介な問題」である。厄介な問題の性質は、目標設定は
任意であり、目標達成は問題解決を意味せず、他の問題と複雑に関係するので
無理に完全解決を目指すと弊害が起きることなどである。
厄介な問題は、目標達成を直接目標にせず、迂回戦略で対応するのが良い。

二重の迂回戦略を
1.排出量の削減を直線的に目指すのではなく、温暖化対策技術のイノベー
  ションを推進する。
2.温暖化対策技術のイノベーションのために、汎用目的技術(GPT)を中核と
  する科学技術全般のイノベーションを推進する。 

・新しい技術は先行する技術の組み合わせによって進化する(歴史の教訓)。
 AI(人工知能)、 IOT(モノのインターネット)、ナノテク、バイオテク、
CPU(中央処理装置)、MEMS(微小な電気機械システム)などのGPTが急速に進歩中。
 
・GPTの進歩によって様々な要素技術が高性能かつ安価になって、蓄積された
ときに、それらを利用して、多くの産業で革新的な温暖化対策技術が低いコス
トで実現可能になる。例えば、蓄電池、電気自動車、太陽電池、バーチャル
リアリティ、精密農業などあらゆる技術。
 
・現在排出削減が困難なのは対策技術のコストが高いから、コストが下がれば
、対策は進む。

・「二重の迂回戦略」における政府の役割とは、GPTを核とした科学技術
全体のイノベーションを、経済成長との好循環において実現すること。
その上で、科学技術のイノベーションを刈り取る形で、温暖化対策技術の
イノベーションを促せばよい。
排出量取引などの大げさな制度を導入するのではなく、企業の自主的取組や、
技術実証の補助などの政策手段がよい。

まとめると
・エネルギー利用における電化の推進と電気の低炭素化が各国の温暖化対策の柱。
・世界各国で、温暖化防止対策が進まないのは対策のコストが高いから。
・日本の電気代はすでに高く、国際競争力の低下や工場の海外移転を招いて
 いる。
・極端な排出量削減を目指すことは、さらに国力を失わせ、日本を貧しい国に
 し、福祉、医療、教育などの社会目標を達成できなくなる。
・排出量の削減を目指すのではなく、温暖化対策技術のイノベーションを推進
 するのがよい。温暖化対策技術のイノベーションのために、汎用目的技術(GPT)
 を核とする科学技術全般のイノベーションを推進するのがよい。
・電化の推進やGPTの利用には安価な電気の供給が必須である。

この本に書かれたことを参考に、原子力発電の役割について考えると、
「原子力発電は安価な電気を供給し、電気の低炭素化に貢献するように努力する」
ということになる。安全確保・危機管理などが満たされるべきことは言うまで
もない。

再生可能エネルギーの導入を長期的視点で進めることを、多くの国民が支持
していると思うが、地球温暖化防止や電気の低炭素化に熱心なら、原子力発電
をその手段から排除するのは論理的ではない。

米国では、最近、コネチカット州の2つの原子力発電所が、州から無炭素電力
契約を与えられた。ニュージャージー州、イリノイ州、ニューヨーク州では、
すでに、原子力発電がクリーンエネルギー政策に位置付けられている
【参考4】。

電気自動車や再生可能エネルギーの普及にとって重要な大容量リチウムイオン
電池の開発には、日本原子力研究開発機構と高エネルギー加速器研究機構が
共同して運営している大強度陽子加速器施設(J-PARC)を用いた中性子回折
による3次元的なリチウム拡散経路の解析が貢献している【参考5】。
自動車メーカの研究所にいた友人から、電池の大容量化は拡散経路が1次元的
であるため困難と、以前に聞いたことがある。その壁を突破するのに、原子力
利用が貢献している。

大強度の大型加速器のみならず、小型加速器技術が発展し、小型中性子源
として、リチウム電池の挙動解析、磁場の可視化を通じたモーターの効率化、
コンクリートの検査、鋼材研究、半導体デバイスの一時的な故障試験、がんの
治療などに用いられるようになっている【参考6】。放射線利用技術が汎用
目的技術の発展に貢献している。本年2月26日に決定した「国立研究開発法人
日本原子力研究開発機構が達成すべき業務運営に関する目標(中長期目標)
の変更について(答申)」【参考7】では、「汎用目的技術などが関連しながら
イノベーションが進むことに、原子力分野においても留意すること。」
と述べている。

地球温暖化対策への原子力・放射線利用技術の貢献もまとめておく価値が
あるだろう。

参考:
新しい分野を勉強するときはメモを取りながら読むことにしている。
これは昔、学校でノートを取りながら授業を受けた時と同じ方法である。
以下のまとめは、自分のために作ったものだが、読者の参考にもなると考える
ので、長い引用になるが、著者の許可を得て、本の内容を紹介する。世間では
地球温暖化問題について情報があふれている。自分も近年の大気中の炭酸ガス
濃度の上昇を根拠に、産業革命以降、はじめて地球温暖化が生じたと誤解して
いた。これ以外にも参考になる点は多い。この著書には根拠の文献も詳しく
示されている。

第1章は「地球環境と人間について考える」で、次のように述べている。
「環境破壊は人類の歴史ともに始まった。人類は4万年前にアフリカから外に
出て、大型獣を殺戮した。その結果、草食獣が増え、その餌である植物が
激減し、地球環境は変化した。さらに、人類は焼き畑農業、牧畜、農業などで
地球環境を変化させた。例えば、焼き畑農業は森林を燃やして肥料となる灰を
作るので、農業を行う簡便で賢い方法であった。」

「農業は地上の景観を変えた大事件。カザフスタン:灌漑がつくった国。
アフリカ:野生の王国は実は牧畜放棄地だった。人類世:人類と自然環境は
共進化を遂げてきた。荒れる山?:我々は自然に返している。」と題して、
いわゆる環境問題の世間の常識とはことなる考察結果が述べられている。

「人間はすでに生態系を変えており、生態系を支配する種に収まっているので、
大事な問は、“生態系に介入するかしないか”ではなく、“どう介入するか
(例えば、保護区を設定するのか、そこで人間は何をするのか)”である。」

「東京は既に3度温暖化したが、何が困ったか?3度上がると鹿児島の平均気温
になる。長寿世界1,2位は香港とシンガポールでどちらもたいへん熱い。
昔は大きい台風が来ると多くの死者が出たが、いまは天気予報の精度は向上し、
堤防も整備された。」

「人間社会が変わり続けること、人間社会が実に柔軟に気候の変化に適応して
しまう。これはシミュレーションでは表現できないので、被害予測で考慮され
ていない。人間社会の変化は温暖化の進行よりはるかに速い。人間社会の変化
を無視して地球温暖化によるリスク増加を計算すると、現実的には意味のない
結果が出てくる。」

「ここ80万年ほどの間、地球は、10万年程度の長く寒い氷期と1〜2万年程度
の短く温かい間氷期を繰り返してきた。これは地球が太陽を回る楕円軌道の
形状(離心率)が変化することに起因するもので、ミランコビッチ・サイクル
と呼ばれる。」

「地球は、今は間氷期にある。過去10万年余りの振幅を見ると、南極では10度、
熱帯の海水面の表面温度は4度程度上下した。グリーンランドの気温は数年
から数十年間に10度も上下したことがある。生態系は長い間、急激な温度上昇
・下降と、急激な海面上昇・下降にさらされてきた。」

第2章は「地球温暖化問題と日本の対策の現状」で、
「パリ協定は5年に一度、数値目標を提出するが、数値目標は交渉の俎上に
載せず、数値目標の順守も義務ではない。しかし目標の提出は義務で、各国の
目標は合算し公表される。公表することで各国政府への内外の政治的圧力を
たかめて達成を促す仕掛けである。」

「日本のように外圧を気にする国では有効に作用するが、政治的な圧力など
意に介さない国、反感をあおって逆効果に作用する国もある。国家間で内容に
不ぞろいが生じる上に、その遵守への圧力も国によって異なるので、パリ協定
は中身としては公平とは言えない。」

「約束草案に書かれた2030年の数値目標の達成のためのコストはトン当たりで、
日本は378ドルと高く、米国は85ドル、インドと中国に至っては0ドルとなって
いる。インドと中国の数値目標は成り行きで達成できる。」

「日本の地球温暖化対策に関する法制度としては、環境省が主管する地球温暖
化対策推進法が全体を包括するものとなっている。温室効果ガスについての
具体的な規制は他の省庁の主管でとなっている。経産省は産業部門と業務部門
における省エネルギー規制等を、建築物の断熱性能規制などは国土交通省が
担当している。」

「日本のエネルギーには、すでに様々な税が課されている。地球温暖化対策税
はその一部である。日本はエネルギー資源が乏しく、仕上がりとしてのエネル
ギー価格水準は国際的に最も高くなっている。」

第3章は「地球温暖化の科学的不確実性とCO2の便益」である
「地球温暖化に科学的不確実性があり、それが大きいことは、IPCC(国連気候
変動に関する政府間パネル)は明白に報告している。最新のIPCCの平衡気候
感度(ECS,産業革命前と比べてCO22濃度が倍増した時に何度温度上するか)
の見積もり範囲は1.5度から4.5度で、最良の推定値は存在しない。CO2濃度が
上昇しており、それによって一定の温度変化が起きていることは確かである。
しかしCO2だけの寄与であればECSは1.2度にすぎない。水蒸気と雲によって増幅
の程度は変わる」、「シミュレーションは過去の自然変動を再現できていない。」

「観測分析はシミュレーションより低めの温暖化予測を与える。しかし、パリ
協定はシミュレーションの予測結果に基づいて2度を十分に下回るという目標
を掲げている。実際の気候変化と気候モデルの予測を突き合わせて慎重に評価
することが必要である。」

「平衡気候感度(ECS)は平衡になるのに1000年程度を要するので仮想的な状態
の量である。過渡的気候応答(TCR)は、温室効果ガス濃度を70年かけて倍増
した場合の、70年目の温度上昇である。政策的にはせいぜい2100年ころまでの
温度上昇に興味があるので、TCRのほうが政策決定にとって重要な指標である。」

「IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の2001年報告書の政策決定者向け
要約に記載された図(ホッケーステック曲線:北半球の気温が過去1000年間
下がり続け、近年突然上昇したように見える図)は2007年の報告書では使わ
れていない。最新の2013年報告書では中世に温暖期が存在したことが明記され
ている。10世紀から14世紀にかけてはバイキングが活動する「中世温暖期」
があり、17世紀から19世紀にかけては世界各地で氷河が発達する「小氷期」
があったことが古気候学者に広く知られている。」

「地球温暖化ガスが原因ではなく、自然変動によっても今程度の温暖化は起き
うる。近年温暖化が起きているのは確かであるが、どの程度が自然変動で、
どの程度は温暖化ガスによるかはわかっていない。人間も生態系もその程度の
高温に適応して生きた経験があるということである。」

「炭酸ガスは光合成の原料だから増えるほど作物は育つ。施肥効果と呼ばれ、
温室におけるCO2利用は広く行われてきた。化石燃料による環境上の悪影響は
多くの情報があるが、好影響についてはあまり知られていない。」

「化石燃料利用は悪者扱いされているが、環境上の便益もあるので正確に評価
することが望ましい。施肥効果以外にも、人間の農業の歴史の多くは寒さとの
闘いだったので温暖化は農業生産性向上に寄与する。温暖な地域のほうが生物
多様性は高いので、生物多様性も向上する。施肥効果だけでなく生態系全体に
炭素肥沃化の効果は及ぶ。化石燃料利用は燃料としての木材利用を代替した。」

「CO2の削減にこそ大きいリスクがある。日本の26%削減という数字自体、オバマ
政権の数値目標が横滑りしてきたもので、日本の温暖化対策のコストは極めて
高い。日本の発電部門のエネルギーミックスを予定通り実現すると想定しても
年間4.8兆円のコストがかかる。省エネで目標としている17%の電力消費削減を、
価格効果によって実現しようとすると電力価格は倍増以上となる。日本の産業用
電力価格はすでに米国の2.6倍であり、さらなる電力価格上昇は日本経済を
おおきく損ねる。」

「エネルギー政策は、主として安全保障(および経済)に関する考慮で決定
されてきた。しかし、温暖化対策は、冷戦終了後に流行したユートピア的な
世界観を前提に進められてきた。地球温暖化問題はオゾン層保護問題と同様に、
国際的に排出枠を割り当てる合意によって解決できると、諸国の指導者たちは
考えていた。しかしこの前提は今や完全に覆った。自国の国益を優先する諸国
の力のバランスによって規定される政治が復活した。日本は現実を直視し、
安全保障を優先課題としたうえで、いかに温暖化リスクを管理するか考えなく
てはない。」

「日本のエネルギー政策は2つの安全保障上の懸念に対処せねばならない。
一つは中東の政治が不安定化し、大規模で慢性的な紛争状態になる懸念である。
有事では石油と液化天然ガスの価格は高騰し、悪くすると供給が減少ないし
途絶する。発電部門において原子力と石炭を一定割合い持っておくことが
重要になる。」

「安全保障上の第2の懸念は、中国が日本と基本的な価値を共有しないまま
強大になり、それが日本への脅威に転じる懸念である。これは残念ながら
さほど低くない確率で起きうる。日本が衰弱していけば、中国内で対日強硬論
が力を得やすくなる。日本は堅実な経済成長を遂げねばならない。このため
には低廉で安定したエネルギー供給は必須である。」

「尖閣諸島や南沙諸島をめぐる紛争で、国民の安全意識は高まっている。
温暖化対策及びエネルギー政策についても、まずは徹底して安全保障の
文脈で検討すべきである。」

「しかし、パリ協定以降の日本では、むしろ正反対の動きがあり憂慮している。
CO2の80%削減は日本にとって危険な目標である。一連の圧力は非対称な形で
日本企業に作用する。第一は南北間の非対称で、先進国の企業は、途上国より
も大きい圧力を受ける。第二に政体に対する非対称で、日本のように言論の
自由のある国では、それを抑制する国よりも企業は大きい圧力を受ける。
第3に業種による非対称で、エネルギー集約型産業ほど影響が大きく、次いで
製造業が影響を受け、サービス業が影響を受けにくい。これらの結果エネルギ
ー集約型産業と製造業が海外に移転していく。」

「再生可能エネルギーは以前より安くなったといっても、政府補助なしには
やっていけない。加えて間欠性の問題があり、バックアップ電源と電力系統
強化のコストがかかる。原子力の急速な拡大は国民の支持を取り付けるのが
容易でない。このため野心的な目標は電力価格の高騰を招く。これによって
製造業は壊滅する。」

「製造業が滅びれば国は守れない。あらゆる科学技術のイノベーションで後塵
を拝する。防衛設備も自前で調達できない。経済力が弱まれば、他国からの
経済的圧力や軍事的恫喝に屈しやすくなる。言論の自由も、結社の自由もなく
なり、独立も脅かされるかもしれない。これらは地球温暖化によって引き起こ
される被害よりはるかに悪い。」

「今後、温度が2度、3度上がっても、50年、100年かけて起こることだから、
人間も生態系も十分対応できる。CO2削減策には、予測できず重大な影響を
及ぼす(ブラック・スワン)が潜んでいる。日本政府は80%の温室効果ガス
排出削減を目指すとしている。これによって日本は貧しく弱い国になる。
弱い国が他国にさいなまれる例は幾らでもある。日本では幸運にも、第2次
世界大戦終結以来、基本的人権は擁護されてきた。しかしこれが無条件で未来
も続くと思い込むのは、ブラック・スワンが居ないと信じることに他ならない。」

「あまり極端に地球温暖化が進むと悪影響が出るかもしれない。このため温暖
化対策によって排出をある程度削減したほうが良い。ただし経済を大きく損な
うような温暖化対策は禁物である。」

「地球温暖化問題は、問題を定義して目標と手段を定め、それを実施すること
で問題解決するような「簡単な問題」ではなく、「厄介な問題」である。厄介
な問題の性質は、目標設定は任意であり、目標達成は問題解決を意味せず、
他の問題と複雑に関係するので無理に完全解決を目指すと弊害が起きること
などである。地球温暖化問題は厄介な問題である。」

「厄介な問題のパロディとして、世界各国が“平均寿命を延ばす条約を作る
ナンセンス”が紹介されている。“長寿の数値目標の設定、目標達成のため
ご長寿枠の購入、ご長寿クレジットの国際取引によって各国が平均寿命を延ば
す経済的動機が与えられる”とするのはナンセンスで、本当に寿命を延ばそう
と思ったら、衛生、保険、医療など投資すると、平均寿命という結果は後から
ついてくる。寿命の数値目標を交渉しても意味がない。」

「厄介な問題は、目標達成を直接目標にせず、迂回戦略で対応するのが良い。
地球温暖化対策が進まないのは対策のコストが高いためである。コストが下が
りさえすれば諸国は温暖化対策をすることに抵抗はなくなる。コストが下がる
ということはイノベーションを促進することにほかならない。数値目標の議論
をするより、イノベーションをどのように起こすかということに資源を集中
したほうが、地球温暖化問題の解決によほど寄与する。」

 第2部ではイノベーションによる温室効果ガス排出削減シナリオが述べられ
 ている
「新しい科学技術は既存の科学技術の組み合わせで生まれる。例えば「アルフ
ァ碁」はビッグデータを学習に用いて、ゲーム機の画像処理プロセッサを利用
し、昔ながらのAIであるパーセプトロンを改良することで誕生した。」

「科学技術には蓄積性がある。例えばテレビは発明されたらなくならない。
この蓄積性こそ、経済成長の源泉であり、人間社会が進歩し続ける理由である。」

「技術進歩は加速する。2000年は、インターネットは出たばかりで、スマホは
影も形もなかった。2030年には自動車の自動運転、自然言語による機械との
対話などが実現するだろう。」

「科学技術は自律的に進歩する。科学技術史は通常は偉人の歴史として語られ
るけれども、その偉人がいなくても、別の人が同じものを発明したことは
間違いない。ベルは電話を発明したが、エジソンら多くのライバルと競争して
いた。ベルがいなくても電話はさほど時を待たず発明されたはずである。」

「固定価格買取制度で太陽光発電(PV)のコストが低下したのではない。PVに
匹敵するコスト低下は多くの技術で起きている。半導体世界のムーアの法則、
バッテリー、シェールガス掘削技術などでも急激なコスト低下は生じた。これ
らのコスト低下は巨額政府補助による普及政策に依存しなかった。PVは例外
である。」

「PVはいわばローエンドの半導体であって、PV以前に蓄積されていたシリコン
半導体技術、テレビや携帯電話用とのフラットディスプレイ技術、中国におけ
る電気・電子機器を含む低コスト製造業の発展が、PVのコスト低減をもたらし
た。PVを対象とした技術がそれ単独で成果を上げたのではなく、3つの産業から
のスピルオーバーから恩恵を受けながら進行したのであろう。」

「政府の役割は科学技術全般の進歩のために、基礎的な研究開発を推進すること。
温暖化技術への支援は“ゼロから問題を解決する”という大上段なものではなく、
“科学技術全般の進歩の成果をタイミングよく受け取り、温暖化対策という政策
目的に活用する”ことを目的としたほうが現実的である。」

「IOT(モノのインターネット)やAI(人工知能)によって、さまざまな無駄を
省くことができるようになる。タクシーの流しが減り、廃棄食品や薬の飲み残し
を減らせ、省エネのための人件費をIOTで下げることができる。画像認識能力の
向上で”目“を獲得したAIは、目が発達し鮮明な画像が得られるようになり、
捕食活動とそれに対する防御のための殻をもつ多様な動物が発生・進化した約
5億年前のカンブリア爆発のように、IOTを進化させる可能性がある(注1)。」

「モーターが最初発明されたとき、工場にいくつか配置され、歯車・ベルトを
組み合わせて動力が工場全体に伝えられた。電気を利用するので、大型の蒸気
機関や水車は不要になった。モーターが小型化して動力を必要とする場所に
分散して配置されるようになって、工場から歯車やシャフトが消えた。設備の
レイアウトや入れ替えも自在になり、生産性が向上した。多くの電気利用技術
は汎用目的技術(GPT)であり、さまざまな用途がある。」

「新しい技術は既存の技術の組み合わせで生まれる。技術は蓄積性がある。
進歩速度は蓄積量に比例する。イノベーションは加速する。イノベーションの
連鎖による進化は、外からは自律的に見えるので、具体的にどのような進歩が
あるか、予測するのは難しい。」

「イノベーションは地球温暖化よりも急速に起きる。ICTは省エネや温暖化対策
とは全く無関係な理由で、家庭、オフィス、工場に導入される。省エネはICTで
実現できる多くの便益の中のあまり儲からない一項目だから、これらは省エネ
より先に来る。」

「今すぐにCO2の大幅削減ができない最大の理由は、それが高コストだからで
ある。選択肢を増やし、コストを下げる必要がある。CO2削減を進めることが
難しいもう一つの理由は、国際協調ができないことである。CO2削減の費用は
各国が負担するが、それによる温暖化防止という便益は世界全体が受ける。
これはゲーム理論で“共有地の悲劇”と言われる構造で、各国には他国の努力
にタダ乗りをする動機が生じる。」

「イノベーションは、各国は国益として費用を負担する傾向にある。ある国で
成功するとその成果は他国が競って導入する。イノベーションについてのゲー
ム構造はCO2削減とは全く異なる。」

「ICTが導入されるとエネルギー利用効率は上がる。だがこれでエネルギー消費
の総量が減るとは限らない。機器のエネルギー効率は減るが、エネルギー消費
量は増えてきた。」

「数年から十数年というイノベーションのタイムスパンは、50年から100年と
いう地球温暖化の環境影響のタイムスパンより短い。そこに地球温暖化問題
解決のチャンスがある。」

「科学技術全般の進歩の恩恵を受けたイノベーションの例としては、燃料電池
には触媒、プラスチック製造、電気分解などの知識が用いられ、風力発電には
金属加工技術や回転機器の技術、流体力学シミュレーションのためのソフト、
ハードのIT技術や、サイト選定に役立った微気象学等がある。太陽電池には
シリコン半導体の製造やフラットディスプレイの製造技術が応用され、その
低価格化はあらゆる事業において培われた中国の製造能力によって実現した。
中国で新興の太陽光発電事業者になったのは、化粧品や農機で成功した事業者
だった。」

「省エネルギーや生産性向上等、他の目的に付随して同時にCO2も削減される
イノベーションもある。シェールガスや自動運転のように、他の目的のイノ
ベーションがCO2削減にもなる場合もある。」

「温暖化対策技術のイノベーションのためには、科学技術全般のイノベーショ
ンが重要な役割を果たす。科学技術のイノベーションは経済成長との好循環に
よってもたらされる。例えば、米国西海岸の情報通信技術の進歩は、パソコン
、ワールドワイドウエブ、スマートフォンなどのイノベーションと産業集積の
好循環が起きた。」

「急速なコスト減少は太陽電池、蓄電池、車載用燃料電池、シェールガス・
オイルなどエネルギー関連技術のみならず、AI、センサー、インターネット
通信、情報記憶装置、微小電気機械システム(MEMS)等多くの情報通信技術で
観測されている。」

「ICT(AI、IOT)、ナノテクノロジー、バイオテクノロジーなど様々な用途に
応用される技術を汎用目的技術(GPT)と呼ぶことにする。」

「GPTの進歩によるイノベーションによって、経済全体、運輸部門、産業部門、
農業部門、民生部門、エネルギー供給部門などに大幅なCO2削減の可能性がある。」

「電化は歴史的な趨勢として進んできた。温暖化対策のためには、電気の低炭
素化に加えて電化が必須というコンセンサスがある。電化が有望な理由は、
供給側において原子力・再エネ・高効率火力発電、CCS(CO2回収貯留)等の
多様な低炭素技術があること、供給側にはヒートポンプやモーターなど効率の
高い技術があること、電化は歴史的趨勢であり今後も進行すると考えられること
、電気が制御性に優れていることである。」

「運輸部門については、EV・自動運転・カーシェアリングの3つの組み合わせ
によって、温室効果排出削減が進むと期待される。同様に、産業部門、民生
部門、農業部門においても電化、AI、IOTの組み合わせが相乗効果を持ち、
技術的に、ともに進化していくだろう。電化は単独の現象ではなく、より広範
な科学技術イノベーションの中核にある。自動車の例がそうであるように、
電化はAI/IOTと親和性が高く、相乗効果が期待される。」

「トランプ大統領がパリ協定からの離脱を発表した。批判的な報道がなされた
が、離脱の理由自体はそれなりに筋が通っている。“中国・インドは負担が
ないのに、米国には重い負担がある”。“中国は石炭火力発電所に投資できる
のに、米国は出来ない”。この二点に関してはまさにその通りである。」

「中国の数値目標は2030年に2005年比で60〜65%削減となっているが、GDP
当たりの排出量である。経済成長率が高い新興国では、GDP当たりの排出量は
なりゆきで減少する。RITE(地球環境産業技術研究機構)の試算によると、
中国のこの数値目標は実は費用ゼロで達成できるとみられている。インドも
同様である。」

「オバマ大統領は任期の終盤、地球温暖化問題を歴史的遺産として残すことに
情熱を傾けた。パリ協定に先立って習近平主席と会談し、米国と中国の二国間
で数値目標に合意した。これが国際交渉に大きい流れを作り、パリ協定の採択
にこぎつけた。パリ協定は中国にとっては、自分はコストがかからないが、
先進国には困難な目標達成を迫ることができる便利な道具である。」

「温暖化対策の政策手段は何が良いか、というテーマは、多くの研究者のお気
に入りである。排出量取引、環境税、規制、情報的手段、補助金、協定、自主
的取り組みなど、議論は尽きない。筆者は制度の選択は大した問題ではなく、
技術こそ重要と考える。なぜなら、過去の公害問題はかなりの程度、技術で
解決してきたからである。受容可能なコストで技術が開発され普及したことで
、公害問題は概ね解決してきた。」

「CO2の大幅な排出削減のためには、電化と電気の低炭素化の両方が必要という
幅広いコンセンサスがある。だが足元で起きていることは、再生可能エネルギ
ーの大量導入であり、性急な化石燃料バッシングであり、脱原発の動きである。
これらはいずれも、電力価格の高騰を通じて電化を妨げるものであり、大幅な
CO2削減という方針に逆行する。」

「英国で風力発電のコストが半減したとの報道があった。2017年の応札価格は
半減したが、風力発電のコストは立地場所が水深の深いところになるために、
上昇している。応札した企業はこの価格で洋上風力発電所を作ろうと思ってい
るわけではなく、将来の価格や規制についてギャンブルしているのである。
もし電力の卸売価格が上昇すれば、応札した契約を破棄し、通常の卸売価格で
電力を販売する。炭素の価格が上がれば、同じように契約を破棄して高い卸売
価格で売る。そして卸売価格が上がらなければ、発電所を建設しないだけである。」

「技術が進歩すれば、当然、同じサービスを提供するための技術のコストは
下がる。だが日本の電気料金は上がっている。実はこれは電気に限った話では
ない。医療費が増大して国民経済の負担が増していることが問題になっている。
同じ医療サービスを与えるためのコストは下がるが、新しい技術ができると、
人々はよい治療を求める。特に医療費の場合には保険制度が有るので、人々は
高価な医療でもうけられる。このようなからくりで医療費は増えていく。医療
費と電気料金では、政府が制度や政策を通じて介在し、その国民負担が見えに
くくなっているため、経済全体にとって悪いことが起きる構造になっている。」

「一度技術が導入されると、その技術が固定化されるので好ましくないという
ロックイン理論で、石炭火力発電に反対するのは適切ではない。原子力発電の
再稼働が進まず、中東有事で石油天然ガス価格が高騰し、再生可能エネルギー
も相変わらず頼りにならなければ、日本に安定的に安価に電気を供給するため
に、石炭火力発電所が必要である。原子力が順調に再稼働し。石油天然ガス
価格が低位で推移したときは、石炭火力の稼働率が大幅に下がるかもしれない
が、一定の割合で石炭火力発電設備を持っておくことは必要である。」

「一部の国で起きている脱原発の動きは、電化イノベーションを通じた長期的
なCO2削減策に対して2重の意味で逆行している。第一にCO2を出さない電力
供給が減る。第二に安価な電力供給が妨げられ、電力価格が上昇することに
なる。」

「温暖化対策としてのイノベーション政策としては、温暖化対策に対象を絞っ
た技術対策より、科学技術全般の進歩のほうがより重要であろう。このことは
温暖化対策技術についての政府介入を否定するものではないが、その相対的
重要性は下がることになる。」

「政府による普及政策の苦い教訓として、太陽光発電の固定化価格買取政策と
、家電エコポイントを挙げることができる。前者の追加必要は69兆円に達する
が、同じ発電を他の方法で実施すればゼロ円で済むはずたった。家電エコポイ
ント制度も累積1兆円の政府負担で主に大型フラットディスプレイの普及を
もたらしたが、その内実は台湾など海外製品の輸入の急拡大であった。
シャープ、パナソニック、ソニー等の日本のデイスプレイ業界は、投資判断を
誤り、国際競争力を失って、やがて壊滅してしまった。産業政策としても明白
な失敗だった。成功事例としては高効率ガスタービン発電やヒートポンプの
技術開発プロジェクトがある。」

「金額が膨らみがちな割に効果が乏しく、また大きな失敗もあった普及段階
への補助はやめて、技術開発の補助は、実証段階及び、市場への初期の導入
段階に絞るべきである。他方で教育や基礎研究となると、その便益は広く
社会全体が享受するので、国の投資が必要であろう。」

「各国は技術開発を国益と考えて推進するので、技術開発については、特段
意図しなくても、自然と国際協調が芽生えるという特徴がある。換言すれば、
技術開発政策に関しては、排出削減の交渉や国際的に連携したカーボンプラ
イシングといった構想が直面する「共有地の悲劇」の問題からは解放されて
いる。したがって大掛かりな国際条約や国際機関は必要でない。」

「今後は汎用目的技術(GPT)の進歩がますます急速になり、多くの革新的な
温暖化対策技術のイノベーションがそこから派生する。このため、政府の役割
として地球温暖化という単一の政策目的を追求するだけでなく、むしろGPTを
核として科学技術全般を推進することが重要になる。経済とイノベーションの
好循環を政府が阻害しないこと、イノベーションに追いつく制度改革は政府が
行うべき仕事である。グーグルのような検索サービスは、欧州では事業として
開始することは不可能だったといわれている。日本がイノベーションで先行
できるかは、制度改革がタイミング良く適切に行えるかどうかに、大きく
依存している。」

「温暖化対策技術のイノベーションを起こすためには、科学技術全般のイノ
ベーションが重要であり、これは経済成長との好循環において実現される。
温暖化対策も経済成長と調和する形で実施し、イノベーションを阻害しない
ようにすることが、長期的な実効性のカギとなる。このような第2の
“迂回戦略”をとることは温暖化対策イノベーションをもたらす方法について
の本書の結論である。」

「地球温暖化は“厄介な問題“である。国際条約や法律で温度や温室効果ガス
の排出量の目標を野心的に定めても、その実施は容易でない。政府は経済や安全
保障など他の課題とのトレードオフに常にさらされるため、政策は安定しえない。
強制的に大規模に排出量を削減しようとするならば、経済や安全保障に重大な
弊害”ブラック・スワン“を生じる懸念がある。」

「”厄介な問題“には”迂回戦略“で対処すべきである。つまり大規模な排出
削減という”目的“を直接目指すのではなく、それを可能にするための”手段“
としての、温暖化対策技術のイノベーションを促進すべきである。」

「政府のなすべきことは
1. 温暖化対策の名において、経済とイノベーションの好循環を妨げないこと。
 政府は余計なことをしないこと、政府の失敗を避けること:自由経済のイノ
 ベーション能力を信頼し、政府は裏方に徹するのは、計画経済との闘争を通
 じて人類が学んだ最も賢明な官民の役割分担である。
2. 温暖化対策技術の補助は基礎研究から実証段階まで、普及段階は対象外
 にすべき。
3. イノベーションに追いつく制度改革を:急速に進む科学技術全般のイノ
 ベーションに対して、その可能性を生かし、新技術の導入を妨げることの
 ないように、タイミングよく制度を設計する。例えば、自動運転、リモート
 教育、リモート診療導入を可能にする制度整備など。
4.イノベーションの成果を刈り取る形で、安価になった温暖化対策技術の
 普及を図ること。」

参考1:有馬純「精神論抜きの地球温暖化対策――パリ協定とその後」
エネルギーフォーラム、2016年10月
参考2:杉山大志「地球温暖化問題の探求―リスクを見極めイノベーション
で解決する―」デジタルパブリッシングサービス、2018年12月
参考3:杉山大志「地球温暖化に日本はどのような戦略で取り組めば良いか?」
第41回原子力委員会資料第3号(平成30年11月27日)
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2018/siryo41/3.pdf
参考4:”5 Nuclear storylines to watch for in 2019” Office of Nuclear
 Energy, Department of Energy, Jan.8, 2019
https://www.energy.gov/ne/articles/5-nuclear-storylines-watch-2019

参考5:金谷利治「J-PARCの中性子利用における成果と産業利用への取り組み」
第4回原子力委員会資料第1号、7頁、(平成31年2月5日)
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2019/siryo4/1.pdf

参考6:鬼柳善明「日本の中性子利用研究と施設連携」第8回原子力委員会資料
第1号、(平成31年3月5日)http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2019/siryo8/1.pdf

参考7:「国立研究開発法人日本原子力研究開発機構が達成すべき業務運営に
関する目標(中長期目標)の変更について(答申)」平成31年2月26日 
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/about/kettei/kettei190227_1.pdf
注1.AIが人間とおなじ目の能力を獲得したと考えるのは早計かもしれない
。例えば「画像認識では画像に写っている物体を検知し追跡することができま
すが、それには条件があります。検知すべき物体をあらかじめ学習させておく
ことです。画像認識では画像に写っている物体から“あらかじめ学習させてお
いた物体”を探すことはできても、学習させていない物体を見つけることは本
質的に難しく、現状ではその方法論が見つかっていないのです」。出典:新井
紀子「AI vs.教科書が読めない子供たち」東洋経済新報社 2018年2月、152頁。

AIについて「シンギュラリティ(AIが十分賢くなって、自分自身より賢い人工
知能を作れるようになった瞬間、無限に知能の高い存在が出現する)が実現す
る」というような誤解がある。新井氏のこの著書は、AI技術の能力と限界を認識
するのに役立つ。


━・・・━━ 会議情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━・

●原子力委員会の会議を傍聴にいらっしゃいませんか。会議は霞ヶ関周辺で
開催しており、どなたでも傍聴できます。開催案内や配布資料は、すべて原子力
委員会ウェブサイト(以下URL)で御覧いただけます。
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/index.htm

●2月26日(火)の会議の概要は以下のとおりです。詳しくはウェブサイトに
掲載される議事録を御覧ください。

【議題1】第20回アジア原子力協力フォーラム(FNCA)コーディネータ
ー会合、
「2019スタディ・パネル」の開催について

<主なやりとり等>
 平成31年3月6日、7日に開催される国際会議について、事務局から説明
 を行い、その後、委員との間で質疑を行った。委員より、本会議の広報など
 についての質問があった。

【議題2】国立研究開発法人日本原子力研究開発機構が達成すべき業務運営に
関する目標(中長期目標)の変更について(答申)

<主なやりとり等>
 JAEAの中長期目標の変更についての答申案について、事務局から説明を行い、
 その後、委員との間で質疑を行った。

●3月5日(火)の会議の概要は以下のとおりです。詳しくはウェブサイトに
掲載される議事録を御覧ください。

【議題1】日本の中性子利用研究と施設連携(名古屋大学 鬼柳善明氏)

<主なやりとり等>
 日本の中性子利用研究と施設連携について、名古屋大学の鬼柳氏よりご説明
 いただき、その後、委員より、中性子利用における日本の位置づけについて
 質問があった。

●次回の委員会開催については、以下の開催案内から御確認ください。
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/topic/kaisai.htm

━・・・━━ 原子力関係行政情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・

原子力関係の他の行政における委員会等のリンク情報は以下のとおりです。
直近で開催された委員会等がある場合には、【New】マークを付けております。

※URLが改行されてリンクが認識されない場合
URLはクリックせず、文字列全体をURL欄に Copy & Paste してください。

■首相官邸
┗原子力防災会議
(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/genshiryoku_bousai/)
┗◆【New】原子力災害対策本部
(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/genshiryoku/)
┗原子力立地会議
(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/index/gensiryoku/)

■内閣官房
┗原子力関係閣僚会議
(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/genshiryoku_kakuryo_kaigi/)
┗最終処分関係閣僚会議
(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/saisyu_syobun_kaigi/)
┗原子力損害賠償制度の見直しに関する副大臣等会議
(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/genshiryoku_songaibaisho/index.html)
┗「もんじゅ」廃止措置推進チーム
(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/monju/index.html)


■経済産業省
┣高速炉開発会議
(http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/energy_environment.html)
┣エネルギー情勢懇談会
┣高速炉開発会議戦略ワーキンググループ
(http://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/kosokuro_kaihatsu/kosokuro_kaihatsu_wg/index.html)

■資源エネルギー庁
┣総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会
(http://www.meti.go.jp/committee/gizi_8/21.html)
┗原子力小委員会
(http://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/genshiryoku/index.html)
┣自主的安全性向上・技術・人材WG
┣放射性廃棄物WG
┣地層処分技術WG
┗原子力事業環境整備検討専門WG
┗電力基本政策小委員会
┣総合資源エネルギー調査会基本政策分科会
(http://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/)
┣長期エネルギー需給見通し小委員会
┣発電コスト検証WG
┗電力需給検証小委員会
(http://www.meti.go.jp/committee/gizi_8/18.html#denryoku_jukyu)
┗電力システム改革貫徹のための政策小委員会
(http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/kihonseisaku/denryoku_system_kaikaku/001_haifu.html)
┗エネルギー情勢懇談会
(http://www.enecho.meti.go.jp/committee/studygroup/#ene_situation)
┗使用済燃料対策推進会議
(http://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/shiyozumi_nenryo/index.html)

■原子力規制委員会
(https://www.nsr.go.jp/)
┗◆【New】原子力規制委員会
(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/kisei/index.html)
┣合同審査会(原子炉安全専門審査会・核燃料安全専門審査会)
(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/roanshin_kakunen/index.html)
┣放射線審議会
(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/houshasen/index.html)
┣国立研究開発法人審議会
(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/nrda/nrda/index.html)
┣量子科学技術研究開発機構部会
(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/nrda/nirs/index.html)
┣日本原子力研究開発機構部会
(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/nrda/jaea/index.html)
┣原子力規制委員会政策評価懇談会
(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/yuushikisya/seihyou_kondan/index.html)
┗原子力規制委員会行政事業レビューに係る外部有識者会合
(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/yuushikisya/gyousei_gaibu/index.html)
┗原子炉安全専門審査会 原子炉火山部会
(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/roanshin_kazan/00000002.html)

■文部科学省
┗原子力科学技術委員会
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/055/index.htm)
┣原子力人材育成作業部会
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/079/index.htm)
┣核融合研究作業部会
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/056/index.htm)
┣核不拡散・核セキュリティ作業部会
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/076/index.htm)
┣原子力施設廃止措置等作業部会
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/088/index.htm)
┗研究施設等廃棄物作業部会
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/057/index.htm)
┗核融合科学技術委員会
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/074/index.htm)
┗原型炉開発総合戦略タスクフォース
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/078/index.htm)
┗調査研究協力者会議等(研究開発)
┗「もんじゅ」廃止措置評価専門家会合
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/kaihatu/022/index.htm)

■復興庁
┣福島12市町村の将来像に関する有識者検討会
(http://www.reconstruction.go.jp/topics/main-cat1/sub-cat1-4/20141226184251.html)
┗原子力災害からの福島復興再生協議会
(http://www.reconstruction.go.jp/topics/000818.html)

■環境省
┗東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議
(https://www.env.go.jp/chemi/rhm/conf/conf01.html)

■厚生労働省
┗薬事・食品衛生審議会(食品衛生分科会放射性物質対策部会)
(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-yakuji.html?tid=127896)


●次号配信は、2019年3月22日(金)午後の予定です。
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発行者:内閣府原子力政策担当室(原子力委員会事務局)
原子力委員会:岡 芳明委員長、佐野 利男委員、中西 友子委員
○メルマガへの御意見・御感想はこちらへ(お寄せいただいた御意見に対しては、
原則として回答致しませんが、今後の原子力委員会の業務の参考とさせていただ
きます。)
https://form.cao.go.jp/aec/opinion-0017.html
○配信希望、アドレス変更、配信停止などはこちらへ
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/melmaga/index.htm
○原子力委員会ホームページ  http://www.aec.go.jp/
○このメールアドレスは発信専用のため、御返信いただけません。
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