御意見・御質問 内閣府共通検索 ENGLISH
利用規約 リンク 所在地情報 ウェブアクセシビリティ
原子力委員会について 会議情報 決定分・報告書等 活動紹介 分野別情報 メールマガジン

原子力委員会ホーム > メールマガジン配送サービス > バックナンバー

メールマガジン
第82号 原子力委員会メールマガジン 事故の間接的要因に関する私見

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ No.82━━━━
    @mieru(あっとみえる) 原子力委員会メールマガジン
           2011年8月5日号
   ☆★☆ めざせ! 信頼のプロフェッショナル!! ☆★☆
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏ 目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┣ 尾本委員からひとこと 事故の間接的要因に関する私見
┣ 定例会議情報 今後の原子力政策に関する有識者ヒアリング
┃        「我が国のテクネチウム製剤の安定供給」に向けてのアク
┃        ションプランについて
┃        人形峠製レンガの製造及び搬出について
┃        平成23年度「国家基幹研究開発推進事業(原子力基礎基
┃         盤戦略研究イニシアティブ)」の公募結果について
┃        福島における除染活動について
┃        我が国における保障措置活動状況等について
┃        鈴木原子力委員会委員長代理の海外出張について 等
┣ 部会情報等  第1回 東京電力(株)福島第一原子力発電所における中長
┃            期措置検討専門部会
┃        第22回 原子力防護専門部会
┃        第23回 原子力防護専門部会
┣ 事務局だより 月とスッポン
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

●メールマガジンや、原子力委員会の活動に関するご意見・ご感想等を、
https://form.cao.go.jp/aec/opinion-0017.htmlまで、ぜひお寄せください。

━・・・━ 委員からひとこと ━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━
事故の間接的要因に関する私見
                               尾本 彰

 今回の原子力災害に至った直接の技術的要因は既に明らかになっている。す
なわち、1)地震・津波に対する備え、2)長期に亘る全電源の喪失と最終的
な熱の逃がし場の喪失という2つの重畳に対するプラントの耐性、3)設計ベ
ースを大きく超える過酷な事態に備えたアクシデントマネジメント(AM)の機
能が充分に発揮できなかったこと。これら技術的要因に関する改善策の方向性
は、我が国のみならず世界に共通した認識が形成されていると見える。これら
改善策は類似事象防止に役立つものの、どこかに潜んでいるかもしれない他の
事故によるリスクの低減には、背後要因を考察して手だてを講じておく必要が
あるのは当然で、事故調査・検証委員会に期待される仕事である。

 チェルノブイル事故のレガソフ報告は、事故後4ヶ月にしてこれら背後要因
を率直に述べている。NASAのコロンビア事故に関するCAIB(コロンビア号事故
調査委員会:Columbia Accident Investigation Board)報告は歴史に根ざす
事故の根本要因を考察している。歴史を細部まで理解している原子力界におい
て背後要因の解明が「何故防止できなかったのか」の観点からなされることも
有用と思う。一方、世の中には精緻な検証抜きで安易に組織制度文化論に飛躍
した原因論が既に散見され、これらは誤った処方箋に結果する危険がある。

 以下は可能性ある背後要因に関する自省を含めた私見である。

 第一に、安全確保は一義的に事業者の責任である。災害の防止失敗と拡大は
、安全設計のみならず緊急時対応を含む運転管理と、背後にある組織文化に依
存する。自然現象という不確かさの高いものへの対応の考え方や、AM整備後シ
ビアアクシデントが「起こりうるもの」として訓練等による不断の有効性検証
や、海外から学ぶ姿勢といった安全文化がどうしても俎上に上る。組織文化の
大家E. Scheinは安全文化をArtefact(表に現れるもの)、Espoused value(共
有されている価値観)、assumption(背景にあるものの考え方)という3つの
レベルで考えるべきとしている。スローガンなどではなく、assumptionのレベ
ルで不確かさの高い現象に対するものの考え方という、外からは見えにくい姿
勢に問題が有ったか、あるいは2000年代後半の津波に関するハザード評価技術
の進歩から、リスクに気付いても対応に時間が掛かったのかと思う。

 第二に、技術的要因がいずれも安全規制に係る事から、リスクを重視した規
制の有効性の問題が挙げられる。米国では9.11以降B5b(米国NRCによる原子力
施設におけるテロ対策の要求事項の一つ)と呼ばれるセキュリティ上の対策が
講じられ、これがプラントの終局的な安全確保に役立つと考えられている。
B5bは日本の規制当局にも連絡されたようであり、敏感な規制専門家はこれに
反応できたのでは、と推測する。規制に必要な専門技術能力獲得を、頻繁に
人事異動を繰り返すシステムの中で求めるのには無理があり、このシステムの
見直しと、規制当局と技術サポートを行う独立行政法人との連携のあり方が
検討されるべきかと思う。

 第三に、規制を含め原子力界は、2002年のデータ改竄事件以降、品質保証と
コンプライアンス重視の時代に入り、その中でリスク情報の活用によって重要
度の高いリスクの低減に精力を注ぐという、世界(ことに米国)の趨勢から距
離をおいた道を歩んだように思われる。手順書等の完成度よりも、どのように
重要度の高いリスクに取り組むかが大切なのは当然である。現時点で言えば、
地点毎の自然現象に関する確率論的ハザードカーブの作成に高いプライオリテ
ィが与えられるべきだろう。

 第四に、学協会基準のあり方。安全審査指針では「予想される自然現象のう
ち最も苛酷と考えられる条件」を考慮した設計であることを求めている。「最
も苛酷」とは何かは本来安全目標との関連で決められるべきだろうが、安全委
員会による安全目標議論は中断されたままであった。個々の専門分野指針は、
当時の津波の知見を専門家がまとめた2002年土木学会ガイドラインのように、
学協会指針とその規制による認証に委ねられるが、そのあり方も検討対象だろ
う。

 第五に、社会の中でのリスクの扱いである。リスクを正視し、リスク目標を
定め、リスク管理が堂々となされることを助長する社会でないと、建前として
リスクがあたかも存在しないかのようなリスク隠蔽文化が生まれることになる
。リスク情報の活用によるリスク管理文化の醸成が必要である。


●次号は近藤委員長からのひとことの予定です!

━・・・━━ 定例会議情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━
●7月26日(火)第28回定例会議の概要は以下のとおりでした。詳しくはホー
ムページに掲載される議事録をご覧下さい。

【議題1】今後の原子力政策に関する有識者ヒアリング〜今後の津波防災対策
の基本的考え方について〜(関西大学社会安全学部長 河田惠昭氏)
<主なやりとり等>
 中央防災会議「東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に関する
専門調査会」の中間とりまとめの内容について説明がありました。その中で、
これまでの想定地震・津波は、地震・津波の規模を推定するのに十分なデータ
が認められる過去の地震・津波を用いてモデル化していた。しかし今後は、十
分なデータが揃っていない地震・津波についても、検討対象としていくべきと
述べられました。
 委員からは、確率が低くても過去に起きた地震・津波のデータについては取
り上げて考慮に加えるべきとの意見か、非常に巨大な津波と頻度の高い津波に
対してどのように線引きするのかなどの質問がありました。

【議題2】「我が国のテクネチウム製剤の安定供給」に向けてのアクションプ
ランについて(一般社団法人日本核医学会理事 井上登美夫氏)
<主なやりとり等>
 官民検討会で取りまとめられた『「我が国のテクネチウム製剤の安定供給」
に向けたアクションプラン』について説明がありました。アクションプランで
は、短期的にはテクネチウムの輸入先・輸送方法の多様化、中長期的には国産
化等に取り組む必要があると述べられました。
 委員からは、テクネチウムの国産化を検討する際、国内で生産されたものを
輸出することも視野に入れ検討してほしいなどの意見がありました。

●8月2日(火)第29回定例会議の概要は以下のとおりでした。詳しくはホー
ムページに掲載される議事録をご覧下さい。

【議題1】人形峠製レンガの製造及び搬出について(独立行政法人日本原子力
研究開発機構理事 三代真彰氏)
<主なやりとり等>
 人形峠のウラン残土を利用したレンガの製造・販売について、平成22年12月
までに約145万個を製造し、拠点等への販売が約52万個、一般への販売が93万
個(約1,800名)となり、平成23年6月末までに全量搬出したとの報告がありま
した。
 委員からは、この取組をリスクコミュニケーションの良好事例として活用す
る方策を考えているか、これまでに苦労した点は何かなどの質問がありました
。

【議題2】平成23年度「国家基幹研究開発推進事業(原子力基礎基盤戦略研究
イニシアティブ)」の公募結果について(文部科学省)
<主なやりとり等>
 平成23年度の国家基幹研究開発推進事業を募集したところ、総計33課題の提
案があり、選定の結果4課題を採択したとの報告がありました。
 委員からは、福島第一原子力発電所の事故を踏まえれば、選定に際しては人
文社会学的な視点も必要であることから、課題の選定委員に人文社会系の人材
も取り入れることを考えていくべきではないかなどの意見がありました。

【議題3】福島における除染活動について(独立行政法人日本原子力研究開発
機構理事 戸谷一夫氏)
<主なやりとり等>
 日本原子力研究開発機構が、福島県において実施した、学校施設や家屋での
除染結果について説明がありました。校庭・園庭については、表土を剥離した
結果、空間線量率が大幅に低下したが、樹木周辺の除染では、まだ課題が残っ
ているとのことでした。
 委員からは、除染活動における日本原子力研究開発機構の役割は何か、除染
に関する知見は関係機関とどのように共有しているのかなどの質問がありまし
た。

【議題4】我が国における保障措置活動状況等について(文部科学省)
<主なやりとり等>
 『IAEAは、2010年の保障措置活動の結果として、我が国の「すべての核物質
が平和的活動の中にとどまっている」との結論を得た』との報告がありました
。
 委員からは、福島第一原子力発電所の事故を踏まえて来年のレポートはどの
ようになるのかなどの質問がありました。

【議題5】鈴木原子力委員会委員長代理の海外出張について
<主なやりとり等>
 鈴木委員長代理より、8月3日から8月7日にかけて米国へ出張することに
ついて説明がありました。カリフォルニア大学バークレー校で開催される「原
子力工学と社会科学リテラシーによるマネジメントに関する2011サマースクー
ル」に出席し、「福島から世界へ〜日本の経験から如何に学ぶか〜」と題した
特別講演を行う予定です。

※資料等は以下のURLでご覧いただけます。
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/index.htm

●次回定例会議は8月9日(火)に開催します。議題は以下のとおりです。
・今後の原子力政策に関する有識者ヒアリング〜原子力安全規制体制のあり方
〜(財団法人発電設備技術検査協会理事長 佐々木宣彦氏、財団法人若狭湾エ
ネルギー研究センター専務理事 来馬克美氏)
・その他

●定例会議を傍聴にいらっしゃいませんか。定例会議は通常毎週火曜午前、霞
ヶ関の合同庁舎4号館で開催しており、どなたでも傍聴できます。開催案内や
配布資料はすべて原子力委員会ホームページでご覧いただけます。

━・・・━━ 部会情報等 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━
●原子力委員会には、調査審議組織として専門部会や懇談会等が設置されてい
ます。これらの部会や懇談会等は原則として一般に公開しており、どなたでも
傍聴することができます。開催案内や配布資料はすべて原子力委員会ホームペ
ージでご覧いただけます。

●8月3日(水)に第1回東京電力(株)福島第一原子力発電所における中長期
措置検討専門部会を開催しました。
詳しくはホームページに掲載される議事録をご覧下さい。
<主なやりとり等>
 福島第一原子力発電所の状況、スリーマイル島原子力発電所事故の際の損傷
燃料取出しの事例、中長期措置における技術課題について、議論が行われまし
た。
 専門委員からは、福島第一原子力発電所の中長期措置に当たっては、国際的
な支援や協力を視野に入れながら検討することが重要、技術的な課題だけでな
く推進体制の制度設計も重要、長期の取組となることから、取組が継続的にで
きるように技術・経験を継承する仕組みが重要などの意見がありました。

●7月25日(月)に第22回原子力防護専門部会を開催しました。
詳しくはホームページに掲載される議事録をご覧下さい。
<主なやりとり等>
 事務局より、国際的な核物質防護のガイドラインを踏まえた日本の「核セキ
ュリティの確保に対する基本的な考え方(案)」について説明がなされ、その
内容について議論が行われました。あわせて、「核セキュリティ事案発災後の
手続きの流れ」ついて事務局より説明がなされ、その内容について議論が行わ
れました。
 専門委員からは、核セキュリティ事案検知後の対応について、基本的な考え
方の中に取り入れるべきといった意見がありました。
 第22回専門部会の議論を踏まえ、「核セキュリティの確保に対する基本的な
考え方(案)」の内容を修正することとし、次回の専門部会にて再度審議を行
うこととしました。

●8月4日(木)に第23回原子力防護専門部会を開催しました。
詳しくはホームページに掲載される議事録をご覧下さい。
<主なやりとり等>
 事務局より、前回の専門部会の議論を踏まえ修正した「核セキュリティの確
保に対する基本的な考え方(案)」について説明があり、その内容について議
論が行われました。
 第23回専門部会の議論を踏まえ、一部修正の上、「核セキュリティの確保に
対する基本的な考え方(案)」についてパブリックコメントを実施することと
しました。
 また、事務局より技術検討ワーキンググループの設置について、説明があり
審議了承されました。

+-+-+-+-+-+-+ 事務局だより +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
月とスッポン

 これまでの業務の中で携わってきた技術のうち、対照的な二つの技術につい
てご紹介したいと思います。
 国家による資本投下、技術情報の厳重管理、民生利用による多大な恩恵など
、両者は似ているところがとても多いのですが、世間の評判は極端に異なりま
す。お察しのことと思いますが、一方は原子力技術です。そして、もう一方は
ロケット技術です。歴史にはロケットの方が早く登場しますが、宇宙への運搬
システムとしての研究開発はX線の発見と同時期の19世紀末頃からなので、研
究開発の歴史としては同じぐらいではないでしょうか。どちらも軍事利用を目
指した時期に急速に進歩しましたが、現在では、日々の生活になくてはならな
い存在になっています。
 ところが、国民の評判は天と地ほどの差があります。
 例えば事故を起こしたとき。原子力の場合、役所に来る電話などは、科学や
技術に関するものからご自身の感情を全面にだされたものまで厳しい意見ばか
り。2時間近く叱責され続けたこともありました。一方、ロケット打ち上げ失
敗の時は、ほとんどが応援のメッセージです。お叱りの内容もありますが、最
後は応援の言葉で終わります。
 どうしてこんなに違うのでしょう。学校ではロケットについて教えるように
はなっていませんが、子どもたちはロケットや人工衛星についていろいろな事
を知っています。しかし、エネルギー資源の一つとして学んでいるはずの原子
力について知っている子どもはごくわずか。
 「知りたくなるロケット」と「知りたくならない原子力」と表現するのに異
論がある方もいるかもしれませんが、こういった部分に評価の格差の要因があ
るような気がしているのです。
(仲)

●次号配信は、平成23年8月19日(金)午後の予定です。

======================================================================
発行者:内閣府原子力政策担当室(原子力委員会事務局)
○ご意見、ご感想、ご質問などはこちらへ 
https://form.cao.go.jp/aec/opinion-0017.html
○配信希望、アドレス変更、配信停止などはこちらへ
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/melmaga/index.htm
○原子力委員会ホームページ  http://www.aec.go.jp/
○このメールアドレスは発信専用のため、ご返信いただけません。
======================================================================


ページの先頭へ