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第36号 原子力委員会メールマガジン 2009年8月7日号

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    @mieru(あっとみえる) 原子力委員会メールマガジン
           2009年8月7日号
   ☆★☆ めざせ! 信頼のプロフェッショナル!! ☆★☆
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┏ 目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃
┣ トピックス  伊藤委員からひとこと 「アイちゃんとアユム君」
┣ 定例会議情報 高速増殖炉サイクル実証プロセスへの円滑移行に関する
┃        五者協議会からの報告 など
┣ 部会情報等  研究開発専門部会 原子力試験研究検討会(第18回)
┣ 読者コーナー
┣ 事務局だより
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━・・・━ トピックス 伊藤委員からひとこと ━・・・━・・・━
「アイちゃんとアユム君」

先週末2日間に渡りFNCA(アジア原子力協力フォーラム)が東京で開かれました。
FNCAは、原子力技術の平和利用において、積極的な地域のパートナーシップを通
して社会経済の発展に貢献することを目的にアジアの10カ国で構成されている
フォーラムです。その前身も含めると約20年の活動実績があります。

今回は、このところ、地球温暖化への対応とエネルギー安定確保の観点から世界
的に期待の高まる原子力発電の導入に欠かせない基盤の整備をいかに進めてゆく
かにつて活発な意見、情報の交換が行われました。詳しくは、原子力委員会ホー
ムページ掲載の報告書を参照ください。

各国の原子力新規導入計画はそれぞれの国情に応じ、当然違いはありますが、一
様に伝わったのは、新規開発に対する熱い思いと、その取り組みが以前に比べ格
段に現実感を増したということでした。

私は約40年前の1966年、日本初の商業用原子力発電所の東海1号機が操業開始し
た年、から原子力発電に関わってきましたが、改めて当時の日本の原子力発電に
対する熱い思いが重なり、感慨深いものがありました。

1967年に決定されました第3回の「原子力の研究、開発及び利用に関する長期計
画」は次のように述べています。

「最近の海外における原子力発電の急速な進展,(中略)経済性の向上等により,
(中略)わが国のエネルギー需要に対処し,その供給を長期的かつ合理的に解決す
るため,原子力発電に対する期待が急速に高まっている」とし「原子力開発利用
の全般にわたる人材の養成についても,(中略)適切な施策を推進することが必
要となってきた」。

今回のフォーラムでも、新規導入を計画する国における人材養成の重要性が共通
認識として確認されました。日本も1950年代後半から70年代前半にかけて大学に
次々と原子力工学、原子核工学を専攻する学科が新設され、多くの志ある若者
が、この道に入りました。

あれから40年余、日本では現在53基の原子炉が稼働し、電力供給に重要な役割を
果たしています。これから原子力発電を目指すアジア諸国と比べれば、十分経験
を積んだ国ということになりますが、一方で六ヶ所再処理工場の試運転最終段階
でのガラス溶融装置の不具合や、もんじゅの運転再開に向けての課題、そして原
子力発電利用率の向上など、まだ多くの課題を抱えています。

エネルギー資源に乏しい日本が、原子力平和利用に踏み出した約半世紀前から、
目指してきた自前の高速増殖炉サイクルの実現は、未だ途半ば、目前の課題とも
苦闘しています。

当面の課題を克服しつつ、まだまだ長い道のりを着実にたどってゆくためには、
このことに誇りと熱い心をもった若者の、後継者としての参入が何よりも求めら
れます。

先日の定例会でもお話ししましたが、もう一度京都大学霊長類研究所のチンパン
ジーの母子、母親アイちゃんと息子のアユム君のお話をさせていただきます。ア
イちゃんは、テレビ画面で、数字や漢字を識別し、正解できるとご褒美として果
物がもらえます。息子のアユム君はひたすらその後ろ姿を見ています。時には飽
きて寝転がったりしますがそれでもある日突然、アイちゃんと同じことができる
ようになります。天才アイちゃんの息子教育方針は、ひたすら学んでいる姿を見
せることでした。

もちろん原子力の技術や技能の伝承、後継者の参入はこんな生易しいものではな
いことをあえて承知の上で、なお通じることは、先輩の後ろ姿は後輩にとってそ
の進路を決める上で、とても大事だということだと思います。原子力に取り組む
現世代が、将来の目標を見据えつつ、当面の課題に熱意と誠意をもって取り組ん
でいる後姿は、必ず志ある後継者を引き付けることと信じています。

現世代の責任はこの面でも重いものがあります。頑張らねばと思います。


●次号は近藤委員長からのひとことの予定です!


━・・・━━ 定例会議情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━
●7月28日(火)第28回定例会議の概要は以下のとおりでした。
・高速増殖炉サイクル実証プロセスへの円滑移行に関する五者協議会からの報告
(文部科学省、経済産業省、電気事業連合会、日本電機工業会、日本原子力研究
開発機構)
 @高速増殖炉サイクル実証プロセス研究会報告「核燃料サイクル分野の今後の
展開について」
 A高速増殖炉実証炉・サイクルの研究開発の進め方について
<主なやりとり等>
五者協議会を代表して経済産業省及び日本原子力研究開発機構より、高速増殖炉
サイクル実証プロセス研究会報告「核燃料サイクル分野の今後の展開について」
及び高速増殖炉実証炉・サイクルの研究開発の進め方について説明がありまし
た。同報告では、@FBRの導入開始以降の再処理需要についてのケーススタ
ディ、AFBRサイクル検討に際しての視点追加の必要性、B第二再処理工場で
採用すべきプロセス選定の視点、C第二再処理工場の具体的イメージの例、D再
処理プロセスプロファイル、E2010年ごろまでになすべき事項、F次世代再
処理技術開発等に関する課題、を整理しています。委員より、今後の作業にかか
る時間の見通しについての質問や、不確実性への対応についてのコメント等があ
りました。

・平成22年度原子力関係経費の概算要求構想ヒアリング(経済産業省、農林水
産省)
<主なやりとり等>
平成22年度原子力関係経費の概算要求構想について、経済産業省、農林水産省
より、全体方針と重点事項の説明がありました。委員より、原子力発電推進強化
策の予算化やエネルギー教育、不妊虫放飼頭数の推移等について質問がありまし
た。

・アジア原子力協力フォーラム(FNCA)「原子力発電のための基盤整備に向
けた取組に関する検討パネル」第1回会合の開催について
<主なやりとり等>
事務局より、7月30日〜31日にかけて、日本を含めてアジアの9カ国と
IAEAが参加して、東京の三田共用会議所で開催されるFNCAのパネル会合
について説明があり、IAEAの基盤整備支援活動や原子力発電を既に導入して
いる国における基盤整備の経験の発表等、プログラムを説明しました。


●7月29日(水)第29回臨時会議の概要は以下のとおりでした。
・平成22年度原子力関係経費の概算要求構想ヒアリング(国土交通省、原子力
安全委員会、総務省、外務省、文部科学省、原子力委員会)
<主なやりとり等>
平成22年度原子力関係経費の概算要求構想について、国土交通省、原子力安全
委員会、総務省、外務省、文部科学省、事務局より、全体方針と重点事項の説明
がありました。委員より、事業の予算規模や実施体制等について質問やコメント
がありました。


●8月4日(火)第30回定例会議の概要は以下のとおりでした。
・日本原子力発電株式会社東海発電所の原子炉の設置変更(原子炉施設の変更)
について(諮問)及び日本原子力発電株式会社東海第二発電所の原子炉の設置変
更(原子炉施設の変更)について(諮問)(原子力安全・保安院)
<主なやりとり等>
原子力安全・保安院より、東海発電所の固体廃棄物作業建屋を東海第二発電所と
共用する設置変更許可申請と、東海第二発電所に固体廃棄物作業建屋を設置する
設置変更許可申請について説明があり、当委員会に諮問されました。

・G8サミットの開催結果について(外務省)
<主なやりとり等>
外務省より、7月8日から10日にイタリアのラクイラで開催されたG8サミッ
トの成果文書及び報告書における原子力の平和利用に関する記述について、報告
がありました。委員より、文書に記載されている
「キャパシティ・ビルディング」の内容について質問等がありました。

・我が国における保障措置活動状況等について(文部科学省)
<主なやりとり等>
文部科学省より、我が国が国内において行っている保障措置活動の概況と、
IAEAが我が国について「すべての核物質が平和的活動の中にとどまっている」
との評価結果を7月に公表したことについて説明がありました。IAEAの評価
を受け、統合保障措置は継続されることになります。委員より、査察実績につい
ての質問等がありました。

・高速増殖炉サイクル実用化研究開発(FaCTプロジェクト)の概況について
 (日本原子力研究開発機構)
 @高速増殖炉サイクル実用化研究開発(FaCTプロジェクト)の進捗(日本
原子力研究開発機構、日本原電株式会社)
 A高速増殖炉サイクル実用化研究開発(FaCTプロジェクト)の評価(次世
代原子力システム/核燃料サイクル研究開発評価委員会)
<主なやりとり等>
日本原子力研究開発機構(JAEA)及び日本原子力発電株式会社より、
FaCTプロジェクトの、2008年までの進捗状況について説明がありまし
た。併せて、JAEA内部に設置された次世代原子力システム/核燃料サイクル
研究開発評価委員会における評価結果について説明がありました。委員より、今
後の検討事項が多いことについての質問や、内部評価であればこその率直な議論
を期待するなどのコメントがありました。

・アジア原子力協力フォーラム(FNCA)「原子力発電のための基盤整備に向
けた取組に関する検討パネル」第1回会合の開催結果について
<主なやりとり等>
事務局より、7月30日〜31日にかけて、FNCAのパネル会合がアジアの9
ヵ国が参加して開催され、原子力発電導入初期の成功、失敗事例を含む経験に基
づく教訓が共有されたとの報告がありました。


●次回は8月18日(火)に開催します。


●定例会議を傍聴にいらっしゃいませんか。定例会議は通常毎週火曜午前、霞ヶ
関の合同庁舎4号館で開催しており、どなたでも傍聴できます。開催案内や配布
資料、議事録はすべて原子力委員会ホームページでご覧いただけます。
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/index.htm

━・・・━━ 部会情報等 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━

●原子力委員会には調査審議組織として専門部会や懇談会等が設置されています。
これらの部会や懇談会等は原則として公開しており、どなたでも傍聴できます。
開催案内や配布資料はすべて原子力委員会ホームページでご覧いただけます。


●7月31日(金)の研究開発専門部会 原子力試験研究検討会(第18回)の
概要は以下のとおりでした。
<議題>
 ・平成21年度継続課題の中間評価結果について
 ・平成20年度終了課題の事後評価結果について
 ・クロスオーバー研究に係る事後評価結果について
<主なやりとり等>
平成19年度に研究を開始した13課題を対象にした中間評価及び平成20年度
に研究を終了した20課題を対象にした事後評価について、各WGで実施された
評価結果が報告され、各研究課題の評価を実施しました。また、平成16年度か
ら平成20年度まで実施されたクロスオーバー研究について、評価WGにて実施
された評価結果を元に事後評価を実施しました。


━・・・━━ 読者コーナー ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━

●皆さまからのお便りをお待ちしています!このメールマガジンや、原子力委員
会の活動に関するご意見・ご感想等を、
https://form.cao.go.jp/aec-melmaga/opinion-0002.htmlまで、ぜひお寄せくだ
さい。なお、お寄せいただいたご意見・ご感想などは、個人情報を除きこのメー
ルマガジンに掲載させていただくことがあります。また質問につきましては、そ
のすべてには回答できない場合がありますので、ご了承をお願いいたします。


+-+-+-+-+-+-+ 事務局だより +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+

前回のメルマガでもお伝えした通り、7月23日に第1回国際専門部会が開催さ
れました。事務局スタッフとして、部会の資料作成から委員の方々への事前レ
ク、部会での発言メモ作成等に参加することができ、個人的にも改めて我が国の
原子力について勉強することができました。

就職してから10年以上、原子力に関連した業務を続けてきた私としては、我が
国が原子力を利用している現状を当たり前のものとして認識していました。しか
し国際専門部会では、各委員より「何故原子力を利用する必要があるのか」
「原子力を如何に国益に結びつけるか」「原子力を利用した国際協力とは何か」
といった我が国の原子力政策の基本方針に関わるご意見を伺うことができ、非常
に興味深く拝聴すると同時に、自分の住んでいる世界を一段高い位置から見るこ
とができたと感じています。

日々の業務に追われ、自分の仕事が社会に与える影響と意義について考えなく
なっていましたが、今回の部会に参加することは、改めて日本が何を行うべき
か、その中で自分が何を行うべきか、改めて考えることの切っ掛けになったと感
じています。国際専門部会は今後も毎月1回程度のペースで開催される予定で
す。傍聴席に制限がありますが、どの様な議論が成されるか興味のある方は、是
非ご参加頂ければと思います。
(坂田)

●次号配信は、平成21年8月28日(金)午後の予定です。

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発行者:内閣府原子力政策担当室(原子力委員会事務局)
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○原子力委員会ホームページ  http://www.aec.go.jp/
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