当委員会は、核燃料サイクル開発機構(以下「サイクル機構」という。)の使命及び研究開発の目標を中心に業務の在り方について検討し、昨年8月、当委員会としての考え方を示すとともに、昨年9月、内閣総理大臣が決定したサイクル機構の業務に関する基本方針についてもあらかじめその議決を行いました。今般、サイクル機構より同基本方針に基づき策定した最初の中長期事業計画について報告を受け、本件についての当委員会としての見解を以下のとおり取りまとめました。
1. | 今回の中長期事業計画は、サイクル機構として、旧動力炉・核 燃料開発事業団における経営不在の反省に立ち、理事長の裁量と責任の下で関係各界との積極的な意見交換を経て策定したことを評価します。また、その内容についても、当委員会が示した考え方及び上記基本方針に沿ったものであり妥当であります。 |
2. | 中長期事業計画では業務運営の基本として、「安全確保の徹底」、「情報公開等による業務の透明性の確保」、「適正かつ効率的な業務運営」及び「地域社会・国民並びに国際社会の理解と信頼を得ること」が掲げられていますが、このような業務運営を実現するためには、経営者と職員その他作業員が心を合わせ、最善の努力を払うことが必要です。 |
3. | サイクル機構の柱となる業務の進め方についての考え方は次のとおりです。 高速増殖炉とこれに関連する核燃料サイクルについては、将来の非化石エネルギー源の一つの有力な選択肢として、実用化の可能性を追求するために研究開発を進めることとしています。そのためには、特に、重要な研究開発の場である「もんじゅ」について、地元の理解と協力を得つつ、早期の運転再開に向けて安全性の確認のための諸手続を進めるなど段階を踏んで所要の対応策を講じていくことが必要です。 高レベル放射性廃棄物処分技術については、当面第二次取りまとめの完成に全力を挙げ、その信頼性等を明らかにするとともに、今後、地元の理解と協力を得つつ深地層の研究施設を建設し、得られた研究成果を将来の処分事業に反映することが必要不可欠です。 軽水炉再処理技術については、使用済高燃焼度燃料等の再処理技術を確立し、円滑に民間に技術を移転することが求められており、地元の理解と協力を得つつ早期に東海再処理施設の運転を再開し、研究開発成果を取りまとめることが重要です。 |
4. | サイクル機構が行う研究開発は、我が国の核燃料サイクル政策を進める上で必要不可欠のものであり、国民の負託に応えられるよう、安全確保を大前提に中長期事業計画に沿って意欲的かつ柔軟な事業展開を行うことを期待します。当委員会としてもサイクル機構の業務の適切かつ円滑な遂行に向けて、その活動等について適時的確に評価し、今後の原子力政策に反映させていきます。 |