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X.健康対策・事故現場の対応
1.住民等の健康対策
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住民等の健康対策については、「緊急提言・中間報告」において、放射線の健康への影響については、住民等の不安に対する心のケアを含め、体制を整えて対応することが重要であり、国、自治体、事業者が適切な役割分担と連携の下、遺漏なく取り組むべきであるとの指摘をしたところであり、現在まで、次のような取組みがなされている。
長期的な健康管理については、原子力安全委員会の下に「健康管理検討委員会」が設置され、被ばく線量に基づいた健康管理のあり方について検討がなされている。周辺住民の被ばく線量を把握するために11月19日から22日にかけて放射線医学総合研究所の研究者と茨城県の保健婦により、転換試験棟からおよそ350メートル以内の避難要請区域に居住または勤務されている方を対象に行動調査が実施された。行動調査の結果と周辺環境の線量や建物の遮へい効果等を踏まえて推定被ばく線量を算定する作業が現在、実施されている。科学技術庁は、算定された推定被ばく線量に基づき、健康管理検討委員会が示す健康管理の方針に沿って、茨城県、東海村、那珂町等地方自治体の協力を得て、長期的な健康管理が適切に実施されるようにしていくことが重要である。
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2.事故現場の安全確保
- 事故現場の安全確保については、「緊急提言・中間報告」において、その第一義的な責任は事業者にあるにせよ、国は適切な処理がなされるよう万全を期すべく、株式会社ジェー・シー・オーを指導し、また関係機関の協力を要請する等の取組みを行うべきであるとの指摘をしたところであり、現在まで、次のような取組みがなされている。
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(1)放射性物質の閉じ込め(I-131放出量の低減化)
- 転換試験棟の放射性物質の閉じ込めを強化するための施設の目張りや2基の内部循環型ヨウ素吸着装置の設置によって、ヨウ素131の濃度は低減した(12月15日現在で4.0×10−9Bq/cm3)。
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(2)放射線の遮へい(転換試験棟周辺の遮へい壁の設置)
- 事故直後に設置された土壌及びコンクリートブロック等に加え、転換試験棟周辺に高さ2〜3m、厚さ30cmのコンクリート遮へい壁を合計7ヶ所に設置。現在までに敷地周辺での空間線量率はバックグラウンドレベル(0.04〜0.06μSv/h)となっている。
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(3)ウラン溶液等の処理
- 臨界事故の原因となったウラン溶液等の処理については、次のように全体を2段階に分けて進める計画となっている。
- @ 第一段階
- 沈殿槽内のウラン溶液及びホウ酸水注入に用いたホースの中の溶液(ウラン溶液も含まれているとみられる)を輸送容器のステンレス製の内容器の中に入れて、ウラン溶液等を処理する核燃料サイクル開発機構に移送するまでの間、同社東海事業所の転換試験棟内に安全に一時管理する。合わせて、現場の除染を行う。本年12月末までに終了させる予定で作業が進められている。
- A 第二段階
- ウラン溶液等は、核燃料サイクル開発機構東海事業所へ輸送し、再処理工場で再処理する。
輸送容器の所有者であり、かつ、再処理の実施者である核燃料サイクル開発機構は、これを実施するために必要な原子炉等規制法上の手続きをとる。
今後とも、ウラン溶液等が安全かつ可及的速やかに処理されるよう、国は株式会社ジェー・シー・オーを指導し、また関係機関の協力を要請する等の取組みに万全を期すことが重要である。