本年9月30日に発生した株式会社ジェー・シー・オーの東海村ウラン加工工場における臨界事故は、安全確保を大前提に原子力の開発利用を進めてきた我が国にあって、3人の作業員が重篤な放射線被ばくを受け、懸命な医療活動にもかかわらず、1人が亡くなられたほか、住民への避難要請、屋内退避要請が一時行われるなど、前例のない大事故となり、周辺住民の生活に多大な影響をもたらすとともに、国の内外に大きな衝撃を与えることとなったことは、極めて遺憾である。
本委員会は、今回の事故の重大性にかんがみ、事故原因の徹底究明等を行うという内閣総理大臣を本部長とする政府対策本部の決定(10月4日)を受け、広く有識者の参加を得て、第三者の立場から事故原因を徹底的に究明し、万全の再発防止策の確立に資するため、原子力安全委員会に設置されたものである。
本委員会は、10月8日の初会合以来、11回の会合を重ね、精力的に事故原因の徹底的究明や再発防止策の検討を進めてきた。11月5日には、本事故の社会的影響の大きさ等にかんがみ、必要な対策が適時・的確に講じられていくことが重要であるとの視点から、それまでの5回の本委員会での検討の結果を踏まえ、「緊急提言・中間報告」を政府に提出した。これを受けて、政府が、直ちに原子炉等規制法の改正及び原子力災害対策特別措置法の制定並びに第2次補正予算による原子力安全・防災対策予算の計上の措置をとったことは、評価される。
本委員会は、その後、原子力安全委員会の意見募集に応じて寄せられた、「緊急提言・中間報告」に対する一般からの意見をはじめ、各方面からの意見を踏まえつつ、事故の直接的・間接的原因をさらに究明するとともに、将来に向けた原子力安全の確保のあり方にまで踏み込んで、再発防止のための基本的な考え方を打ち出していくことを目指した。その過程において、より詳細な検討を行うため、「技術・評価」、「企業・産業」、「社会・安全」の3つの検討チームを発足させ、事実や原因のより緻密な把握とともに、事実の背後にある構造的・倫理的な問題を含めて検討を行い、ここに最終的な報告をとりまとめたものである。
政府においては、中間報告後すみやかに関係法令の整備を図られたが、本最終報告の内容を十分にそしゃくし、示された提言や留意すべきことがらを踏まえて、事業者への適切な指導を含め、すみやかかつ積極的で遺漏のない対応を強く求めるものである。
なお今後、本報告の提言等は、長期的にフォローされるべきと思われるので、原子力安全委員会を中心に、関係行政機関等で適切に対応されることを期待する。