第44回原子力委員会臨時会議議事録(案)
1.日 時 1999年7月23日(金)10:30~12:25
2.場 所 委員会会議室
3.出席者 藤家委員長代理、依田委員、遠藤委員、木元委員
(事務局等)科学技術庁
原子力局
興局長
中澤審議官
政策課 大島
原子力調査室 森本室長、板倉、村上、池亀、岡本
原子力安全局
放射性廃棄物規制室 中矢、須藤
通商産業省
資源エネルギー庁
原子力産業課 星野、今井
原子力発電課 白井、馬場
原子力発電安全企画審査課 原
開発課 福島
原子力発電運転管理室 森山室長、小松
外務省
科学原子力課 中村
吉舗専門委員
- 4.議 題
- (1)平成12年度原子力関係予算ヒアリングについて(通商産業省、外務省)
(2)日本原子力研究所大洗研究所における廃棄物管理事業の変更許可申請について(答申)
(3)日本原子力発電(株)敦賀発電所2号機の手動停止について
(4)原子力委員会専門委員の変更について
(5)その他
- 5.配布資料
資料1-1 | 平成12年度通商産業省原子力関係予算概算要求の概要
|
資料1-2 | 原子力関係事業の進捗状況(外務省)
|
資料2-1 | 日本原子力研究所大洗研究所における廃棄物管理事業の変更許可申請について(答申)(案)
|
資料2-2 | 原研大洗研究所の廃棄物管理事業変更許可申請の概要
|
資料3 | 日本原子力発電(株)敦賀発電所2号機における一次冷却材の漏えいについて
|
資料4 | 原子力委員会専門委員の変更について(案)
|
資料5 | 第43回原子力委員会臨時会議議事録(案)
|
配付資料 | 日本原子力発電株式会社敦賀発電所2号機化学体積制御系再生熱交換器からの漏えいに伴う原子炉手動停止について
|
配付資料 | 日本原子力発電(株)敦賀発電所2号機化学体積制御系再生熱交換器からの漏えいに伴う原子炉手動停止について |
- 6.審議事項
(1)平成12年度原子力関係予算ヒアリングについて(通商産業省、外務省)
- 標記の件について、通商産業省より資料1-1に基づき説明があった。これに対し、
- 現在、開発している検査技術はいつ実用化されるのか。
(通商産業省)検査技術については、美浜2号機の事故以来、継続して開発に取り組んでおり、その成果は随時実用化している。
- 敦賀2号機の事故を受けて、検査技術に係る開発を強化するのか。
(通商産業省)敦賀2号機事故については原因解明中であり、今後の検討課題である。
- 伝熱管損傷評価は、これまでとどのように変わるのか。
(通商産業省)これまでと異なる材料、厳しい条件に対応して、より高い検出精度を実現するための試験を行う。
- 地域振興策は発展しているのか。
(通商産業省)電源立地促進対策交付金をより柔軟に使用できるように見直してきている。
- 国際協力の中で、原子力発電所の運転管理等のための千人研修は目標達成されたあとどうなるのか。国際機関への拠出金が、適正に使用されているか監視して欲しい。また、広報事業は、科学技術庁や民間の事業を含めて有効に機能するようにして欲しい。
(通商産業省)千人研修については、これまでの研修の成果を評価し、今後のあり方を検討したい。広報については、切りわけしすぎるのではなく、いい意味での重複が必要だろう。
- 予算項目が増えてきているが、実施の成果の評価を行って欲しい。高経年化については、安全性を維持するために、余寿命診断がどれだけ正確に出来るかが重要である。将来を見越して計画を立てて欲しい。ウラン濃縮において、米国はレーザー濃縮研究を打ち切ると聞いているが、日本ではどのように考えているのか。
(通商産業省)実施成果の評価に関しては、例えば技術開発予算についてはプロジェクトの途中で技術評価を行う体制ができている。レーザー法ウラン濃縮については、技術の確立に向けて、引き続き取り組んでいるところ。
- 選択肢を多く持つことは重要であるが、主体的に取捨選択できるようにしてほしい。
- 内部評価、外部評価の仕組みを確立し、費用対効果を分かり易く示して欲しい。
- 本日は、要求額や重点事項については検討中であったが、具体化した段階で再度伺うこととしたい。技術開発において、国がやるべきもの、民間がやるべきものを如何に整理すればよいか。成果を分かり易く一般国民に報告する場の設置や、反映についてどう考えているのか。計画の修正を検討する上でも評価機能が重要である。フルMOX高減速炉心についてのフランスとの共同研究の進捗状況はどうなっているのか。
(通商産業省)プルトニウム有効利用炉心技術調査の中で、フランスと共同研究を行っているMISTRAL計画は今年度で一区切りとなり、次のステップの準備をしているところ。
- 等の委員の意見及び質疑応答があった。
また、引き続き外務省より資料1-2に基づき説明があった。これに対し、
- IAEA等国際機関への分担金、拠出金に相当するポストを確保すべきではないか。また、我が国はアジアを重視しているのに、RCAに対して予算がつかないのはおかしい。国内関係機関からも強い要請がある。
(外務省)IAEA等に邦人職員を送り込む努力をしており、引き続き努力していきたい。またRCA等への特別拠出を確保すべく努力するので、引き続き支援をお願いしたい。
- 現内閣は原子力、核軍縮に積極的に取り組んでいるが、原子力関係国際機関への拠出金以外に外務省としてこれに関連する予算はないのか。
(外務省)原子力予算とは異なるが、軍縮関係の予算はある。
- ロシアの解体核への協力については、軍縮というより原子力平和利用協力とも言えるので、全体の中での位置付けを説明してほしい。また、国際機関には拠出金に比べ邦人職員が少なすぎる。戦略的アプローチが必要ではないか。
- 日本の行政官は、必ずしも専門家ではなく、また勤務年数にも制限がある。さらに博士号を持っていることが条件となるような国際機関に派遣することは難しい場合がある。
(外務省)国際機関には、途上国、女性を優先し、学歴、現場経験を尊重する傾向がある。外務省としても、国際機関人事センターを中心に大学や関連国内機関にも声をかける等人材の発掘を行っているが、ふさわしい人材がある場合は推薦頂きたい。
- 等の委員の意見及び質疑応答があった。
- (2)日本原子力研究所大洗研究所における廃棄物管理事業の変更許可申請について(答申)
- 標記の件について、資料2-2に基づき、放射性廃棄物規制室より説明があった。これに対し、
- 現状はどうか。建設予定地は空き地なのか。
(放射性廃棄物規制室)固体廃棄物の集積保管場Ⅲの貯蔵能力の余裕がなくなりつつある。保管場Ⅳの設置予定地は現在空き地である。
- 等の質疑応答があった後、平成11年5月12日付け11安(廃規)第4号をもって内閣総理大臣より諮問のあった標記の件に係る核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第51条の5第3項において準用する同法第51条の3第1項第1号及び第2号(経理的基礎に係る部分に限る。)に規定する基準の適用については、妥当なものと認め、内閣総理大臣あて答申することと決定した。
注) | 本件申請に係る変更は、管理能力の増強を図るため「固体集積保管場Ⅳ」を設置するもの及び固体集積保管場Ⅲの設備にパレット式堅積保管設備の追加を行うものである。
|
- (3)日本原子力発電㈱敦賀発電所2号機における一次冷却材の漏えいについて
- 標記の件について、通商産業省より資料3及び配付資料に基づき説明があった。これに対し、
- 事故の評価レベルは。
(通産省)レベル1である。
- 早い段階でレベル1と発表したが、何か根拠はあったのか?
(通産省)一次冷却材の漏洩率が保安規定に定める0.23m3/hを上回ったので、運転制限範囲からの逸脱と判断し、暫定値としてレベル1と評価した。なお、通常、トラブル発生時点でのプレス発表で暫定値を公表している。
- 51トンの出水は、どの位の深さに相当するか。
(通産省)床に溜まった水は深さ5cmくらい。
- 事故の周知・連絡方法はどうだったか。
(通産省)6:05頃にトラブルが発生し、資源エネルギー庁には6:54に第一報が来た。9:30頃に暫定評価1を決め、10時にプレス発表した。
- 地方自治体への連絡はどうしたか。
(通産省)発電所から、同時に地方自治体にも連絡した。
- 同じ様な機器を使っている発電所はあるか。
(通産省)PWRはほとんど同じ。定検中の4基については超音波検査等で問題がないことを確認した。運転中のものは監視を強化している。
- 原子炉は人間が作ったものであり、故障は起こり得る。原子力安全で大事なのは、環境に影響を与えないこと。LeakBeforeBreak(LBB)が成立したと考えてよいのではないか。漏洩の場所を確認するまで14時間かかったことをどう考えるか。
(通産省)情報公開については、早期の対応を徹底したと思う。人身災害を防ぐ観点から一次冷却材の温度、圧力が十分下がった段階で漏洩箇所が確認された。また、不用意な操作を行うことはかえって二次災害につながる恐れもあり、原子炉が安全に停止、冷却されていたので保守的な対応がとられた。
- 専門的で難解な事項について、一般の人に分かってもらうには、どうしたらよいか。
- 一般国民や報道機関の受け止め方は成熟しつつあり、情報公開においては、正直に堂々と言うことが重要である。
- 等の委員の意見及び質疑応答があった。
- (4)議事録の確認
- 事務局作成の資料5第43回原子力委員会臨時会議議事録(案)については、次回審議することとなった。
- (5)原子力委員会専門委員の変更について
- 標記の件については、人事案件であることから非公開で審議することとした上で、事務局より資料4に基づき説明があり、了承された。