5.中性子施設の世界の動向
○米国SNS(SpallationNeutronSource)計画
- 1GeVの常伝導陽子リニアックと2MWの核破砕中性子源を整備。
- 1998年10月建設予算認可、2000年に建設着工(建設費約1.3B$)。施設の完成予定は2005年。
○欧州ESS(EuropeanSpallationSource)計画
- 1.33GeV常伝導リニアックと2つの蓄積リングを建設し、1MWおよび5MWの核破砕中性子源を整備。
- 概念設計を終了、1997年よりR&Dを開始。2000年にC&Rを実施し、その後建設予定。
- 建設費は約1.2B$。将来的にはミュオン、ニュートリノ、RIビームなどの研究施設の設置も検討中。
6.国際レビュー
7カ国12名の専門家からなる国際レビュー委員会が開催され、本計画は21世紀の最先端の科学技術を拓く計画であり、この計画により生命科学、物質科学、物理学等の基礎研究及び原子力科学技術の研究開発で、世界をリードすることができると評価された。
評価結果の概要は以下のとおり。
- このプロジェクトは、基礎から応用まで極めて広い研究領域を含んでおり、21世紀の最先端科学を広くカバーする時宜を得たものである。
- 当初1MW、第二期計画5MWの核破砕中性子源は、世界最強の中性子源の一つであり、構造生物学の先端的研究にとって欠かせないものである。長寿命核種の変換技術の研究開発は、21世紀の社会経済面に重要な影響を与える。原子核・素粒子物理、ミュオン物理、短寿命核物理の分野において、この施設がもたらす可能性は極めて大きい。
- この施設を国際的な研究センターとして位置づけることは望ましいことである。また、高エネルギー加速器研究機構の加速器技術や原子核物理の専門知識と、日本原子力研究所の原子力科学技術を結合する事により、原子力科学の分野で飛躍的な進歩が生まれる可能性は非常に高い。
7.予定される施設利用研究者
- 中性子実験施設はアジア・オセアニア地域の中核として、原子核・素粒子実験施設や核変換実験施設は、世界でもユニークな研究施設として、日本原子力研究所、高エネルギー加速器研究機構の研究者以外に、海外の研究者約2百人を含めて国内外から年間2千人以上の研究者が利用する予定。
- 大学等から広く大学院生等を受け入れ、国際的レベルの科学者・技術者を養成。
8.予算及び建設スケジュール(予定)
- 建設予算は、総額約2千億円、うち第1期分は約1千5百億円。
- 建設期間は、第1期分が平成13年度から5ヶ年、第2期分は平成18年度から。