第10回原子力委員会定例会議議事録(案)

 

 1.日 時  1999年2月16日(火)10:30〜11:30

 2.場 所  委員会会議室

 3.出席者  藤家委員長代理、依田委員、遠藤委員、木元委員
  (事務局等)科学技術庁
         原子力局
         青江局長
         今村審議官
         政策課 坂田課長
         原子力調査室 森本室長、板倉、村上、池亀、國嶋
         核融合開発室 中村室長、鈴木
        資源エネルギー庁
         原子力産業課 斉藤企画官、白井
        核融合会議 宮専門委員(東京大学教授)
        吉舗専門委員

 4.議 題
 (1)核融合開発に関する欧州調査結果概要について
 (2)原子力開発利用長期計画の予備的検討に関する調査の状況について
 (3)その他

 5.配布資料

 6.審議事項
 (1)核融合開発に関する欧州調査結果概要について
 標記の件について、宮専門委員より資料1に基づき説明があった。これに対し、
  • EUが建設費の15〜40%を負担可能とのことだが、欧州各国はどれくらい負担することになるのか。
    (宮委員)
    欧州に建設する場合、イタリアの非公式見解としては、EUから50〜60%、構造改革経費から10%、ナショナルファンドから10%で、7〜8割を負担するようである。逆に、日本に建設する場合、2〜3割を欧州が負担することになろう。
  • その考え方に基づくと、日本に5000億円を投じて建設する場合、欧州は約 1000億円を支出することになろうが、どの様にこの費用を工面するのか。EU委員会だけなのか。欧州各国の負担はないのか。
    (宮委員)
    主としてEU委員会からの支出になるとのこと。JETには年間100億円の運転経費を投じているが、運転期限を3年後に迎えるので、その予算を回せるようである。
  • 欧州に2001年にITERの工学設計活動が終わっても、FP6が決まる2003年まではITERの建設に取りかかれないのか。
    (宮委員)
    建設に向けての議論を進めることはできる。
  • 欧州に建設する可能性が低いのなら、日本が中心的な役割を果たす必要がある。
  • 日本に対する欧州の期待は大きいのか。ITERに対して欧州の関心が薄れてきていないか。
    (宮委員)
    日本に対する期待は非常に大きい。ITERに対する関心も高い。核融合は人類に貢献する技術であり、日本に建設されても精神的にはイコール・パートナーシップで協力したいという意見を聞いた。
  • 欧州はITERは必要だと考えているが、熟していないまま進んでいるのではないか。ITERは大きな経費が掛かるものであり、政策全体の中でどの様に位置づけるかが重要。
    (宮委員)
    核融合には二つの平面があり、一つは、JT-60、JETによる活動や、米国のその他の方法を探る平面。一つはトカマク型によるバーニングプラズマを目標とする平面であり、後者がITER。EUは後者で日本がリーダーシップを発揮するすることを世界全体の役割分担から望んでいる。
  • 核融合の捉え方として、科学技術と捉えるか、エネルギーと捉えるかという議論があるが、米国においては科学技術的に捉える様になってきた。また、欧州にも少しその様な動きがある。我が国においても科学技術という側面でも捉えるのなら、ITERに対して人類の知的公共財として対応する必要がある。核融合は将来において重要であり、我が国としても、今後核融合開発の捉え方についての議論を行うことが重要である。
 等の質疑応答及び委員の意見があった。
 (2)原子力開発利用長期計画の予備的検討に関する調査の状況について
 標記の件について、事務局より資料2に基づき説明があった。これに対し、
  • まだ各検討分野とも議論がまとまる段階ではない。放射線利用分野の予備的検討に参加して、食品照射について国際的に我が国の対応が非常に遅れていることが分かった。
  • 厚生省が食品照射について十分な理解を示していない。行革において原子力委員会が内閣府に移り、状況が変わることを期待する。
  • 米国でも牛肉に放射線照射を許可しているが、輸入に当たっての基準を明確にしないと貿易に支障を来すのではないか。
  • 我が国が輸入する肉類、香辛料等に放射線照射されているものが含まれている可能性は否定できない。
  • 原子力委員会の助言機能をこの様なことに使えないか。
  • 次回の原子力長期計画は、21世紀に向けて内容が専門的にしっかりしており、かつ国民に分かり易いものとしたい。原子力長期計画の作成には長い時間を要するので、専門部会での審議を早く始める必要がある。次回の原子力長計は、行革後に内閣府に置かれる原子力委員会に影響を与えることになるので、行革を睨みつつ検討を進めたい。
  • 食品照射等のこともあり、関係省庁の参加が重要である。
  • 食品は放射線照射するから安全なのに、照射するから安全でないと思っている人が多い。
 等の委員の意見及び質疑応答があった。
 (3)議事録の確認
 事務局作成の資料3第9回原子力委員会臨時会議議事録(案)が了承された。
資料1  核融合開発に関する欧州調査結果概要
資料2  原子力開発利用長期計画の予備的検討に関する調査の状況について
資料3  第9回原子力委員会臨時会議議事録(案)