(1) | 平成10年度原子力に関する技術的安全と社会的安心等に関する調査(10年度委託調査結果)
標記の件について、財団法人若狭湾エネルギー研究センターより資料1-1、資料1-2及び資料1-3に基づき説明があった。これに対し、
- 本調査結果の原子力と共生する町造りでは、地元をどういう町にしていきたいかというビジョンが不可欠である。情報の発信者−メディア−受信者の関係において、報道の受け手側が十分な知識をもってどう情報を選択するかという能力が求められる。社会的安心を与えるためには、情報発信者に対する信頼感によるところが大きい。言葉の選び方で、相手の印象が大きく変わる。原子力広報においては、情報発信者側が危険性を認め、いかに安全にしているかという説明をすることが重要である。また、原子力ありきでなく、なぜ原子力が必要なのかを根源的なところから説明することが重要である。
- 調査した結果、どの様な対策が有効と考えられるか。
(若狭湾エネルギー研究センター)本調査は、過去のデータから、各要因の寄与度をモデル化したものなので、目新しい対応策はないが、現実の解釈の裏付けが得られた。概して一般国民は、防災に対して楽観的だが、科学的、合理的な分析に基づいて防災対策を考える。逆に、一般国民は原子力に対しては悲観的であり、その意識をそのまま政策に反映させることは適当でない。この意味から専門家に対する信頼感を取り戻すことが必要と考える。
- 安心は個人的な感じ方によるが、社会的安心は集団としてどの様に感じるかに左右される。
(若狭湾エネルギー研究センター)不安があってはいけないのかという議論がある。確かに現実に則さない過度の不安は不要だが、適正な水準であればやむを得ない面もある。
- 現代社会はストレス社会であり、その基本には不安がある。
- 例えば、包丁が安全か危険かも、使う人の問題であり状況によって変わる。
- 危険かどうかは、まずリスクに近い人が考え情報発信することが重要である。関係ない人ほど漠然と不安を感じているのではないか。
(若狭湾エネルギー研究センター)原子力の危険性と便益について、受ける度合いが人によって異なる問題がある。
- 主観の定量化は非常に難しい。学界において、この様な議論をしていることは知っているが、実際の理解促進施策への応用は限定的なものとなるかもしれない。
- 世論調査は、設問の立て方によって回答が変わることに留意する必要がある。
との委員からの意見及び質疑応答があった。 |
(2) | 第1回ITER特別作業部会の結果について
標記の件について、核融合開発室より資料2に基づき説明があった。これに対し、
- 各極からの参加者は派遣か、雇用か。
(核融合開発室)両方有り得る。
- 給料に対する所得税等の免除のあり方なども調整が必要になろう。家族への対応も配慮が必要となる。
- EUの政治レベルでも関心を持ってもらうことが重要。EUとは協力関係を築くものであり、こちらからお願いするものではない。
- 均等貢献の原則の適用は不適切と考えているが、我が国のプロジェクトに対する国際的な参加を募るのか、それとも10%程度の他極の貢献で国際協力プロジェクトとして捉えるのか戦略を立てることが重要。
- ITERに何を望んでいるのか、日・EUの認識が一致しているのか。バーニング・プラズマか、実験炉なのか、コンセプトの摺り合わせが必要。
- JETやスーパーフェニックスが国際協力プロジェクトの例として参考になるのではないか。事業の完遂には所長の管理能力が重要であり、その権限を強化すべき。
- 地元から見れば、民間の参加が重要。
との委員からの意見及び質疑応答があった。 |
(3) | 議事録の確認
事務局作成の資料3-1第31回原子力委員会定例会議議事録(案)及び資料3-2第32回原子力委員会臨時会議議事録(案)については、次回審議することとした。 |