第66回原子力委員会定例会議議事録(案)
1.日 時 1999年11月9日(火)10:30〜11:45
2.場 所 委員会会議室
3.出席者 藤家委員長代理、遠藤委員、依田委員、木元委員
(事務局等)科学技術庁
原子力局
政策課 天野課長
原子力調査室 板倉、村上、池亀、会沢、鯉渕
原子力安全局
原子力安全調査室 干場室長、小原安全調査管理官
吉舗専門委員
- 4.議 題
- (1)「株式会社ジェー・シー・オー」ウラン加工工場における臨界事故について
(2)「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」の一部改正及び「原子力災害対策特別措置法」について
(3)その他
- 5.配布資料
資料1-1 | 原子力安全委員会・ウラン加工工場臨界事故調査委員会緊急提言・中間報告のポイント |
資料1-2 | 緊急提言・中間報告(平成11年11月5日原子力安全委員会ウラン加工工場臨界事故調査委員会) |
資料2 | 第65回原子力委員会臨時会議議事録(案) |
配布資料 | 「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」の一部改正及び「原子力災害対策特別措置法」の制定について(案) |
- 6.審議事項
(1)「株式会社ジェー・シー・オー」ウラン加工工場における臨界事故について
- 標記の件について、原子力安全調査室より資料1-1及び資料1-2に基づき説明があった。これに対し
- 事故の背景の問題も究明し、背景となった原因を排除する措置に繋がる提言をして欲しい。
- 今回の事故は、マン・マシンインターフェースの間で起きた重大事故であった。従って将来に対する貴重な経験を活かしていくために、マン・マシンの両者の関連を総合的、体系的に取り上げていかなければならない。事故調査委員会にも品質管理や安全問題の専門家が参加しているので、危険性を内在した原子力を安全に扱うマン・マシンの在り方、基本哲学を提言の中に盛り込んで欲しい。
- 旧動燃事故の教訓が活かされていない。原子力利用に当たって確立されねばならない安全哲学とは何か、調査の中から明らかにして欲しい。また原子力委員会としても、その方向に沿って改善を図らなければならない。
- 原子力委員会として様々な対応策を取ってきたが、個々の問題に対して個々に対応するという従来の方法では限界があり、全体をどう捉えるかが重要である。どうすればモラルを維持でき、夢が持てるのかという基本問題に対する展望が必要である。また国内問題だけでなく、経済性等について、国内的な要求と国際的な要求との間の整合性についても議論が必要ではないか。
- 住民に対する事故のアフターケアも重要である。事故後どういう対応をとってきたかについても、説明して欲しい。
(原子力安全調査室)県が中心となって対処しており、短期的には健康への影響はないという評価である。長期的な問題については健康管理検討委員会での審議をもとに、科学技術庁や県が実施していく。心のケアについても、対応を進めていく。
- このような場合に取扱う線量についての数値は、現時点における正確な値とすべきか、安全審査で扱うような安全側に保守的な値とすべきか、考えなければならない。
- 後遺症がいつ出るかという心理不安を、どうやったら解消できるのか。
- 国民からの様々な声を収集、分析、整理して、最終報告書に反映して欲しい。何に対して不信感、不安感があるのか、それに対してどう具体的に反映させていくのかがなければ、報告書として国民から評価されない。
(原子力安全調査室)最終報告書に反映させるべく、中間報告に対して国民からの意見公募を始めたところである。
- メディアで放送された内容についてもできる限り収集して欲しい。専門家の視点と一般国民の視点に乖離があるのではないか。
(原子力安全調査室)報道も含めて、整理していきたい。
- 等の委員の意見及び質疑応答があった。
- (2)「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」の一部改正及び「原子力災害対策特別措置法」について
- 標記の件について、事務局より配布資料の読み上げがあった。これに対し、
- 「フロントエンド」は原子力業界用語であり、一般国民には理解されない。
- 原子力学会の用語委員会に検討してもらうべきではないか。
- 原子力用語については、この機会に再検討してはどうか。用語が意味不明では、情報公開の効果が半減してしまう。
- 法律の制定、改定は枠を作るだけである。法律が有効に機能するような措置を着実に実施して欲しい。
- 原子力委員会としての受け止め方の厳しさと対応すべき事項が、明確に表現されている。用語等については改善の余地があるが、大枠としては本資料を原子力委員会の決定としてよいのではないか。
- 法律を活かすための条件を具体的制度的に確立することが、原子力委員会と原子力安全委員会の仕事である。
(政策課)事務局としても今後の措置について適宜報告し、またご意見を伺っていきたい。
- この問題への対応には時間がかかる。従って現行の行政組織だけでなく、省庁再編後の行政組織がこれを受け止められるようになっているかも大切である。従来のように個々の問題に対処するやり方では済まないという認識で、議論していきたい。
- 国民と専門家の乖離と同時に、作業者と安全規制担当者との認識の乖離が、今回の事故の教訓である。役割分担も大事だが、相互に乗り入れていくことも重要である。
- 事業者が自己責任を理解できないのではないか。食品業界におけるHACCP(HazardAnalysisCriticalControlPoint、危害分析重要管理点方式)の原理を導入し、自己責任で対処すべきポイントを決めれば、事業者側に問題に対してきちんと対処する姿勢が出来てくる。
- 守り難い規則を作るのは、作る側に問題がある。
- 等の委員の意見があり、その結果、本件については案通り決定することとした。
- (3)議事録の確認
- 事務局作成の資料2第65回原子力委員会臨時会議議事録(案)が了承された。
なお、事務局より、次回は平成11年11月12日(金)に臨時会議を10:30より開催する方向で調整したい旨、発言があった。