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第161号 原子力委員会メールマガジン 「原子力:7つの常識と3つの非・常識」(その4)

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    @mieru(あっとみえる) 原子力委員会メールマガジン
             2014年10月31日号
   ☆★☆ めざせ! 信頼のプロフェッショナル!! ☆★☆
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┏ 目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┣ 委員からひとこと 「原子力:7つの常識と3つの非・常識」(その4)
┣ 会議情報 
┃  (10月28日)
┃   ・日本原子力研究開発機構改革について
┃   ・国際原子力エネルギー協力フレームワーク(IFNEC)第5回執
┃    行委員会会合結果について
┃   ・岡原子力委員会委員長の海外出張について
┣ 事務局だより 棚田の灯
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━・・・━ 委員からひとこと ━・・・━━・・・━━・・・━━・・・

「原子力:7つの常識と3つの非・常識」(その4)

                              阿部 信泰
                              
 前回(9月11日)に続きまして今回は常識の4について考えてみたいと思いま
す。

 常識の4番目「発電という基本部分について言えば原発は二酸化炭素を出さ
ないので、地球温暖化阻止に役立つ。」

 原子力発電はウランの核分裂によって出るエネルギーを使って発電しますの
で、核分裂による放射線と核分裂物質(ヨウ素、セシウム、ストロンチウムな
どで多くは放射性)が出ますが、炭素・水素の燃焼の際に出る熱を使って発電
する石炭・石油・天然ガスなどの化石燃料と違って炭酸ガスは出しません。炭
酸ガスは今、心配されている地球温暖化の主要原因(実は単位当たりの温暖化
効果という意味ではメタンガスの方が悪者なのですが、)1と言われていて、
その排出抑止が地球環境会議の緊急課題になっています。

1メタンガスの方が炭酸ガスよりも大気中の残存期間は短いのですが、それでも米国の
環境保護庁によると温暖化効果は炭酸ガスの20倍と言われます。

 ここまで申し上げると原発慎重派・批判派の方々からは原発を稼働するため
には、まずウラン鉱石を採掘し、それを精製した後、濃縮・燃料加工し、さら
に原子力発電所を建設しなければならず、各々の過程での輸送も含めて大量の
エネルギーをガソリン・電力などの形で使うので、炭酸ガスを大量に発生して
いるという指摘がなされます。

 しかし、同じような手順は石炭を掘って火力発電所を建設して発電するとき
にも必要になりますので、その分はあまり違わないと考えるとやはり原子力発
電の方が炭酸ガス排出は少ないと言えるでしょう。実際は、石炭・石油・天然
ガスいずれも相当大きな量を大型タンカーなどで運ばなければなりませんので、
中型船1〜2回で済む核燃料とはそれだけでも大きく違います。様々な発電技術
について各々のライフサイクルを通して出される炭酸ガス量について各種研究
機関などが計算したものの比較表がここにあります。

電源別地球温暖化効果比較した表

 どういうわけかこのIPCCの表には原油に関する数字がありません。別の類似
の比較研究から類推しますと原油は664gぐらいになります。石炭が最も温暖化
効果が大きく、炭素だけでなく水素も燃やす天然ガスはそれよりは大分よく、
石油がその中間というのは大体想像のとおりかと思います。下に作ったグラフ
から歴然ですが、石炭・石油・天然ガスの化石燃料が断然温暖化効果が大きく、
他の再生可能エネルギーと原子力はほとんどどんぐりの背比べという感じです。
したがって、これらについては、残りは価格と供給安定性その他の勝負という
ところでしょうか。

 もう一つ。ここでは石炭と同じく基本的に炭素を燃やしてエネルギーを作る
(発電する)バイオマスが出す炭酸ガスが化石燃料の半分ぐらいになっていま
す。これはバイオマスが成長するときに炭素同化作用で吸収した炭酸ガスを引
き算しているためです。IPCCではこのような計算をしていますが、私は少し違
う考えで、元々、成長したバイオマスは食用にすれば有効な人間のエネルギー
源になり、使えない部分は放って置けば炭素として残って炭酸ガスを出さずに
済むのにそれを燃やして同じ炭酸ガスを出しておきながら、引き算して優遇す
るのは何か恣意的な感じがします。

中程度の技術の数字をグラフ化

 ここまで来ると「そうだ。原子力の場合は放射性廃棄物というやっかいなも
のが出てその処理に膨大な費用と時間がかかるし、一旦、大事故が起こればそ
の経費は東電を倒産寸前に追い込むほどだ。」とおっしゃる向きが出て来られ
るかと思います。そこは正に5番目の常識、「使用済み燃料の累積的な処理費
用と重大事故があった場合の対策費用を度外視すれば原子力は最も安価な発電
方法の一つだ。」の問題ですので、次回で取り上げたいと思います。

 次に前回の寄稿の後、次のようなコメントをいただきました。


  「原爆被爆生存者の低線量被曝群における発がんリスクに関して興味
 深く拝見いたしました。それに関するコメントをお送り致します。
 
  原爆被爆生存者についての、固形癌発症リスクに関する調査では、癌
 の発生部位によって大きく異なり、低線量でリスクの増加が認められる
 もの、全く認められないものがあることが明らかにされています。1).
 被曝線量が0.5Sv未満の約5万人の調査では、100mSv未満の線量群(平均
 29mSv)で、全固形がん発症率が統計学的に有意に増加することが示され
 2)、固形がん死亡率でも、平均被曝線量34mSv(5〜125mSv範囲)群で、
 5mSv未満の群に比べて統計学的に有意な増加が示されています.3)この
 ようにがんのリスクを論じるには、癌の発生部位別、固形癌全体、罹患
 率(発症率)、死亡率を明確にしないと、統計学的に有意かどうかが異
 なることは明らかです。この時には、リスクが統計学的に有意かどうか
 の2者択一だけでなく、調べる線量範囲区分(平均と範囲)、過剰相対
 リスクか過剰絶対リスクの大きさ、その信頼区間も同時に示すことが、
 その議論が何を問題にしているのかを明確にするために必要と思いま
 す。」


 これらの数値は、現在でも実証的な放射線被ばくの健康被害の基礎データと
なっている原爆被爆生存者の低い(放射)線量での発がんリスクに関するもの
です。「低い線量」と述べましたが、こうした研究の結果、ある程度以下の低
い線量(例:100ミリ・シーベルト以下)では放射線の影響が統計学的に意味
のある違いを示さなくなると言われています。しかし、実際にはさらに安全サ
イドを取って原子力施設で働く人では年間20ミリ・シーベルトを超えないよう
にといった基準があります。これがさらにコメントにありますように浴びる放
射線の種類、発生するがんの部位(どの臓器・組織か)によってバラつきが大
きく、年齢などによっても異なるので、複雑になります。東電福島事故の後、
放射線量の高かった飯舘村でも事故直後で年間30ミリ・シーベルト前後ですか
ら、周辺市町村については無害とは言えないけれども極めて危険とも言えない。
しかし、安全・安心を考えれば少ないに越したことはないというわけで、帰る
べきか、帰らざるべきか、どうするか悩みどころなわけです。安心かどうかと
なるとかなり一人一人の感受性の問題で、そこも含めて親切にきめ細かく対応
する必要があると思います。

 最後に緊急時の食品の摂取制限あるいは食品の放射線量の基準の問題が前回
からの宿題として残っています。食品中の放射性物質に関する基準については、
東電福島事故の後すぐに「暫定基準値」というものが発表されました。これが
下の表の左側の数値で、当時、原子力安全委員会が「原子力災害時における飲
食物摂取制限に関する指標」として定めていたものを食品衛生法上の暫定基準
値として定めました。

原子力災害時における飲食物摂取制限に関する指標した表

 これらは基本的にICRC(国際放射線防護委員会)が緊急時に人々を放射線の
健康被害から守るために介入すべきレベルとして定めた年間5〜10ミリ・シー
ベルトを基に算定した値でした。この警告レベルとも言うべきシーベルトの値
から典型的な食生活を想定して食品から摂取されるであろう放射性物質を計算
して個々の食品毎にキログラム当たり何ベクレルという数値が定められました。
実際に摂取する食べ物は人により、年齢によりかなり違うので大変な作業です。
水の方が他の食品より低く定められているのは、水はたくさん飲むからです。
つまり少ない量を食べるものは単位当たりの放射性物質の基準が少し高くても
よいということになります。

 日本では、これからまもなくして食品の基準値がより厳しくなりました。上
の表の右側の数値です。本来、緊急時・災害時に許容される水準を定めたもの
なので、事態が平静に戻りつつあるときにはより厳格にした方がよいと言えま
す。これはWHO(世界保健機関)とFAO(国連食糧・農業機関)が定めた国際食
品基準(CODEX)に基づいて一人が1年間に食品からの放射線の量が1ミリ・シー
ベルトを越えないように定めたものから出した数値ですが、CODEXより大分き
つくなっています。最初に暫定値を定めたものの消費者の福島産食品の買い控
えが続いたので、安心のためにもっと厳しくしたという見方もあります。国際
的には日本は厳しくし過ぎだという見方もあるようです。

 ところで、バナナはカリウムを多く含む食品でカリウムは体中の塩分を出す
効果があるというので、高血圧対策として私もよく食べていますが、カリウム
の中には天然の放射性同位体が含まれていてバナナを食べると放射線に「被曝」
します。でも1本食べて0.1マイクロ・シーベルトと言いますから、許容量の年
間1ミリ・シーベルトに達するためには年間1万本、毎日27本ずつ食べないとな
りません!

●次号は中西委員からのひとことです!

━・・・━━ 会議情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━・
●原子力委員会の会議を傍聴にいらっしゃいませんか。会議は原則として霞ヶ
関にある合同庁舎8号館で開催しており、どなたでも傍聴できます。開催案内
や配布資料は、すべて原子力委員会ウェブサイトで御覧いただけます。

●10月28日(火)の会議の概要は以下のとおりでした。詳しくはウェブサイトに
掲載される議事録を御覧ください。
【議題1】日本原子力研究開発機構改革について
<主なやりとり等>
 独立行政法人日本原子力研究開発機構より、集中改革の成果と今後の対応の
概要について説明があり、委員からは、自主改善が大事であり、そこに期待し
たいとの意見等がありました。

【議題2】国際原子力エネルギー協力フレームワーク(IFNEC)第5回執
行委員会会合結果について
<主なやりとり等>
 内閣府中西審議官より、10月17日に韓国・ソウルにて開催された、国際原子
力エネルギー協力フレームワーク(IFNEC)第5回執行委員会会合の結果
について説明があり、続いて、岡委員長より、会議のマージンで行われた関係
者との意見交換の概要等の説明がありました。委員からは、原子力発電所輸出
に係るプロジェクトファイナンス等の各国の競争条件について、質問がありま
した。

【議題3】岡原子力委員会委員長の海外出張について
<主なやりとり等>
 岡原子力委員会委員長は、11月2日から5日にかけて、フランス・パリを訪問
し、第21回日仏原子力専門家会合(N-20)に出席、会合に出席する原子力関
係者との意見交換を行う予定です。

※資料等は以下のURLで御覧いただけます。
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/index.htm

●次回は11月7日(金)に会議を開催する予定です。詳しくは、以下の開催案内
を御覧ください。
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/topic/kaisai.htm

+-+-+-+-+-+-+ 事務局だより +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+

棚田の灯

 26日の日曜日に、棚田の夕景を見物してきました。
 今国会の総理大臣の施政方針演説でも、「息を飲むほど美しい棚田の風景、
伝統ある文化。若者たちが、こうした美しい故郷を守り、未来に「希望」を持
てる「強い農業」を創ってまいります。」と言及されていますが、「息を飲む
ほど」という形容がまさにふさわしい美しさでした。「日本の棚田百選」が農
林水産省に認定されるなど、日本各地で棚田を観光資源とする動きが広がるの
も理解できます。
 私が見てきたのは千葉の棚田ですが、ここでも、今話題のLEDが使われて
います。日中は太陽光発電で蓄電、暗くなると自動的に点灯、4時間後に消え
る。環境に優しく手間もかからないのが売りだそうです。伝統と科学技術の融
合により、環境に優しい観光資源が誕生し、人々の心が豊かになるとすれば、
良いことづくめといえます。
 1963年10月26日は、日本で初めて原子の火が灯った日で、これを記念して10
月26日は「原子力の日」となりました。たまたま自分の生れ年でもあり、私と
しては、原子力の日には一種の思い入れがあるのですが、51年前のこの日は、
確かに、多くの人々に原子の火が歓迎され、まさに希望の灯でした。LEDの
灯を見ながら、原子の火もこうした輝きを取り戻せることを願い、やや感傷的
な気分に浸りつつ棚田を後にしました。

(板倉)

●次号配信は、平成26年11月14日(金)午後の予定です。

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発行者:内閣府原子力政策担当室(原子力委員会事務局)
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○原子力委員会ホームページ  http://www.aec.go.jp/
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