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第227号 スリーマイル島原子力発電所事故以降の米国の安全性と経済性の向上

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ No.227 ━━━━━
    @mieru(あっとみえる) 原子力委員会メールマガジン
             2017年8月18日号
   ☆★☆ めざせ! 信頼のプロフェッショナル!! ☆★☆
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┏ 目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┣ 委員からひとこと
┣ 会議情報
┃  (8月1日)
┃   ・アジア原子力協力フォーラム(FNCA)第18回上級行政官会合の結
┃    果報告について
┃   ・我が国のプルトニウム管理状況について 
┣ 原子力関係行政情報
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━・・・━━ 委員からひとこと ━・・・━━・・・━━・・・━━・・・

スリーマイル島原子力発電所事故以降の米国の安全性と経済性の向上
                               岡 芳明

 安全確保を前提とした軽水炉の稼働率向上と長期利用によって、国民に安全
で安価な原子力の利点を認識してもらえるよう、原子力関係者が努力すること
が、今後の日本の原子力利用にとって重要と考える。それには、米国がスリー
マイル島原子力発電所2号機(TMI2)の事故後に行った改善が参考になる。

 1979年TMI2で炉心溶融事故が発生した後、米国は原子力事業者と国が自主的
安全性向上と規制の改善に努力し、1989年からの10年間で発電電力量が約50%
増加し、事故などの重要事象発生頻度が約30分の1に低下している【参考1】。

 このデータは、安全性の向上と経済性の向上が両立することが可能であるこ
とを示している。軽水炉の基数が増えない状況で、発電電力量の増加が稼働率
の向上、運転期間の延長、出力増強によってなされている。特に顕著なのは稼
働率の向上で、TMI2事故前は60%台だったが90%台に改善されている。

 この期間、米国では、電力自由化の影響により、新規軽水炉の建設や運転開
始は少なく、軽水炉の総数は約100基でほぼ一定であった。しかし発電電力量
の50%増加は軽水炉の約50基の新規建設に相当する。

 原子力発電所は、建設費が大きく燃料費は小さいので、稼働率の向上は発電
コスト低減に大きく寄与する。これらの結果、原子力発電の経費は安価であり、
米国では原子力に対する国民の支持も高い。

 米国の電力会社はTMI2事故後、原子力発電運転協会(INPO)を設立し、運転
経験・トラブル経験を集めてお互いに利用し、他のプラントでの過ちや経験か
ら学ぶとともに、INPOが原子力発電所運転管理のレビューを行い、劣悪な運転
や管理を行った電力会社には改善を促した。これは自主的安全性向上の活動と
呼ばれている。

 米国原子力規制委員会も規制の改善に努力するとともに、細かいトラブルは
取り締まるのではなく、電力会社の改善を奨励する活動を展開した。
ROP(Reactor Oversight Process)とかRisk-informed/
performance -based regulation などの標語が使われている。

 日本でも東電福島原発事故後に自主的安全性向上に係る組織として一般社団
法人原子力安全推進協会(JANSI)が設立され、米国と類似の活動が行われて
おり規制の改善も進められている。

 なお、米国でも規制の改善が一気に行われたのではなく、TMI2事故後に、細
かい規制強化、取り締まり型の規制が行われた。当時の米国原子力学会の会合
で、「書類つくりばかりだ」との不満の声を聞いたことがある。その後、規制
側と産業界の意見交換や連邦議会の委員会での意見聴取などを通じて改善が図
られている。発電電力量増加や重要事象(事故)率低下の効果が現れたのはTM
I2事故後10年経過してからである。

 日本の稼働率を約70%から約90%へ向上するには、定期検査間隔を約13か月
毎から約18か月毎あるいは約24か月毎に変更するだけでは達成できない。2010
年のデータでは定期検査での平均停止日数が米国の約38日に対し日本は約140
日、運転期間中に停止した場合の停止日数が米国は約4.7日に対し日本は約34
日となっており、停止日数の改善も必要である【参考2】。

 日本での停止日数の改善には、自主的安全性向上と規制の改善のみならず、
国民や地元自治体の理解や信頼が関係する。これは日本特有の事情である。根
拠情報や政策情報を作成し公開することが、国民や地元の理解や信頼を得るた
めの第一歩として必要と考える【参考3,4】。そのためには、政策情報をわか
りやすく簡潔に作成し提供することも重要である。

 米国では原子力産業団体による組織的なコミュニケーション活動が行われて
いる。

 米国では原子力規制委員会のHPにある情報が、インターネットの検索性にも
優れ、安全に関する国民の理解に役立っている。米国では原子力利用の説明は
産業界、安全の説明は原子力規制委員会と、役割分担がなされている。

 細かいトラブルまですべて取り締まることは、自主的安全性向上や性能ベー
ス規制の考え方に反するのみならず、これらの改善活動への注力を阻害し、結
果的に電気料金を通じて国民負担が増大し、安全性も向上しない。このことは
1990年代以降、炉内構造物のひび割れや検査記録問題などの取り締まりとその
対応に国も事業者も労力を消費し、東電福島原発事故を防げなかったことが証
明していると考える必要はないだろうか。

 海外とのベンチマークは、こうした問題の解決策を考えるよい方策である。
米国やフランスでの大きな事象につながらないトラブルの規制や事業者の扱い
がどうなっているかを調べて開示するとともに、日本の安全確保の考え方と比
較し、報告書を作って、それをもとに原子力関係者が規制側と対話するとよい
のではないか。放射線被ばくの健康影響は人種によって差があるわけではない。

 基準値以上の放射性物質が環境に放出される過酷事故の発生を防止し、その
影響を低減することが国民の安全確保であるとの考え方のもとで米国原子力規
制委員会の研修資料は作られ、そのための研修が行われている【参考5】。

 米国では細かいトラブルと過酷事故の関係を規制にあたる検査官が理解する
よう研修が行われている。事業者側にはそのような過酷事故を生じさせないこ
とが、安全確保のみならず事業経営にとって必須であるとの考えが徹底してい
る。

 細かいトラブルを公開するかどうかは、電気事業者が決めることである。こ
れを国が電気事業者に強制する、あるいは行政が勝手に忖度すると、電気事業
者が国に依存し、自主的安全性向上が進まない。電気事業は民間事業である、
安全確保は経営であり、個人と組織の工夫を活かすのが良いとの教訓を米国の
事例から学ぶ必要がある。国際的なリスクマネジメントの考え方もそうなって
いる。

 日本でも米国のように安全性の向上と経済性の向上とが両立することを期待
したい。

参考1 「参考資料」、平成29年第18回原子力委員会資料第1-3号 41ページ
    平成29年4月26日
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2017/siryo18/siryo1-3.pdf
参考2 藤江孝夫 「設備利用率向上への取り組みに向けた提言」 資源エネ
    ルギー庁第22回原子力部会資料5、平成22年3月5日
http://www.meti.go.jp/committee/materials2/downloadfiles/g100305a06j.pdf
参考3 「理解の深化〜根拠に基づく情報体系の整備について〜」、平成28年
    第36回原子力委員会定例会議資料第2-1号、平成28年11月8日
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2016/siryo36/siryo2-1.pdf
参考4 「理解の深化〜根拠に基づく情報体系の整備について〜見解」、平成2
    8年第38回原子力委員会定例会議資料、平成28年12月1日
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/about/kettei/161201.pdf
参考5 岡 芳明「過酷事故の防止と影響低減に焦点をあてた安全の理解と研
    究開発・人材育成」原子力委員会メールマガジン2017年2月10日号
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/melmaga/2017-0215.html

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━・・・━━ 会議情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━・
●原子力委員会の会議を傍聴にいらっしゃいませんか。会議は霞ヶ関周辺で開
 催しており、どなたでも傍聴できます。開催案内や配布資料は、すべて原子
 力委員会ウェブサイト(以下URL)で御覧いただけます。
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/index.htm

●8月1日(火)の会議の概要は以下のとおりです。詳しくはウェブサイトに
掲載される議事録を御覧ください。

【議題1】アジア原子力協力フォーラム(FNCA)第18回上級行政官会合
の結果報告について
<主なやりとり等>
 7月19日から20日に開催されました、アジア原子力協力フォーラム(F
NCA)第18回上級行政官会合の結果概要について、事務局よりご報告を行
い、質疑を行いました。

【議題2】我が国のプルトニウム管理状況について
<主なやりとり等>
 我が国のプルトニウム管理状況について、事務局より説明を行い、その後、
質疑を行いました。委員からはプルトニウムの量の変化や諸外国との関係等に
関する質問や意見等がありました。

●次回の委員会開催については、以下の開催案内から御確認ください。
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/topic/kaisai.htm

━・・・━━ 原子力関係行政情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・
 原子力関係の他の行政における委員会等のリンク情報は以下のとおりです。
直近で開催された委員会等がある場合には、◆【New】マークを付けておりま
す。

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■首相官邸
 ┣原子力防災会議
 ┃(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/genshiryoku_bousai/ )
 ┣原子力災害対策本部
 ┃(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/genshiryoku/ )
 ┗原子力立地会議
  (http://www.kantei.go.jp/jp/singi/index/gensiryoku/ )

■内閣官房
 ┣原子力関係閣僚会議
 ┃(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/genshiryoku_kakuryo_kaigi/ )
 ┣最終処分関係閣僚会議
 ┃(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/saisyu_syobun_kaigi/ )
 ┗原子力損害賠償制度の見直しに関する副大臣等会議
 (http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/genshiryoku_songaibaisho/index.html )

■経済産業省
 ┣東京電力改革・1F問題委員会
 ┗高速炉開発会議
 (http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/energy_environment.html )

■資源エネルギー庁
 ┣総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会
 ┃┃(http://www.meti.go.jp/committee/gizi_8/21.html )
 ┃┣原子力小委員会
 ┃┃┣自主的安全性向上・技術・人材WG
 ┃┃┣放射性廃棄物WG
 ┃┃┣地層処分技術WG
 ┃┃┗原子力事業環境整備検討専門WG
 ┃┗電力基本政策小委員会
 ┗総合資源エネルギー調査会基本政策分科会
  ┃(http://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/ )
  ┗◆【New】基本政策分科会
   ┣長期エネルギー需給見通し小委員会
   ┣発電コスト検証WG
   ┣電力需給検証小委員会
   ┃(http://www.meti.go.jp/committee/gizi_8/18.html#denryoku_jukyu )
   ┗電力システム改革貫徹のための政策小委員会
    (http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/kihonseisaku
     /denryoku_system_kaikaku/001_haifu.html)

■原子力規制委員会
 ┗◆【New】原子力規制委員会
  ┃(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/kisei/index.html )
  ┣◆【New】合同審査会(原子炉安全専門審査会・核燃料安全専門審査会)
  ┃(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/roanshin_kakunen/index.html )
  ┣放射線審議会
  ┃(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/houshasen/index.html )
  ┣国立研究開発法人審議会
  ┃(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/nrda/nrda/index.html )
  ┣量子科学技術研究開発機構部会
  ┃(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/nrda/nirs/index.html )
  ┣◆【New】日本原子力研究開発機構部会
  ┃(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/nrda/jaea/index.html )
  ┣原子力規制委員会政策評価懇談会
  ┃(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/yuushikisya/seihyou_kondan/index.html )
  ┣帰還に向けた安全・安心対策に関する検討チーム
  ┃(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/yuushikisya/kikan_kentou/index.html )
  ┣原子力規制委員会行政事業レビューに係る外部有識者会合
  ┃(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/yuushikisya/gyousei_gaibu/index.html )
  ┗原子炉安全専門審査会 原子炉火山部会
   (https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/roanshin_kazan/00000002.html )

■文部科学省
 ┣原子力科学技術委員会
 ┃┃(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/055/index.htm )
 ┃┣原子力人材育成作業部会
 ┃┃(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/079/index.htm )
 ┃┣核融合研究作業部会
 ┃┃(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/056/index.htm )
 ┃┣核不拡散・核セキュリティ作業部会
 ┃┃(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/076/index.htm )
 ┃┗研究施設等廃棄物作業部会
 ┃(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/057/index.htm )
 ┣核融合科学技術委員会
 ┃┃(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/074/index.htm )
 ┃┗原型炉開発総合戦略タスクフォース
 ┃ (http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/078/index.htm )
 ┗調査研究協力者会議等(研究開発)
  ┗もんじゅの在り方に関する検討会
   (http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/kaihatu/019/index.htm)

■復興庁
 ┣福島12市町村の将来像に関する有識者検討会
 ┃(http://www.reconstruction.go.jp/topics/main-cat1/sub-cat1-4/20141226184251.html )
 ┗◆【New】原子力災害からの福島復興再生協議会
 (http://www.reconstruction.go.jp/topics/000818.html )

■環境省
 ┗東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関す
  る専門家会議
 (https://www.env.go.jp/chemi/rhm/conf/conf01.html )

■厚生労働省
 ┗薬事・食品衛生審議会(食品衛生分科会放射性物質対策部会)
 (http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-yakuji.html?tid=127896 )

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●次号配信は、平成29年9月1日(金)午後の予定です。

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発行者:内閣府原子力政策担当室(原子力委員会事務局)
原子力委員会:岡 芳明委員長、阿部 信泰委員、中西 友子委員
○メルマガへの御意見・御感想はこちらへ(お寄せ頂いた御意見に対しては、
原則として回答致しませんが、今後の原子力委員会の業務の参考とさせていた
だきます。)
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