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第35号 原子力委員会メールマガジン 2009年7月24日号

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    @mieru(あっとみえる) 原子力委員会メールマガジン
           2009年7月24日号
   ☆★☆ めざせ! 信頼のプロフェッショナル!! ☆★☆
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┏ 目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃
┣ トピックス  広瀬委員からひとこと 
┃        「クロアチア共和国の原子力事情」
┣ 定例会議情報 日本原子力技術協会 中長期ビジョンについて など
┣ 部会情報等  第1回 国際専門部会
┣ 読者コーナー
┣ 事務局だより
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━・・・━ トピックス 広瀬委員からひとこと ━・・・━・・・━
「クロアチア共和国の原子力事情」

3月に出張した東欧の3カ国の原子力事情を前回(メールマガジン第30号)か
ら3回に分けてご紹介しているシリーズの第2回、今回はクロアチアの原子力事
情をご紹介します。

クロアチアは旧ユーゴスラビアから1991年に独立した新しい国です。人口約443
万人、国土は九州の約1.5倍です。旧ユーゴ時代からセルビアとは対立が多く、
冷戦終焉後に、スロベニアとともに、セルビアが支配的なユーゴスラビアからの
独立を宣言しました。ところが、歴史的な対立に加えてセルビア人問題があった
ため、スロベニアが比較的スムーズに独立を達成したのに対し、クロアチアはセ
ルビアとの血なまぐさい戦いを繰り広げることになりました。また、スロベニア
が独立後いち早くEU諸国などから国家の承認を受け、2004年にEU加盟を果た
したのに対して、クロアチアは2005年にようやくEU加盟交渉を開始しました。
2009年中にはすべての条件をクリアしたいところですが、何とスロベニアがこれ
を阻んでいるのです。両国間の国境問題が原因と言われています。

さて、話を原子力に移しましょう。クロアチアは、スロベニア国内にあるクル
シュコ原子力発電所を共有しています。クロアチアの発電量の約16%を供給して
いるこの原発の扱いに関して、スロベニアがクロアチアにかなりの不満を持って
いることはすでに書きましたが、それでは、クロアチアはどのような認識や政策
を持っているのでしょうか。彼らは発電所の運営は上手くいっており、スロベニ
アとの関係で特に問題は無いとのことでした。

全体の印象を一言でいうならば、クロアチアの政府機関はのんびりしている感じ
です。クルシュコの放射性廃棄物についてクロアチアも責任を分担することに
なっているはずですが聞いたところ「現在は特に何もしていない。環境省の廃棄
物部や研究機関が廃棄物一般の処理について研究調査を行っている」という回答
で、驚いたことに、放射性廃棄物を一般の廃棄物と同等に扱っているかのような
言い振りでした。

クロアチアは年間4%程度の電力需要増があり、電力供給の確保が急務です。2008
年10月に政府が発表したエネルギー戦略の草案には、2020年に必要とされる
6,200MWの供給能力に関して3つのシナリオが示されており、
「ホワイト・シナリオ」では1,000MW級原子力発電所が登場します。政府が正式
にこのオプションを選択した場合には、なんと2020年までにクロアチア国内に原
子力発電所を新たに建設することになるのです!

となると、その準備、特に人材育成はどうなっているのでしょうか。ところがこ
こでも、「クルシュコ発電所の建設・運営に多くのクロアチア人が参加している
ので、彼らの経験が生かされることを期待する」、「ザグレブ大学に原子力専攻
があり、年間学生が10人〜20人いる。ただ、経験がないため戦力にはならないか
も知れない」というような答えでした。スロベニアで人材育成の話を聞いた後だ
けに、何とももったいないという気がしてなりませんでした。クルシュコをもっ
と有効活用すればいいのに、などとつい思ってしまいます。

一方で、企業の話はもっと進んだものでした。クルシュコ原発から発生する放射
性廃棄物や使用済燃料の処分について評価・検討を行うために1991年に国営企業
APO社が設立されています。スバシチェ社長の話では、放射性廃棄物の処分場
の候補地もすでに選定しているし、必要なコスト計算もしている、ということで
した。同社長はクロアチア原子力学会の会長も務めていますが、同学会は
IAEAなどと協力して「中小電力網をもつ国における原子力オプション」を
テーマに国際会議を隔年開催しています。イニシャル・コストの高い原子力を中
小国が導入するにはどうすればよいか、先進国から学ぶことは何か、といった問
題を真剣に議論しているといいます。

政府が「ホワイト・シナリオ」を選択すれば、企業や学会が大いに力を発揮する
のかも知れません。

次回は最後の訪問先、ブルガリアの原子力事情をご紹介します。

●次号は伊藤委員からのひとことの予定です!


━・・・━━ 定例会議情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━
●7月14日(火)第26回定例会議の概要は以下のとおりでした。
・日本原子力技術協会 中長期ビジョンについて(日本原子力技術協会)
<主なやりとり等>
日本原子力技術協会理事長及び専務理事から、同協会が6月18日に定めた中長期
ビジョンについて、10年後には、1)技術情報を集約、体系化し、効果的な活
用に貢献している、2)牽引・牽制機能を十分に発揮している、3)人材・組織
風土づくりを支援している、4)会員からの支援要請に応えている、5)関連機
関等との連携により相乗効果を発揮していることを目指して、業務改善に取り組
んでいくとの説明がありました。これに対して、委員から、その成果が会員に効
果的に活用されるように、取組の設計の段階から会員との相互作用を密に行うこ
とが重要ではないか等の指摘がなされました。


●7月21日(火)第27回定例会議の概要は以下のとおりでした。
・関西電力株式会社美浜発電所原子炉設置変更許可申請
(3号原子炉施設の変更)について(答申)
・関西電力株式会大飯発電所原子炉設置変更許可申請
(1号及び2号原子炉施設の変更)について(答申)
・東京電力株式会社福島第二原子力発電所の原子炉の設置変更
(1号、2号、3号及び4号原子炉施設の変更)について(答申)
<主なやりとり等>
発電所の電源構成の変更を内容とする設置変更許可申請及び敷地の変更を内容と
する設置変更許可申請に対する経産大臣の判断に対して、これを妥当とする経産
大臣あての答申案が審議され、提案の通りに決定されました。

・原子力政策大綱に示されているエネルギー利用に関する取組の基本的考え方に
関する評価について
<主なやりとり等>
事務局より、原子力政策大綱に示されているエネルギー利用に関する取組の基本
的考え方に関する評価結果がパブコメに対する対応一覧を含めて報告され、これ
の内容を妥当とした上で、関係者に、大綱に示された基本的考え方及をなされた
提言を含めて引き続き尊重して、取組を勧めることを求める決定が行われました。


●次回は7月28日(火)に開催します。
 ・高速増殖炉サイクル実証プロセスへの円滑移行に関する五者協議会からの報
 告(文部科学省、経済産業省、電気事業連合会、日本電機工業会、日本原子力
 研究開発機構)
  @高速増殖炉サイクル実証プロセス研究会報告「核燃料サイクル分野の今後
の展開について」
  A 高速増殖炉実証炉・サイクルの研究開発の進め方について
 ・平成22年度原子力関係経費の概算要求構想ヒアリング(経済産業省、農林
 水産省)
 ・アジア原子力協力フォーラム(FNCA)「原子力発電のための基盤整備に
向けた取組に関する検討パネル」第1回会合の開催について


●定例会議を傍聴にいらっしゃいませんか。定例会議は通常毎週火曜午前、霞ヶ
関の合同庁舎4号館で開催しており、どなたでも傍聴できます。開催案内や配布
資料はすべて原子力委員会ホームページでご覧いただけます。


━・・・━━ 部会情報等 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━

●原子力委員会には調査審議組織として専門部会や懇談会等が設置されています。
これらの部会や懇談会等は原則として公開しており、どなたでも傍聴できます。
開催案内や配布資料はすべて原子力委員会ホームページでご覧いただけます。


●7月23日(木)の第1回国際専門部会の概要は以下のとおりでした。
<議題>
 ・部会長の選出
 ・原子力の平和利用にかかわる世界の状況
<主なやりとり等>
青山学院大学の高木教授が部会長に選出され、その進行の下、各委員より、
「国際社会の原子力平和利用推進における我が国の役割」及び
「今後の我が国の原子力推進のための国際対応」についてご意見をいただいた。
3Sの確保、新興国の基盤整備、人材育成、原子力における国際的な規範作りにお
ける日本の貢献の必要性等の指摘があったほか、日本が原子力を継続的に利用す
るためには、国際標準を抑えたり、国際的なアライアンスを組む等、日本の原子
力がガラパゴス化しないように留意することも重要等の意見がありました。
次回は、今回の部会でいただいた様々なご意見を踏まえ、今後の論点を提示する
とともに、議論を深めていく予定です。


━・・・━━ 読者コーナー ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━

●皆さまからのお便りをお待ちしています!このメールマガジンや、原子力委員
会の活動に関するご意見・ご感想等を、
https://form.cao.go.jp/aec-melmaga/opinion-0002.htmlまで、ぜひお寄せくだ
さい。なお、お寄せいただいたご意見・ご感想などは、個人情報を除きこのメー
ルマガジンに掲載させていただくことがあります。また質問につきましては、そ
のすべてには回答できない場合がありますので、ご了承をお願いいたします。


+-+-+-+-+-+-+ 事務局だより +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+

そろそろ、学校も夏休みに入る時期ではないでしょうか。
私の夏休みの印象は、暑いから、クーラーのある場所に避難する・クーラーが無
くても良い地域に避難する・クーラーを忘れるために遊ぶでした。兎にも角にも
「暑い」という気候が全ての行動の元でした。また、夏休みの宿題でも気候に関
するものがあったと記憶しております。

7月22日は皆既日食がありました。これを夏休みの課題とした学生方もいるで
しょう。当日、事務局のある東京から空を見上げても曇りであり、日差しには、
あまり変化が見られず、本当に皆既日食があったのかと思えるほどでした。
また、7月前半はよく雨が降っていました。傘の手放せない日々が多く気分的に
も憂鬱な日々が続きました。その最中1日でも晴天があると嬉しいものです。

原子力施設では六ヶ所の再処理工場・もんじゅと中々計画通り進まない中で柏崎
刈羽原子力発電所(7基)が中越沖地震で全号機停止して以来、漸く1基が動き
出そうとしています。これは事業者の方が、地域の方々のご理解や県と国の審査
等様々なハードルを乗り越えるため、一つ一つ愚直に対応し相当な努力を払った
結果であると想像します。今後も事業者の方々は様々な事項に対応する必要があ
るでしょうが、これらを乗り越え目的が遂行されることを願って止みません。


●次号配信は、平成21年8月7日(金)午後の予定です。

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発行者:内閣府原子力政策担当室(原子力委員会事務局)
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