第57回原子力委員会臨時会議議事録(案)
1.日 時 1999年10月1日(金)10:45〜11:25
2.場 所 委員会会議室
3.出席者 藤家委員長代理、依田委員、木元委員
(事務局等)科学技術庁
原子力局
中澤審議官
原子力調査室 森本室長、板倉、村上、池亀、鯉渕
原子力安全局
核燃料規制課 吉村安全審査管理官
吉舗専門委員
4.議 題
(株)ジェー・シー・オー加工施設の事故について
5.配布資料
配布資料 (株)ジェー・シー・オー加工施設の事故について
- 6.審議事項
(1)(株)ジェー・シー・オー加工施設の事故について
- 標記の件について、核燃料規制課より配布資料に基づき説明があった。これに対し、
- 昨日、起きてはならない事故が起こり、残念である。科学技術庁、原子力安全委員会が中心となって対応しているが、原子力委員会としても今後の原子力政策を策定する上で、正確に理解していきたい。また今日は、各委員の現段階の考えを伺いたい。
- 臨界終息の宣言は、いつ出るのか。
(核燃料規制課)原子力安全委員会緊急技術助言組織の意見に基づき、もうじき出ると思う。朝6時の段階では、事業所敷地境界での計測上、中性子が観測されなくなったため臨界が終息したものと思われるが、8時30分頃の観測値に基づいて判断することになると思う。なお、念のためにボロンを含んだ水を入れた。
- 冷却水を取り除くために、延べ14名が現場に入ったと聞いているが、被曝はどうか。
(核燃料規制課)人にもよるが、50mSv/h程度から100mSv/hに近い方もいる。現地への立ち入りは、作業者と、線量と時間を計る人の二人一組で行った。当初の目的とする作業が出来なくとも、時間と線量を見て戻り、状況が落ち着くのを待つという進め方で作業を行った。
- 取り除いた水はどうなるのか。
(核燃料規制課)取り除いた水は、放射線による影響は受けていないと考えられる。
- 資料では、中性子の測定が19時頃から始まっているが、これはなぜか。
(審議官)日本原子力研究所の協力による中性子の測定開始によるもの。
- 事故が起こったことは報道されるが、それに対して住民がどう対処すべきかについて、十分な情報提供が行われていないという感触を持った。
(核燃料規制課)その点に気を付けて、情報提供に取り組みたい。
- そのような指示は、今の段階ではどこが出すのか。
(核燃料規制課)国の助言をもとに、県の災害対策本部が指示を出すことになる。
- 日本の原子力開発は世界に誇れる安全実績を積み重ねてきたが、トラブルを根絶できず、逆にいろいろな所で起こってしまっている。原子力委員会としてこの問題を、どう政策に反映させていくか、どうサポートしていくかが大切である。
- 設備は安全上周到な設計がなされていても、人間は慣れることによって緊張感が緩んでしまう。組織や体制を改めて考え直す必要がある。実態を解明した上で、ジェー・シー・オーでなぜこのような作業工程がとられたのか、明らかにすべきである。
- 働いている人たちのモラルの維持や水平展開を、どう考えていくべきか。
- 大量の核燃料を扱う原子力発電所には注目が集まり多重防護が適用されるが、小さな加工施設には目がいかず、事故も起こるはずがないと認識している。しかし一連の核燃料サイクルの一部であり、なぜ配慮が行き届かなかったのか、自分自身でもショックである。当事者には、事故が起こるかもしれないという意識がなかったのではないか。現場の作業者が、この問題をどうやって自覚していくのかを考えていかなけれならない。
- この事故は核燃料取扱施設の典型的な安全問題で、臨界には余裕をもって対応しているはずという認識を持っていた。こういった問題を原子力委員会において、どのように対応していくか考えていくことが大事である。
- 作業者一人一人が完全に理解して使命感を持って仕事を進めていけば、問題は起こらないだろうが、そこまで教育が行き届いていたか、という思いがある。ウラン溶液2.4kgと16kgを間違えれば臨界状態になるという教育を受けていないのではないか。
- 軽水炉用燃料とそれよりも濃縮度の高い燃料が、平行して製造されていたのか。報道では軽水炉燃料と間違えたと言われているが、製造工程にそのような錯誤が入る危険性があったのか。資料には、事故発生現場が転換試験棟とあるが、なぜ「試験」と呼んでいるのか。
(核燃料規制課)高速実験炉「常陽」の燃料、すなわち試験用の燃料を作るという背景で、転換試験棟で製造した。軽水炉用燃料は、第1加工施設棟と第2加工施設棟で製造するため、設備としては別になっている。作業員は、確認しなければわからないが、ローテーションしていたのかもしれない。
- 臨界管理が守られなかったことは、理解に苦しむ。
- 原子力の基本的な安全の考え方が、どう施設に対応されているかという問題で、これまで原子力安全委員会でも検討されてきた。
- 原子力安全委員会には、定期的に安全性をチェックする機会はあるのか。
(核燃料規制課)ある。
- 放射性物質はどこから漏れたのか、どのようにして汚染が拡大したのか。
(核燃料規制課)建物自体は壊れていないので、換気している所から漏れたのではないか。
- 「爆発」という言葉が使われたように、必ずしも正しく報道はされなかった。
(核燃料規制課)報道する側の捉え方の問題であり、情報を提供する側としては、臨界が起きたことを知らせた。臨界後、どのような現象が起こったのかわからない状況であったため、誤解を招いたのではないか。
- なぜ再臨界が起こったのか、様々な学者が説明していたが、科学技術庁からその情報を出したのか。
(核燃料規制課)出していない。再臨界の可能性がある、とだけ説明した。
- 今回の事故では、物を壊すようなエネルギーは出ていないものと思われる。物が壊れれば、再臨界には至らなかっただろう。
- 溶液を入れる器の大きさも、公表したのか。
(核燃料規制課)プレス発表時に、図面を添付している。
- 原子力についても、時代に合った方向でものを見ていかなければ対応できない。組織体制やヒューマンファクター、規制の問題もあるが、当事者責任を適用したらどういう事になるのか、原子力全体として大きくつながる問題であり、機会を捉えて議論したい。
- 原子力政策円卓会議でもそのような議論があった。個々の安全設計は確立していても、トータルのシステムとして見た時にどうかという問題がある。
- 今後の方針は、どのようなことになるのか。
(核燃料規制課)臨界の危険性がなくなったようなので、現地に踏み込んで調査することになる。また医者と相談した上で、被曝した3名の作業者から事情を聴取したい。そして、どういうプロセスで臨界に達したのか、その中でどういう問題があったのかを明らかにしたい。
- 科学技術庁が責任をもって進めるということか。
(核燃料規制課)安全規制の監督官庁として、規制が守られていたか、妥当であったかを視野に入れて進める。
- 現在、ジェー・シー・オーから何らかの要請が来ているか。
(核燃料規制課)来ていない。原子力安全委員会の専門家と現地の専門家との間で情報交換して、水抜き等の措置を行った。
- 自衛隊はどうなっているか。
(核燃料規制課)県からの要請で出動した後、状況を確認していない。
- 等の委員の意見及び質疑応答があった。