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第131号 原子力委員会メールマガジン
エネルギー政策の検討における倫理的考察をめぐって

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ No.131 ━━━━━
    @mieru(あっとみえる) 原子力委員会メールマガジン
             2013年7月19日号
   ☆★☆ めざせ! 信頼のプロフェッショナル!! ☆★☆
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┏ 目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┣ 委員からひとこと エネルギー政策の検討における倫理的考察をめぐって
┣ 会議情報  (7月9日)
┃       ・平成26年度原子力研究、開発及び利用に関する予算要求の
┃        基本方針(経費の見積り基本方針)について
┃       ・近藤原子力委員会委員長の海外出張報告について
┃       (7月17日)
┃       ・平成26年度原子力研究、開発及び利用に関する予算要求の
┃        基本方針(経費の見積り基本方針)について
┃       ・原子力発電をめぐる世論の変化について
┃       ・福島事故後の中国原子力開発について
┃       ・第12回ITER理事会の開催結果について
┣ 事務局だより お客様は神様?
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━・・・━ 委員からひとこと ━・・・━━・・・━━・・・━━・・・

エネルギー政策の検討における倫理的考察をめぐって
                              近藤 駿介

 エネルギー政策の検討の場において「倫理的な考察も踏まえるべし」という
発言がなされることがある。これに対しては、「そうだ、倫理委員会の提言を
受けて原子力発電に依存することを止めることを政府が決定したドイツの例も
ある。専ら倫理的視点から検討し、意見を発するグループを設置してはどう
か」と踏み込む意見がある一方、「その発言は、エネルギー政策論議に参加す
る人の意見が倫理を考慮していないとの判断に基づくと聞こえ、違和感を覚え
る。例えば、安定した電力が安く提供される工夫を求める発言は、倫理規範を
踏まえている」との批判もなされる。たしかに、新しい取組で規範倫理の適用
法に迷う活動分野では、医療倫理や情報倫理と題してそれを明らかにする取組
が行われているが、国の審議会等における政策論議においては、参加者の多数
が審議事項に係る倫理規範に自信が持てないという事でない限り、参加者が規
範倫理の適用の在り方も含めて発言しているとして審議を進めていいのではと、
私は考えている。
 ところが、最近になって、欧州委員会におけるエネルギー研究開発計画の取
りまとめにあたって、欧州委員会委員長が、それがちょうど福島事故が発生し
てドイツで上述のような決定が行われた直後であったことからであったと思わ
れるが、「科学と新技術における倫理に関する欧州グループ(EGE)」に対し
て、「異なるエネルギー技術に関する研究が倫理面において人に与える影響を
研究し、欧州における持続可能なエネルギーミックスに関する議論に貢献する
こと」を求めたことを知った。
 このグループは、1991年に欧州委員会が生物工学に関する政策を決定する際
に倫理的側面に関して専門家の助言を得るために独立の機関として設立した12
人の学識者から構成されるグループが前身であり、1998年にこの名称に改組さ
れ、今日に至っているもので、今日まで27の意見を公表している。審議は非公
開だが、報告公表前に専門家を招いての公開討議をもつことになっており、現
在は、いま話題のセキュリティとサーベイランスの倫理を審議している。
 ところで、この要請に応えてEGEが1年をかけてまとめた「エネルギーの研
究、生産、使用を評価するための倫理的な枠組み」と題する意見は、エネル
ギーは欧州の社会、環境、経済問題に深く係るから、エネルギー問題は、欧州
の憲法とも言うべきリスボン条約を踏まえ、エネルギーへのアクセス権、供給
の安全保障、安全性および持続可能性の4つの基準をバランスよく適用する総
合的なアプローチで検討するべきとしている。これは、我が国のエネルギー政
策基本法の要請とあまり変わらないのではとの感想を持ったが、エネルギー問
題を考える際は、次の4つの視点に立って総合的にとしているところは、さす
が欧州共同体の倫理規範と思わせる。
 1)欧州市民が十分なエネルギーサービスにアクセスできる権利を確保・促
進するとともに、国連のミレニアム目標を踏まえ、エネルギーへのアクセスが
グローバルにも確保されるよう協力するべき。
 2)エネルギー安全保障の確保のため、EUは、持続可能で環境に配慮した方
法で、輸入エネルギー源を使う脆弱性を減じ、さらに、国家と欧州レベルでの
供給の安全保障に関する目標を達成するため、エネルギー供給とエネルギー
ミックスの分野における政策調整を確かなものにするべき。
 3)社会が情報を共有した上で意思決定できるように、エネルギーの生産や
輸送に係るリスク、その使用による健康と環境への影響及びエネルギーの生産
に係る総費用に関係するデータが誰にでも利用できるようにするとともに、全
てのエネルギー源の総合的影響に関する比較評価がなされるべきであり、この
評価は、リスボン条約と予防原則に則って、エネルギーの生産、貯蔵、使用の
ライフサイクル全体にわたる影響とリスクを評価するものであるべき。
 4)持続可能性を目指す観点から、エネルギー生産において二酸化炭素その
他の温室効果気体の排出量を削減すべきであり、そのため財政等の関連施策に
よって、再生可能エネルギーに特別な注意を払って低炭素技術の開発と利用を
支援する一方、エネルギー効率を改善し、エネルギー浪費を低減するためにあ
らゆる努力を行うべき。
 意見は、このような視点から重要なエネルギー研究の具体的課題を列挙した
後、EUの野心的なエネルギー政策は、連帯と正義の精神に基づいて、こうした
枠組みで絶えず様々な技術を評価していく集団的努力なしには達成し得ない、
これこそが現在と将来世代の利益のための取組だ、と結んでいる。
 この過程でなされた専門家を交えた公開の意見交換では、1)欧州では、現
在、化石燃料の使用による大気汚染で毎年70,000人が病死していることからし
て、予防原則を適用しているとは到底言えない:原子力を再生可能エネルギー
で置き換えることが進んできて、かつそうすることで原子力リスクの顕在化を
予防できるので、原子力発電をカテゴリーとして将来の選択から外すというの
がドイツの決定:破滅的な影響をもたらすと予想される気候変動を前に、特定
の技術をカテゴリーとして排除するべきではない。個別具体的にリスク管理に
知恵を尽くすべき:等の予防原則の適用を巡る議論、2)連帯して事に当たる
というのが欧州の倫理であるのに、一国が自国の都合で特定の技術の利用を排
除するのはいかがなものか、いや、今の欧州では統一されたエネルギー政策は
打ち出せそうにない、再生可能エネルギーの利用で先行するのも欧州への貢献、
というECメンバーとしての倫理を巡るやり取り(この表現は私見)があった。
しかし、意見は、こうしたいわばドイツの取組に対する批判めいた議論には触
れていない。要すれば、EGEは、ドイツの取組を知りつつこれに触れず、欧州
人の倫理を骨太に述べる大人の対応を行ったようである。
 ここで、この意見に触発されて、ちょっと引いて技術倫理に関して周りを見
渡すと、しばしば言及されることではあるが、交通事故の死者数は、世界全体
では毎日3400人、年間100万人を超えている現実がある。このことに関してか
つては交通戦争といわれるほどの状況にあった我が国は、関係者の努力で、こ
のところ年間5000人程度までに急速に死亡者数を減らし、交通遺児育英制度等
の被害者救済制度を整備し、さらにはWHO等の世界の交通事故リスク軽減活動
に協力している状況にある。一方、欧州の数字を前に述べた石炭の利用を主因
とする大気汚染がもたらす死者の増加数は、WHOによれば、世界全体で年間120
万人程度とされているが、わが国は排煙の脱硫やSOX/NOX除去による大気汚染
軽減に取り組んで成果を上げ、これの国際展開を図ってきている。そして、現
在の主課題は化石燃料利用による温室効果ガスの排出がもたらす気候変動ヘの
影響である。既に起きている熱波による死者数の増大や記録的大洪水の発生か
ら判断して、この進行を放置すれば破滅的と予想されるが故に、わが国を始め
各国は、クリーンコール技術や原子力発電、再生可能エネルギーといった低炭
素エネルギーの普及をはじめ、エネルギー社会の変革に向けて努力してきてい
るところである。
 他方、先日の定例会では、広瀬東京女子大名誉教授から先生が長く続けてお
られる世論調査の結果を踏まえて「国民はいまや東日本大震災が与えた最も大
きな被害は20,000人弱が命を落とした津波被害ではなく原発災害であると思い、
さらに、女川や福島第二があの津波に耐えたことや規制委員会の新基準に基づ
く改良がなされることはどうあれ、福島程度の大事故がまた起きると思ってい
る」。「原子力関係者は、国民の原子力に関するリスク感度がそこまで高まっ
ている現実を直視するべき」とのお話を伺った。
 以上を踏まえるまでもなく、わが国の原子力関係者の責任は重大である。何
より、福島のオフサイト・オンサイトの課題の解決と原子力安全の向上に着実
に取り組み、その上で、その知見を、EGEが提唱するように技術社会の現状と
将来を総合的に考える人々と上に述べた技術倫理の実践状況に関する認識の一
部として共有していく義務があるからである。

●次号は鈴木委員長代理からのひとことです!

━・・・━━ 会議情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━・
●原子力委員会の会議を傍聴にいらっしゃいませんか。会議は原則として霞ヶ
関にある合同庁舎4号館で開催しており、どなたでも傍聴できます。開催案内
や配布資料は、すべて原子力委員会ウェブサイトで御覧いただけます。

●7月9日(火)の会議の概要は以下のとおりでした。詳しくはウェブサイトに掲
載される議事録を御覧ください。

【議題1】平成26年度原子力研究、開発及び利用に関する予算要求の基本方針
(経費の見積り基本方針)について
<主なやりとり等>
 事務局から、「平成26年度原子力研究、開発及び利用に関する予算の基本方
針(経費の見積り基本方針)について(案)」の説明を行い、次回に、今回委
員から出された修正提案を考慮して作成した成案を審議することにました。

【議題2】近藤原子力委員会委員長の海外出張報告について
<主なやりとり等>
 近藤原子力委員会委員長から、6月27日から29日にかけて、ロシア連邦・サ
ンクトペテルブルクで開催されたIAEA主催の「21世紀の原子力エネルギーに関
する国際閣僚会議」出席し、各国の原子力関係者と意見交換を行った結果が報
告されました。原子炉輸出に関連して、損害賠償等の考え方についての関係国
の認識について意見交換がありました。

●7月17日(水)の会議の概要は以下のとおりでした。詳しくはウェブサイトに
掲載される議事録を御覧ください。

【議題1】平成26年度原子力研究、関係及び利用に関する予算要求の基本方針
(経費の見積り基本方針)について
<主なやりとり等>
 事務局から、「平成26年度原子力研究、開発及び利用に関する予算の基本方
針(経費の見積り基本方針)について(案)」の説明を行い、この案を方針と
することを原子力委員会として決定しました。

【議題2】原子力発電をめぐる世論の変化について(東京女子大学名誉教授、
株式会社安全・安心研究センター代表取締役 広瀬弘忠氏)
<主なやりとり等>
 広瀬氏より、福島第一原子力発電所事故前後の、原子力発電をめぐる世論の
変化について御説明いただきました。
 専門家の信頼低下傾向、原子力発電を直ちに止めるべきとの意見が増加して
いる背景、回答者がこうしたアンケートに際してどのような情報を参考として
判断しているか等について、委員との間で意見交換がありました。

【議題3】福島事故後の中国原子力開発について(日中科学技術交流協会常務
理事事務局長、元JAEA北京事務所所長 永崎隆雄氏)
<主なやりとり等>
 永崎氏より、中国の原子力開発の現況について御説明いただきました。
 各委員からは、核燃料施設の立地問題と公衆参画の状況等について質問があ
りました。

【議題4】第12回ITER理事会の開催結果について(文部科学省)
<主なやりとり等>
 文部科学省から、先日東京で開催された第12回ITER理事会の結果につい
て御説明いただきました。
 各委員からは、スケジュールの遅れに伴うコストへの影響、わが国における
原型炉に向けた検討の状況等について質問がありました。

※資料等は以下のURLで御覧いただけます。
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/index.htm

●次回は7月23日(火)に会議を開催する予定です。詳しくは、以下の開催案内
を御覧ください。
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/topic/kaisai.htm

+-+-+-+-+-+-+ 事務局だより +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+

お客様は神様?

 6月に原子力政策担当室に加わりました貞安です、どうぞよろしくお願いし
ます。
 約40年間、電機メーカーで海外向け営業に従事しておりました。
 どこの世界にも名言というものがあります。ビジネスの世界では、「お客様
は神様」と誰しも口にします。ところが、これに異を唱えた人がいました。
「お客様は、神様ではなく『恋人』だ…自分のことを好いてもらうために一生
懸命に相手のことを考える、これこそがビジネスの原点ではないか?」(日能
研:小島勇氏)。
 恋の道も仕事の世界も、情熱があれば何とかしたいの一心でいろんな知恵も
出てきますし、突破口も開けます。物事の成就は、「何よりもまず惚れ込む」
―これは私のささやかな人生訓です。

 過日、この話を家内にしたところ、曰く「私も、あなたの神様とか『恋人』
にして戴きたいものです。」

(貞安)

●次号配信は、平成25年8月2日(金)午後の予定です。

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発行者:内閣府原子力政策担当室(原子力委員会事務局)
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○原子力委員会ホームページ  http://www.aec.go.jp/
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