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第125号 原子力委員会メールマガジン レジリエンスについての思い出と決意

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ No.125 ━━━━━
    @mieru(あっとみえる) 原子力委員会メールマガジン
             2013年4月26日号
   ☆★☆ めざせ! 信頼のプロフェッショナル!! ☆★☆
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┏ 目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┣ 委員からひとこと レジリエンスについての思い出と決意
┣ 会議情報   フランス・マンシュ県地方情報委員会(CLI)視察団
┃        との意見交換
┃        福島県におけるリスクコミュニケーションの課題について
┃        鈴木原子力委員会委員長代理の海外出張報告について
┃        国際関係に関する有識者との意見交換
┣ 事務局だより 研究施設の一般公開について
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━・・・━ 委員からひとこと ━・・・━━・・・━━・・・━━・・・

レジリエンスの思い出と決意
                              近藤 駿介

 東日本大震災と津波の被害及びこれに伴う東京電力株式会社福島第一原子力
発電所事故の影響からの復旧と復興は、現在、政府が最も力を入れて取り組ん
でいる課題のひとつである。
 ところで、この災害の影響は、各国の相互依存関係を通じて世界各地にも及
んでいる。世界規模で被害が発生するリスクを各国が共同して管理する取組は、
最近亡くなったサッチャー女史が先進国首相として率先して重要性を指摘した
地球温暖化問題に見られるように、かなり前から議論され、構築されてきてい
る。しかし、現在のように相互依存の強い国際社会にあっては、あるリスクが
世界のどこかで顕在化すると、負の影響がこのように広い範囲や分野に及ぶこ
とが少なくない。そこで、そのような可能性のあるリスクをグローバルリスク
と認識し、各国、各組織がお互いにしっかりしたリスク管理体制を構築するこ
とに取り組むことを約束することが重要という考え方が21世紀に入ってから勢
いを増し、OECDをはじめとする様々な国際組織において、そのガバナンスの在
り方が検討されはじめている。
 世界各国から経済に関係するトップが集う年次総会をスイスのダボスで開催
してきている世界経済フォーラムも、この数年、グローバルリスクに関する報
告(Global Risks報告)を毎年発行している。この報告では、経済、環境、地
政学、社会、技術に関する約50のリスク要因が、世界の識者の意見を踏まえて、
今後10年間における発生可能性及びインパクトの観点からランクづけされてい
る。今年版では、発生可能性の観点からは、過大な収入格差、慢性財政赤字、
温室効果ガス排出量の増大、水危機、人口高齢化対応の誤りが上位5つにラン
クされ、昨年第4位にあったサイバー攻撃は順位をさげている。一方、インパ
クトの観点からは、大きな金融システムの危機が第1位にランクされ、以下、
水危機、慢性財政赤字、大量破壊兵器の拡散、気候変動対応への失敗という順
になっており、昨年3位だった食料危機や5位だったエネルギー・農産物価格高
騰が順位を下げている。
 今年の報告で興味深いのは、現在の世界では、こうしたリスクが世界のどこ
かで現実化するとその影響は容易に国境を越えるから、国際社会の政府、ビジ
ネス、市民社会は協力してこれらのリスクの顕在化防止能力及び顕在化した際
に影響を緩和する能力、つまりグローバルリスクの管理能力あるいはレジリエ
ンスを高めるべきところ、これらがどこでいつ発生するか分からない以上、ま
ずは各国がそうしたリスクに対するレジリエンスを強化することが重要である
としていることである。
 レジリエンスと聴くと、人間信頼性に関する研究者のホルナゲル氏が「安全
はシステムが持っているものではなく、システムが行うものである」、「シス
テムは、信頼できるとかリスクが小さいというだけでは不十分で、不都合が起
きても何とか回復できる能力を備えるべきである。故障や被害は、一時的ある
いは永久にそうした能力が失われる結果発生するものだ」として、制御不能に
なることを積極的に防止するシステムを開発する工学、すなわち、レジリエン
ス工学を提唱した国際会議を思いだす。レジリエンスはそのころ、心理学や防
災工学、経済学の分野で議論の対象になり始めていたが、彼の主張は、システ
ムをマンマシンシステムと認識し、それに対してリスク顕在化の未然防止と顕
在化した際の影響緩和の能力から構成されるリスク管理能力を整備するべしと
いうことと聞こえたので、リスク管理工学の言い換えにすぎないのではとコメ
ントした。しかし、その後、リスク管理が根幹であるとは認めつつも、そのコ
インの裏側においては、態度として、不都合な事態を全く除去できるとするの
は現実的ではないとした上で、どんな時でもシステム運用を継続できる頑健性
や強靱性を重視するべきとする真摯さと前向きな姿勢、そしてハードウエアの
整備よりは人や組織の責任ある取組を重視する彼の主張に共感し、この分野の
研究を進める人が増えてきている。
 2013年版のGlobal Risks報告に各国のレジリエンスのランキングまで示され
ているのを見て、あの会議での議論を思い出すとともに、目前の最大の課題で
ある復旧・復興の取組においては、我が国がレジリエンスの高い国であること
を世界に示していく観点からも知恵と力を尽くすことを各方面にお願いしてい
く一方、原子力安全に携わる人々には、レジリエンスを強化する責任を自覚し
て取組を進めるよう求めていくべきと考えた次第である。

●次号は鈴木委員長代理からのひとことです!

━・・・━━ 会議情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━・
●原子力委員会の会議を傍聴にいらっしゃいませんか。会議は原則として霞ヶ
関にある合同庁舎4号館で開催しており、どなたでも傍聴できます。開催案内
や配布資料は、すべて原子力委員会ウェブサイトで御覧いただけます。

●4月16日(火)の会議の概要は以下のとおりでした。詳しくはウェブサイトに
掲載される議事録を御覧ください。

【議題1】フランス・マンシュ県地方情報委員会(CLI)視察団との意見交換
<主なやりとり等>
 CLI視察団から、CLIの活動について説明がありました。
 委員からは、CLIの取組が、過去にどのような成果につながったか、住民の
CLIの活動に関する関心度等について質問がありました。またCLI側からは原子
力委員会の独立性と透明性の確保がどのように担保されているのか等の質問が
ありました。

●4月22日(月)の会議の概要は以下のとおりでした。詳しくはウェブサイトに
掲載される議事録を御覧ください。

【議題1】福島県におけるリスクコミュニケーションの課題について(たむら
と子どもたちの未来を考える会 副代表 半谷輝己氏、かーちゃんの力・プロ
ジェクト協議会 会長 渡邊とみ子氏、福島県小児科医会 常任理事 市川陽子氏、
株式会社福島民報社 いわき支社長 安田信二氏、福島県大熊町教育委員会 教
育長 武内敏英氏)
<主なやりとり等>
 半谷氏から地域メディエイターとしての取組と課題について、渡邊氏から避
難先における農産物・食品生産と独自の安全基準に関する取組について、市川
氏から講演活動の取組や住民の反応と課題について、安田氏から新聞社として
の取組と関係機関や国の取組の在り方について、武内氏から情報の開示と説明、
住民とのきめ細やかな対話の必要性について等の御意見を述べていただきまし
た。
 委員からは地域の方の安心につながる仕組みがどうあるべきか、実際に理解
活動に当たる人材をどう増やしていくか等の質問がありました。

【議題2】鈴木原子力委員会委員長代理の海外出張報告について
<主なやりとり等>
 鈴木委員長代理は、4月7日から13日にかけて米国へ出張し、「2013 Carnegi
e International Nuclear Policy Conference」に出席して「福島以降の原子
力」セッションにパネリストとして参加したほか、米国の政府関係者、産業界、
有識者等の原子力関係者と原子力政策や日米協力の課題等について意見交換を
行いました。

●4月26日(金)の会議の概要は以下のとおりでした。詳しくはウェブサイトに
掲載される議事録を御覧ください。

【議題】国際関係に関する有識者との意見交換(京都大学大学院公共政策連携
研究部教授 浅田正彦氏、京都大学大学院法学研究科教授 中西寛氏)
<主なやりとり等>
 浅田氏から、「福島後における核不拡散の課題」として、国際的な不拡散体
制に大きな影響を与える福島後の国の原子力政策のあり方等について、中西氏
から「国際的観点から見た原子力政策の課題」として、戦後の安定した原子力
秩序構造が失われつつある中での当面する課題や国際的な協力の展望等につい
て御意見を述べていただきました。
 委員からは、我が国が原子力への依存度を下げる中で国際的な不拡散体制へ
の貢献が可能か、回収されたプルトニウムの取扱いや廃棄物処分等の核燃料サ
イクル政策についての国際的な協力体制の可能性について等の質問がありまし
た。

※資料等は以下のURLで御覧いただけます。
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/index.htm

●次回は5月2日(木)に会議を開催する予定です。詳しくは、以下の開催案内を
御覧ください。
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/topic/kaisai.htm

+-+-+-+-+-+-+ 事務局だより +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+

研究施設の一般公開について

 この4月から事務局に加わり、始めて事務局だよりを担当します。初回は研
究施設の一般公開についてお話ししたいと思います。
 多くの国の研究機関では、毎年一般の方向けに施設を公開しています。また
そのほかにも、事業説明会やサイエンスカフェ等様々な取組を行っているとこ
ろがあります。私もこれまでに、理化学研究所や宇宙航空研究開発機構
(JAXA)を見学しましたが、施設や機器を実際に目にして職員の方々の話を伺
うと、研究にかける情熱や好奇心をひしひしと感じ、非常に興味をかき立てら
れた記憶があります。最先端の研究開発や、お住まいの近くの研究施設に興味
のある方は、こうした取組に参加してみてはいかがでしょうか。
 今週末の27日(土)には、兵庫県播磨科学公園都市の大型放射光施設
SPring-8(スプリングエイト)で施設公開が行われます。私も以前見学したこ
とがありますが、直径500mのリングや全長400mの直線状の巨大施設のダイナ
ミックさと、そこで行われる微少な世界の研究に感動を覚えました。最先端の
研究成果の解説や子供向けの展示もあるそうですので、お近くの方は参加して
みてはいかがでしょうか。
※SPring-8施設公開の詳細は下記URLを御覧ください。
 http://www.spring8.or.jp/ja/news_publications/events/open_sp813/
(田川)

●次号配信は、平成25年5月10日(金)午後の予定です。

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発行者:内閣府原子力政策担当室(原子力委員会事務局)
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