第65回原子力委員会臨時会議議事録(案)
1.日 時 1999年11月5日(金)10:30〜12:10
2.場 所 委員会会議室
3.出席者 藤家委員長代理、遠藤委員、依田委員、木元委員
(事務局等)科学技術庁
原子力局
政策課 天野課長
原子力調査室 伊藤室長、板倉、村上、池亀、鯉渕
原子力安全・防災対策室 山野次長
通商産業省
資源エネルギー庁
原子力発電運転管理室 森山室長、小松
吉舗専門委員
- 4.議題
- (1)日本原子力発電(株)敦賀発電所2号機再生熱交換器連絡配管からの一次冷却材漏えいについて
(2)原子力安全及び防災対策について
(3)原子力災害対策関連補正予算について
(4)その他
- 5.配布資料
資料1-1 | 日本原子力発電(株)敦賀発電所2号機における一次冷却材漏えいの原因と対策について |
資料1-2 | 日本原子力発電(株)敦賀発電所2号機再生熱交換器連絡配管からの一次冷却材漏えいについて |
資料2 | 第64回原子力委員会定例会議議事録(案) |
配付資料 | 原子力安全・防災対策について |
配付資料 | 原子炉等規制法の一部改正法案の要綱骨子案 |
配付資料 | 「原子力災害対策特別措置法案」(仮称)の要綱骨子案 |
配布資料 | 原子力災害対策に係る補正予算要求関連資料 |
- 6.審議事項
(1) | 日本原子力発電(株)敦賀発電所2号機再生熱交換器連絡配管からの一次冷却材漏えいについて |
- 標記の件について、通商産業省より資料1-1及び資料1-2に基づき説明があった。これに対し、
- 再生熱交換器の長さを変えたことによる影響について、考慮しなかったのか。
(通商産業省)今回のようにフローパターンが変化するという影響については、予測できなかった。
- 技術開発という観点からすれば、今回の損傷から何を技術的経験として集積するかが重要である。
- 再生熱交換器に、なぜU字の連絡管を入れたのか。直管であれば熱疲労による損傷は避けられたのではないか。
(通商産業省)熱交換器は10cm程度の熱膨張が起こる。この膨張を吸収するために、U字管を採用した。
- 緩衝体は最も無理がかかる部分であり、設計条件も厳しくしなる。
- バイパス流は再生熱交換器の機能上本質的に意味が無いため、設計上関心が払われなかったのではないか。今回のトラブルでは重要な知見が得られた。これを設計基準に活かしていかなければならない。
- バイパス流による再生熱交換器の変動メカニズムは、あらかじめ分かっていたのか。
(通商産業省)バイパス流があることは当初から分かっており、それが熱交換器の性能に及ぼす影響についても検討されていた。周期の短い揺らぎについては評価していたが、今回の再生熱交換器の変動については考慮していなかった。
- 再発防止策の本質部分は、設計へのフィードバックである。他の原子炉では内筒構造があまり採用されていないが、配管のエルボ部分に対する従来の基準については、今回の経験を踏まえフィードバックすべきではないか。
(通商産業省)最新の知見に基づき、高サイクル熱疲労に関する基準を整備することとしている。特に機械学会にも検討してもらい、詳細な基準を作成したい。
- 原子炉安全の観点からの事故処理としては、今回の一次冷却水漏えいでは十分な対応ができたが、漏えい停止まで14時間を要したことは、社会的な見地からはどうであったか。この時間を短縮することは可能か。
(通商産業省)安全上問題のない範囲で時間短縮できるか、マニュアルの見直しを含めて検討する。
等の委員の意見及び質疑応答があった。
- (2)原子力安全及び防災対策について
- 標記の件について、原子力安全・防災対策室より配布資料に基づき説明があった。これに対し、
- 原子力保安検査官を配置する「主要施設」とは、何か。また、原子力保安検査官を科学技術庁及び通商産業省に置くとあるが、省庁再編後にはどこに置かれるのか。
(原子力安全・防災対策室)検査官を個々の施設に配置するのではなく、エリアごとに配置することを考えている。商業炉については通商産業省、核燃料サイクル施設については科学技術庁に検査官を置くが、省庁再編後は各々経済産業省と文部科学省の規制分担に応じて置くことになる。
- 原子炉等規制法の罰則規定はどのようになるか。
(原子力安全・防災対策室)新規のものについて、当然罰則規定を設けるが、既存のものについても、全体的に罰則規定の強化を図る。
- 原子力災害対策特別措置法に基づく活動は何によって始まるのか。
(原子力安全・防災対策室)具体的には政令で定めるが、事故の影響がサイト外に出る恐れがある場合を想定している。例えば、周辺監視区域のモニタリングポストの計測値が、平常値より高くなった場合等が考えられる。
- 旧動燃のアスファルト固化処理施設の火災爆発事故のような場合では、防災組織は活動することになるのか。
(原子力安全・防災対策室)基準の決め方次第である。新法に基づく活動かどうかは別にして、旧動燃の事故のような場合にも防災組織は活動することになるだろう。
- 緊急時対応のためには防災訓練が重要である。その具体的な内容はどこで定めるのか。
(原子力安全・防災対策室)防災訓練は従来から実施されているが、原子力特有の事情を考慮した、原子力災害対策特別措置法の枠組みに基づく総合的な防災訓練については、国が計画を作成して実施することを考えている。訓練を通してマニュアルの完成度を上げていくことになると思う。
- 原子力保安検査官と原子力安全委員会、防災専門官、原子力防災管理者の関係はどのようになるか。また、検査官はオフサイトセンターに常駐することになるのか。
(原子力安全・防災対策室)検査官は行政庁側の日々の検査をするために、現地に常駐する。専門官は、防災組織の在り方を検討することになると思う。防災管理者は事業者側の組織であり、現状事業者が組織している自衛消防団を強化したものの責任者のような位置付けになると思う。検査官の事務所はオフサイトセンターに隣接して設けることになるのではないか。
- 情報の整理、統合及び発信は、オフサイトセンターで行うのか。また、プレスセンターをこの中に置くのか。
(原子力安全・防災対策室)原子力災害合同協議会として国、県、市町村の組織が同じ建屋で情報を共有しながら一体となって活動できるものを目指している。例えば消防団に対する指示は市町村長、県警に対しては県のように指揮系統が別れているが、これらが連携して活動できるような枠組みを考えている。情報発信についても、国、県、市町村が共同でできるような体制を整える構想である。プレスセンターの設置については、中に置くかどうかは検討が必要であるが、統合的な情報発信は行うことになるだろう。
- 一般からの質問に答える機能も、オフサイトセンターに付与するのか。
(原子力安全・防災対策室)オフサイトセンターの規模や機能については、今後個々に検討されると思う。
- オフサイトセンターが真に機能するためには、日常的に情報が集まり整理するようにしなければならない。寸秒を争う状況下で的確な判断をするために、どのような情報を集積すべきか検討する必要がある。またそのためのハードウェアを整備し、いつでも災害情報として取り出せなければならない。さらに、市町村長や知事の決断を支援するために、地元または中央から専門家を招集しなければならない。従ってオフサイトセンターは場所を定めるだけではなく、人材、情報、予算が日常的に必要となる。法律が活きるための、これらの条件整備こそが重要である。また、検査官等の資格条件も重要である。法律の枠組みも大切だが、内容の充実こそが基本となる。
- 制度を整備することで緊張感を常時作り出し、未然防災の効果が期待できる。
- 同じ原子力事業者であっても、核燃料サイクルに係る事業者と発電事業者との違いにより、対応の仕方に違いがある点を議論しておく必要がある。
(原子力安全・防災対策室)事業者の種類により、各々の義務づけの重さの違いを省令等で定めることになるだろう。
- 原子炉主任技術者や核燃料取扱主任者等は、状況によっては各々が属している組織とは別の判断が求められる。このことを徹底させることが重要である。
(原子力安全・防災対策室)新制度では、防災管理者が設けられる。監査的な立場からの参画か、事業者の組織に組み込まれるようにするか、各々の事業所において実戦的な体制にする必要がある。
- 外国の原子力施設で事故が起こった場合や、日本の原子力施設が攻撃を受けた場合にはどうなるのか。
(原子力安全・防災対策室)この法律の枠組みに乗らない場合には、災害対策基本法で対処する。日本の原子力施設が攻撃された場合には、この法律で対処することになるだろう。
- 日本の近くで、日本への影響の大きい原子力災害が起こる場合を想定し、チェルノブイリ災害の事例を研究する必要があるだろう。
- 等の委員の意見及び質疑応答があり、本件については引き続き審議をすることとなった。
- (3)原子力災害対策関連補正予算について
- 標記の件について、政策課より配布資料に基づき説明があった。これに対し、意見や質問等があれば政策課に問い合わせることとなった。
- (4)議事録の確認
- 事務局作成の資料2第64回原子力委員会定例会議議事録(案)が了承された。