第28回原子力委員会臨時会議議事録(案)
1.日 時 1999年5月14日(金)10:30〜12:00
2.場 所 委員会会議室
3.出席者
藤家委員長代理、依田委員、遠藤委員、木元委員
(事務局等)科学技術庁
原子力局
青江局長
今村審議官
政策課 坂田課長
原子力調査室 森本室長、板倉、村上、池亀
核燃料課 土屋課長、片岡、青木
資源エネルギー庁
原子力産業課 鈴木課長、方波見室長
原子力発電課 金子
厚生省厚生科学課 磯貝
吉舗専門委員
4.議 題
(1)日本原燃(株)六ヶ所再処理工場の竣工時期等の変更について
(2)原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画の策定について
(3)その他
5.配布資料
資料1 六ヶ所再処理工場の竣工時期等の変更について
資料2 原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画の策定について(案)
資料3 第27回原子力委員会臨時会議議事録(案)
6.審議事項
(1)日本原燃(株)六ヶ所再処理工場の竣工時期等の変更について
標記の件について、科学技術庁より資料1により、また資源エネルギー庁より口頭にて説明があった。これに対し、
- 今回の変更は遺憾であるが、これにより核燃料サイクル全体に甚大な影響を与えるものではないと考える。本件については、核燃料サイクル全体の視野に立って考える必要がある。六ヶ所再処理工場については、竣工は遅延したが、貯蔵用プールは使用前検査段階にあり、地元のご理解の下、使用済燃料が円滑に搬入されるよう努力して欲しい。
- 今回の竣工遅延は、関係自治体、国民、地元住民の方々に不信感を与えた。再度の変更がないよう、国としても十分に指導・監督して欲しい。
- 今回の変更について、その理由とともに核燃料サイクル計画の変更に繋がるものではないこと等を国民に分かり易く説明する必要がある。建設費増については、事業者における経営合理化の努力により吸収するとされているが、その根拠も明らかにすることが重要である。
- 関係市町村も関心を持っていることなので、自治体および国民の理解を促進する意味でも、原子力委員会としての見解をまとめたい。見解は、次のような内容としたい。核燃料サイクルの確立は、エネルギー政策の根幹であり、六ヶ所再処理工場はその中心的な役割を担うものなので、引き続き再処理工場の着実な建設・運転に最善の努力を傾注する必要がある。今回の工程変更による核燃料サイクルへの影響については、幸いなことに、基本的な政策の変更に繋がるものではないと考える。しかしながら国民、特に地元の信頼を損なうことがないように、今後事業者において取組を強化するとともに、国としても、監督する立場で適切に対処する必要がある。原子力委員会としても、考え方を明確に示すとともに理解を促進する努力をしていく旨の意思表示をする。次回、案を出して議論し、委員会の見解としてとりまとめたい。
等の委員の意見及び質疑応答があった。
(2)原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画の策定について
標記の件について、原子力調査室より資料2に基づき説明があった。これに対し、
- 資料1頁目の「2.検討事項」は、長期計画の柱立てとしての参考イメージであり、これらの検討事項は「章」としては、まだ確定しているものではないと考えている。(参考:補足説明)の「3.検討すべき課題」の「 (1)原子力と国民・社会」に関して、情報の提供のみならず情報の収集・評価といった双方向のコミュニケーションが必要である。
- 「検討すべき課題」のうち、「原子力と国民・社会」と「新しい視点に立った国際的展開」は残りの検討課題全てと関係があり、相互に連携を図りながら検討していく必要がある。
- 今後1年半程度で長期計画を完成させるためには、事務局体制を強化することが不可欠であり、関係省庁等からの人員面での協力が必要と考える。
- 長期計画策定においては、情勢がどのように変化して、そのために何をしていくべきかといった課題の整理が必要。
- 策定会議が議論を行うに当たり、委員会の見解を示すことは必要だが押しつけであってはいけない。今回の長期計画は行政改革後の新しい原子力委員会が実行するものなので、新しい原子力委員会事務局のあり方も考えながら取り組みたい。新しい長期計画は、一般の方に分かり易く理念・哲学を明らかにし、理念先行型、課題解決型のものとしていきたい。
- 「3.検討すべき事項 (5)国民生活に貢献する放射線利用」における食品の損耗防止という言葉は非常に狭い意味に受け取られる。食品照射の最終目的は、食料の安定供給と安全確保である。この問題を議論する上で、厚生省の協力を得たい。
- 食品照射については、言葉の表現の問題だけではなく、国際的な動きの中で、日本が特異な状況になっていることが問題である。
- 新しい長期計画では、日本が資源に恵まれていないという観点だけでなく、世界全体のエネルギー問題に日本がどのように取り組んでいくか、という観点も重要。
- 「3.検討すべき事項」の(2)〜(4)は、原子炉の発展段階として時間軸とともに推移していく過程を表しており、その中に統合的な視点も必要となろう。
- 過去からの流れの中で、時代変化を説明できる長期計画にしたい。原子力に対する国民の不安を解消するためには、原子力委員会が将来に向けた明確な指針を示す必要がある。
- これまでの長期計画の策定では関係者のコンセンサスを重視してきたが、新しい長期計画の策定においては、リーダーシップを重視すべきである。
- 関係者間のコンセンサスだけでなく、国民のコンセンサスが得られるようにしたいが、それには国民に問題意識や危機意識を持っていただくことが必要である。
- 国民から伺った意見については、それがどう反映されているかが相手に伝わるようにしていくことが重要である。
- 新エネルギーと原子力の関係について、長期計画策定に際し、議論していきたい。
(事務局)長期計画は、国会議員からも注目されている。
- 原子力委員会としても、政治レベルで原子力について議論していただくことは重要と考えており、意志疎通が密接に行われることを期待したい。
等の委員の意見及び質疑応答があり、本件については引き続き審議することとした。
(3)議事録の確認
事務局作成の資料3第27回原子力委員会臨時会議議事録(案)が了承された。