第61回原子力委員会臨時会議議事録(案)
1.日 時 1999年10月15日(金)10:30~11:45
2.場 所 委員会会議室
3.出席者 藤家委員長代理、遠藤委員、木元委員
(事務局等)科学技術庁
原子力局
原子力調査室 伊藤室長、板倉、村上、池亀、鯉渕、國嶋
核融合開発室 中村室長
通商産業省
資源エネルギー庁
原子力発電安全企画審査課
伊藤統括安全審査官、永田、須之内、有沢
- 4.議 題
- (1)日本原子力発電株式会社敦賀発電所の原子炉の設置変更(1号原子炉施設の変更)について(諮問)
(2)第3回ITER特別作業部会の結果について
(3)平成11年度原子力委員会委託調査について
(4)その他
- 5.配布資料
資料1-1 | 日本原子力発電株式会社敦賀発電所の原子炉の設置変更(1号原子炉施設の変更)について(諮問) |
資料1-2 | 日本原子力発電株式会社敦賀発電所の原子炉設置変更許可申請(1号原子炉施設の変更)の概要 |
資料2 | 第3回ITER特別作業部会の結果について |
資料3 | 平成11年度原子力委員会委託調査について(案) |
資料4-1 | 第59回原子力委員会臨時会議議事録(案) |
資料4-2 | 第60回原子力委員会定例会議議事録(案) |
- 6.審議事項
(1)日本原子力発電株式会社敦賀発電所の原子炉の設置変更(1号原子炉施設の変更)について(諮問)
- 平成11年10月8日付け平成11・02・12資第21号をもって通商産業大臣より諮問のあった標記の件について、通商産業省より資料1-1及び資料1-2に基づき説明があった。これに対し、
- 8×8燃料を9×9燃料に交換する目的は、燃焼度向上以外に何があるか。
(通商産業省)燃料の炉内滞在時間延長により、最終的に廃棄物が低減される。
- 制御棒を変更することによる効果は何か。
(通商産業省)従来のボロンを使用したものに比べて、長寿命化が期待できる。
- この原子炉は、BWRとしては日本で一番長く運転しているが、ここで新しく燃料や制御棒を変更するということは、今後も相当の期間運転を続けるということか。
(通商産業省)BWR燃料の主流が9×9燃料に移ってきており、安全性を確認した上で、9×9燃料に切り替えていかなければならない。また、廃棄物低減化の観点から、他の炉と同様に燃料と制御棒の変更を行う。
- 全体としては、9×9燃料とハフニウム制御棒に変更する方向なのか。
(通商産業省)燃料に関しては、9×9燃料に変更する流れである。
- 変更申請においては、安全上重要で事業者が国に対して約束すべき事項、自己責任ですべき事項を整理する必要がある。
- 等の質疑応答及び委員の意見があり、本件については引き続き審議することとなった。
注)本件に係る変更は以下のとおり。
①1号炉に9×9燃料を取替燃料として採用する。
②1号炉にハフニウム板型及びハフニウムフラットチューブ型の新型制御棒を採用する。
- (2)第3回ITER特別作業部会の結果について
- 標記の件について、核融合開発室より資料2に基づき説明があった。これに対し、
- ITER建設を日本に誘致するなら、事業体組織は国際組織とするのが望ましいのではないか。双方の認識を合わせるために、EU側の最小の要求事項を提示させるべきではないか。
- 建設費について、建物と機器に分ける必要があるのか。運転経費の分担はどのようになるのか。また、現在のITER特別作業部会でコストに関する決定をしていいものか。
(核融合開発室)建設費の主なものとしては、建屋、主要機器、組立てにかかるコストがある。建屋と組立て資金は主にホスト極に還流されるが、この資金を他極が拠出できるだろうかという議論がある。主要機器については各極で分かち合おうという考えである。額については、最終的に政府間協議で決まると考えている。運転経費は、基本的には本体の建設コスト分担に応じた分担という考え方があるが、様々な議論があり確定していない。
- in-kindという拠出方式には、危険性がある。原則としてキャッシュとすべきではないか。
- コスト分担の比率は、どのくらいになるか。
(核融合開発室)日本がホスト極となり、主要機器を三等分で負担した場合、日本の負担は3分の2より少ない程度と見込まれる。しかし、見積りを精査する必要や、ロシアの今後の動向、第3国による拠出の可能性もあるので、現状では具体的に示せない。
- 計画の進捗状況について、どのような感触を持っているか。
(核融合開発室)スケジュール上はタイトなものになっている。ITER工学設計活動(EDA)の単純延長は無いものと思っており、各極とも来年には何らかの判断をする時期と考えている。
- 誘致を希望している自治体は注目している。それに対してどう応えていくのか。
(核融合開発室)設計概要報告書の中で立地のための最低限の要件や、希望する要件を提示するが、これが自治体に対するメッセージになる。サイト要件は本年末に発表され、来年1月の理事会に報告される予定である。
- ITER装置の名称だが、「RTO/RC」は従来の路線を、目的は少し削っても趣旨は活かそうとした日本流のやり方である。提案された名称案は、その趣旨からずれているのではないか。
- 物を作って動かしていくまでの困難が議論の中に入っていない。例えば要員の雇用期間が5年だというが、その人がどこまで運転に対して責任を持てるのか。加速器を運転するなら分かるが、日本の原子力発電所は、そのようなやり方では成り立たない。
- 責任も国際分担とするのか。
(核融合開発室)廃炉の時まで、責任もコストと同じ分担であるという議論をしている。
- このような話は、今のEU、ロシアの状況からすれば、何年間約束できるか。
(核融合開発室)できるだけしっかりと国際協定に書いておく必要がある。批准まで持ち込めるようなものにする必要がある。
- 額次第だが、ホスト極が資金の9割程度の拠出を覚悟することも考慮しなければならない。ホスト極が最後まで責任を取らされるだろう。日本がITERを受け入れるのなら、それだけの覚悟を決めて国民の理解を得る必要がある。
(核融合開発室)急に一つの極がやめた場合、最終的に、ほぼ全部を日本が負担するという覚悟を決めなければならない可能性はある。
- そのような問題を様々な場で議論していくことが大切である。
- 等の質疑応答及び委員の意見があった。
- (3)平成11年度原子力委員会委託調査について
- 標記の件について、原子力調査室より資料3に基づき説明があった。これに対し、
- 従来のような、「あなたは原子力発電に対して不安を感じたことがありますか」という設問では、誰でも不安があると答える。航空機等原子力以外の日常的な物事とも比較して、人はどういう時に不安を感じるかを押さえた上で、分析して欲しい。
- 不安解消についての具体的な提言ができるレベルまで踏み込んだ調査分析を実施してほしい。
- 等の委員の意見があり、本件については了承された。
- (4)議事録の確認
- 事務局作成の資料4-1第59回原子力委員会臨時会議議事録(案)及び資料4-2第60回原子力委員会定例会議議事録(案)が了承された。