第63回原子力委員会定例会議議事録(案)
1.日 時 1999年10月26日(火)10:30〜11:05
2.場 所 委員会会議室
3.出席者 遠藤委員、依田委員、木元委員
(事務局等)科学技術庁
原子力局
政策課 藤岡
原子力調査室 伊藤室長、板倉、池亀、鯉渕
吉舗専門委員
4.議題
- (1)原子力損害賠償紛争審査会の設置について
(2)原子力委員会専門委員の変更について
(3)その他
- 5.配布資料
資料1 | 原子力損害賠償紛争審査会の設置に関する政令案要綱 |
資料2 | 原子力委員会専門委員の変更について(案) |
資料3 | 第62回原子力委員会定例会議議事録(案) |
- 6.審議事項
(1)原子力損害賠償紛争審査会の設置について
- 標記の件について、政策課より資料1に基づき説明がなされた。これに対し、
- 原子力損害賠償紛争審査会の委員の人数及び選考方法は。また、委員の公表はいつになるか。
(政策課)審査会の組織政令に基づき、法律、医療、原子力工学の分野で専門的知見を有する方から、10名の人選を進めてきた。委員については、任命の後公表したい。
- 審査会の設置に関する政令の施行はいつか。
(政策課)10月22日付けで公布し、公布即日施行である。
- 本審査会は重大な役目を負っている。前例として残ることでもあり、大変な覚悟をもって臨まなければならない。
- 賠償については、事故の後始末として国民も注目しており、審査会の人選や運用を適切に行い、審査結果もまた妥当なものでなければならない。和解の仲介は広範な問題に及ぶと思われる。実際に審査会が機能するためには正確な実態把握が必要である。
(政策課)公的機関である審査会とは別に、原子力損害調査研究会を科学技術庁長官のもとに設置し、必要に応じて審査会に対して情報提供することを考えている。
- 研究会のメンバーは。
(政策課)今まで原子力損害の賠償に関する法律の改正に参画した方、保険や損害賠償に知見のある方等を考えている。審査会と研究会は別の機関であり、審査会は研究会に拘束されるものではない。審査会はその調査権限に基づいて、独自の視点から調査することになる。
- 今後の賠償に向けてのプロセスは、どのようになるのか。
(政策課)原賠法は民法の特別法という位置づけであり、基本的な考え方は民事賠償の手続きそのものである。被害者の方は、まずジェー・シー・オーに賠償を請求する。
- 今後原賠法はいつ適用されるのか。
(政策課)原賠法の基本理念は民事賠償同様当事者責任であり、我々は既にジェー・シー・オーに責任をもって対応するよう指導しており、そういう意味では我々は既に原賠法の適切な運用を行っている。
- 親会社と子会社は、商法や原賠法の上では切断されている。商法に基づいて賠償責任が親会社と子会社との間で切れるものとすると、今後企業の原子力事業部門は別法人になってしまう。親会社と子会社の責任分担をどうするか、という判断が必要である。
- 国が補填する以上、国会の議決が必要となる。審査会は、国会に対して説明する責任を負うのか。今回の原賠法適用は、国民に対してどこまで損害が補償されるのかを示すことにもなる。原子力に対する国民の信頼回復にも係わる問題である。
- 類似の訴訟、判例はあるのか。原子力災害以外でも油濁等の環境汚染や風評被害についても調べてみてはどうか。
- 被害の立証責任は当事者が負うのか。
(政策課)その通り。
- 風評被害を賠償の対象として認める形になるのか、法律論的にも実態論的にも重要な仕事となる。
- 今回のように大きな責任を負う場合は、曖昧さがあってはならない。研究会のメンバーがどれだけ時間を割けるのか、どれだけ責任感を持てるのかが問題である。
- 審査会の調停がうまくいかなかった場合、次のステップは。
(政策課)裁判となる。
- これは不幸にして原賠法適用の最初のケースになるので、ぜひ慎重に進めて欲しい。また、折りに触れて途中経過を説明して欲しい。
- 国民の信頼を回復するための第一歩であり、原賠法自体に対する信頼感を失ってはならない。
- 審査会に関する情報公開はどうするのか。
(政策課)審査会ではプライベートな問題も扱うため非公開だが、審査結果の公表方法については検討する。
- 等の委員の意見及び質疑応答があった。
- (2)原子力委員会専門委員の変更について
- 標記の件については、人事案件であることから非公開で審議することとした上で、原子力調査室より資料2に基づき説明があり、了承された。
- (3)議事録の確認
- 事務局作成の資料3第62回原子力委員会定例会議議事録(案)が了承された。