藤家原子力委員長代理の海外出張報告について

平成11年9月10日

1.出張先
 アメリカ合衆国

2.日 程
 1999年8月27日(金)〜9月5日(日)

3.概 要
 アメリカ合衆国ワイオミング州ジャクソン・ホールにて開催された国際会議「グローバル'99」に出席するとともに、ゼネラル・エレクトリック社(GE)及びアルゴンヌ国立研究所(ANL)を訪問し、関係者との意見交換及び研究施設の視察等を行った。概要を以下に記す。

(1)グローバル'99出席
 グローバル'99は、将来の原子力開発全般に関する国際会議で、1993年以降2年毎に開催されており、第4回目となる今回は20ヶ国を越える国と地域から約650名が参加し、寄せられた論文も400件以上と、盛大な会議となった。会議は、開催初日の開会セッションで幕を開け、原子力開発の全般的事項に関するプレナリー・セッション、個々の原子力技術に関するテクニカル・セッション及びポスター・セッションにて発表が行われた。

 開会セッションでは、炭酸ガスの放出が少なく、信頼できるエネルギーは原子力以外にはなく、使用済燃料の問題解決に向けた検討が必要とのドメニチ米上院議員の基調講演(ビデオ)があった。その後、21世紀に向けた次世代の技術開発が重要とのアプソン欧州原子力学会会長の発表に続いて、藤家原子力委員長代理より「日本の原子力開発と21世紀における国際協力」と題する講演を行い、我が国の平和利用に徹した原子力開発の姿勢を改めてアピールするとともに、原子力開発における国際協力の重要性と21世紀に向けた新たな原子力政策策定への取り組みの現状について報告を行った。なお、閉会セッションにて、次回は2001年9月にパリで開催する旨の紹介があった。

 グローバル'99開催期間中、セッションの合間を縫って各国の参加者と意見交換を行った。
○サケット米アルゴンヌ国立研究所副所長(グローバル'99統括座長)
 米国内でも使用済燃料の貯蔵を資源と位置付ける動きも出てきている。アルゴンヌの高速実験炉EBR-Uは閉鎖されたが、ハンフォードの高速中性子束試験装置FFTFは、1994年以降運転待機状態にある。現在、FFTFの利用策が検討されており、基礎研究や国際協力等での利用が実現されることが望まれる。
 FFTFは国際的にも貴重な試験装置であり、我が国にとってもFFTFが再開され、核燃料サイクル技術の研究開発に活用されることが期待される。

○イワノフ露連邦原子力省第一次官
 核兵器解体プルトニウムの早期処分には、新たな高速炉が必要。しかし、資金不足のためBN-800の建設は中断されたまま。なお、高速炉の冷却材研究等のために、鉛ループを作る計画がある。また、トリウム・サイクルについても検討を行っている。

(2)ゼネラル・エレクトリック社(GE)との意見交換
 サンフランシスコにてGEのヒューシック・ゼネラル・マネージャー及びキャロル高速炉プログラム・マネージャーと意見交換を行った。GEでは、米エネルギー省(DOE)が高速炉の研究開発を中止した1995年以降も、独自にスーパー・プリズム(ナトリウム冷却タンク型高速炉、電気出力38万kW×2モジュール)の研究開発を行っている。スーパー・プリズムは、1)固有の安全性を有する、2)経済性に優れている、3)アクチニド・リサイクルを行う、などの特長を有している。
 なお、このような小型モジュール炉は、我が国における高速炉サイクルの実用化候補の一つとなり得る概念であり、核燃料サイクル開発機構(JNC)等によって検討が行われている。

(3)アルゴンヌ国立研究所の視察
 アイダホ・フォールズにあるアルゴンヌ国立研究所(ANL-W)を訪問し、チャン所長代理らと意見交換を行うとともに、研究施設の視察を行った。
 アルゴンヌ国立研究所はこれまで半世紀に渡り、世界の先頭に立って高速炉開発を実施してきた歴史があり、関係者との意見交換では、金属燃料など、高速炉サイクル関連の研究開発の復活を望む熱意が伝わってきた。
 同研究所には、高速炉サイクルに関する研究施設があり、高速実験炉EBR−U、出力過渡試験炉TREAT等を視察した。EBR−Uは、金属燃料の研究開発に貢献した高速実験炉で、1994年に閉鎖が決定され、現在は炉心から燃料を撤去し、2次系ナトリウムをドレンした状態。TREATは燃料の損傷実験を目的とした試験炉で、軽水炉の安全性研究等に利用されている。

(4)アイダホ・フォールズ市長との面談
 アイダホ・フォールズ市長を表敬訪問した。アイダホ・フィールズは、茨城県東海村と姉妹都市の関係にあり、市長より、地球環境の面からも原子力は必要であるとの発言があった。なお、来年は姉妹都市締結20周年に当たるとのこと。