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メールマガジン
第2号 原子力委員会メールマガジン 2008年3月7日号
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  原子力委員会メールマガジン  2008年3月7日号
 ☆★☆ めざせ! 信頼のプロフェッショナル!! ☆★☆
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┏ 目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━2008.3.7━━━

┣ トピックス   田中委員長代理のひとこと
┣ 定例会議情報  原子力の革新的技術開発のロードマップについて など
┣ 部会情報    政策評価部会 ご意見を聴く会 参加者とご意見募集中
┃         など
┣ 読者コーナー  お寄せ頂いた声をご紹介します
┣ 事務局だより
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━・・・━ トピックス 田中委員長代理のひとこと ━・・・━━・・・━

「混じぇて、混じぇて」の教え   田中 俊一

 原子力委員会も時代の子、いよいよメルマガを発行することになりました。
 原子力委員会メルマガ(愛称を募集中)が、読者の皆さんとのよき交流の機
 会となれることを願いつつ、第2回配信の「ひとこと」欄からデビューする
 ことになりました田中です。よろしくお願い申し上げます。

 日本原子力研究開発機構の原子力科学研究所(茨城県東海村)で建設が進ん
 でいる世界最大級の陽子加速器施設J-PARCの工事が、いよいよ終盤を迎えて
 いる。このJ-PARCの地は旧原研の所有地ではあったが、白砂青松が美しく、
 徳川斉昭が歌に詠んだ茨城八景の一つ「晴嵐」の地として地元の方が大切に
 して来た土地である。この地にJ-PARCを設置することについての経緯は別に
 して、広大な松林を伐採してJ-PARCを建設するにあたり、工事終了後には可
 能な限り緑を回復することを地元と約束した。そこで、「ふるさとの木によ
 るふるさとの森づくり」を実践している宮脇明横浜国立大学名誉教授に指導
 をお願いして、地元の小中学生や住民の方々にも参加していただき第1期工
 事の後地の植樹を行ったのが5年前である。宮脇流の植樹はその土地に固有
 の木々を混裁することが基本で、松に加えて、シラカシ、スダジイ、タブノ
 キ、山桜、藪つばき等々、10種類ぐらいの木を植えつけた。自然は一人だけ
 で生きることは出来ない、混裁しておけば木々の間で強いものが生き残り、
 弱いものは強いものの肥料となり、主役と脇役の木々がお互いに支えあって
 自然の摂理と循環によって1000年の森ができるというのが宮脇先生の持論で
 ある。アマゾンの森、中国の砂漠など世界中で3000箇所以上の植樹をしてき
 たという実績がその言葉を裏付けている。松の後に松だけでは、松くい虫で
 壊滅してしまった日本中の松林と同じことになるという。「混じぇて、混じ
 ぇて」(広島訛り)の先生の指導で植えた木々はわずか5年の間に未来の森
 の風情を見せるまでに成長している。

 森と環境の関係は分かりやすい。原子力と環境の関係はどうだろうか。原子
 力委員会は「地球環境保全・エネルギー安定供給のための原子力のビジョン
 を考える懇談会」で原子力が地球温暖化に貢献する可能性とそのための課題
 についての意見を整理し、パブリックコメントに賦したところであるが、温
 暖化対策に原子力を利用することについては、賛否両論ともにやや極端な意
 見も少なくないようである。

 原子力は地球温暖化対策に大きな貢献ができる可能性は大きいが、決して切
 り札ではない。一方、自然エネルギーこそが地球温暖化の切り札という主張
 も少なくないが、これも現実性に乏しい。トランプの世界ならともかく、環
 境問題に限らずこの世の中に切り札など無いと考えるべきで、様々な可能性
 を「混じぇて、混じぇて」こそ、温暖化問題の克服の展望が開かれると理解
 するのが自然である。結果として何が効果的な温暖化対策か分からないのが
 実情であるのだから。「ふるさとの木によるふるさとの森づくり」は地域や
 気候に適した植生しか根付かないという意味でもある。環境対策もエネルギ
 ーもそれぞれの国、地域毎にベストな「混じぇて」があると考えるのも自然
 である。原子力は地球温暖化対策の主役であるか、脇役であるかというより、
 しかるべき役割を果たすことができるように努力することが肝要である。
 温暖化対策としての原子力は、己の有する既存の可能性を実証した上で、
 1000年を展望することである。


 <ことばの解説>J-PARCとは、世界で最大級の大強度陽子加速器施設であり、
 加速された陽子ビーム等を利用して、物質科学、生命科学、素粒子・原子核
 科学など最先端科学を研究するための施設です。学術分野に加えて、医療・
 農業・工業等の幅広い産業までも支えていくことが期待されます。施設は
 2008年度に稼動を開始し、国内外の研究者に対して研究の場が提供され
 る予定です。

●次号では松田委員からひとことの予定です!


━・・・━━ 定例会議情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━
●2月26日(火)第10回定例会議の概要は以下の通りでした。
 ・特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律に基づく特定放射性廃棄物の最
  終処分に関する基本方針について(答申)
 ・特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律に基づく特定放射性廃棄物の最
  終処分に関する計画について(答申)
 <主なやりとり>高レベル放射性廃棄物等の処分に関して、処分開始時期は
  変更しないが、それに至るまでの調査地区や建設地を選定する時期は見直
  すことなどの改定に当たって、その改定の内容は妥当であるとの原子力委
  員会意見をまとめました。

 ・中国電力株式会社島根原子力発電所の原子炉の設置変更(2号原子炉施設
  の変更)について(諮問)
 <主なやりとり>中国電力の島根原子力発電所でプルサーマルを実施するた
  めの申請について、原子力安全・保安院での審査(1次審査)の結果を踏
  まえ、原子力委員会の意見を求めるという諮問がありました。本申請につ
  いては、今後、当委員会及び原子力安全委員会での審査(2次審査)が行
  われます。
 <ことばの解説>プルサーマルとは、原子力発電所の使用済燃料の再処理に
  よって回収されるプルトニウムを、ウランと混合させた燃料(MOX燃料)
  として原子力発電所で再利用することです。
  2005年に決定した原子力政策大綱では、エネルギー安定供給や環境負
  荷、経済性等の10項目の視点から評価した結果、我が国では当面、プル
  サーマルを着実に進めることとしました。


●2月28日(木)第11回臨時会議の概要は以下の通りでした。
 ・原子力の革新的技術開発のロードマップについて
 <主なやりとり>ロードマップの骨子等について審議があり、国の予算を多
  く使っている原子力の研究開発について、国民の皆様に説明責任を果たす
  ためにも、このロードマップを活用していくべきではないかなどの意見が
  ありました。策定の趣旨は下記もご覧ください。
  「原子力の革新的技術開発のロードマップの策定について(平成20年2
  月12日 原子力委員会)」
  http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/yotei2008/teirei8.pdf


●3月4日(火)第12回定例会議の概要は以下の通りでした。
 ・新潟県中越沖地震による柏崎刈羽原子力発電所への影響に関する国際原子
  力機関(IAEA)のフォローアップ調査団報告書の公表について
 <主なやりとり>原子力安全・保安院からの説明があった後、委員から、国
  内関係者はIAEAの報告の内容をよく検討し、対応した結果等を世界に
  発信して国際的な貢献ができるようにすべきなどのコメントがありました。

 ・日本原燃株式会社濃縮・埋設事業所における核燃料物質の加工の事業の変
  更許可について(答申)

 ・FNCAコーディネーター会合について
 <ことばの解説>FNCA(アジア原子力協力フォーラム)とは、日本が中
  心となって1999年に立ち上げたアジア地域での原子力平和利用協力の
  ための枠組みです。来週、東京に10カ国のコーディネーターが集まり、
  各国が協力して実施している研究プロジェクトの活動報告などを行います。


●次回は3月11日(火)に開催します。議題は以下の予定です。
 ・電気事業者等により公表されたプルトニウム利用計画について
 ・浜岡原子力発電所4号機プルサーマルに関する輸入燃料体検査申請および
  海外で保有しているプルトニウムの利用計画について
 ・新検査制度に関する地元説明状況と今後の対応
 ・原子力委員長による地方自治体首長との意見交換の実施について
 ・広瀬委員の海外出張について


●次々回(臨時会議)は3月12日(水)13:30〜 合同庁舎4号館で開
 催します。議題は以下の予定です。
 ・原子力の革新的技術開発のロードマップについて


●定例会議を傍聴にいらっしゃいませんか。
 定例会議は毎週火曜午前、霞ヶ関の合同庁舎4号館で開催しています。
 どなたでも傍聴できます。開催案内や配布資料はすべてホームページでご覧
 いただけます。


━・・・━━ 部会情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━
●原子力委員会には、下部組織として部会や懇談会等が設けてあり、これらの
 会合でも調査審議を行っています。これらの部会や懇談会等は原則として公
 開しており、どなたでも傍聴できます。開催案内や配布資料はすべてホーム
 ページでご覧いただけます。

●地球環境保全・エネルギー安定供給のための原子力のビジョンを考える懇談
 会(第7回)を開催します。
 日時 3月11日(火) 13:30〜15:00
 場所 永田町合同庁舎 第1共用会議室
    (東京都千代田区永田町1−11−39)
 議題(1)地球環境保全・エネルギー安定供給のための原子力のビジョンに
      ついて

●市民参加懇談会(第31回)を開催します。
 日時 3月12日(水) 10:00〜12:00
 場所 中央合同庁舎第4号館 共用第4特別会議室
    (東京都千代田区霞ヶ関3−1−1)
 議題(1)市民参加懇談会in富山の開催結果について
   (2)次回の地域市民参加懇談会の開催について

●政策評価部会(第22回)を開催します。
 日時 3月19日(水) 10:00〜12:30
 場所 永田町合同庁舎 第1共用会議室
    (東京都千代田区永田町1−11−39)
 議題(1)JAEAからのヒアリング
   (2)質問等に対する回答
   (3)ヒアリングを踏まえた議論

 ※放射性廃棄物の処理・処分に関する取組の基本的考え方の評価について議
 論する予定です。

●「原子力委員会政策評価部会 ご意見を聴く会」を宮城県で開催します。
  http://www.aec.go.jp/jicst/NC/senmon/seisaku/yotei/kikukai080331/
 日時 3月31日(月)13:30〜17:00
 場所 仙台国際センター(宮城県仙台市青葉区青葉山無番地)
 テーマ 放射性廃棄物の処理・処分に係る施策の評価について
 プログラム
 (1)開催趣旨説明
 (2)第1部:御意見発表者との意見交換等
 (3)第2部:会場に参加された方々から御意見を頂く
 <解説>これは、政策評価の作業の一環として、国民の皆様のご意見を聞か
 せていただくための会合です。参加いただける方や、当日参加されない方か
 らのご意見を募集しております。奮ってご応募ください!(応募締め切りは
 3月24日)


━・・・━━ 読者コーナー ━━・・・━━・・・━━・・・━
●メールマガジンへの感想や愛称のアイデアをお寄せいただき、ありがとうご
 ざいました!

 「早速、委員長の生の声が発せられ、委員会の真相(悩みや、気鋭なども)が
 日々国民に届くとわくわくです。」「原子力界との唯一の接点として楽しみ
 にしたいと思います。」「なるべくわかりやすく書いてほしいと思っていま
 す。それでなくても、原子力はわかりにくいので、伝えたいことをはじめに。
 要点をはっきり書いていただきたく思います。」

 等々、創刊から本日までで、5件のお便りをいただきました。すべてを原子
 力委員と事務局担当者で拝見し、内容の改善に繋げていきたいと思います。
 ご意見を踏まえて、本号では用語解説を追加してみました。メールマガジン
 の愛称については、現在検討中ですので、発表までしばしお待ちください。
 読者の方から、「締め切りが早すぎる」とのお叱りもありました。もしまだ
 アイデアをお持ちの方がいらっしゃれば、ぜひお早めにご連絡をお願いしま
 す!

●メールマガジン配信登録の際のアンケート結果を見ると、女性の方や、学生
 の方へのPRがまだまだ足りないと反省しています。大変あつかましいです
 が、もしよろしければ、皆様のお知り合いにもぜひこのメールマガジンをご
 紹介いただけますと幸いです。もちろんそのためにも、内容の充実に励みた
 いと思います。

●引き続き、皆さまからのお便りをお待ちしています!
 このメールマガジンや、原子力委員会の活動に関するご意見・ご感想等を、
 melmaga-iken@aec.go.jp まで、ぜひお寄せください。なお、お寄せいただ
 いたご意見・ご感想などは、個人情報を除きこのメールマガジンに掲載させ
 ていただくことがあります。また質問につきましては、そのすべてには回答
 できない場合がありますので、ご了承をお願いいたします。


+-+ 事務局だより +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
夢の言葉『サステナビリティ』、魔法の言葉『持続可能性』

 原子力委員会では、「地球環境保全・エネルギー安定供給のための原子力の
 ビジョンを考える懇談会」において、エネルギー安定供給を図りつつ205
 0年までに温室効果ガスの排出を半減するという目標に向けて今ここで何を
 為すべきか!と銘打って、原子力利用の在り方を、各界の有識者と共に検討
 してきました。パブリックコメントも終了し、近く、報告を取り纏めます。

 本懇談会の事務局を担当していましたが、その業務上、『サステナビリティ
 』とか『持続可能性』という言葉に接すること多く、自身の積年の思いを再
 確認することができました。それは、「サステナビリティだの、持続可能性
 だのいう言葉は、気に喰わない」ということです。

 環境問題、エネルギー問題、経営・企業活動、行政等々、右を向いても左を
 向いてもサステナビリティと、百花繚乱の流行言葉になってきた感がありま
 すが、この言葉を知った当初、高校英語で学ばなかったこともあり(私の不
 勉強にせよ(*~*))、その意味するところの大まかな善意に酔いしれたこ
 ともありました。その語源を紐解くと、[動詞]sustain(支持する、支える
 )、[語源] sus-=sub-(下から)+L.tenere(保つ、支える)ということら
 しく、私の酔いしれた大まかな善意は微塵も意味するところではなく、力強
 い言葉のようです。

 サステナビリティ、持続可能性を定義するに、「世代間責任が基本概念」の
 旨があったり、「人為活動により環境を破壊されない」旨があったり、単に
 「将来も存続し続ける」との旨のものもあり、場面、分野、人により玉石混
 交であり、それを達成する手段に及べば多種多様となり、そのこと自体は当
 然なことなのですが、それを一言「持続可能性」と表現した刹那、言葉が独
 り歩きし、ある人の言っている持続可能性は、他の人の言っている持続可能
 性とは異なるものの、持続可能性という言葉の一体感で問題が落ち着いてし
 まったり、双方が、他方の持続可能性を、それは持続可能性ではないと無益
 になじったり、そんな無用な状況があると感じています。

 また、この言葉には、今の生活を継続したいねというひどくエゴイスティッ
 クな想いと、今やワイルドカードの感もあるエコロジカルな想いが同居して
 いて、それを一つの言葉で表現しようなど、将に気に喰わない。場合によっ
 ては押し売り感さえ感じる時もあります。これも言葉だけ踊っている状況が
 源かなと思ったりもします。

 最近読んだ本にあった本居宣長の言葉に「姿(言葉)は似せ難く、意は似せ
 易し。」とあり感銘を受けたのですが、サステナビリティ、持続可能性など
 と、言葉の意味するところの大まかな善意、手前勝手な解釈に頼り、わかる
 でしょ?と言葉に頼らず、物事、意思を、言葉を尽くして説明すること、例
 えそれが面倒で難しいことだとしても、もっと言葉を尽くしていこうと、こ
 の件に限らず個人的には心がけていこうと思います。

 塩野七生さんの「ローマ人の物語」で紹介されているカエサルの言葉のよう
 に、「どんな悪い結果に終わった行いも最初は善意から始まった」というの
 は確かなことだと思います。今、サステナビリティ、持続可能性と銘打って
 何かをしようとする人たちも、善意にその端を発していると信じています。
 だからこそ、皆さんもちょっとだけ言葉を尽くしていきませんか。
(加藤篤志)


●次号配信は3月21日(金)午後の予定です。

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発行者:内閣府原子力政策担当室(原子力委員会事務局)
○ご意見、ご感想、ご質問などはこちらへ 
 mailto: melmaga-iken@aec.go.jp
○配信希望、アドレス変更、配信停止などはこちらへ
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/melmaga/index.htm
○原子力委員会ホームページ  http://www.aec.go.jp/
○このメールアドレスは発信専用のため、ご返信いただけません。
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