第59回原子力委員会臨時会議議事録(案)
1.日 時 1999年10月8日(金)10:50〜11:40
2.場 所 委員会会議室
3.出席者 中曽根委員長、藤家委員、依田委員、遠藤委員、木元委員
(事務局等)科学技術庁
原子力局
興局長
中澤審議官
政策課 天野課長
原子力調査室 板倉、村上、池亀、鯉渕
国吉原子力利用計画官
原子力安全局
間宮局長
吉舗専門委員
- 4.議 題
- (1)委員長代理の指名について
(2)(株)ジェー・シー・オー核燃料加工施設の事故について
(3)その他
- 5.配布資料
資料1 | (株)ジェー・シー・オーの核燃料加工施設の事故概要について |
- 6.審議事項
- 冒頭、中曽根委員長より
- 9月30日に発生したジェー・シー・オー核燃料加工施設の臨界事故は極めて重大である。一方我が国のエネルギー情勢を鑑みると、原子力の重要性には変わりはない。今後、安全確保と災害防止に万全を期しつつ、国民の信頼を回復することが重要である。各委員においてもよろしくお願いしたい。
- との挨拶があった。
- (1)委員長代理の指名について
- 原子力委員会及び原子力安全委員会設置法第4条第3項の規定に基づき、原子力委員会委員長代理に藤家委員が、さらに、藤家委員長代理の海外出張等による不在の際の委員長代理には遠藤委員が指名された。
- (2)(株)ジェー・シー・オー核燃料加工施設の事故について
- 標記の件について、原子力安全局より資料1に基づき説明があった。これに対し、
- 今回の事故では、メディアや地域社会に対する正確な情報を伝達するための部署がなく、混乱や錯綜があった。正確な情報を伝達するシステムをつくっていく必要がある。
- 現地からも情報の一元化という要望があった。防災新法の中で、情報伝達、事故後対策における国と地域の役割分担を検討する必要がある。
(原子力安全局長)スポークスマンを設けるような対応が必要である。
- 今回の事故が起こった時、国際原子力機関(IAEA)総会に出席していたが、大変な反響があり、日本の原子力技術はこの程度かという印象を与えた。この不信感は、実績で払拭していくしかない。各国より援助の申し出や事故調査の要望があり、そのためにも節目節目で事情の許す限り世界に対する情報公開を考えて欲しい。
- 日本は村社会であり、組織の中で処理しようとする。この精神風土を一挙に変えることは非常に難しいが、今後の対策においては、この問題を念頭に入れておく必要がある。ルール違反があり得るという前提の上で、今後どうしたらいいか考えていくべきではないか。
- IAEAからは事故の実態解明のため、専門家派遣の申し出があったので、透明性の確保と信頼回復のため、受け入れることとなった。また日本から経済協力開発機構原子力機関(OECD/NEA)やIAEA等に専門家を派遣して、事故の経緯等を積極的に説明していくことを考えている。
- 今回の事故から何を学び、将来に活かしていくかが大きな課題である。事故原因の究明、事故発生の背景を解明し、今後の原子力平和利用の推進にいかに活かすかを考えていかなければならない。
- 事故の発生を重く受け止め、原点に返って審査の在り方を検討し、原子炉等規制法の見直しに反映したい。
- 事故は常に応用問題であるという感覚を持つべきであり、ある程度の混乱は避けられない。今回東海村がたいへん冷静に対応されたことには、頭が下がる思いである。したがって、これから東海村、茨城県の方々に、何ができるのか、対応を考えていきたい。
- 日本の原子力政策が、この事故によって国際社会から非難されることになりかねない。事故の説明に加えて、日本の原子力政策を堅持するためにどういう対応をしていくか、考えていきたい。
- 原子力長期計画の策定がスタートしたところだが、この問題を策定会議や分科会の場で議論し、今後に生かしていきたい。先日開催した国民・社会と原子力について議論する第一分科会と、新しい視点に立った国際的展開について議論する第六分科会で、この問題への取り組みを既にお願いした。現在は、原子力安全委員会が事故対応、原因追求等を進めているが、徐々に原子力委員会で対応すべき仕事が増えていくので、委員長のご指示を得ながら進めていきたい。
(原子力安全局長)これまでの前提としてきた原子力関係者のモラルが変わってきているという状況では、システム自体を考え直す必要があるのではないか。その点について議論いただき、今の状況に適合するよう改善していくことが、原子力安全委員会の一つの使命だと思う。社会科学者も交えて幅広い検討をしていき、原子力委員会にも適宜諮っていきたい。
- 等の意見があった後、中曽根委員長より、
- 一昨日、小渕総理とともに現地を視察してきた。政府としては、事故原因の徹底究明、近隣住民等への対応、応急対策、再発防止及び緊急時対処対策を行うが、特に安全確保と災害防止に向けては、法整備を含めた体制の強化等を行っていく。
- 原子力委員会としては、原子力産業の在り方、危機管理システムの構築、国内外の信頼回復について、検討していく必要がある。
- 原子力関係者は、このような事態を二度と繰り返さないことはもとより、原子力に対する国民の信頼回復が図られるよう、一層の努力をお願いする。
- との発言があった。
議題(2)の終了後、中曽根委員長が退席され、藤家委員長代理が議事進行を引き継いだ。
- (3)その他
- 木元委員より、次回の原子力委員会会議にはジェー・シー・オーの件に関する新しい情報を取り上げて欲しいとの発言があった後、プレス対応に関して、不正確な報道があれば、そのメディアに対してすぐに正確な情報を提供しなければ、訂正されることなく、それが正しいものと国民に認識されてしまうとの委員の意見及び質疑応答があった。