第40回原子力委員会定例会議議事録(案)

 

1.日 時   1999年7月6日(火)10:30~12:20

2.場 所   委員会会議室

3.出席者   藤家委員長代理、依田委員、遠藤委員、木元委員
  (事務局等)科学技術庁
         原子力局
         政策課 大島
         原子力調査室 森本室長、板倉、村上、池亀
         研究技術課 川原田課長、木村、斉藤
        資源エネルギー庁
         原子力発電安全企画審査課
          伊藤統括安全審査官、永田、小山、有村
        核燃料サイクル開発機構
         相澤理事
         経営企画本部FBRサイクル開発推進部 家田
        日本原子力発電株式会社
         研究開発本部 稲垣副本部長
         高速炉開発部 野村
        日本原子力研究所
         松浦理事長、村上副理事長、高橋副理事長、齋藤理事
         企画室 数土室長、野田次長
         総務部 今井部長、田島総務課長
         人事部 田中部長、庄子人事課長
         財務部 黒岩部長、高橋予算課長
         広報部 桜井
        吉舗専門委員

4.議 題
(1)九州電力株式会社玄海原子力発電所の原子炉の設置変更(1号、2号、3号及び4号原子炉施設の変更)について(諮問)
(2)高速増殖炉システムの実用化戦略調査研究に関する協力について
(3)平成12年度原子力関係予算ヒアリングについて(日本原子力研究所)
(4)その他

5.配布資料
資料1-1 九州電力株式会社玄海原子力発電所の原子炉の設置変更(1号、2号、3号及び4号原子炉施設の変更)について(諮問)
資料1-2 九州電力株式会社玄海原子力発電所原子炉設置変更許可申請(1号、2号、3号及び4号原子炉施設の変更)の概要について
資料2  高速増殖炉システムの実用化戦略調査研究に関する協力について
資料3  平成12年度予算概算要求(日本原子力研究所)
資料4  第39回原子力委員会定例会議議事録(案)
6.審議事項
(1)九州電力株式会社玄海原子力発電所の原子炉の設置変更(1号、2号、3号及び4号原子炉施設の変更)について(諮問)
 平成11年6月30日付け平成11・02・10資第1号をもって通商産業大臣より諮問のあった標記の件について、通商産業省より資料1-1及び資料1-2に基づき説明があった。これに対し、
  • 長寿命化や合理性の観点から部品の取替えが行われていると理解しているが、他の発電所でも、今後、同じ措置が取られるのか。
    (資源エネルギー庁)蒸気発生器については、耐食性の高い新しいタイプに順次取替えられているところ。上部ふたの取替えについては、予防保全の観点からほとんどの原子力発電所で終了しており、残りは1~2基。
  • 3、4号基はいつ運転開始したのか。
    (資源エネルギー庁)平成9年に運転開始しており、当初から新しいタイプになっている。
  • 今回のような部品交換を繰り返せば、60年間まで運転できるのか。
    (資源エネルギー庁)原子炉圧力容器の交換はできないが一般論として部品を取替えることにより寿命を延ばすことが出来る。
  • 蒸気発生装置、上部ふたの材料について後日、教えて欲しい。
等の委員の意見及び質疑応答があり、本件については引き続き審議をすることとなった。
 注)本件申請に係る変更は以下の通り。
    ①1号炉及び2号炉の原子炉容器上部ふたの取替えに際し、出力分布調整機能用制御棒クラスタ駆動装置を撤去する。
    ②2号炉の蒸気発生器を新蒸気発生器に取替え、蒸気発生器の記載項目を変更する。
    ③1号炉及び2号炉の原子炉容器上部ふたの取替え並びに2号炉の蒸気発生器の取替えに伴い、1号炉の蒸気発生器保管庫の貯蔵能力を変更するとともに1号炉及び2号炉の共用とし、取り外した1号炉及び2号炉の原子炉容器上部ふた等並びに2号炉の蒸気発生器等を蒸気発生器保管庫に貯蔵管理する。
    ④1号炉、2号炉、3号炉及び4号炉の使用済燃料の再処理委託先確認方法を一部変更する。
(2)高速増殖炉システムの実用化戦略調査研究に関する協力について
 標記の件について、核燃料サイクル開発機構及び日本原子力発電(株)より資料2に基づき説明があった。これに対し、
  • 核燃料サイクル開発機構と電力会社では、カルチャーに温度差があると思うが、どのように考えるのか。
    (核燃料サイクル開発機構)核燃料サイクル開発機構と電力会社で連絡協議会を設けて、協力のあり方について意見交換を行うこととしている。カルチャーのちがいを組織の活性化につなげていくことが重要と考える。
  • 核燃料サイクル開発機構だけでなく、電力、メーカーまで含めて取り組む姿勢を評価する。
  • 高速増殖炉の研究開発は、これまでの歴史の上に積み上がってきている。これまでの成果を整理し、今後何をやるべきかを検討して欲しい。
    (核燃料サイクル開発機構)研究協力を行うメンバー内だけにこもらないように、外部の方からアイデアを提案頂きたいと考えている。
  • 先進リサイクルとFBRサイクルとの関連も検討して欲しい。21世紀に向けての研究開発路線が明らかになることを望む。
    (核燃料サイクル開発機構)本協力では、先進リサイクルで検討してきた長半減期核種の消滅も超ウラン元素の燃焼と捉え、これらを包含した検討としたい。
  • 冷却材についても幅広く検討するのか。
    (核燃料サイクル開発機構)ナトリウム以外の冷却材についても評価・検討を行う。
  • 軽水炉の発展においては、メーカーの貢献が大きかったが、高速増殖炉においても、今後メーカーの技術力をどのように維持するかが重要である。昭和30年頃は、資源論から高速増殖炉が必要とされたが、現在世界では、増殖よりも発生するプルトニウムを燃焼することに重点を置いて研究開発が進められているものと認識している。研究においては、幅をもたせつつこのようなニーズに対応できるよう取り組んで欲しい。乾式再処理についても米国型とロシア型のいずれの方式を選択すべきかを検討するのでなく、基礎的な技術の積み重ねから、いかに優れたプラント概念を構築するかを検討して欲しい。
との委員からの意見及び質疑応答があった。
(3)平成12年度原子力関係予算ヒアリングについて
(日本原子力研究所)
 標記の件について、日本原子力研究所より資料3に基づき説明があった。これに対し、
  • 限られた予算枠の中で、全て要求どおりになる訳ではないから、要求している事項に優先順位を付ける必要がある。要求額が前年度より増加しているが、昨年度の要求では増額・増員が認められたのか。
    (日本原子力研究所)昨年度の要求においては、予算は微減、定員は20人程度減少という結果であった。
  • 各研究の予算額が妥当かどうかを判断するためにも、研究の成果がいつ頃どのように国民に還元されるのかなどについて、わかりやすく説明して欲しい。
  • 低線量放射線研究を含む保健物理の分野において、放射線医学研究所とどのように役割分担しているか教えて欲しい。
  • 国際協力については、各省庁毎、法人毎に取り組んでいる様に思えるが、全体像が見えてこない。
    (日本原子力研究所)法人同志で、国際協力について連絡を取り合っている。
  • 法人間の棲み分けが行き過ぎると、隙間ができるので相互乗入れが必要となる。
  • 国益とグローバリゼーションに関連して、国際協力が国益に結びついているのかという視点が重要である。中性子科学については、装置開発とそれを利用した個別の研究内容を整理して欲しい。光量子科学については、レーザーの研究を通じて何を目指すのか、全体像を示して欲しい。ITERについては、エネルギーマシンと見るのか、大学との連携協力を含め、その位置づけについて検討する必要がある。将来エネルギーシステムについては、総論なしに各論があるように思えるので、全体にわたる議論をして欲しい。高温ガス炉については、コマーシャル・マインドを持って、将来の可能性について考えて欲しい。
    (日本原子力研究所)概算要求の説明のときでなく、別な機会に説明させていただきたい。
    (日本原子力研究所)安全研究について、原子力安全委員会が年次計画の改訂を行っているが、省庁再編後においても十分な技術的な貢献が果たせるよう、原子力両委員会の支援をお願いしたい。
との委員からの意見及び質疑応答があった。
(4)議事録の確認
 事務局作成の資料4第39回原子力委員会定例会議議事録(案)は、次回審議することとなった。

 なお、事務局より次回は平成11年7月9日(金)に臨時会議を10:30より開催したい旨発言があった。