第68回原子力委員会定例会議議事録(案)
1.日 時 1999年11月16日(火)10:30〜11:40
2.場 所 委員会会議室
3.出席者 藤家委員長代理、遠藤委員、依田委員、木元委員
(事務局等)科学技術庁
原子力局
中澤審議官
原子力調査室 伊藤室長、池亀、中野、木村
研究技術課 川原田課長、木村、斉藤
文部省
学術国際局研究機関課 上月
日本原子力研究所
大強度陽子加速器計画推進チーム
永宮チームリーダー、向山
企画室 野田、高田
電気事業連合会
高本事務局長
原子力部 巻口部長、高橋副部長
吉舗専門委員
- 4.議 題
- (1)ニュークリアセイフティーネットワークの設立について
(2)大強度陽子加速器計画の現状について
(3)その他
- 5.配布資料
資料1 | ニュークリアセイフティーネットワークの設立について |
資料2-1 | 大強度陽子加速器計画について |
資料2-2 | 大強度陽子加速器計画について(添付資料) |
資料3-1 | 第66回原子力委員会定例会議議事録(案) |
資料3-2 | 第67回原子力委員会臨時会議議事録(案) |
- 6.審議事項
(1)ニュークリアセイフティーネットワークの設立について
- 標記の件について、電気事業連合会より資料1に基づき説明があった。これに対し、
- 「安全文化」の理念や定義があるとよい。
- 日本はその精神風土との関係で、ピアレビューは機能しにくいのではないか。また、将来的には外部の専門家の参加も考えるべきではないか。
(電事連)数名のメンバーを組んで、各施設を回ることを考えているが、会員相互で企業秘密の問題等もある。チェックする側、チェックされる側の感想をふまえながら考えていきたい。
- 電中研の原子力情報センターなどの既存のシステムが十分利用されていない。現在あるものを皆が使うことも重要。
(電事連)電中研や原子力発電技術機構のヒューマンファクターセンター、安全研究を行っている原研などと、十分な連携を考えたい。
- トラブル情報を解析し、現場へどのようにフィードバックするかが大切。トラブル情報の共有化をハード、ソフトの両面でどう進めるかが今後の課題である。燃料加工メーカーによるネットワークはNSネットワークに吸収されているのか。
(電事連)電気事業者によるWANOに対して、燃料加工事業者のWANO版があり、両者をメンバーとするNSネットワークがある。燃料加工事業者独自の活動とは重複しないように考えている。
- 盲点になることがあるので、すみ分けよりはカバーし合うのがよい。今後の長期計画でも、すみ分けから相互乗り入れが一つの論点となっている。
- 最近、安全文化が通用する世界よりも、その外側で問題が起こっている。
- 原子力業は完全に市場性があるわけではなく、そのような状況の中でequalpartnershipとは何か。
- 今回の事故は専門性の無視、軽視が引き起こしたところが相当大きいのではないか。
- 住友金属鉱山の他に例えば、原子燃料工業の親会社にまで声をかけているのか。また、メンバーをどこまで広げれば必要十分なのか。
(電事連)走りながら考えたいが、前広に対応したい。
- 実際の定期点検まで含めると、下部機構まで広がる。それらはどう考えているのか。
(電事連)発電所については、建設から定期点検まで電力が一義的に対応する。
- ピアレビューではどのような立場の者が対応するのか。
(電事連)現場に精通した部長レベルの者である。
- 経営トップが常に現場に目を向けることが重要。原子力は裾野が広く、その裾野産業の人の使命感が原子力の現場を支えているので、そこへの配慮をお願いしたい。
- いかに今回の事故を風化させないようにするのか。常に緊張感を持って対応できるのか。非常に難しいことである。
- 等の委員の意見及び質疑応答があった。
- (2)大強度陽子加速器計画の現状について
- 標記の件について、研究技術課及び日本原子力研究所より資料2-1及び資料2-2に基づき説明があった。これに対し、
- 国際レビューをする者はどうやって選ばれたのか。
(原研)原研と高エネ研で、日本人と外国人のバランスを考慮しつつ、当該分野において世界的に優れた人で、また、統合のメリットなどを判断できる方を選んだ。
- 本計画と理研のRIビーム・ファクトリーの関係はどのようになっているのか。
(原研)OECDのメガサイエンスフォーラムの報告書で、核構造、重イオン、電子ビーム、ハドロンの4つの方向性が指摘されている。この内、核構造はRIビームを指しており、これは三極構造の中でEU、アメリカ、日本に各々1つというぐらいユーザーの多いものである。一方、ハドロンは本計画に関連するもので、世界の中で日本に建設することが望まれている。
- ジェー・シー・オーの事故後、本施設を建設することについて地元の方々の理解は得られるのか。
(原研)ジェー・シー・オー事故以降でも、伝え聞くところによると、東海村村長はこの計画だけは進めてもらいたい意向とのことである。
- 基礎科学として、まだ発展途上ではあるが、その将来目標は何か。また、具体的な産業応用化等が期待できる時間軸はどのあたりなのか。
(原研)本計画ではアカデミックリサーチと応用をうまく組み合わせて新しい科学を創造していきたい。
(原研)加速器で臨界をコントロールしながらマイナーアクチニドを燃やし発電する炉であれば加速器の性能にして、30〜40Mw位が必要であろう。この技術はまだ確立されておらず、本計画では低いパワーでの研究を予定。実用化には20〜30年かかる。
- そのイメージとはどのようなものなのか。
(原研)ルビアが提案した発電を主目的としたものとは異なり、原研が提案しているものは、長寿命核種の変換処理を目的としたものである。この場合でも、発電することにより1/3は運転電力として利用し、2/3は売電できる。
- 本計画を科学技術創造立国を目指す日本がチャンピオンデータを出すために進めるということも一つの考え方。一方、目的指向としてとらえればさまざまな位置付け、意義付けが必要であるが、この点は更なる検討が必要。
(原研)今後もその点につき議論を重ねて行きたい。
- このような計画に対して、次世代の子供がワクワクするような、また、科学技術には夢があるんだと感じさせるアピールを盛り込んでほしい。
- 国際レビュー委員会がいいところを伸ばすためのものであるとすれば、次の評価はネガティブチェックもやらなければいけないが、それに耐えられるような内容であることが必要。
等の委員の意見及び質疑応答があった。
- (3)議事録の確認
- 事務局作成の資料3-1第66回原子力委員会定例会議議事録(案)及び資料3-2第67回原子力委員会臨時会議議事録(案)が了承された。
なお、事務局より、次回は平成11年11月19日(金)に臨時会議を10:30より開催する方向で調整したい旨、発言があった。