六ヶ所再処理工場の竣工時期等の変更について

平成11年5月18日
原子力委員会

 当委員会は、去る7日、六ヶ所再処理工場の竣工時期等の変更に関して、日本原燃㈱及び電気事業連合会から報告を受け、また、本件の重要性に鑑み、14日には科学技術庁及び通商産業省としての考え方を聴取しました。その結果、当委員会としては、以下のとおり見解を取りまとめました。

  1.  現在建設中の日本原燃㈱六ヶ所再処理工場(以下「工場」と言う)は、我が国が使用済燃料を再処理し、プルトニウム等を有効利用する、核燃料サイクル 計画を推進するための中心的な役割を担う施設であり、その着実な建設・運転 は、原子力政策の遂行上、極めて重要です。また、工場の着実な建設・運転は、 六ヶ所村や青森県のみならず、再処理に関連する使用済燃料管理やプルサーマ ル計画の実施の面から原子力発電所の立地地域、さらには国民の理解と協力を 得る観点からも、必要なことであり、今後、さらなる変更があった場合は、国の原子力行政に対する信頼を損なうものと認識しています。
     従って、日本原燃㈱等関係者にあっては、工場の建設・運転がスケジュールに沿って実現されるよう最善の努力を傾注すべきものと考えます。

  2.  今回の変更は、(1)再処理能力等を変更するものではないこと、また、(2)電気事業者においては、①予定されているプルサーマル計画を確実に実施するとともに、②使用済燃料の管理を適切に行うため、地元の理解を得て、工場への搬出等に最大限の努力を尽くすとしていること、さらに、③建設費の増加についても、電気事業者は、電力料金への影響を電力全体の経営合理化努力により吸収していくとしていることを踏まえ、当委員会として、今回の変更が我が国の核燃料サイクル計画の変更に繋がるものではないと考えます。

  3.  工場については、既に、再処理の主要な工程に係る詳細設計(設計及び工事方法の認可)が終了し、建設工事工程や建設工事費の見通しの精度が高くなっているとともに、試運転については、海外の再処理工場の経験や実績等を踏ま えつつ、十分に時間をかけて行うとしていますが、再度の変更にならないよう、日本原燃㈱においては、想定工事進捗率の事前公表により進捗状況の透明性の向上を図るとともに、工程管理の強化、充実を行うとしており、また、電気事業者においても、進捗状況等を把握し、日本原燃㈱に対して資金的、人的な面から的確かつ強力に支援を行う等全力をあげて再処理事業の推進に取り組むことを表明しています。こうした取組については、確実に行われることが重要です。
     従って、これらの事業者においては、今後このような姿勢を堅持し、当事者として責任ある取組を行うとともに、国においても、核燃料サイクル計画の円滑な推進の観点から、工程管理等の日本原燃㈱及び電気事業者の取組等につい て的確に把握し、本事業が新たなスケジュールに沿って確実に実施されるよう、適切に指導監督することが必要です。

  4.  また、わかりやすい情報の提供等による透明性の確保が原子力活動に対する信頼感、安心感を得るための基本であることから、今回の変更が我が国の原子力政策の根幹をなす核燃料サイクル計画の変更に繋がるものではないこと、関係者が全力をあげて再処理事業の着実な推進に取り組むこと等について、関係立地地域の理解と信頼が得られるよう、事業者だけでなく、国としても努力をすることが重要です。

  5.  原子力委員会としては、今回の変更は核燃料サイクル計画の変更に繋がるものではないと考えるものの、国民の信頼に関わる重要な問題であることから、今後とも、再処理事業を中核とする核燃料サイクル計画の着実な推進に向けて、適時的確に調査審議し、委員会としての考え方を明確に示すとともに、国民の理解を求める努力を一層強化してまいります。