第60回原子力委員会定例会議議事録(案)
1.日 時 1999年10月12日(火)10:30〜11:30
2.場 所 委員会会議室
3.出席者 藤家委員長代理、依田委員、遠藤委員、木元委員
(事務局等)科学技術庁
原子力局
原子力調査室伊藤室長、板倉、村上、池亀、会沢
通商産業省
資源エネルギー庁
原子力発電安全企画審査課
伊藤統括安全審査官、須之内、津金
吉舗専門委員
- 4.議題
- (1)九州電力株式会社玄海原子力発電所の原子炉の設置変更(1号、2号、3号及び4号原子炉施設の変更)について(答申)
(2)(株)ジェー・シー・オー核燃料加工施設の事故について
(3)その他
- 5.配布資料
| 資料1-1 | 九州電力株式会社玄海原子力発電所の原子炉の設置変更(1号、2号、3号及び4号原子炉施設の変更)について(答申)(案) |
| 資料1-2 | 九州電力株式会社玄海原子力発電所原子炉設置変更許可申請書(1号、2号、3号及び4号原子炉施設の変更)の概要 |
| 資料2 | 東海村ウラン加工施設事故政府対策本部の決定事項への対応 |
| 資料3 | 第58回原子力委員会定例会議議事録(案) |
- 6.審議事項
| (1) | 九州電力株式会社玄海原子力発電所の原子炉の設置変更(1号、2号、3号及び4号原子炉施設の変更)について(答申) |
- 標記の件について、通商産業省より資料1ー2に基づき説明がなされた。これに対し、
- 取替えにより保管庫へ搬出される蒸気発生器は、どのくらいの期間貯蔵、保管されるのか。
(通産省原子力発電課)原子力安全委員会等の場で議論されている放射性廃棄物に関する政策が策定されるまで当面の間保管されることになる。
- 変更申請において何を変更理由とするかという点に係わる問題であるが、圧力容器の上蓋の交換は変更の対象になっていないのに、なぜ蒸気発生器の交換は変更対象になっているのか確認したい。
(通産省原子力発電課)従来と同じ蒸気発生器と取替えるのであれば、変更の対象とはならないが、今回、腐食に対する対応として、材質、構造の変更、あるいはそれらに伴う安全評価の見直しを行っため、変更の対象となっている。
- 変更の工事に要する資金については、どのように調達する計画になっているのか。
(通産省原子力発電課)社債及び一般借入金にて調達する計画である。
- 等の委員の意見及び質疑応答があり、審議の結果、平成11年6月30日付け平成11・02・10資第1号(平成11年10月1日付け平成11・02・10資第1号をもって一部補正)をもって通商産業大臣から通知のあった標記の件に係る核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第26条第4項において準用する同法第24条第1項第1号、第2号及び第3号(経理的基礎に係る部分に限る。)に規定する基準の適用については妥当なものと認め、通商産業大臣あて答申することと決定した。
注)本件に係る変更は以下のとおり。
@1号炉及び2号炉の原子炉容器上部ふたの取替えに際し、出力分布調整用制御棒クラスタ駆動装置を撤去する
A2号炉の蒸気発生器を新蒸気発生器に取替え、蒸気発生器の記載項目を変更する
B1号炉及び2号炉の原子炉容器上部ふたの取替え並びに2号炉の蒸気発生器の取替えに伴い、1号炉の蒸気発生器保管庫の貯蔵保管能力を変更するとともに1号炉及び2号炉の共用とし、取り外した1号炉及び2号炉の原子炉容器上部ふた等並びに2号炉の蒸気発生器等を蒸気発生器保管庫に貯蔵保管する
@1号炉、2号炉、3号炉及び4号炉の使用済燃料の再処理委託先確認方法を一部変更する
| (2) | (株)ジェー・シー・オー核燃料加工施設の事故について |
- 標記の件について、以下のとおり委員の意見があった。
- 原子力委員会としては、原子力政策にどのように今回の事故を反映させていくか考える必要がある。
- ジェー・シー・オー核燃料加工施設の事故を海外に対し説明する際に、単に安全の観点のみでは十分ではなく、日本の核燃料サイクル政策との関係という点についても説明する必要ある。
- 核燃料サイクルのフロントエンドは、必ずしも大企業が役割を担っているわけではないが、日本の原子力のキーとなる部分であることから、フロントエンドの現状をどのようにとらえるべきか考える必要がある。
- 今回の事故は、日本の原子力活動の技術的安全性、セーフティカルチャーに関する信頼に対して大きな打撃を与えたと思う。
- 国際的な対応策として、日本に対する不信感を払拭するためには、透明性を確保した情報公開と十分な説明をすることが必要であると考える。
- NEA、IEA、IAEA等の国際機関へ、なるべく早急に説明を行う必要がある。
- 今回の事故に対し、欧米の反応については報告を受けているが、アジア諸国の反応については、十分に情報が入ってこないので、状況を説明して欲しい。
- 海外からの調査団に対し、可能な限り受け入れる方向で対応して欲しい。
- 信頼の回復には相当な時間を要するということを覚悟して、努力していくしかない。
- 今後の我が国の原子力活動の展開に関連して、海外と比較した場合のウラン濃縮、再処理等のコスト高という問題と、エネルギーセキュリティーの問題を考慮した核燃料サイクルにおける海外依存度をどうするかという問題に対して考えていく必要がある。
- 核燃料サイクルにおける各工程は、ある程度民間の問題という部分もあるが、海外で再処理した燃料の輸送等多くの部分で政府に係わる問題でもあり、官民一体で推進している側面がある。
(原子力調査室)日本からの海外への派遣については、今週開催予定のNEA運営委員会及びIEAとNEAの合同会議にて説明する予定である。さらに、来週早々にIAEAにて本件に関する特別会合が開催される予定である。また、IAEAの専門家チームが13日に来日予定である。
- 来週東京で開催されるアジア諸国が参加するPAセミナーでも、今回の事故について説明を行う予定。その際、各国がどのような情報を入手し、それによってどのような反応があるか等について意見を交換したい。
- 状況の説明という点では、批判的な団体が独自の情報を発信しているという問題もある。
- まず、第一にやるべきことは、各国がどのような情報を入手しているかという情報の収集である。また、それに対しどういった手法、ルートで正確な情報を送るかというのが次のステップになる。従来の手法にとらわれないやり方が、情報の発信についても必要である。
(原子力調査室)海外の情報収集については、主要紙の報道ぶり、政府の反応等について外務省が大使館経由で実施している。さらに、在京の各国大使館の原子力担当者に対し、説明会を開催している。
- 情報提供では、自分たちの情報を発信するだけの一方通行的なものではなく、相手の反応を踏まえた適確な回答ができるような体制を作って欲しい。
- 情報提供の在り方については、行政サイドだけでやれることには限界もあるので、例えば日本原子力産業会議等、産業界とも連携をとりながら進めることが必要であると思う。
- 今回の事故が国内外に与えた混乱、当惑をどうやってはらしていくかというのは緊急の問題である。
- 今回の事故については、住民の方々が国内初めての臨界事故により相当な不安を持ったという事実を踏まえ、防災対策、通報体制の構築が重要である。
- 今回の事故では多くの原子力関係者の常識が破られたと思う。常識にとらわれない謙虚な姿勢が必要である。
- 日本は再転換加工をするような施設で簡単に臨界事故を起こすような核物質管理をしているという疑念を海外から持たれた可能性がある。
- 時代とともに変化している原子力をとりまく状況の中で、原子炉等規制法を始めとする法体系が、原子力の安全を十分に保障できる仕組みとなっているのか考える必要がある。
- 原子力発電所の基数が増加すると、係わる人の数も増加することになるが、関係する人々が十分な資質、条件を兼ね備えられるかという問題もある。
- 原子力を取り巻く経済状況の変化の中で、原子力事業主体が民間で有る場合に、原子力が本来持っていなければならない安全に対する必要にして十分な条件を維持しているか、常に配慮する必要がある。
- 個別案件の審査等は原子力安全委員会が行うが、原子力平和利用推進の全体システム及びそこにおける経理的基礎、構造的変化、あるいはそこに働く人達に求められる要件については、原子力委員会が長期的視野に立ち考えていく必要がある。
- 危機は極めて特異な条件で起こるものなので、その場合に適確な状況判断と対応ができる専門家集団が重要になる。また、そういった組織に対するバックアップ体制の充実も必要である。
- 現実問題として、行政側が原子力施設の現場の状況について全体を詳細に把握することは不可能である。しかしながら、チェック機構は必要であり、それには専門性が要求されることから、原子力発電所が実施している定期安全レビューの適用をあらゆる原子力施設を対象に検討する必要がある。
- 今回の事故については、原子力委員会として取り上げなければならない課題について整理をする必要がある。また、必要があれば原子力安全委員会及び関係省庁に協力を御願いする必要がある。
- 核不拡散については、米露の核不拡散体制が強化されてゆくなかで、海外から日本に対しどんな圧力がかかってくるか、またそれにどう答えていくのかが非常に大きな問題である。
- 将来のプルトニウム利用において、核不拡散性の高い原子力システムが必要であり、長期計画の中で検討していく必要がある。
- 核軍縮の観点から日本は解体核処理に協力する姿勢を示しているが、米露の解体核によるプルトニウム利用について、日本の主張をしながら協力の在り方を探る必要があると思う。
- 今回の事故では、社会が専門家を信頼、評価できなくなってきていることも関係しているのではないか。
- 核燃料サイクルは国策を持って進めないと、時間的、空間的、物質的にも大きな問題である。
- 今回の事故を契機として、長期計画には、原子力をどうするかという問題が国民の問題であるという視点を盛り込んでいくことが大切である。
- エネルギー供給の在り方をどうしたらいいのかについて、根本的な問題を追求していかないと、原子力に対して、国民の理解は得られないと思う。
- 情報の一元管理については、早急に確立しなければならない問題である。
- 従来は、過度の原子力批判を招く恐れから、万一の事故の場合について語れない土壌があったと思うが、今回の事故は、それらを改める契機になり得るのではないかと思う。
- 今回の事故については、今までの議論に加え、あと数回の議論を行い課題をまとめたい。それを受け、原子力委員会がどう対応するか検討したい。
-
- 事務局作成の資料3第58回原子力委員会定例会議議事録(案)が了承された。
なお、事務局より、次回は10月15日(金)に臨時会議を10:30より開催する方向で調整したい旨発言があった。