第71回原子力委員会定例会議議事録(案)
1.日 時 1999年11月30日(火)10:30〜11:45
2.場 所 委員会会議室
3.出席者 藤家委員長代理、遠藤委員、依田委員、木元委員
(事務局等)科学技術庁
原子力局
中澤審議官
原子力調査室 伊藤室長、板倉、村上、池亀、藤原、鯉渕
廃棄物政策課 青山課長、青木企画官、石崎
外務省
国際社会協力部
気候変動枠組条約室 松永室長、長徳
通商産業省
資源エネルギー庁
原子力発電安全企画審査課 本部課長、武山
吉舗専門委員
- 4.議 題
- (1)気候変動枠組条約第5回締約国会議(COP5)の結果について
(2)「わが国における高レベル放射性廃棄物地層処分の技術的信頼性」について
(3)核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第43条の4第1項の原子炉及び貯蔵能力を定める政令の制定について
(4)その他
- 5.配布資料
資料1 | COP5の概要 |
資料2 | 技術報告書「わが国における高レベル放射性廃棄物地層処分の技術的信頼性」の報告を受けて(案) |
資料3-1 | 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第43条の4第1項の原子炉及び貯蔵能力を定める法令の制定について(諮問) |
資料3-2 | 原子炉等規制法第43条の4第1項の原子炉及び貯蔵能力を定める法令の制定について |
資料4 | 第70回原子力委員会臨時会議議事録(案) |
- 6.審議事項
- (1)気候変動枠組条約第5回締約国会議(COP5)の結果について
- 標記の件について、外務省より資料1に基づき説明があった。これに対し、
- 京都議定書を批准しない国は、京都メカニズム(排出量取引、共同実施、クリーン開発メカニズム(CDM))の対象にはならないのか。
(外務省)その通りである。
- 米上院が批准の条件としている、「発展途上国の意味ある参加」とはどのようなものか。
(外務省)現状では明確な答えはない。なお、中国等はCDMに関心を抱いており、これを誘因として何らかの約束を引き出せる可能性がある。最後まで抵抗するのはサウジ等の産油国ではないか。
- 2000年11月のCOP6は米大統領選挙の直後であり、誰が就任したとしても、その時点では充分な政治力を発揮できない可能性が高い。COP6の開催時期として不適当ではないか。
(外務省)京都議定書に対する米大統領候補の政策は人により異なっており、難問である。なお、COP6を2001年5月に延期した場合でも、米国が政策決定を下せるという保証は無く、従ってCOP6は当初の予定通り実施することとし、その代わり交渉日数を増やすこととした。
- CDMに原子力発電が入るかどうかについて、議論されたか。
(外務省)小島嶼国のみが、条約事務局に提出したメカニズムに関する意見の中で、CDMには原子力発電を入れないで欲しいということを明示している。また、会場に集まったNGOが、原子力反対を強くアピールしている。他の国々の間では、原子力を含めてCDMから何かを排除すべしという議論はなされていない。
- 会議において、各国の実状や排出削減努力についての報告があったか。
(外務省)清水環境庁長官から、省エネ法の改正、地球温暖化対策推進法の施行等の国内対策について説明があった。欧州の国の中では声明中で実施状況について説明した国もあり、NGOでもライフスタイルや再生可能エネルギー推進についての発表があった。
- 排出量取引等の状況はどうなっているのか。
(外務省)排出量取引については、米国内におけるSO2に関する取引制度が既に動いているほか、シドニーにおけるCO2並びに他の温暖化ガスの取引制度の発足が報道されている。米国が批准する際には、排出企業に対して排出枠を課す考えとのことである。CDMに関しては、途上国、ラテンアメリカが関心を示している。また、世界銀行が炭素ファンドを作り、CDMに参加するための準備を始めた。
- 等の委員の意見及び質疑応答があった。
- (2)「わが国における高レベル放射性廃棄物地層処分の技術的信頼性」について
- 標記の件について、廃棄物政策課より資料2に基づき説明があった。これに対し、
- 原子力バックエンド対策専門部会における報告書の評価結果は、いつ報告されるのか。
(廃棄物政策課)原子力バックエンド対策専門部会に評価のための分科会を設置し、約1年かけて審議し、結果を報告する予定である。
- 高レベル放射性廃棄物対策は国民にとって最も関心のある問題である。分かりやすく国民に説明し、理解を求めていかなければならない。
(廃棄物政策課)核燃料サイクル開発機構も、資料をより分かりやすくする不断の努力を続けることとしている。また科学技術庁としても、放射性廃棄物シンポジウム等を通して、順次分かりやすい資料を整備していきたい。
- 案の3.のみが委員会の意志を示す表現になっておらず、表現を修正した方がよい。
- 専門性の高い問題であり、地質学会や土木学会等の関係学会の目で見て遺漏のないようにして欲しい。
(廃棄物政策課)関係学会には積極的に紹介し、意見を求めていくことになるだろう。ただし、研究者の多様な意見が一つにまとまることを期待するのは困難かもしれない。
- この問題に限らず、理解を得るための方法は、相手に応じた対応の仕方を考えていく必要がある。
- 等の委員の意見及び質疑応答があり、本件については、一部修正の上、見解として取りまとめることを了承した。
(3) | 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第43条の4第1項の原子炉及び貯蔵能力を定める政令の制定について
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- 標記の件については、閣議決定まで非公開とされる資料を用いることから、非公開審議とした上で、通商産業省より資料3-1及び資料3-2に基づき説明があり、本件については、引き続き審議を行うこととなった。
- (4)議事録の確認
- 事務局作成の資料4第70回原子力委員会臨時会議議事録(案)が了承された。
なお、事務局より、次回は平成11年12月3日(金)に臨時会議を10:30より開催する方向で調整したい旨、発言があった。