高浜発電所4号機用MOX燃料の輸入燃料体検査について

平成11年12月21日
通 商 産 業 省
資源エネルギー庁

 関西電力(株)高浜発電所4号機用ウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料については、本年9月13日に、関西電力(株)より輸入燃料体検査申請を受理した。

 9月14日、関西電力(株)より、燃料製造元である英国原子燃料会社(BNFL社)において高浜3号機用MOX燃料ペレットの品質管理検査データに疑義が見い出されたとの報告を受けたため、同4号機用燃料のデータを含めて徹底調査を指示するとともに、輸入燃料体検査の手続きを中断した。

 その後、9月24日、関西電力(株)より、高浜4号機用MOX燃料のデータには不正はないと判断する旨等の中間報告を受け、また、11月1日には、不正は同3号機用の22ロットのペレット外径データのみと判断される旨等の最終報告を受けた。
 当省は、報告内容を妥当と判断するとともに、関西電力(株)に対し再発防止策に万全を期すように指示し、その旨を原子力安全委員会に報告した。

 これを受けて、輸入燃料体検査の手続きを再開してMOX燃料の健全性についての総合的な判断を行うこととし、申請書類の審査を進めるとともに、12月2日〜8日には、高浜発電所において現地検査を行った。
 さらに、最終的な判断をする前に、英国当局等の調査状況を確認するべく、12月12日から当省職員を英国原子力施設検査局(NII)に派遣するとともに、併せて関西電力(株)に対しては、BNFL社における調査を再度確認するよう指示した。

 この英国での調査の過程において、NIIが、高浜4号機用燃料ペレットのうち、外径測定データに統計的な疑義があると判断しているものは、ロットP824に加えてP783の2ロットであることを確認するとともに、引き続き調査を進めることとしていた。

 こうした状況下で、12月16日、関西電力(株)から、新たにロットP814について、外径測定データの不正が見い出されたとの連絡がBNFL社からあった旨報告があった。

 同日、関西電力(株)から、高浜4号機用MOX燃料8体全数について、輸入燃料体検査申請を取り下げたい旨連絡があった。当省としては、その旨を了承するとともに、通商産業大臣の指示により、今後同社に対し、詳細な報告を求めた上で、所要の対策を講じることとした。

 なお、その後、英国政府から駐日大使を通じ、通商産業大臣に対し、遺憾の意を表明するとともに、BNFL社を指導し、事実関係を明確化する等、信頼回復のための対応策を講じていく旨、公式な申し出があった。

(参考)
 東京電力福島第一発電所のMOX燃料は、BNFL社とは別会社のベルゴニュークリア社において製造されたものであるが、今回の状況を踏まえ、念のため東京電力に対して、再度データを確認するよう通商産業大臣から指示した。
 また、当省の管理職をベルゴニュークリア社に派遣することとした。



深谷大臣のコメント

 

  1. 関西電力(株)高浜4号機用MOX燃料に関する今回の問題については、極めて遺憾である。

  2. ペレットの全数自動測定データは存在するので、安全性は確保できていると考えられるが、11月に報告を受けたもの以外にも品質管理データについて流用するという不正があったことによって、BNFL社に対する信頼が崩れたと言わざるを得ない。今後、関西電力が十分に調査し、対策を確立し、BNFL社の信頼を回復できるまで、輸入することはできないと考える。

  3. 従って、BNFL社との関係のプルサーマル計画は遅れざるを得ない。

  4. 東京電力福島第一発電所のMOX燃料は、BNFL社とは別会社のベルゴニュークリア社において製造されたものであるが、今回の状況を踏まえ、念のため東京電力に対して、再度データを確認するよう指示した。
    また、当省の管理職をベルゴニュークリア社に派遣することとした。


平成11年12月16日
関西電力株式会社

高浜発電所4号機用ウラン・プルトニウム混合酸化物燃料の取り扱いについて

 

 当社は、高浜発電所4号機用ウラン・プルトニウム混合酸化物燃料(MOX燃料)8体につきましては、平成11年9月13日付で通商産業省に対して輸入燃料体検査を申請しております。

 その後、通商産業省の検査を受けてきたところ、同省から、検査の最終段階に際し、ペレットの外径測定データ疑義について、BNFLにおける調査結果を再度確認するよう指示があり、12月12日より、当社社員を英国に派遣しました。その結果、NII(英国原子力施設検査局)が、今回のMOX燃料は使用にあたって安全であることを確信できるものの、P824の他P783についても統計的にみて疑義があるとBNFLに指摘していることを確認しました。

 さらに、BNFLが調査中のところ、新たにP814について、他のロットのデータを入れ替えて流用しているとの連絡を、本日、BNFLから受けました。

 当社といたしましては、調査結果の最終報告書に述べるとおり、全数自動測定結果により仕様値を満足していることを確認しておりますが、英国の公的機関が検査データに不正の疑いがあるとしていること、さらに新たなデータの不正が見つかったことから、当社としましては、受け入れた燃料集合体8体全数の使用を中止することとし、本日、輸入燃料体検査申請の取下げを行う予定ですのでお知らせいたします。