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第16号 原子力委員会メールマガジン 2008年10月3日号
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    @mieru(あっとみえる) 原子力委員会メールマガジン
           2008年10月3日号
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┏ 目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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┣ トピックス   近藤委員長からひとこと
┣ 定例会議情報  近藤原子力委員会委員長の海外出張 など
┣ 部会情報等   研究開発専門部会及び核融合専門部会の開催
┣ 読者コーナー  「原子力の日」関連行事のご案内
┣ 事務局だより
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
※ メールマガジンをより良いものにするため、皆様のご感想やご意見を募集
  しています!送付先等は「読者コーナー」をご覧ください。

━・・・━━ トピックス 近藤委員長よりひとこと ━・・・━━・・・━
フランス ニースからの報告

私は、いまニースにいます。日曜日に東京を発って、ウイーンで国際原子力機
関(IAEA)の総会に出席し、その後パリに移動して国際原子力エネルギーパー
トナーシップ(GNEP)の閣僚級会議に出席し、さらに当地で日本とフランスと
の原子力専門家会合に出席しているところです。

月曜日のIAEA総会では、冒頭エルバラダイ事務局長が年次報告を行い、各分野
の取組を振り返った後に、各国から寄せられる要請に応えておらず、全てが順
調とはいえない、その原因は要請の大きさに比べてこの機関に与えられている
資源と権限が小さすぎるからだとしました。ついで、IAEAが2020年に向け
て今後取組むべき課題について国際社会の著名人グループに自分が諮問したと
ころ、1)地球温暖化対策にも貢献する原子力発電を導入したいとする国々を
支援すること、また、フロントエンドからバックエンドまでを含む多国間燃料
サイクルサービスシステムの実現を目指す取組を推進すること、2)原子力科
学技術の医療、農業、工業への利用を途上国において展開する技術協力資金を
充実すること、3)核セキュリティの重要性に鑑み、拘束力のある国際基準の
整備を行い、その実施状況の検証権限をIAEAに整備すること、4)原子力安全
に関する国際ネットワークを整備し、その遵守状況の検認権限をIAEAに整備す
ること、5)IAEAの保障措置活動(核不拡散に係る検認活動)を充実できる資
源を強化すること、等の勧告を得たことを紹介しました。関連して、IAEAは各
国が保障措置活動を受け入れることを前提に原子力協力を行ってきているとこ
ろ、この活動の充実が各国に受け入れられるためには核軍縮の進展が重要であ
るとしました。そして、最後に、この答申にどう応えるかは加盟国の皆さんが
考えることであり、受け入れには資源の増強が必要であることは自明であるが、
その額は万一の事故やテロ行為の発生に伴う損失と比べればわずかなものであ
り、この投資が人類の安全保障と発展にもたらす利益が極めて大きいことを考
えれば、自分としては、加盟国の皆さんに大きく、しかも長期的に考えること
をお願いしたいと結びました。

一般討議においては、野田科学技術政策担当大臣が国会の都合で出席できない
ため、元科学技術政策担当大臣の松田岩夫参議院議員が政府代表として演説を
行いました。代表は原子力を巡る最近の国際情勢に関連させてわが国の原子力
政策を紹介し、我が国としては従来からIAEAの活動に連携して人類の福祉の向
上に貢献してきたし、今後もそうしていきたいとしました。そして、その一環
として、政府は、今季限りで退任するエルバラダイ事務局長の後任にIAEA日本
政府代表を務める天野大使を立候補させたので、ご支援をよろしくとしました。

また、松田代表は、会議出席の傍ら各国代表を招いてレセプションを主催して
彼らと懇談を重ねるとともに、米、英、仏、露をはじめとする各国代表との会
談を精力的に行いました。私がこうした会談に陪席していて感じたのは、各国
が我が国を原子力技術の先進国として高く評価していること、途上国において
は、IAEAを医療や農業問題に関して親身になって相手をしてくれる途上国思い
の国際機関と評価していること、そして実際、放射線を用いたがんの治療や農
業の振興が当該国で実現することに強い期待を持っていることです。私はその
ような活動は国連機関としての世界保健機構(WHO)とか食糧農業機関(FAO)
のアジェンダを定め、IAEAの技術協力を得て行われるべきと考えていたのです
が、IAEAは、こうした期待をもつ国々が多数参加しているからでしょうか、そ
のようには考えておらず、また、国連機関の連携もよくないこともあって、こ
うした期待に率先して応えるべきと考えているようです。

確かに、今回の一連の会談の際、放射線による不妊化技術を使った西部アフリ
カ地域におけるツエツエバエ対策の重要性を指摘したこの地域の国の原子力局
長から別れ際に、自分は北海道の帯広(畜産大学)で学んだといわれ、私は札幌
出身だとして強く握手してわかれました。そのとき私は、今述べた私の考え方
を貫けば、貴方の持ち出した取組はFAOによる重要性の認識を得てこそ実施さ
れるべきと考えるというべきだったのでしょうが、そうはいえませんでした。
そして、その夜は、ホテルの部屋で、日本の対極ともいうべきアフリカの地に、
日本に学び、国民のために放射線応用の実現を心待ちにしている気高い人がい
る事実を前に、IAEAの役割を大きく、長期的に考えるとどうなるのかな、我が
国としてはどういう考え方でこうした要請に応えていくべきかと考え続けまし
た。

パリにおけるGNEPの閣僚級会合では過去一年間の作業の経過と今後の予定が作
業グループから報告され、これを承認し、運営委員会が我が国の提案により作
成した、GNEP加盟国は地球温暖化対策としての原子力の重要性の認識を世界の
人々と共有し、地球温暖化対策に取組む、またこの観点から各国が原子力を導
入しやすくするため、金融面の工夫も探索するという決意表明を含む共同声明
案、これは私から紹介しましたが、これを採択しました。また、新たにアルメ
ニア、モロッコ、エストニア、オマーンを正式参加国として受け入れました。
ここでも会合の合間に各国の要人との会話の機会がいくつかあり、そこでは自
国の将来のエネルギー問題を考えるに原子力は必須の要素であると考えており、
これについて優れた知見と経験を有する日本と接触したいが、どうすればよい
かという問いかけを受け、帰国後のアクションリストを作成したところです。

窓外の朝霧が晴れてきました。どうやら次の会議の開始時間が来たようです。
この後の報告は委員会でお話しましょう。

○近藤委員長の紹介
 近藤駿介(こんどう しゅんすけ) 
  原子力委員会委員長(常勤)
  元東京大学大学院工学系研究科教授、東京大学名誉教授
  2004年(平成16年)1月より原子力委員会委員長
  紹介のページはこちら ↓
          http://www.aec.go.jp/jicst/NC/about/iin/kondou.htm

●次号は田中委員長代理からひとことの予定です!


━・・・━━ 定例会議情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━

●9月30日(火)第41回定例会議の概要は以下のとおりでした。
・方面ウラン残土問題の経緯とレンガ加工計画について
<主なやりとり等>
方面ウラン残土問題の経緯と今後の計画について、日本原子力研究開発機構の
担当者より報告がありました。委員より、今回の経験は今後の自治体や国民の
理解を得ていく活動に資する貴重な経験であり、一事業者の経験として留めて
おくのではなく、よく整理して、国全体として活かしていくべきとのコメント
がありました。

・近藤原子力委員会委員長の海外出張について
<主なやりとり等>
近藤原子力委員長が9月28日〜10月4日の間で国際原子力機関(IAEA)
総会、国際原子力エネルギー・パートナーシップ(GNEP)執行委員会会合、
日仏原子力専門家会合に出席する予定であることを事務局より報告しました。


●次回は10月7日(火)に開催します。議題は以下の予定です。
 ・平成21年度原子力関係経費の見積りについて
 ・第52回国際原子力機関(IAEA)総会の結果について
 ・第2回国際原子力エネルギー・パートナーシップ(GNEP)執行委員会
 会合の結果について
 ・近藤原子力委員会委員長の海外出張報告について
 ・政策評価部会の構成員について
 ・田中原子力委員会委員長代理の海外出張について


●定例会議を傍聴にいらっしゃいませんか。定例会議は通常毎週火曜午前、霞
ヶ関の合同庁舎4号館で開催しており、どなたでも傍聴できます。開催案内や
配布資料はすべて原子力委員会ホームページでご覧いただけます。


━・・・━━ 部会情報等 ━━・・・━━・・・━━・・・━

●原子力委員会には調査審議組織として専門部会や懇談会等が設置されていま
す。これらの部会や懇談会等は原則として公開しており、どなたでも傍聴でき
ます。開催案内や配布資料はすべて原子力委員会ホームページでご覧いただけ
ます。


●9月24日(水)の研究開発専門部会(第3回)の概要は以下のとおりでし
た。
<議題>
 ・関係行政機関等からのヒアリング(文部科学省、日本原子力研究開発機構、
放射線医学総合研究所)
<主なやりとり等>
原子力研究開発の国内の取組状況について把握するため、今回は、文部科学省、
日本原子力研究開発機構及び放射線理学総合研究所よりヒアリングを行いまし
た。委員からは、基礎・基盤研究と実用化を目指した工学規模の応用研究の連
携及びそれらを踏まえた実用化のための技術情報の集約の重要性等について意
見がありました。次回は、原子力安全委員会、資源エネルギー庁、原子力安全
・保安院、原子力安全基盤機構よりヒアリングを行う予定です。


●9月25日(木)の核融合専門部会(第16回)の概要は以下のとおりでし
た。
<議題>
 ・報告書(案)について
 ・「ご意見を聴く会」の開催について
<主なやりとり等>
核融合専門部会報告書(案)について議論を行い、報告書(案)について概ね
了承され、「この内容を広く国民に示していくことが重要である」等の意見が
ありました。また、政策評価作業の一環として、10月下旬〜11月上旬頃に
茨城県つくば市において、「核融合専門部会 ご意見を聴く会」を開催するこ
ととなりました。


━・・・━━ 読者コーナー ━━・・・━━・・・━━・・・━

●皆さまからのお便りをお待ちしています!このメールマガジンや、原子力委
員会の活動に関するご意見・ご感想等を、melmaga-iken@aec.go.jp まで、ぜ
ひお寄せください。なお、お寄せいただいたご意見・ご感想などは、個人情報
を除きこのメールマガジンに掲載させていただくことがあります。また質問に
つきましては、そのすべてには回答できない場合がありますので、ご了承をお
願いいたします。

●「原子力の日」関連行事のご案内
原子力利用の推進のため、広く国民一般の原子力についての理解と認識を深め
ることを目的として、毎年10月26日を「原子力の日」とすることが昭和3
9年7月31日の閣議において決定されました。10月26日は、昭和31年
に日本が国際原子力機関(IAEA)へ加盟を決定した日であり、また昭和38年
10月26日に日本で初めて原子力発電に成功した日でもあります。10月2
6日前後には毎年様々な原子力関連行事が催されており、原子力公開資料セン
ターにおいて、以下のとおり関連行事が開催されますので、ぜひご来場下さい。

 日時: 平成20年10月23日(木)〜24日(金)10時〜16時
 場所: 原子力公開資料センター(虎の門三井ビル2階)
 内容: (1)原子力のやさしい解説
     (2)放射線測定器による身近な物の測定(測定体験を含む)
     (3)その他、原子力何でも相談コーナー

     http://www.aec.go.jp/jicst/NC/sonota/event/event_081023.pdf

+-+-+-+-+-+-+ 事務局だより +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+

以前、私が別の部署にいた時、関係者に振り回されて、右往左往した後輩の状
況説明を聞いていた上司が、新人を次のように諭しました。

「お前が一国の総理大臣になったつもりで、ものを考えて、判断してみろ。」
と。

そのときは、そのぐらいの気概をもって仕事に臨め!という叱咤激励だと単純
に思っただけだったのですが、今になって思い返せば、一介の役人であっても、
総合的に情報収集・整理し、そして国益を考えて大局的な判断をできてこそ、
国益を考えた的確な判断・政策が導けるのだ、ということを説いた含蓄のある
言葉でもあったのだなと、受け止めています。私は原子力に関する皆さんの様
々な意見を耳にする度に、この言葉を思い出します。

原子力委員会は、国の原子力政策を司り、その番人としての関係省庁の施策を
監視する役目もありますが、日本の国情と将来を見据え、日本のこれからの原
子力政策のあり方を広く議論し、政策立案する機関でもあります。

もし仮に原発に依存しない社会を目指すのであれば、原子力抜きで安定した電
力供給をどのように確保していくのか、といったことを考えると本当に日本の
エネルギー供給のあり方、ひいては、電気を消費する市民一人ひとりのライフ
スタイル・習慣、思考・発想、そして社会制度も大胆に変えていかねばなりま
せん。

そうなると、原子力をどうこうするということだけに留りません。日本という
国のあり方そのものの議論にもつながります。

それだけ、原子力をどのように活用していくのか、というのはその国のあり方
を決める重要なファクターになるのだと思います。

海外では、電力供給の8割を原発に頼る国もあれば、脱原発を掲げる国、そし
て、その狭間で揺れる国(脱原発からの政策転換を模索する国)等々、それぞ
れの国の歴史的経緯や置かれている状況、世論の動向などを踏まえ、各の国が
原子力といろいろな形で向き合っています。

ともすれば、日々の身近な細かい業務に埋没しがちですが、評論家にならず、
日本の将来に思いをはせつつ、様々な観点から日本のエネルギー政策における
原子力の位置づけを考え、常に政策という形でアウトプットを出していくこと
に貢献していければと思います。

●次号配信は10月17日(金)午後の予定です。

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発行者:内閣府原子力政策担当室(原子力委員会事務局)
○ご意見、ご感想、ご質問などはこちらへ 
 mailto: melmaga-iken@aec.go.jp
○配信希望、アドレス変更、配信停止などはこちらへ
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/melmaga/index.htm
○原子力委員会ホームページ  http://www.aec.go.jp/
○このメールアドレスは発信専用のため、ご返信いただけません。
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