第27回原子力委員会臨時会議議事録(案)
1.日 時 1999年5月7日(金)10:30〜12:00
2.場 所 委員会会議室
3.出席者
藤家委員長代理、依田委員、遠藤委員、木元委員
(事務局等)科学技術庁
原子力局
今村審議官
政策課 坂田課長
原子力調査室 森本室長、村上、池亀
核燃料課 土屋課長、青木
原子力安全局
原子炉規制課 安澤安全審査管理官、島根、戸ヶ崎
資源エネルギー庁
原子力産業課 山崎
日本原燃株式会社
竹内社長、根岸専務取締役、山田企画部長
電気事業連合会
殿塚専務理事、巻口原子力部長
吉舗専門委員
4.議 題
(1)日本原燃(株)六ヶ所再処理工場の竣工時期等の変更について
(2)株式会社東芝原子力技術研究所の原子炉(臨界実験装置)の設置変更[放射性廃棄物の廃棄施設の変更]について(諮問)
(3)株式会社東芝研究炉管理センターの原子炉の設置変更[原子炉本体及び放射性廃棄物の廃棄施設の変更]について(諮問)
(4)その他
5.配布資料
資料1-1 六ヶ所再処理工場の竣工時期等の変更について
資料1-2 六ヶ所再処理工場の竣工時期等の変更について(参考資料)
資料1-3 日本原燃(株)六ヶ所再処理工場の竣工時期等の変更について
資料2-1 株式会社東芝原子力技術研究所の原子炉(臨界実験装置)の設置変更[放射性廃棄物の廃棄施設の変更]について(諮問)について
資料2-2 株式会社東芝原子力技術研究所の原子炉(臨界実験装置)設置変更許可申請書本文変更前・変更後対照表
資料2-3 株式会社東芝原子力技術研究所及び研究炉管理センターの原子炉設 置変更許可申請の概要[放射性廃棄物の廃棄施設の変更]
資料3-1 株式会社東芝研究所炉管理センターの原子炉の設置変更[原子炉本体及び放射性廃棄物の廃棄施設の変更]について(諮問)
資料3-2 株式会社東芝研究炉管理センター原子炉設置変更許可申請書本文変更前・変更後対照表
資料4 第26回原子力委員会臨時会議議事録(案)
6.審議事項
(1)日本原燃(株)六ヶ所再処理工場の竣工時期等の変更について
標記の件について、日本原燃株式会社より資料1−1、資料1−2に基づき説明があった。
[説明概要]
- 六ヶ所再処理工場の竣工時期を「平成15年1月」から「平成17年7月」に変更した旨説明があった。変更理由として、平成8年に行った設計変更に伴う必要建設工事期間の想定が十分でなかったこと、航空機の新規配備対策など設計変更時に予想していなかった評価・検討作業が追加になったこと、試運転期間を段階的に十分時間をかけて行うとしたことが挙げられた。
- 総工事費を「1兆8,800億円」から「2兆1,400億円」に変更したこと及びその理由について説明した。また、資金調達計画についても説明があった。
- 新たな計画に沿って、不退転の決意で再処理事業を推進することについて説明があった。
- 今後の建設工事工程等の管理については、全設計の8割方について工事ができる状況になり、工程の見通しの精度が従来に比べ格段に向上していること、工程調整業務の強化を図るとともに、新たに「再処理施設建設工事推進会議」を設置したことについて説明があった。また、竣工までの各年度末における想定工事進捗率を公表し、工事の進捗状況についての透明性を確保していく旨説明があった。
- また、再処理単価への影響に大きな変動は生じないものと考えられること、使用済燃料の受入計画については、竣工までに約1,600トン、年間再処理量800トンとする段階においては約2,600トンの貯蔵量とする計画に変更がないこと、竣工後の再処理計画については、年間再処理量が800トンとなるのは2008年以降、2010年頃になること等の説明があった。
続いて、電気事業連合会より資料1−3に基づき説明があった。
[説明概要]
- 電気事業者は、日本原燃株式会社から報告のあった「六ヶ所再処理工場の竣工時期等の変更」について、工事期間・建設工事費、使用済燃料貯蔵状況およびプルサーマル計画への影響、電力経営への影響について評価・検討を行い、その結果を総合的に勘案した結果、変更もやむなしとの判断をしたことについて説明があった。
- 電気事業者としても、工事の進捗状況等を把握し、資金や人的な面から日本原燃(株)を的確かつ強力に支援し、平成17年7月の運転開始の工程を確保する旨説明があった。
- 今後とも電気事業者は日本原燃株式会社とともに全力を挙げて再処理事業に取り組むとの決意表明がなされた。
これに対し、
- より慎重に工事を行うために竣工を延期するという話だが、一般国民からは、単に見通しが甘かったのではないかというそしりは免れない。工程遅延の原因については、できるだけ詳しく情報発信した方が、国民の信頼が得られるのではないか。特に、過去の説明振りも踏まえ、広報について慎重に考えて欲しい。発電単価についてほとんど影響がないとのことだが、こうした点も含め説明し、国民の理解を得ることが重要。
(日本原燃株式会社)今年1月末の第7回設計及び工事方法の認可を踏まえ、工事の全体工程について詳細な検討を行い、その結果として、今回の竣工延期に至った。プルサーマルを予定している地元からも厳しい意見を頂いており、心苦しく思っている。今後は、想定工事進捗率を公表し、建設の途中段階の状況が見えるようにしたいと思っている。今後は、工程管理を確実に行うことが重要なフェーズになる。
- 今後は新しい計画に沿って頑張って欲しい。
- 予測不可能なことによる工程の遅延についても、一般国民が納得できる説明が必要である。
(日本原燃株式会社)設計及び契約は8割程度済んでおり、以前に比べ工事の見通しの精度は上がっている。全力を挙げて取り組む。
- 関係者の理解は得られているのか。
(電気事業連合会)本件は使用済燃料の貯蔵対策等にも関連するので、この問題については、原子力発電所立地地域にも十分に説明し、理解を求める努力をする。関係者の信頼感を損なわないように対処することが重要と考えている。
- 工程変更に関して、メーカーやゼネコンの責任はないのか。
(日本原燃株式会社)工程を総合的に管理しているのは日本原燃株式会社。今回の工程変更の原因は、メーカー、ゼネコン両者の責任ではない。
- フランスの再処理工場UP-3と、六ヶ所再処理工場の役務の単価が4割違う理由について問う。
(電気事業連合会)単価の評価に用いている再処理量が、UP-3の7000トンに対し六ヶ所では10000トンであること、六ヶ所再処理工場の方が約3割高い燃焼度の使用済燃料を受け入れられることによる。また、建設費として計上している範囲が違う。
- こうした経済性のことも含め国民に対して明確に説明して欲しい。
- 今回の竣工時期は、試運転時の初期故障やトラブル対応も想定しているのか。
(日本原燃株式会社)試運転等に向けて、より緊密に技術導入元であるフランスとの協力を進める中で、先行プラントの経験を取り入れ、問題が起こらないようにしたい。
- 六ヶ所再処理工場建設は、民間の事業者の自己責任で行うものであるが、本施設は我が国の核燃料リサイクル計画上重要な施設であり、原子力委員会としても引き続き議論していきたい。
等の委員の意見及び質疑応答があった。
(2)株式会社東芝原子力技術研究所の原子炉(臨界実験装置)の設置変更[放射性廃棄物の廃棄施設の変更]について(諮問)
(3)株式会社東芝研究炉管理センターの原子炉の設置変更[原子炉本体及び放射性廃棄物の廃棄施設の変更]について(諮問)
議題(2)及び議題(3)については、共用施設の変更であることから、併せて原子炉規制課より資料2-1、資料2-2、資料2-3及び資料3-1、資料3-2に基づき説明があった。これに対し、
- 研究炉管理センターの原子炉(TTR-1)は、今後どのようになるのか。
(原子炉規制課)今後も利用を続ける予定。
- 医学分野に利用しているのか。
(原子炉規制課)この原子炉では利用していないが、隣接しているRI施設において、医学利用をしている可能性がある。
- ナトリウムは使用しているのか。
(原子炉規制課)以前、使用していた。
- 技術者の教育・訓練には、本件のような小型の原子炉が適しているが、他の原子炉は廃止される傾向にあるのは残念。
(原子炉規制課)確かに、教育・訓練のためには必要だが、小型の原子炉による研究が成熟しつつあるためと考えられる。
等の委員の意見及び質疑応答があり、本件については引き続き審議することとした。
(4)議事録の確認
事務局作成の資料4第26回原子力委員会臨時会議議事録(案)が了承された。