(a) | 放医研に搬送された3名以外のJCO職員、住友金属鉱山株式会社職員、東海村消防士(救急隊員)、付近に滞在していた者の被ばく線量は、個人線量計又はホールボディーカウンターによって評価された(具体的にはⅡ.4.(2)③個人の線量評価参照)。 |
(b) | 科学技術庁事故調査対策本部は、個人線量の評価の基礎資料として周辺環境の線量評価を11月4日に公表し、その後精度をさらに向上し見直した評価を12月11日に改めて公表した。 この基礎資料は、建物の中や背後にいた人について、遮へいによる線量減少の効果が反映されておらず、実際より高い値となることから、個人の線量を把握するためには、事故時から臨界終息までの行動調査を実施し、適切な補正を行う必要がある。この行動調査については、科学技術庁(放医研)が茨城県、東海村、那珂町の協力を得て実施し、これに基づいた個人の被ばく線量評価が進められている。 |
(a) | 事故や災害の対応の上で最も優先されるべきは人命の救助であるということを認識し、緊急医療対応マニュアルを作成し、定期的に訓練を実施することが極めて重要である。特に、放射線管理の専門家の位置付けと役割を具体的に規定する必要がある。 |
(b) | 全国的な緊急被ばく医療体制を検討する場を設ける必要がある。緊急被ばく医療体制は、高度な医療技術や先端的医療によって支えられるものであり、拠点医療機関を結ぶネットワーク型の強化が重要である。一方、被ばく医療に関しては初療及び全身管理を含む集中医療が重要であることを考慮して施設・設備の整備を図る必要がある。また、全身急性被ばくの治療に関する研究を推進する必要がある。 |
(c) | 今回の事故に対する医療について報告書の出版、学会における発表、国際シンポジウムの開催等を通じて、今回の事故に関する我が国の経験を他の国とも共有することが必要である。WHOのREMPAN(Radiation Emergency Medical Preparedness Network)への加入が認められるように働きかけるなど、国際的連携システムを維持強化する必要がある。 |
(a) | 事故発生直後に現地の医療、健康管理、心のケアを統括的に実施するシステムとシナリオを検討する必要がある。具体的には、一定線量以上被ばくした作業者、住民等の健康管理マニュアル、環境モニタリング、住民の線量評価についての対応マニュアルの検討が考えられる。また、関係省庁や地方自治体が連携し、全体として整合性がとれた対応をとることができるように準備しておくことが極めて重要である。 |
(b) | 事故後の早い時期に健康影響に関する科学的な知見を分かりやすく伝える体制を整えるとともに、日頃から放射線・放射能、特に線量と生体影響、放射線防護の正しい知識を普及することが必要である。 |
(c) | 事故は終息しても健康影響や心のケアは長期にわたり継続することを考慮して対策を立てる必要がある。そのため、必要に応じ、精神医学、心理学、社会心理学、社会学等の専門家を加えた検討を行う必要がある。 |