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第158号 原子力委員会メールマガジン 「原子力:7つの常識と3つの非・常識」(その3)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ No.158 ━━━━━
    @mieru(あっとみえる) 原子力委員会メールマガジン
             2014年9月12日号
   ☆★☆ めざせ! 信頼のプロフェッショナル!! ☆★☆
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏ 目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┣ 委員からひとこと 「原子力:7つの常識と3つの非・常識」(その3)
┣ 会議情報 
┃  (9月2日)
┃   ・立地地域におけるステークホルダー参加−海外事例を中心に
┃   ・アジア原子力協力フォーラム(FNCA)「原子力発電のための基盤整備
┃    に向けた取組に関する検討パネル」第6回会合の結果概要について
┃  (9月9日)
┃   ・平成27年度原子力関係経費概算要求額(速報)について
┃   ・平成27年度原子力関係経費ヒアリング(原子力委員会、外務省、
┃    文部科学省)
┣ 事務局だより ダムと合意形成
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━・・・━ 委員からひとこと ━・・・━━・・・━━・・・━━・・・

「原子力:7つの常識と3つの非・常識」(その3)

                              阿部 信泰

 前回(7月25日)は常識の1番目と2番目を取り上げましたので、今回は常
識の3について考えてみたいと思います。

 常識の3番目「放射能は半減期で減っていく。物理の法則なのでこれを早く
することも遅くすることもできないが、放射性物質の場所を変える(除染)こ
とはできる。」

 東電福島第一の事故で放出された主な放射性物質として、ヨウ素、セシウム、
ストロンチウムが上げられます。ヨウ素は甲状腺に吸収されて甲状腺がんを引
き起こすと恐れられていますが、ヨウ素131の半減期は8日なので、急速に減
衰します。80日経てば当初の1,000分の1になる計算になります。それだけに
放射性物質が放出された直後にどうやって摂取しないようにするかが鍵となる
ので、ヨウ素剤の有用性が言われるゆえんです。

 次に問題となるのが、セシウム137で半減期が30年と長いので減衰するのを
待っているというわけにいきません。1世紀経っても当初の10分の1ぐらいに
しかなりませんので、当初それなりの量が蓄積していると無視できません。地
上に降ったセシウムがどのように土壌に浸透し、どのように土壌粒に付着し、
植物に吸収され、食物に入るかについては原子力委員会の同僚の中西友子先生
が専門ですので詳細は先生に譲るとして、食物として摂取されたセシウムが人
体にどのような影響を及ぼし、どのような疾患の原因になるかについてはヨウ
素の場合のようにはっきりしたデータはまだ出ていないようです。

 しかし、安全サイドを取れば、できるだけセシウム137から出る放射能に対
外被曝する量を減らし、体内摂取する量も少なくすることが望ましいと言えま
す。これについても自然に浴びる放射線の量(色々説がありますが、日本では
平均年間1〜2ミリ・シーベルト前後と言われます。)前後であれば問題にし
なくていいという意見、体内摂取についてもバナナを食べても摂取しているの
で、その程度であれば問題にすべきではないという意見があります。ただ、大
人であれば放射性物質が溜まりそうな低地・窪地・溝などに近づかないという
注意ができますが、外で遊び回る小さい子にはできないし、年齢が低いほど放
射線への感受性が高いと言われますのでやっかいです。科学的にはそうかもし
れないが、最大限危険にさらしたくないという親心をむやみに跳ねつけること
はできません。

 そこで除染ということになるのですが、将来的に放射性物質の元素を転換し
て放射性物質を減らしでもしない限り、放射性物質は物理の法則に基づいて決
まった年月でしか半減しません。除染するということは放射性物質を無くすわ
けではなく、どこか別のところに片寄せるということです。次にはそれをどこ
か無害なところに隔離して置く、つまり中間貯蔵するということになります。

 最後にストロンチウム90ですが、放出される量としてはセシウムより少なく、
固形化するのが早いのでそんなに遠くまでは飛ばないと言われます。しかし、
カルシウムと化学的に似た性質なので、体内に吸収されると骨に吸収され、そ
こで悪さ(最悪、骨ガン)をするので気を付けないといけません。半減期はセ
シウム137と似た29年と長いので、除染しないと長く周辺環境に留まることに
なります。現在、地球上では広範にごく微量の放射性ストロンチウムが検出さ
れますが、これは各国が大気圏内で核実験をしていた時代の名残りだと言われ
ています。

 次に前回の寄稿の後、何人かの方からコメントをいただきました。一つ目は
以下のとおりです。


   「『絶対安全でなければならない』は安全神話用のキーワードと
  して危機感を感じます。

   議員(引用者注:委員と思われます)の方からは絶対安全で原子
  力委員会(引用者注:原子力規制委員会と思われます)からは基準
  クリアで出ていたと思いましたが、議員(引用者注:委員と思われ
  ます)の方の言葉を修正された方が変な誤解で盛り上がらなくて良
  さそうに思えました。

   基準に問題がある様なら委員会に振れるでも良いのではないで
  しょうか?

   蒸気機関は静岡では『機関車トーマス』になって最近は盛り上
  がっています。

   『何の見返りもない』というのは疑問なのですが税金による地域
  振興や箱物、雇用等での見返りがあったのではないでしょうか?

   出来れば最初から余分な物にコスト掛けるよりは建設的に遠距離
  避難までは行かないまでも核関係の教育・研究や避難訓練やその他
  エネルギー開発は必要に思いました。

   ただこれらは安全神話により止められていたかもしれません。

   放射能ゼロは確かに無さそうなので災害前の空間線量等に戻すと
  か国内外含め原発が無い地域の値にして行くというのが妥当に思え
  ました。

   対象にする値の測定等をする場合には内緒でやるよりオープンで
  地域の反対者と値測定とか確定しに行く方が良いのではないでしょ
  うか?

   隣国もですが核保有国による核実験が無ければ放射能ゼロもある
  のだろうか?とは思いました。」


 「『何の見返りもない』というのは疑問なのですが税金による地域振興や箱
物、雇用等での見返りがあったのではないでしょうか?」というご指摘につい
ては、確かにこれまで、原発の立地自治体に対して幾つかの便益が提供されて
きていましたが、2011年のような深刻な事故が起きると直近の自治体だけでは
なく相当広範な地域に影響が及ぶことが分かりました。そうした場所に住む方
々はそれまで何の便益も受けていませんでした。これが現在、原発再稼働に対
して少し距離の離れた周辺自治体から異議が提起されている理由に思われます。

 次に以下のようなコメントをいただきました。


   「阿部信泰委員の第155号原子力委員会メールマガジン中にある放
  射線の健康影響に関する記述に誤りが見受けられました。国際放射
  線防護委員会(ICRP)の勧告では、100ミリシーベルトの被ばくに
  よって増加する生涯がん死亡リスクは約0.5%とされています。また、
  放射線影響研究所(RERF)の最新の論文(寿命調査第14報)では、
  がんリスクの上昇が見られる最小線量は200ミリシーベルトです。」


 ご指摘のとおり100ミリ・シーベルトの被ばく線量増加によるがん死亡リ
スクの増加は0.55%が正しく、お詫びして訂正申し上げます。ご指摘の放射
線影響研究所の最新の論文でも1シーベルトで5.5%増加するとされ、直線的
に増加するとすると100ミリ・シーベルトで0.55%になるわけです。この論
文では放射線被ばくによるがん発生率の増加が見られる最低の領域は0.2グ
レー(200ミリ・シーベルト)だとされています。これまでの多くの文献は
この分かれ目を100ミリ・シーベルトだとしてきましたが、そもそも世界の
放射線影響の研究論文は広島・長崎の被爆者の診療結果から導き出されてい
ますので、今後、国際的にあたらしい見解が出てくるかもしれません。

 もう一人の方からは大変専門的なご指摘を幾つかいただきました。まず、こ
の100ミリ・シーベルト毎にがん死亡リスクが0.55%増加するという直線的関
係は比較的低い放射線被ばく(低線量率)に適用されることを明記すべきだと
いうご指摘がありました。低線量率とは放射線の影響に関する国連委員会の定
義で0.2シーベルト以下と定義されていますが、資料を見ると2シーベルトま
で直線的に増加していますので、逆に言うとここでは実際的に直線仮説が適用
される範囲と考えてよいかと思います。

 次にご指摘いただいたのは過剰相対リスクと過剰絶対リスクの区別を明らか
にして説明すべきだという点です。確かに0.55%増加すると言われてもよく分
からないかもしれません。要するに大体200人に1人がんで死亡する人が増え
るということです。日本では一生の間に2人に1人ががんにかかり、3人に1人
ががんで死ぬと言われています。200人だと67人ががんで死ぬ計算になります
が、それが68人になるということです。

 「被爆時の年齢が10歳上がる毎にガン発生率が30%ずつ低下するというと
ころまでは異論がないようです。」という記述につきまして、「被ばく年齢に
よる減少傾向は納得いきますが、30%低下という数字の理解が困難です。」と
いう指摘がありました。この30%という数字は私が読んだ一つの文献(以下に
当該部分引用。)から引いたものですが、原典にありますようにこのような被
ばく年齢による減少傾向と逆に当該個人のその後高齢になるにつれてがん罹患
率・死亡率は上がる傾向にありますので、単純には言えないようです。また、
別の文献によるとがんの種類によって被ばく年齢による変化は大きなばらつき
があるようですので、ここでも単純化は誤解を招くと認めざるを得ません。


  “GENERAL NATURE OF SOLID CANCER RISKS

  One of the most important things learned from the RERF 
  investigations is that solid cancer radiation risks persist 
  even 50 years after exposure. An adequate description (16) 
  is that, given sex and age at exposure, an acute radiation 
  exposure increases normal age-specific solid cancer rates by
  a dose-dependent factor throughout life. Averaging over sex 
  and age at exposure, the increase is roughly 10% of normal 
  cancer rates for a dose of 0.20 Sv, the mean dose for 
  survivors within 2.5 km of the hypocenter. More formally, in 
  terms of the relative risk RR-the ratio of age-specific 
  cancer rates for exposed and unexposed persons-the 
  characterization can be expressed as
  
     RR=1+ρ(dosesex exp(γ× age at exposure). (1)
  
  The effectμsex largely serves to offset the sex ratio of 
  about two in normal cancer rates, with the absolute increase
  in cancer rates being about the same for both sexes. The 
  variation with age at exposure amounts to a decrease of about 
  30% for each 10 years in the excess relative risk (RR = 1).
  
  Although the RR as initially defined refers to age-specific 
  rate ratios and is hence a function of age, the formulation 
  in Eq. (1) is constant in attained age for a given age at 
  exposure. It is difficult to distinguish decreases of RR with
  
  age at exposure from decreases with attained age, and an 
  alternative model of form
  
      RR=1+ρ(dosesex exp(attained age) ,   (2)
  
  withδ>0, also describes the data well. Although the 
  relationship of this characterization to plausible biological 
  mechanisms is intriguing, in particular bearing on how excess 
  risk could persist for decades after exposure (22), the 
  former and more conventional model is used here.
  
  These considerations are critical in defining ‘‘radiation 
  dose response’’, since the ‘‘response’’ to a given dose 
  is not simply a number but a pattern of risks depending on 
  sex, age at exposure, and age. In the above formulations, we 
  can consider the function r(dose) as defining the shape of 
  the dose response. As shown by the alternative model in Eq. 
  (2), such a factorization is only an approximation, adequate 
  for many needs but not conducive to extremely precise 
  interpretation. In presenting dose-specific numerical 
  estimates of the RR using Eq. (1), we average with equal 
  weights over sex and take age at exposure as 30 years.” 
  
   (“Radiation-Related Cancer Risks at Low Doses among Atomic
   Bomb Survivors”, Donald A. Pierce1 and Dale L. Preston; 
   2000, Radiation Effects Research Foundation, Hijiyama Park, 
   Hiroshima 732-0815, Japan)


 最後に緊急時の食品の摂取制限あるいは食品の放射線量の基準についてもご
意見がありましたが、ここまででページ数も大分増えてしまいましたので、次
回に取り上げさせていただきます。

●次号は中西委員からのひとことです!

━・・・━━ 会議情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━・
●原子力委員会の会議を傍聴にいらっしゃいませんか。会議は原則として霞ヶ
関にある合同庁舎8号館で開催しており、どなたでも傍聴できます。開催案内
や配布資料は、すべて原子力委員会ウェブサイトで御覧いただけます。

●9月2日(火)の会議の概要は以下のとおりでした。詳しくはウェブサイトに
掲載される議事録を御覧ください。
【議題1】立地地域におけるステークホルダー参加 −海外事例を中心に−
<主なやりとり等>
 一般財団法人 電力中央研究所 社会経済研究所 主任研究員 菅原慎悦氏より、
立地地域におけるステークホルダー参加について、主としてフランス地域情報
委員会(CLI)の事例及び英国サイト・ステークホルダー・グループ(SSG)の
事例の説明があり、委員からは、フランスでは地域情報委員会(CLI)と市民
の信頼関係をいかに構築しているか等について質問がありました。

【議題2】アジア原子力協力フォーラム(FNCA)「原子力発電のための基盤整備
に向けた取組に関する検討パネル」第6回会合の結果概要について
<主なやりとり等>
 事務局より、平成26年8月26日、27日にベトナム・ハノイで開催された、
アジア原子力協力フォーラム(FNCA)「原子力発電のための基盤整備に向けた
取組に関する検討パネル」第6回会合の結果概要の説明があり、委員からは、
各国が原子力協力に期待している点などについて質問がありました。

●9月9日(火)の会議の概要は以下のとおりでした。詳しくはウェブサイトに
掲載される議事録を御覧ください。
【議題1】平成27年度原子力関係経費概算要求額(速報)について
<主なやりとり等>
 事務局より、平成27年度原子力関係経費概算要求額の速報について説明が
ありました。

【議題2】平成27年度原子力関係経費ヒアリング(原子力委員会、外務省、
文部科学省)
<主なやりとり等>
 事務局、外務省、文部科学省より、平成27年度の原子力関係経費の概算要
求の状況について説明があり、委員からは、要求額の増減理由、東京電力福島
第一原子力発電所の事故を受けての基礎・基盤研究の変化等について質問があ
りました。

※資料等は以下のURLで御覧いただけます。
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/index.htm

●次回は9月16日(火)に会議を開催する予定です。詳しくは、以下の開催案内
を御覧ください。
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/topic/kaisai.htm

+-+-+-+-+-+-+ 事務局だより +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+

ダムと合意形成

 数年前、岐阜県飛騨地方・白川郷に観光に行った。
 当時、高速道路が開通して、白川郷まで行きやすくなったと言われていたと
ころであったが、往路、地図上にダムを見つけて、一般道で寄っていくことに
した。
 日本海に注ぐ庄川を堰き止めて作った電源開発の御母衣(みぼろ)ダムで、
砕いた岩を積み上げて作ったロックフィルダムで、とても美しいダムだった。
そして、ダムの麓にあったダムの資料館を見て、その後白川郷で合掌造りの民
家を見て回った。

 資料館で見たダムに沈んだ町のドキュメンタリーの内容が興味深かったため、
帰宅後、ダムとこの地域について色々と調べることにした。

 世界遺産にも登録されて有名になった、白川郷の合掌造りの集落であるが、
かつては、上流側、今のダムの湖底にも合掌造り集落が広がっており、約23
0戸、約1200人の暮らしがあった。そして、ダム建設の計画が持ち上がり、
反対運動が始まった。
 こう書くと、交渉がどれだけ長引いたか・・と想像するかもしれないが、当
時の電源開発総裁高碕達之助、副総裁藤井崇治らも住民の会合に足を運び、約
8年をかけて全世帯との補償交渉が妥結。さらに、反対運動の解散式には、既
に総裁を退いていた高碕も招かれ、さらに、住民の案内で湖底に沈む集落を見
て回ったようだ。

 当時、高度経済成長で電力需要が増えていく中、発電事業者の使命感は相当
なものがあっただろうし、また、故郷を失ってしまうかもしれないという住民
の苦悩は、そのような環境に置かれたことのない人たちの想像を超えるもの
だっただろう。それでも、話し合いを重ね、信頼関係を築くことができたから
こそ、全世帯との交渉を妥結させることができたのではないだろうか。

 それから50年以上が経過し、当時と社会の構造は大きく異なるし、水力と
原子力という違いはあるが、過去の事例にも合意形成の参考となるところが有
るのではないかと思う。

(宮本)

●次号配信は、平成26年9月26日(金)午後の予定です。

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発行者:内閣府原子力政策担当室(原子力委員会事務局)
○メルマガへの御意見・御感想はこちらへ
 https://form.cao.go.jp/aec/opinion-0017.html
○配信希望、アドレス変更、配信停止などはこちらへ
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/melmaga/index.htm
○原子力委員会ホームページ  http://www.aec.go.jp/
○このメールアドレスは発信専用のため、御返信いただけません。
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