第76回原子力委員会臨時会議議事録(案)
1.日 時 1999年12月17日(金)10:30〜11:15
2.場 所 委員会会議室
3.出席者 藤家委員長代理、依田委員、遠藤委員、木元委員
(事務局等)科学技術庁
原子力局
興局長
中澤審議官
原子力調査室 伊藤室長、板倉、村上、池亀、鯉渕
保障措置室 吉井室長、橋爪、礒
核融合開発室 中村室長
外務省
総合外交政策局
科学原子力課 南、三浦
日本原子力研究所
岸本理事
吉舗専門委員
- 4.議 題
- (1)核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律(保障措置に関する改正部分)の施行及び核兵器の不拡散に関する条約第三条1及び4の規定の実施に関する日本国政府と国際原子力機関との間の協定の追加議定書の発効について
(2)第4回ITER特別作業部会の結果について
(3)その他
- 5.配布資料
資料1 | 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律(保障措置に関する改正部分)の施行及び核兵器の不拡散に関する条約第三条1及び4の規定の実施に関する日本国政府と国際原子力機関との間の協定の追加議定書の発効について |
資料2 | 第4回ITER特別作業部会の結果について |
資料3 | 第75回原子力委員会定例会議議事録(案) |
- 6.審議事項
(1) | 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律(保障措置に関する改正部分)の施行及び核兵器の不拡散に関する条約第三条1及び4の規定の実施に関する日本国政府と国際原子力機関との間の協定の追加議定書の発効について |
- 標記の件について、保障措置室及び外務省より資料1に基づき説明があった。これに対し、
- 追加議定書の発効国はどこか。
(外務省)現在までに発効した国は、オーストラリア、バチカン、インドネシア、ヨルダン、モナコ、ニュージーランド、ウズベキスタンの7ヶ国であり、日本は8番目である。
- 朝鮮民主主義人民共和国やイラクは署名しているか。
(外務省)署名していない。
- 核兵器開発の疑惑を持たれている国にも含め、より多くの国の参加が得られるよう、努力していかなければならない。
(保障措置室)国際的な核不拡散体制の一層の強化のため、関係する全ての国に対して、追加議定書締結に向けて働きかけていくことが重要。
- 資料には「北朝鮮」とだけ書かれており、「朝鮮民主主義人民共和国」との記載がないが、公式にはどのような表記をするのが適当か教えて欲しい。
- 我が国が率先して追加議定書を締結したことは歓迎できる。
- 等の委員の意見及び質疑応答があった。
- (2)第4回ITER特別作業部会の結果について
- 標記の件について、核融合開発室及び日本原子力研究所岸本理事より資料2に基づき説明があった。これに対し、
- 主要な貢献度をした極が主導的役割を果たすという記述が報告書から削除されたことについては、EUがITERを誘致する気がないのであれば、発言権を確保するために当然出てくる戦略であろう。
(岸本理事)カナダに誘致して、EUがそれに相乗りするという可能性は残っている。
- カナダはEUの極に入るのか。
(核融合開発室)非公式政府間協議と公式政府間協議の間はカナダをEUの極に含めている。カナダ立地となれば、カナダは一つの極として認めざるを得ないという認識が共有されている。
- 各極が行うことになっている「有意な貢献」について、具体的にどのような議論がなされたか。
(岸本理事)当初報告書案には、カッコ書きで10%以上と書いてあったが、最終的には削除された。
- 法的枠組みについて、具体的にどのようなものを作るのか。
(核融合開発室)この問題については法制部門を含めての議論が必要となる。組織的な独立性の担保と国際組織であることの調和が図れるのかについては、当方から指摘した。
- ホスト国が分担する「残りの建設コスト」とは何を指すのか。
(核融合開発室)建設コストの中に、建設にかかる共通範囲のコストと共通範囲外のコストがあり、共通範囲外のコストが残りの建設コストに当たる。
(岸本理事)共通範囲外のコストについては、建物や最終の組立て調整等、ホスト極でなければできないものが含まれる。
- 第3国の参加や、運営について評議会の評決における加重投票等の意思決定方法には、どのような事が考えられているのか。
(核融合開発室)これまでの議論に基づき、貢献度に応じた評決権を持つ加重投票(ただし、ホスト極単独での決定を避けるため、多数決のラインを高く設定する)、ホスト極による一義的決定(安全性の問題について、ホスト極の法律に従う場合等)、全会一致(新しい極が参加する場合等)の、3つの手法が報告書に記載された。
- 金は出しても口はあまり出すな、という印象を受ける。次は理事会レベルで検討されることになるだろうが、積極的貢献は勿論だが、それに応じた発言権が確保できるよう、頑張って欲しい。
- EUに立地する可能性をゼロにしたままで、議論するのはおかしい。「国」と言わずに「極」と言うなら、日本が中国や韓国を誘って「アジア極」を作れる可能性はあるのか。現状では、「極」の定義がはっきりしていないのではないか。
- カナダの参加については、どのような感触か。
(核融合開発室)カナダにITERカナダという会社が最近設立され、10〜11月にかけて、苫小牧、むつ小川原、那珂を視察している。また、今度、ITERカナダの代表者が訪日したいという話も聞いている。ITERカナダとしては熱心で、2001年初めには、政府を通じて立候補したいとも言っている。しかし、現時点ではカナダ政府としての動きではない。また、EUがカナダをどう見ているかは別である。ITERをカナダに立地して、EUがカナダと共同でホスト極としての役割を果たすことに関しては、EUでは否定的な方が多いようである。一方、日本に立地するよりはカナダの方が望ましいという研究者もいると聞いており、EUとしてこれから決断していくことになるだろう。EUの決断は来年6〜7月に出されるレポートを皮切りにEU極内で議論され、2003年から始まる計画の中に最終的に盛り込まれるだろう。
- カナダがホスト国になる可能性はあるのか。
(核融合開発室)単独ではホスト国の役割を担えないだろう。
- 新規参加の規程はあるが、脱退する場合には、どのようになるか。
(核融合開発室)今回は、報告書の脚注に各国のインセンティブを削がないように配慮する旨のみが記載された。
(岸本理事)脱退者は知的所有権を放棄する、等の条件の記載は、削除された。
- 他国が参加する場合は、極の中には入れないのか。例えば韓国が参加する場合には、参加極か準参加極しかないのか。EU極やカザフスタンを加えたロシア極のように、アジア極という形にすべきではないか。
- 建設コストの分担と運転コストの分担が、同率なのはおかしい。
(岸本理事)運転の段階で、必要なコストのほとんどはホスト国に流れるため。
- 拠出に応じた経済的見返りをもらうというのでは、科学的なメリットを得るというITER本来の意味合いと違うのではないか。
(岸本理事)経済的メリットを追求することが目的ではないことを繰り返し主張したが、EU側の主張は逆であった。議論の結果、経済的メリットの記述は報告書から削除した。
- 脱退については、知的所有権や、今までに投資した分をどうするか、という問題がある。
- 次回の理事会はいつか。
(核融合開発室)1月19〜20日に東京で開催される。
- 科学者や技術者を中心とした議論は終わりかけており、今後はそれを超えたレベルでの議論が必要だろう。
- 等の委員の意見及び質疑応答があった。
- (3)議事録の確認
- 事務局作成の資料3第75回原子力委員会定例会議議事録(案)が了承された。