第6回原子力委員会臨時会議議事録(案)
1.日 時 1999年1月29日(金)10:30〜12:00
2.場 所 委員会会議室
3.出席者 藤家委員長代理、依田委員、遠藤委員、木元委員
(事務局等)科学技術庁
原子力局
政策課 坂田課長、中川
原子力調査室 森本室長、板倉、村上、池亀、國嶋
国際協力・保障措置課 瀬山課長
保障措置室 坪井室長
核燃料課 上田、
文部省
研究機関課 合田課長、岩崎
資源エネルギー庁
原子力産業課 斉藤企画官
吉舗専門委員
4.議 題
(1)平成11年度原子力関係予算政府原案について(文部省)
(2)「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」の一部改正について
(3)その他
- 5.配布資料
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資料1 | 平成11年度国立大学等における原子力研究関連予算案の概要
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資料2-1 | 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(原子炉規制法)の一部を改正する法律案の概要
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資料2-2 | 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案の骨子
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資料3 | ドイツの原子力事情(第1回コンセンサス協議の結果)
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配付資料 | 「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」の一部改正について
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資料4-1 | 第4回原子力委員会臨時会議議事録(案)
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資料4-2 | 第5回原子力委員会定例会議議事録(案)
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- 6.審議事項
- (1)平成11年度原子力関係予算政府原案について(文部省)
- 標記の件について、文部省より資料1に基づき説明があった。これに対し、
- 予算が減額となっているが、どの部分を削っているのか。
(文部省)
京大の原子炉の使用済燃料を輸送する経費を減額しており、10年度は輸送容器製造のために5億円、11年度は輸送費として3億の予算を計上しており、差引き2億円の減額となっている。
- 私立大学の研究炉に対しては補助しているのか。
(文部省)
基本的には私立大学自身の予算で運営することとなっていいるが、国立大学との共同研究経費という形で補助している。
- 予算は、大学からの申請に基づくのか、トップダウンで決めるものがあるのか。
(文部省)
学術審議会の原子力部会において大枠の審議は行われているが、個別の予算については、基本的には大学からの申請に基づいている。
- 欧米の大学では、原子炉を中心にして研究施設がよく整備されており、それに比較して日本では老朽化、陳腐化が著しいのではないか。教育水準の維持向上と人材育成は国家的課題であるが、施設を整備せずに著しい成果を出すという精神主義になっているのではないか。
(文部省)
精神主義というよりも大学の予算制約上の問題である。
- 原子力の広がりを考えるともう1ケタ上の予算が必要である。
- 大学における研究炉の役割が見えていない。また、安全規制の強化等で研究炉の運営は大学では手に負えなくなってきている。このような状況を踏まえて、矢内原原則の現代的解釈が必要である。同原則は、当時の我が国の状況下では意味があったが、原子力が定着した今日、大学の研究が軍事利用されることは想定できない。また、教育界における原子力の受け止め方は概して慎重であったが、これからどのように平和利用を進めていくのか考えていく必要がある。行革は、国全体として原子力に関する体制を良いものにしていく千載一遇のチャンスである。
- 若い学生に夢を与える様な教育現場を作って欲しい。
- 何故原子力が必要かを国民が理解し、社会に受け入れられていかないと大学における予算もつけにくいのではないか、その様な観点から問いかけを続けていきたい。
- 大学の問題は、原子力委員会としても重要なものと考えている。
- との委員の意見及び質疑応答があった。
- (2)「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」の一部改正について
- 標記の件について、事務局より資料2-1及び資料2-2に基づき説明があった。これに対し、
- 本措置は、我が国のような真面目な国だけでなく多くの国が参加することが大事であり、イラク、北朝鮮やそもそもNPTに参加していないインド、パキスタンをどうするかと言う問題がある。
- 軽水炉については、保障措置の強化とともに、合理化・効率化も同時に進める必要がある。
- 日本で行われる保障措置がどう変わるのか。
(国協課)
今回の措置は、従来の定量的な計量管理から定性的な情報分析に重点がおかれ、原子力活動、核物質量の量に比例する訳ではない。また、軽水炉については、リモートモニタリング技術により、査察の業務を少なくしていきたいと考えている。
- 中間貯蔵について、新規参入事業者が見込めるのか。
(通産省)
新規参入者がいなくても、電力会社が自ら事業を行う。
- この事業は、倉庫業の一形態と言えるが、産業として成り立つことが望ましい。
(通産省)
今回の貯蔵事業は許可制としており誰でも申請できる形をとっている。
- 電力以外でも、広い敷地を持つ企業が参入するようになれば、地域振興にもなる。
- 一般社会の傾向は、規制緩和、合理化、自己責任であり、原子力産業も世の中の流れに逆行しないようにする必要がある。
- 等の委員の意見及び質疑応答があり、本件に関する委員会決定(案)が朗読された。この案について、次回の原子力委員会で委員長出席のもと引き続き審議することになった。
- (3)ドイツの原子力事情について、事務局より資料3に基づき説明があった。
- これに対し、
- 今回のコンセンサス会議の結果は、ドイツ連立政権のメンツを立てたという状況だろう。どのような原子炉も寿命が来れば廃炉になる。
- コンセンサス会議の結果について、トリッテン独環境大臣は満足感を表明しているとのことであるが、緑の党は不満なのではないか。
- ドイツ国内では、連立政権の非現実的な政策に対してコール前首相の方が良かったという声もある。緑の党の支持者も減っているところがある。日本のプレスは、ドイツの脱原子力政策を強調しているが、様々な面を総合的に見ていくべき。
- ドイツは、日本と同様に非核保有国であり大規模な原子力発電国であるので、今後の成り行きをフォローして行きたい。
- 等の委員の意見及び質疑応答があった。
- (4)原子力開発利用長期計画の策定について、遠藤委員より
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- 原子力長計については、スケジュールは、2001年の省庁再編も考えると、来年中には作成する必要があり、必要な手続きに掛かる期間を逆算すると、来年の夏には原案をまとめておく必要がある。そうすると5〜7月頃には専門部会を立ち上げることが必要である。原子力は総合科学技術であり、関係省庁が皆でもり立てるような原子力長期計画となる必要がある。
- との発言があった。これに対し、
- 原子力委員会が主体性をもって、各専門部会に何をお願いするかを明確にする必要がある。現在進んでいる予備検討で問題を抽出し、何を専門部会に期待するのか、委員会においても考える必要がある。
- 原子力委員会としては、まず、こういう長計にしたいという長期計画の柱立てを示す必要がある。
- 原子力長期計画では、原子力委員会自らの姿勢を明確にしたい。長計は、見えることとともに、専門的な展望が必要であり、長計の内身を2つに分けることも一案と考えている。また、今までの原子力関係者のための長計からの脱却が必要である。
- 従来の原子力長期計画は、コンセンサス方式だったが、新しい長期計画では問題を明らかにして国民に考えてもらうとともに、各主体の責任と役割の明確化が重要である。
- 今回の原子力長期計画で、すべてを決めるのは難しい。次回の原子力長期計画とのつながりも見据える必要があろう。
- 原子力長期計画において、国、地方自治体、民間企業等それぞれの主体の役割分担を書き込みたい。
- 等の委員の意見があった。
- (5)議事録の確認
- 事務局作成の資料4-1第4回原子力委員会臨時会議議事録(案)のうち出席者の意見について、原子力政策円卓会議での発言を確認するよう指示があった。資料4-2第5回原子力委員会定例会議議事録(案)が了承された。
- なお、事務局より、次回は2月2日(火)に定例会議を11:00より開催する方向で調整したい旨発言があった。